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航空Ans&Q 1121 九五式水上偵察機について(その1) じゃま 15/12/10(木) 18:47
┗ 航空Ans&Q 1121 九五式水上偵察機について(その2)) じゃま 15/12/10(木) 18:50
┗ 航空Ans&Q 1121 九五式水上偵察機について(その3)) じゃま 15/12/10(木) 18:51
┗ ここから、再開: 如風さんへの質問 じゃま 15/12/10(木) 18:55
┗ Re:ここから、再開: 如風さんへの質問 如風 15/12/11(金) 1:45
┣ 私は、新しい枝をひらけませんので徒然に 如風 15/12/13(日) 12:31
┃┗ 複葉機の上下の翼は干渉するか じゃま 15/12/13(日) 16:11
┃┗ この議論ボードを退出するにあたって 如風 15/12/13(日) 17:45
┃┗ 如風さんの意見 じゃま 15/12/14(月) 7:15
┗ Ans&Q25の答え じゃま 15/12/14(月) 7:07
┗ Re:Ans&Q25の答え 如風 15/12/14(月) 15:12
┗ ヘルムホルツの定理 じゃま 15/12/14(月) 20:49
┣ Re:熱意を、見直しました 如風 15/12/15(火) 2:24
┃┗ こちらもまじめに書いています。 如風 15/12/15(火) 13:23
┃┗ こちらもまじめに書いています。(2) 如風 15/12/15(火) 17:14
┗ 本当に書きたかったこと 如風 15/12/16(水) 3:23
┗ 渦について(その2) じゃま 15/12/16(水) 17:48
┗ 波長があっちゃいました 如風 15/12/16(水) 20:46
┗ 追伸 如風 15/12/16(水) 22:27
┗ 感謝しつつこの場を去ります 如風 15/12/18(金) 12:38
┗ 戦前戦中の日本の技術の貧しさ じゃま 15/12/21(月) 19:43
┣ Re:戦前戦中の日本の技術の貧しさ 如風 15/12/22(火) 3:07
┗ Re:戦前戦中の日本の技術の貧しさ 零戦勉強中 15/12/22(火) 19:28
┗ Re:戦前戦中の日本の技術の貧しさ 零戦勉強中 15/12/22(火) 19:58
┗ だいぶ長くなってきたので じゃま 15/12/23(水) 15:57
┗ Re:だいぶ長くなってきたので 零戦勉強中 15/12/24(木) 18:40

航空Ans&Q 1121 九五式水上偵察機について(...
 じゃま  - 15/12/10(木) 18:47 -
  
航空Ans.&Q. 1121 たーぼふぁんさんからの質疑が
長くなってきたので移動しました。
以下、これまでの内容です。
[九五式水上偵察機について]たーぼふぁんさんの質問

九五式水上偵察機は上の主翼に後退角がついていますよね。
また、この機は運動性が高いという解説をよく見ます。
上主翼の後退角について、私は「視界を良くするためだろう」くらいに思っていました。ところが最近〈世界の傑作機 No.47 日本海軍水上偵察機〉を読んだところ“その運動性を高めるのに貢献していたのが、著しい後退角をもつ上翼”と解説がありました。
後退角はむしろ安定性が向上しますよね。それは運動性を追及する事とは相反するように思えるのですが。
そこでいくつか質問があります。

1.文字化けしてしまった部分の書き直しです↓
(1) 九五式水上偵察機の後退角が、この機の高い運動性に貢献したのは本当でしょうか?
(2) (1)の回答がYesなら、どういう理論でそうなるのでしょうか?
(3) (1)の回答がYesなら、それは高い運動性を持たせる事を意図して後退翼に設計したのでしょうか?それとも別の目的で後退角をつけたら結果的に運動性が向上したのでしょうか?
(4) (1)の回答がNoなら、なんのために後退角をつけたのでしょうか?
たーぼふぁん

2.原型のヴォートO2Uからこの形態ですね。
この時期(1920年代後半)、米国ではちょっとした流行になったようです。
他にボーイングF3B・カーチスF8C・カーチスO-1・マーチンBM、があります。
現代でもアクロバット機のピッツがそうですね。
空力的な意味については下記の過去ログの回答2がヒントになるかと思います。
http://www.warbirds.jp/ansq/11/A2002565.html
超音速

3.>超音速さま
ご回答ありがとうございます!
ご提示いただきました過去ログを拝見いたしました。

私には難しいお話ですので、正しく理解できているのかは自信が無いのですが、

まず、上翼が前で下翼が後ろのスタッガーのついた一般的な状態。
その状態から、上翼の補助翼の効きが下翼でキャンセルされないように、翼端を後ろに引っ張ってきて後退角がついた。
運動性に貢献したというのは、この補助翼の効きの事を指している。

