零戦物語

好敵手2 PART-7
前回に続き零戦の好敵手 米陸軍編です。

 対ベルP39エアコブラ、カーチスP40ウォーホーク
どちらも陸軍航空隊の戦闘機で、特にP40ははじめのころ基地に多数配備され
よく零戦の相手になった。どちらも馬力の割り合いに重く零戦よりも急降下速度
が大きく最高水平速度は同等、その他の性能は全て劣っていた。たとえ得意の
急降下速度を利用する一撃離脱主義で立ち向ってきても、そう手ごわい相手では
なかった。

 対ロッキードP38ライトニング
この双発双胴の戦闘機は、翼面積の割りにエエンジンの馬力が大きく、かつ排気
タービン加給器を備えた高空性能はすばらしく、急降下速度も大であった。その反面
旋回性能と低速での操縦性の悪いのが特徴であった。
初めの頃はしばしば零戦に対して空戦をいどんできたが、零戦は常に優位をしめ
これを撃墜した。後にアメリカが零戦の高々度における性能不足と、急降下速度の
小さいのを見抜いて、本機に対し常に高空性能と急降下速度を活用する、奇襲的
戦法をとられ、それ以降は好機に恵まれない限り、捕捉できなくなった。

 対大型機
大型機としてはアメリカ陸空軍の4発爆撃機ボーイングB17とコンソリデーデットB24があった。
零戦が最初に手こずったのはB17で、近代的なセルフ・シーリングタンクと死角の少ない
防御銃火、4発機ならではの大搭載量、大航続力を誇っていた。
B24はB17より防弾で劣っていたが、航続距離は1〜2割優っていた。

この機種を墜としにくいのは、弾が当たっても火災を起こしにくい防弾タンクのほか
次の理由により弾丸が当たらなかったことも見逃せない。
1.すなわち死角のほとんど無い防御銃火のため、我が戦闘機が近接しにくいこと
2.機体が大型であるため距離を誤判断しがちなこと
3.パイロットの心理的な作用がそれであった。
勿論全然墜ちないというのではなく、我が老練な戦闘機パイロットが狭い敵機の死角
をぬい、充分近接し搭乗員とくに操縦者を狙うか、タンクに多数の弾丸を撃ち込むか
叉は多数の戦闘機が敵機を囲んで満身創夷にすることで、それを可能とした。

欧州戦線も含めて「空の要塞」B17がはじめて敵弾に撃ち落とされたのは、太平洋
戦争の開戦初頭、南台湾の基地から長駆フィリピンのルソンン島を空襲した、台南航空隊
零戦隊の坂井三郎小隊によってであった。


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