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カーチス XP-53 P-40 の発展型、P-60 の原形

 カーチスは P-40 の後継機として XP-46 で一度失敗していますが、雪辱を期して再設計したのが XP-53、社内呼称 Model88 です。1600hp のコンチネンタル XIV-1430 エンジン(またこいつかよ)を搭載し主翼は層流翼、XP-46 で三段腹になっていたラジエター/インテイク類は主翼付け根の胴体下面一個所にまとめられ、少なくとも外見上はかなりクリーンな機体になるはずでした。主脚は先祖返りして90度回転後方引き込みですが、これは主翼に 12.7mm 4挺づつを搭載するための処置だと思われます。

 1940 年 11 月、軍はカーチスに対し唐突に「マーリン・エンジンを搭載した単発の層流翼戦闘機が欲しい」という要求を出しました。同年 10 月に初飛行していた振興ノースアメリカンの P-51 マスタングの当て馬にしようという腹づもりだったのかも知れません。カーチスはこれに対し設計中の XP-53 をマーリンに換装した社内呼称 Model90 を提案し、これは軍呼称 XP-60 として別機扱いでプロジェクトが進行することになりました。

 それから約一年後には XIV-1430 が救い難い欠陥エンジンであることが露呈し、XP-53 計画はキャンセルされます。製作中だった機体は P-60 設計のための強度試験台に供され、P-53 製造用に軍から支給された武装や防弾タンクはそのまま XP-60 に応用されることになりました。
(文・ささき)


緒元(XP-53 予定性能)
製作--
生産数0
乗員1
全幅41ft 5in(12.62m)
全長35ft 3in(10.74m)
全高12ft 5in(3.78m)
主翼面積275ft2(25.5m2)
乾燥重量7650LBs(3470Kg)
全備重量9975LBs(4525Kg)
武装12.7mm 機銃×8(主翼)
発動機コンチネンタル XIV-1430-3 液冷12気筒 1600hp
最高速度430mph(691Km/h) 高度 15000ft(4572m)
実用上昇限度--
航続距離--


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