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セバースキー(リパブリック) P-43 ランサー(Lancer:槍騎兵) P-35 の発展型 排気タービン装備

 P-43 はセバスキー社がリパブリックと社名変更した 1939 年に社内呼称 AP-4 として開発された機体です。当初は XP-42 のような絞り込みカウリングと大型スピナーを装備していましたが、やはり過熱問題に直面して通常形式のカウリングに戻されています。P-43 の機体ラインはまだ P-35 の面影を強く残していますが、「レザーバック」型の後部風防や胴体後部下面の排気タービンなどはのちの P-47 に似ています。
 P-43 は排気タービンの恩恵でそれなりの高々度性能を持ってはいましたが、乾燥状態で 2.6t という重量は一式戦「隼」 II 型より 600Kg 以上も重く、いくらタービン付きでも 1000hp 強のエンジンには荷が過ぎました。馬力不足対策としてプラット&ホイットニー R-2180(1400hp) への換装型が P-44 ロケット(Rocket) として計画され、すぐに R-2800(2000hp) 搭載の P-44-2 に発展しますが、ここまで馬力アップすると機体設計にも無理が多く、結局 P-44 計画は破棄され新たに P-47 に発展します。
 P-43 は 272 機が生産されましたが、一部が中国に輸出され日本軍と交戦した他は米国内で二線任務に就きました。それも多くは戦闘機ではなく写真偵察機に改造され、ロッキード F-4(P-38 改造偵察機) までのつなぎとして偵察練習機に使われました。
(文・ささき)


緒元(P-43A)
製作1939年
生産数272(全タイプ合計)
乗員1
全幅36ft(10.97m)
全長28ft 6in(8.69m)
全高14ft(4.27m)
主翼面積224ft2(20.8m2)
乾燥重量5730LBs(2599Kg)
全備重量7300LBs(3311Kg)
武装7.62mm 機銃×2(機首)+12.7mm 機銃×2(主翼)
発動機プラット&ホイットニー R-1830-47 空冷14気筒+排気タービン 1200hp
最高速度356mph(572Km/h) 高度 20000ft(6096m)
実用上昇限度36000ft(10973m)
航続距離800ml(1287Km)

P-43 サブタイプ一覧
サブタイプ生産数特徴
YP-4313試作型
P-4354初期量産型 R-1830-47
P-43A80R-1830-49
機首銃を廃し主翼銃 12.7mm×4に強化
P-43A-1125R-1830-57
うち108機は中国政府にレンドリース供給
P-43B150既存機改造の偵察型
P-43C2既存機改造の偵察型
P-43D6既存機改造の偵察型

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