という理解で合っておりますでしょうか?
たーぼふぁん

4.(1)そうではないと思います。

九五式水上偵察機の運動性がよかった理由は、後退翼のためではないと思います。
安定性と運動性は相反するので、たーぼふぁんさんの疑問はごもっともです。

「後退翼は安定性が良い」と書いている本やウェブをよく見ますが、一般性は全くない。

     ・縦方向 ピッチング
     ・横方向 ヨーイング
     ・回転方向 ローリング
 
と、安定性は三つありますが、翼の形や速度や迎え角とかでいろいろ変わる。
一概には言えないと思います。

たとえば、ヨーイングに対して、後退翼の方が安定性が良い、というのは、
ジェット機のように薄く、揚抗比がちいさい翼で、高速での場合です。

大戦機の場合には全く当てはまらない。
あの時代は、後退翼は嫌がられていたので、九八式直協機はチャレンジしたけど大失敗だった。

九三中練とか、C-47とか、大戦中のヤク、ミグで、ゆるーい後退角がついているときもある。

場合によりけり、だと思います。

(4)それでは、どうして後退翼にしたのか?ということですが、機体の釣り合いをとるためだと思います。

対象が九五式水上偵察機で、水上機です。

飛行機設計で、揚力中心より重力中心を前にする、という定石がありますけど、これは飛んでいる場合です。

水上機は翼と胴体のほかに大きなフロートをかかえています。
水上機は、水に浮かばないといけないので、陸上機とはちがう。

水上で停止したときにひっくり返らないように、機体、翼、フロートで発生する三つのモーメントの足し算がゼロになるように工夫しなければならない。
三つはむずかしい。二つが三つになると、すごくむずかしい。

オモリを入れるくらいで済むならよいが、デッドウエイトなんかイヤだとか、なにか制約がある場合、後退翼にして釣り合いをとるわけです。

それから、複葉機で、翼を食い違い配置にしたときです。

運動性に対する、補助翼の効きの貢献云々ですが、かんけいないと思います。

補助翼で下向きになった空気が下側の主翼にぶつかって、補助翼の効き目がわるくなる、ということは無いです。

一般に、飛行機では下流の影響が上流におよぶ、というのはあまりない。
流体は空気で圧縮性が高く、外部流れ(境界条件が表面で定義される)だからです。

そうでない場合は、たとえば、
流体が水で、圧縮性が小さく、内部流れの場合、たとえば水道管の水、の場合、末端下流で蛇口を一斉に開いたら、上流給水所のポンプは急いで回転を上げるとか、対策する。
これは下流の影響が上流におよぶ場合です。
じゃま


5.じゃまさん。
>補助翼で下向きになった空気が下側の主翼にぶつかって、補助翼の効き目がわるくなる、ということは無いです。
>一般に、飛行機では下流の影響が上流におよぶ、というのはあまりない。
>流体は空気で圧縮性が高く、外部流れ(境界条件が表面で定義される)だからです。
そうはいっても、下翼にとってはそれは上流の流れとなりますよね。
上翼エルロンからの下向き流が下翼に当たり下翼の揚力が削られる。あるいは上下翼間の流れを上翼エルロンが阻害し下翼の揚力が削られる。この結果でエルロンの効きが悪くなったように感じる。
という見方は間違ってますか?
下翼にもエルロンを設けたり、上翼エルロン下に何も無い一葉半とするなど、他の形式の複葉機もエルロンの効き対策のように見えます。

超音速

6.超音速さん

 飛行機はなるべくコンパクトにしたい。

上翼、下翼の間隔もなるべく小さいほうが力学的に有利だけれど、
上下の流れが干渉したらまずい。

だからプロペラ半径くらい間隔をとるのだと思います。

上翼の下流側は下翼の上流側ではないか、という超音速さんの考えはわかりました。

尾翼に主翼の後流が干渉する問題とか、ありますね。

じゃま

7.流れの後方の翼が、前方の翼まわりの流れを変えるか、について整理したいと思います。

第一に流れは超音速か亜音速化であり、亜音速ならば影響する、となる。
第二に影響の大きさはいかにであり、余りにも当然ですが両者の距離に依存するとなる。
スタッガーをもつ複葉機の場合、下翼の翼面積の1/2の平方根を代表長さとして、両翼の無次元距離が1であれば、工学的に意味のある変化があり、無次元距離が5であれば、工学的に意味のある変化はない、程度だったはずです。
なお、この場合の距離は、およそ機体の首尾軸における両翼の前縁間の距離です。
蛇足ですが、単葉機の場合でも翼自体の前方流を下向きに変える「吹き下げ」があります。ここに微小な翼をおけば、後方翼の影響を受けることになります。


如風
引用なし
パスワード
<Mozilla/5.0 (Windows NT 6.1; Trident/7.0; rv:11.0) like Gecko@aa20111001946f573a55.userreverse.dion.ne.jp>

