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グラマン XP-50 XF5Fの陸軍型

 グラマン XP-50 は 1939 年 3 月 発令の 39-775 計画において ロッキード XP-49 と競作になった機体で、海軍向けの試作双発艦戦 XF5F「スカイロケット(SkyRocket)」を陸軍向けに改修したものです。XF5F は中央胴体が主翼前縁までしか伸びておらず、その先端近くに操縦席があるという変わった設計でしたが、XP-50 では機首を延長して三輪式降着装置を備え、胴体の高さも増して操縦席位置を持ち上げ XF5F で不評だった視界を改善する工夫が取られていました。
 XP-50 のエンジンは XF5F と同じライト R-1820 9気筒空冷星型 1200hp です。しかし中低空を目標に一段二速の機械式過給器を備えた XF5F と異なり、高々度性能を要求された XP-50 は排気タービンを備えているのが特徴でした(図面を見るとエンジン直後方のナセル下に格納していると思われます)。エンジンは P-38 と同じ左右逆回転・外回りでした。

 XP-50 試作機は 1941 年 2 月に完成しましたが、早くも 5 月 14 日(これが初飛行だったとする資料もある)に排気タービンからの空中火災を起こしパイロットは無事脱出したものの機体は完全に損失、これをもって XP-50 計画は打ち切りとなりました。筆者の私見ではタービンとエンジンの位置が近すぎるため、タービン過熱はいずれ避けられない問題だったと思います。

 なお、XP-50 の原形となった XF5F は競作のボート F4U に敗れて不採用となり、より高性能な双発艦戦 XF7F の開発データを集めるためのテストベッドとして使われていましたが、1944 年 12 月に着陸事故を起こして失われています。
(文・ささき)


緒元(XP-50 予定性能)
製作1941年
生産数1
乗員1
全幅42ft(12.8m)
全長32ft(9.75m)
全高12ft(3.7m)
主翼面積304ft2(28.2m2)
乾燥重量8307LBs(3768Kg)
全備重量10558LBs(4789Kg)
武装なし
発動機ライト R-1820-67/69 空冷9気筒+排気タービン 1200hp
最高速度424mph(682Km/h) 高度 25000ft(7620m)
実用上昇限度40000ft(12192m)
航続距離1250ml(2011Km)


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