今回は零戦の好敵手 米海軍編です。 対ブルースターF2Aバッファロー 緒戦のころ、アメリカ及びイギリス両軍によって基地戦闘機として使用され、 F4Fよりも古くかつ性能が劣り、零戦にはよい餌食であった模様。 対グラマンF4Fワイルドキャット 艦上機らしい性格という点では零戦と似ており、本機のほうが馬力が少し大きく 急降下速度が同程度という以外、いかなる高度でもあらゆる性能で零戦が優って いた。同性格の戦闘機であることから、緒戦のころ格闘戦がよく行なわれ、零戦 の特徴が100%発揮された相手だった。 しかしながらガダルカナル争奪戦では、アメリカの設営力、補給力と絶対多数の本機の 働きが、アメリカ側に勝利をもたらした中核的戦力だといえよう。 対チャンスヴォートF4Uコルセア 単発戦闘機で零戦の好敵手として初見参したのが、海軍のF4U戦闘機でだった。 本機は高速を狙ったため着艦性能と視界が悪く、母艦上では使用できなかったが 主反攻は陸上基地を使用できるガダルカナル島から始まったので、日本軍が撤退した 昭和18年2月からソロモン戦線に投入された。 本機は最初の2000馬力級エンジンを装備し、零戦よりも相当優速で特に急降下速度が 大きく、数が少ない間は零戦で何とかなったが数が増し、戦法が研究されてから はその特有の性能がものをいい、うるさい相手となった。 対グラマンF6Fヘルキャット F4Uと同じく零戦の二倍にあまる馬力の「ダブル・ワスプ」を装備し、低翼面荷重を 玉条とした設計方針によって、主翼は31平方メートルという大面積となり、大面積は重量 増加を呼び起こすという循環の結果、自重は4180キロ(烈風の約25%増し)、総重量は 5800キロに達する大型戦闘機となった。 しかし馬力荷重、翼面馬力が零戦より有利で、急降下速度、火力、防弾で零戦に 優り、航続力、旋回性能で劣っていた。特に垂直面内の空戦では零戦について ゆけず、零戦が得意とするひねり上げるような旋回を行なった場合、四分の一周 も追従できなかった。零戦に追尾されたら急降下によって離脱するしか方法が なかった。 上昇力は高度3000メートルまでは零戦が優り、5000メートル以上では本機が優っていた。 まともに零戦と戦ってよい勝負をしたのは、アメリカ機中本機だけであった。