航空Ans&Q 1121 九五式水上偵察機について(...
 じゃま  - 15/12/10(木) 18:50 -
  
(その1)の続き

便乗質問ですが。

・無次元距離の「1」、「6」は、どうやって導出するのでしょうか。


>「吹き下げ」があります。ここに微小な翼をおけば、後方翼の影響を受ける

ダウンウォッシュの効果は前述の「1」「6」には含まれないのでしょうか。
 
 やや、矛盾がかんじられるように思います。

じゃま


9.じゃま様
いつぞやは私のヘマな書き込みを、少しは役に立つ方向に導いて頂き有難うございました。
今回も、短く書いて不正確な書き方になったこと反省しております。

無次元距離について
スタッガーをもつ複葉機において前翼と後翼の距離を、機体の首尾軸と上下軸を含む平面における前翼と後翼の断面図における、両者の前縁と前縁の距離を、有次元距離とします。なおスタッガーがほぼ零の場合には、前翼と後翼の上下方向距離が有次元距離になります。
無次元距離は、有次元距離を 7項で書いた後翼の代表寸法で除したものです。
仮に後翼が矩形翼とし、その翼弦長が1m、翼幅が8mであれば、翼面積は8m^2
であり、片翼面積は4m^2、その平方根である代表長さは2mです。


「蛇足ですが・・・・吹き下げ(ダウンウォッシュ」の部分について

この部分の趣旨は、次のように具体的に書き換えて明確にしておきます。
なお後翼の寸法は前述のものを再度使います。この後翼の前方首尾軸方向2m(無次元距離=1)の位置に微小翼を置けば、後翼による吹き下げによって前方翼の有効迎角が更に小さくなるのは明らかでしょう。従って後方の翼は前方の翼に影響を与える、と言う意味です。

ところが、単葉機にだけ詳しい人に「うん、うん」といって貰いたくて「吹き下げ」と言う用語を選んだのは大間違いで、複葉の干渉については自由渦(後縁渦)の他に翼に束縛された束縛渦(翼回りの循環)によって生じる速度もまじめに取り扱う必要があり、上記の前方に置いた微小翼の有効迎角は大きくなるが正しいだろうと定性的に考えている次第です。


如風


10.たーぼふぁん様の質問に対する回答の流れを止めてしまったので、私も回答したいと思います。ただし仮説程度の物ですので、大いに突っ込んでください。

なお、画像検索したところ本機は上翼にも下翼にもエルロンを装備しているように見えますので、エルロンの効きは十分だったのではないかと。


回答は、上翼に後退翼を採用たとき機体の方向安定と運動性の向上は同時に実現された説です。(歴史的には視界確保を狙って上翼を後退翼にしたら、予想外に運動性がよかった、と言う順かも知れませんが)

回答の理由は99艦爆の試験経緯に見られます。

先ずは宙返りの頂上付近での不意自転に悩まされた。 この対策として翼端付近の翼前縁を、スラットを作動させた状態においてスロットをガムテープで塞いだような形状にして、捩り下げを与え問題を解決した。

しかし、宙返りの登り経路において左右によれる傾向がひどかったため、ドーサルフィンで方向安定を増した。
この二つの対策で、運動性において満足のいく機体に仕上がった、というものです。

複葉機は大きな迎角を取ったときに垂直尾翼が主翼の陰に入りやすく、後退翼による方向安定は有り難かったのではと考える次第です。
如風


11.たーぼふぁん様
ご質問の本文にある「著しい後退角」は、3項のたーぼふぁん様の解釈と関係すると思います。必要があれば後で触れます。
如風


12.超音速さま、じゃま様、如風さま。
皆様、詳しい解説をいただきありがとうございます!

皆様のご議論を拝見させていただきまして、航空力学はやはり難しいものだと痛感いたしております。

>11.如風さま
>必要があれば後で触れます。
ぜひ、お願いいたします。
たーぼふぁん


13.>12.有難うございます。 >3.は「翼根で大きいいスタッガー、翼端でスタッガー零 従って翼端で上下翼の干渉が少ない」と読ませて頂きました。
ここでは、機体の運動性と安定性が主題ですから、世傑47.の「著しい後退翼」は、九六艦戦以前の機体で捩り下げは期待できないので、翼端失速に対する不安を慮ってのことではないかと邪推しまして、少々触れた方が良いと思った次第です。 但し、議論の口火を切る程度のものでしかないのですが・・・。

複葉の干渉は、二つの翼に二組の翼端渦ができ、任意の一つの翼に二組の翼端渦が作用するために、一つの翼の「吹き下げ」が大きくなり、有効迎角が小さくなるため、同一翼面積の単葉機と同じ揚力を得るためにはより大きな幾何学的迎角を必要とするので抗力が大きくなる、おおまかにはこの程度で解釈できそうです。

ここでは翼に拘束された束縛渦に着目し、翼を束縛渦で代表させた近似をします。翼に対し左方向から機体の速度の一様流れが流入するものとすれば、束縛渦の回転方向は時計回りです。
この場合複葉の一方の翼を基準としてその渦は、もう一方の翼が前方にあれば巻き上げ流れを誘起し有効迎角を大きくし、後方にあれば巻下げ流れを誘起します。
(「吹き下げ」は後縁渦に関連する技術用語のようで、巻上げ下げを使いました)
九五水偵の後退翼(上翼)については、翼根で有効迎角が増加し、翼端では有効迎角の増加も減少もない、と作用することになります。
なお、下翼はこの逆の作用を受けます。

