日本における いや世界における攻撃用戦闘機の代表選手が「零戦」でしょう。 パールハーバーの奇襲では、零戦の制空隊が完全に戦場を制圧、同時に雷撃隊、爆撃隊 が突入し米太平洋艦隊の主力を撃滅し、さらに零戦隊は銃撃で敵の航空戦力を 地上で破壊しました。 しかし大戦初期においては無敵だった彼らも、連合軍側に新鋭機が登場すると これら万能選手的な戦闘機「零戦」は、苦難の時代になっていきました。 兵器というものは、常に敵よりも優秀なもので必要な量を満たし、さらにその 補給ができなければなりません。 特に飛行機というものは、工業力の総合的製品であるから、機体、発動機、火器 等のトータルバランスがとれていなければ、戦闘機としては劣悪なものとなります。 開戦時は世界最強を誇った零戦でしたが、いかに改良をかさねてみたところで 高度10000m以上を飛ぶ「超空の要塞」B29に対する迎撃機として、使えなかったこと はその設計思想を見ても、当然でしょう。 つまり零戦の衰退(というか限界)が、そのB29による日本本土爆撃を許し、優秀な 飛行機を大量に生産するという戦い=技術と生産力の戦いに敗れた事になります。 零戦はそういう意味で「日本の運命を背負った戦闘機であった」 という言葉で、 このシリーズの最終回を結びます。御静聴ありがとうございました。