この効果は上翼について次のように整理されます。 基本的に矩形翼は翼根失速型の揚力分布をしているが、後退角のため翼端失速型の揚力分布に寄せられ(NACA-TM-1120)、複葉後退翼効果で再び翼根失速型の揚力分布に寄せられる。
結果として、上翼も下翼も、著しくない後退翼の揚力分布になっているのではないかと考えます。従って、上翼の見かけほどは翼端失速しにくい。

また後退翼における境界層吹き寄せ効果による翼端失速に対しても、揚力分布の修正が失速防止効果を有しているのではないかと。

最後に、やや書きすぎた思いもありますので、「F86が翼端失速しない理由は」などの修正を頂ければ、幸いです。
ついでの質問ですが、九五水偵の翼面の波板は境界層フェンスのような効果があるのでしょうか?
如風


14.如月さん

 翼を束縛渦で近似するというのは、翼端方向の循環を一定とするモデルのことでしょうか。
じゃま


15.じゃま様
はい。 >13.は、簡単な循環一定のモデルでの説明です。
 
但し、相手翼の特定の翼断面に与える速度は、束縛渦の長さに渡る積分の結果であるとの認識はあるものの、最も近い翼断面同士の関係としか読めない書き方になっています。
このため、効果をやや過大に表す書き方になりました。 「やや書きすぎた」は、そういう思いです、 
如風


16.如月さん

如月さんの提示されたモデルは、馬蹄渦モデルの中で最も基本的なものだとおもいます。
二次元翼と三次元翼の考え方を混乱させてしまうところがありますね。

「効果を過大に表す書き方」と如月さんご自身でも理解されています。

循環は一定としているが、揚力分布を考えるとか、翼どうしの干渉なのか、翼断面どうしの干渉なのか、近似のやりかたが、むずかしいと思います。

じゃま


17.じゃま様
設計屋がある装置の一部改造によって性能改善を実施する場合、最初の段階に幾つかのアイデアの有効性を比べるときに、詳しく分かっている元の装置の性能を基準にして各アイデアを単純なモデルにして、元の性能より10パーセント性能が上がるとか5パーセント性能が下がるとかを見積って、アイデアを絞ることがあります。

>13.のやり方はこのやりかたに似ています。
単葉矩形翼の翼幅方向の揚力分布については、我々はかなり制度のいい理論式によるグラフあるいは実験結果のグラフを目にしたことがあり、およそよく知っていると言えます。
そこでこの揚力分布を基準として、複葉翼の場合に簡単な馬蹄形渦糸モデルを用いて、翼根では揚力がやや増えるかあるいは減るか、翼根では・・・を調べているわけです。
こんな簡単なモデルでも、>2で超音速様が引用してくださったA&Q においてさらりと書かれている、正のスタッガーをもつ複葉機では上翼が失速しやすい理由をちゃんと説明できるのです。

これに対し500行の式とグラフを並べて、これこの通りとやる方法もあるでしょうが、この場はそのような場ではないと思います。

如風


18.>17.の最終行について補足しておきます。 実例があるのです。教科書では50行程度の式で纏められている揚力線理論を500行も費やして、懇切丁寧に説明してくれているサイトが。 私も大変お世話になっています。
fnorio.com
よろしければ、皆様参照してください。
如風


19.URLが不正確でした。
http://fnorio.com/#6

如風


20.>13では循環は翼幅方向に一定だと書いてあります。
それなら揚力も一定なはずです。

妙だと思いました。

やはり揚力曲線モデルを持ち出さないと、揚力分布は説明できないから、方針転換したのだと思います。

それでなお、間違っているのは、翼端渦はそれほど大きくならないということです。
教科書ではわかりやすいように大きく書いていますが、実際は小さなものです。
翼端渦が大きいというのは抗力が大きく損失がおおきいことだから。
これは避けるように設計する。

>正のスタッガーをもつ複葉機では上翼が失速しやすい

だから、そんなことはありえない。
翼端渦は、翼どうしが干渉を起こすほどの角運動量はもっていない。

超音速さんの引用した過去ログSchampさんの記述はあちこち間違っています。

翼どうしの干渉が起きたらめちゃくちゃになったはずです。
時代は1930年代の日本で、三次元翼理論なんて知らなかったはずです。

ご紹介いただいたサイトを拝見しましたが、これ、素人さんでしょう。
ここのお題である複葉機に関係したことはほとんど書いてない。
そんなに正確でもない。

如月さんは、このサイトをネタ元に揚力曲線理論を知ったから、引用したのでしょう。

じゃま


21.申し訳ありませんが、渦についての基本であるヘルムホルツの法則に矛盾しないようにお説を修正していただけないと、なんともコメントできません。
如風
引用なし
パスワード
<Mozilla/5.0 (Windows NT 6.1; Trident/7.0; rv:11.0) like Gecko@aa20111001946f573a55.userreverse.dion.ne.jp>

航空Ans&Q 1121 九五式水上偵察機について(...
 じゃま  - 15/12/10(木) 18:51 -
  
(その2)の続きです。


22.如月さん

ヘルムホルツの法則は、現実には成立しないんですよ。
流体には粘性があるからです。

だいいち、熱力学の第二法則に反する。

それも知らないで自説を開陳していたのでしょうか。

翼端渦はどんどん減衰します。

だから、
・エンタルピーとエントロピーについて知らない。
・粘度がどういう物理量で、どんな次元か知らない。
・ニュートン流体の性質を知らない。
・翼端渦がどうやって発生するのかしらない。
・翼端渦がどういう形をしていているか知らない。
・翼端渦の内部の速度分布を知らない。

と思います。

>私も大変お世話になっています

慌てて検索したサイトだとおもいます。

もともと揚力曲線理論を知っていたなら、わざわざ13.のような乱暴なモデリングはしないはずだから。

どんなロジックを使っているのか、興味しんしんでしたが、何もないようです。

如月さんは、検索は得手のようですね。

それでは、議論を続けましょう。


じゃま


23.じゃまさん。議論のまえにまずひとの名前の間違いを直さないと
超音速


24.敢えてじゃま様の土俵で議論を始めましょう。

少なくとも相対性理論ぐらいは取り入れなければならないですよ。
地球楕円体(近似しすぎました?)の重力場のなかの歪んだ空間を考慮し、翼回りの速度の違う流体ごとに、この効果で密度が変化することも考慮しなきゃー・・・・(まだまだ考慮すべきことが続く)。 これでやや正確になる。
あ、そうだ流体は分子を1個1個取り上げて統計力学的に記述しよう、でもこれらをやると精度を確保するにはスパコンどれだけ必要かな。 

ばかばかしい、と思いませんか。

結局、解くべき問題が要求する精度を満たす、最も簡単な理論を選ぶのが常道です。 理論が簡単なほど人間の頭で因果関係を辿れますしね。
 
ここでの議論ならば、非圧縮、非粘性の流体力学で十分。 ならば、ヘルムホルツの法則は有効でなければならない。

但し翼の計算において、整備士さん怪我をしないように翼の後縁を丸める場合、揚力、抗力の面でどの程度問題が生じるかを扱う場合には、翼後縁でのクッターの条件が怪しくなる微妙な問題ですから、私でもじゃま様の仰るヘルムホルツの法則なんぞ糞喰らえの世界で計算機のお世話になります。 
なお、直観ではエネルギー方程式は使用しなくても良いのではと思います。念のためエネルギー方程式も組み込んで検算してみるでしょうが。

如風


25.じゃま様

>21.は、議論がすれ違う原因は、非圧縮性、非粘性の流体力学で、ヘルムホルツの法則が成り立つ場合、束縛渦の循環が翼幅方向に変化するかの見解が違うからなのではないかと考えたからです。

私は、ヘルムホルツの法則が成り立っても、束縛渦の循環の大きさは翼幅方向に変化しても良いとの見解です。 如何でしょうか。
如風


26.超音速さん:
そうですね、すみみませんでした。これから気をつけます。

如風さん:
ハンドルネームを間違えてすみませんでした。

議論ボードに移動したいと思います。
じゃま
引用なし
パスワード
<Mozilla/5.0 (Windows NT 6.1; Trident/7.0; rv:11.0) like Gecko@aa20111001946f573a55.userreverse.dion.ne.jp>

ここから、再開: 如風さんへの質問
 じゃま  - 15/12/10(木) 18:55 -
  
如風さん

それでは、はじめの方から質問です。

7.
>流れの後方の翼が、前方の翼まわりの流れを変えるか、について整理したいと思います。

>第一に流れは超音速か亜音速化であり、亜音速ならば影響する、となる。
>第二に影響の大きさはいかにであり、余りにも当然ですが両者の距離に依存するとなる。

どうして、両者の距離に依存するのでしょうか。
引用なし
パスワード
<Mozilla/5.0 (Windows NT 6.1; Trident/7.0; rv:11.0) like Gecko@aa20111001946f573a55.userreverse.dion.ne.jp>

Re:ここから、再開: 如風さんへの質問
 如風  - 15/12/11(金) 1:45 -
  
じゃま様は、私の承諾なしにAns&Qから議論ボードへ場所を移されました。 
そこで、以下の2つの条件で議論を再開したいと思います。 
再開するかしないかは、じゃま様の自由です。

1.来歴を見ても明らかなように、A&Qの25に対するじゃま様の考え方がまだ表明されていません。先ずじゃま様が新しい枝を開き、見解を表明し、これに関する議論を最初に行うこと。 (2番目にじゃま様の質問を扱いましょう)

2.議論ボード―では多くの枝を同時に走らせられますが、A&Qではそうではありません。
両者が同意するまで、新しい枝は開かないこと。(1.に述べたことが再発しないためです)
但し、第3者から助言があれば、原則新しい枝を開けるものとする。

以上です。
引用なし
パスワード
<Mozilla/5.0 (Windows NT 6.3; WOW64) AppleWebKit/537.36 (KHTML, like Gecko) Chr...@FKCfx-05p1-80.ppp11.odn.ad.jp>

私は、新しい枝をひらけませんので徒然に
 如風  - 15/12/13(日) 12:31 -
  
私が議論を続けるために設定した条件によれば、現在のところじゃま様はA&Qの25項に対する意見表明のための(これから開かれるであろう)新しい枝に拘束されています。(既に私は同意しているので、じゃま様は自由にこの枝を開ける) 
一方私は、じゃま様が上記の枝を開くまではこの枝に拘束されています。 もちろんじゃま様が上記の新しい枝を開けば、私もその枝に拘束されることになります。

もし、じゃま様がこの枝で「そんな勝手な」とだけでも書けば、ルール違反として議論が終わる、そんな勝手なルールです。
しかしあるべき議論の姿は、相手の説に対し正当なコメントを返し、新たな話題に移る手順であることを思えば、妥当なルールです。

今一つ工夫が足りないのは、A&Qから当事者2人で飛びこんできた議論で、議論の内容は今一つだがお題がいいので、皆でワイワイガヤガヤやりたい場合です。

私みたいにセコいルールを付けなければいい、が答えの一つだとも思います。
引用なし
パスワード
<Mozilla/5.0 (Windows NT 6.3; WOW64) AppleWebKit/537.36 (KHTML, like Gecko) Chr...@FKCfx-05p1-80.ppp11.odn.ad.jp>

複葉機の上下の翼は干渉するか
 じゃま  - 15/12/13(日) 16:11 -
  
問題は、次の通りです。

如風さん:複葉機の上下の翼は干渉する。
じゃま :干渉しない。

如風さんは

>第二に影響の大きさはいかにであり、余りにも当然ですが両者の距離に依存するとなる

と書いていますが、一方で

>渦についての基本であるヘルムホルツの法則に矛盾しないようにお説を修正していただけないと

と書いてもいます。

これは矛盾していると思います。

みなさんは、どのようにお考えでしょうか。

ご意見、ご感想いただければ、さいわいです。
引用なし
パスワード
<Mozilla/5.0 (Windows NT 6.1; Trident/7.0; rv:11.0) like Gecko@aa20111001946f573ab1.userreverse.dion.ne.jp>

この議論ボードを退出するにあたって
 如風  - 15/12/13(日) 17:45 -
  
じゃま様が、この枝に現れました。 
それは如風が勝手に作ったルールでは議論しないとの表明ですから、じゃま様の自由です。
ならば私も、議論の条件が成立しないため退出する。それだけのことです。


一方ここまでの流れとこの枝での内容を見ると、私が議論のすれ違いの原因はこれだとして自分の見解を先に述べて質問したことを、二度に渡って無視されている。
「相手の提起した質問には答えずに自分だけが命題の提出や質問をするのは正当である」との、議論における暗黙のルールに反しても良いとの宣言になっています。 これは見過ごせません。

今後もじゃま様と普通に議論するつもりですが、議論の暗黙のルールに反することを繰り返される場合「あらし」として扱いますので、そのようなことがないようご注意ください。

ここでじゃま様が提出された技術的問題は、順序良く提出されていたなら私も参加したいものでしたが、残念です。
引用なし
パスワード
<Mozilla/5.0 (Windows NT 6.3; WOW64) AppleWebKit/537.36 (KHTML, like Gecko) Chr...@FKCfx-05p1-80.ppp11.odn.ad.jp>

Ans&Q25の答え
 じゃま  - 15/12/14(月) 7:07 -
  
如風さん

ヘルムホルツの法則は成り立たないんですよ。

22.で書きました。

粘性は大きいので、無視できないんです。
引用なし
パスワード
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如風さんの意見
 じゃま  - 15/12/14(月) 7:15 -
  
如風さんの意見は、取り違えや、混乱が多すぎて、どこから手をつけていいのか、
わからないんですよ。

そもそもご存知ないことが多い。

だから、最初の>7.から、始めてみたのです。
引用なし
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<Mozilla/5.0 (Linux; Android 5.1; Nexus 7 Build/LMY47D; wv) AppleWebKit/537.36 ...@aa20111001946f573a3f.userreverse.dion.ne.jp>

Re:Ans&Q25の答え
 如風  - 15/12/14(月) 15:12 -
  
> 如風さん
>
> ヘルムホルツの法則は成り立たないんですよ。
>
> 22.で書きました。
>
> 粘性は大きいので、無視できないんです。


じゃま様

遅すぎました。 既に二人のそれぞれの自由意思が一致して議論は終了しております。

例えるならば、今じゃま様は気を失った人間に、勝手に語りかけている状態です。
こんなこと、議論ではやってはならないことです。

じゃま様が本当に議論をしたいなら、せめて私に「気付け薬」を飲ませて私が気が付いてから語り掛けねばならなかった。

なお私に効く「気付け薬」は「如風の提案したルールで議論を進行させる」です。
その後もう一度、上記引用部分を語ってください。
私に効く「気付け薬」を飲ませるか、飲ませないかは、じゃま様の自由です。
引用なし
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ヘルムホルツの定理
 じゃま  - 15/12/14(月) 20:49 -
  
如風さん

 それでは、いちばん最初から説明します。

warbirdsの常連さんも絶対に知らないと思います。
如風さんも知らないのだから。

 ヘルムホルツは、粘性の無い理想流体で翼に揚力が生じることを説明しました。

ヘルムホルツの定理で扱われる渦は生成も消滅もしません。
どこかで、新しくできたり、いつの間にか消えたりしません。

はじめから存在していて、ずーっと存在して、永遠に消えることがない。
渦の強さも変わらない。

飛行機は地上、機上の観測者に対して、初めから飛んでいて、永遠に飛び続ける。

時間も止まったままです。
完全に静的なモデルです。

離着陸も運動性も安定性も論じることができない。
ヘルムホルツは数学的にきれいにまとめられるモデルにしたんです。

だから、実際の翼に適用するには、空気の粘性を考えて、
かなり修正しなければならない。

空気の動粘性係数ν(粘性係数を密度で除したもの)は、
日本機械学会編「流体の熱物性値集」を眺めると、ISO条件で1.4×10**-5mm2/s
程度で、大したことないように見える。

しかし、これは分子粘性と呼ばれるもので、飛行機の飛ぶようなレイノルズ数では、「乱流動粘性係数」というのが加わって、数百倍から千倍以上になる。

翼や気体に働く剪断応力τは、流速Uの場合、

    τ=ν∂U/∂x

だから粘性による摩擦抵抗は非常に大きくて、飛行機に働く全抵抗の、
実に60%近くで、理想流体の流れとはずいぶん違う。

「ダランベールのパラドックス」を思い起こされたい。

翼まわりの流れの説明は、異ならねばならぬ。

ヘルムホルツの世界とは、かなり違ってきます。

次に、渦について説明します。
引用なし
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Re:熱意を、見直しました
 如風  - 15/12/15(火) 2:24 -
  
じゃま様、まじめな書きぶりですね。
(議論のルールにも、まじめだったらなお良かったりして。)

でもじゃま様の熱意は、よく分かりました。 予定のところまでお書きください。

でもこれまでの経緯もありますので、当面、如風は気まぐれに題材の一部しかコメントしなかったり、予告もなく消えるかもしれませんし、気まぐれに7つの枝に25の質問を書き込んだりするかもしれません。

したがって当面は、如風はボケ役であちこちで外しまくり、じゃま様が突っ込み役としてうまくさばかなければならない役回りになるはずです。よろしく。

漫才で始まり、まじめな議論で終われるよう願っています。
引用なし
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こちらもまじめに書いています。
 如風  - 15/12/15(火) 13:23 -
  
じゃま様

じゃま様がお書きになっている途中とは承知ですが、最低1つくらいはボケないと、議論の最後になって全然ボケなかったなどと言われたくないので。 ただし、書く内容はまじめです。

じゃま様がA&Qのどこかで答えなくてもいい程度の質問として書かれていましたので、取り敢えず私なりに。 この先の議論には何の役にも立たないとおもいますので、特にはコメント不要です。


粘性とは、流れ場において流れの速度を均一化する性質。

境界層において層流の場合も乱流の場合も、流体中に壁面に平行な幾重にも重なる薄い流れの層を考え、隣り合う薄い層の間の運動量の交換によって速度の均一化が図られるメカニズムを説明することができる。 粘性係数を誘導する式もこのようなメカニズムと関係がある。
 ただし上記の仮想の層の厚みは、層流では分子スケール(分子の平均自由行程)で、乱流では流体力学的な粒子スケールであり、両者のスケールの比はきわめて大きい。 このため、流体力学的には層流境界層にはエネルギーの補給がないとみなされる。
引用なし
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こちらもまじめに書いています。(2)
 如風  - 15/12/15(火) 17:14 -
  
敢えてこの枝で書きますが、隣の枝の複葉の干渉については、私が1980年ごろに買った流体力学の教科書に載っています。 
概説的にまとめられており、理解しようとすると丁寧な説明がないので、眺めたことはありますが、読み込んだことはありません。 
結局、複葉翼の諸元(スタッガーを含む)をインプットしたら、抵抗増加と揚力係数勾配の減少がアウトプットできる式が(神様のお告げの様に)書かれています。
恐らく、ムンクの複葉理論の縮約版ではないかと考えております。

取り敢えず、干渉するとしてご理解ねがいたく。

なお、A&Qの説明で使った上翼後退翼の簡単なモデルについては、重要課題を済ませた後必要なら突っ込みをしてください。
引用なし
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本当に書きたかったこと
 如風  - 15/12/16(水) 3:23 -
  
じゃま様

じゃま様、「渦について」を待ちたかったけれど「ヘルムホルツの定理」で、両者の立場の最大の違いが、分かりました。

じゃま様の立場から言えば、境界層による抵抗が全抵抗の60%に登るのに、非圧縮、非粘性の流体力学が役に立つだろうか、というものだと考えました。

私が今ここに熱意をもって書くことの一番の理由は、「別の場でまた、じゃま様とお会いしたときまでに見解の差を埋めておきたい」というものなのですが、60%と言う数字を見たときに、そのような熱意が沸いてきたのです。
この数字には根拠があるのだから、お互いの立場を語り合えば、両者の違いを埋められると考えました。 だから、この場から去るのをやめた。

さて、ここからが私の立場。

じゃま様の抵抗の比率は全速水平飛行の抵抗の比率です。それ以外の飛行の場合はどうかの観点と、ダランベール頃からの非粘性、非圧縮の流体力学の進展について見てゆきたいと思います。

非圧縮、非粘性の流体力学の進展については、単なる教科書の受け売りを、私が編集したために技術史的には少々間違っているかもしれませんが、まとめてみます。 じゃま様も思い出しつつお読みください。

ダランベールのころには、複素関数論が整っていて非圧縮、非粘性の流体は複素ポテンシャルを使って、円柱回りを回る循環流(因みにこれは渦の外部のポテンシャル流れでもあります)や、円柱を過ぎる一様流の解析解が得られていて、流線も容易に作図できた。 しかし粘性が考慮されていなかったため、日常目にする物の水中での抵抗を表すことができず、乾いた流体力学とか役立たずの流体力学とか呼ばれる状態であった。

この後、マグナスによって円柱回りの一様流と循環流を重ね合わせたものが計算され、このような流れから揚力が生ずることを、非圧縮、非粘性流体力学が示すにいたった。 また、一様流速と循環と揚力の間の簡単な関係も見つかった。これ自体には有効な使い道はなかったようだが、これが大きな曲がり角となった。

恐らくマグナス効果をヒントに翼の揚力を解析的に得ようという試みであったのであろう。ジュウコフスキーが等角写像を使って、円柱をジュウコフスキー翼型に写像する写像関数を見つけた。この写像関数によって円柱回りの流れを利用してジュウコフスキー翼型回りの流れを描くことができるようになった。

しかし、循環と一様流を重ねた円柱回りの流れの場合、循環の大きさは任意だったが、ジュウコフスキー翼型のばあい直観的には一定でならなければならぬはずだがどう決めようか、という大問題が残った。
これに、答えを与えたのがほぼ同時のクッタとジューコフスキーであったので、クッタ=ジュウコフスキーの条件と呼ばれるが、以下短くクッタの条件と言う。
クッタの条件には、非圧縮、非粘性流体力学的要請はなにもない。 むしろ、日頃よく目にする後ろが尖った岩の流れの知識や粘性について深く考慮した結果だといわれている。

飛行機が飛ぶようになり、風洞が整備され、次いで写像関数のテクニックも進歩したとき、二次元翼の実験結果は、等角写像での揚力と実験結果の境界層の抵抗の組み合わせで説明できるようになってきた。また、等角写像は翼型の開発にも利用されたが、実機の3次元翼の理論はまだであった。

そこに登場したのがプラントルの揚力線理論で、翼の代わりに循環を1/4翼弦長に配置するという大胆なモデル化を行い、翼幅方向に2次元翼型を(例えばテーパー翼ならば翼幅方向に順次相似縮小して、実質的には2次元翼型から計算で得られる循環を)分布させ、プラントルの微積分方程式を解くことによって、三次元翼の翼幅方向の揚力と抗力の分布を計算できるようになった。勿論、翼全体の揚力、誘導抗力も計算できるようになった。
 誘導抗力は、水平飛行をしているときに後縁渦によって生じる吹き下げによる有効迎角の減少を補うために機首上げをするときに起こる揚力の後傾に伴う、揚力の後方向き分力とも解されるし、単位時間飛んだ時に新たにできる後縁渦を作る原動力としての力とも解釈される。
この成果の一つとして、同一アスペクト比同一翼面積の条件で、最小抵抗を誇る楕円翼が一時期流行することになる。

この頃になると、揚力、抗力について実験結果と理論の対応は、次のようになることが定着する。

  実験揚力係数=理論揚力係数
  実験抗力係数=理論誘導抗力係数+実験境界層抵抗係数

  (*) 実験境界層抵抗としては、実験最少抵抗係数(一定値)を使う

現代の航空力学入門書程度ならば、理論揚力係数と理論抗力係数との間に理論的関係があるため、迎角が変化する状況に非常に便利であるため、好んで上式の右辺を使って議論する。

じゃま様こういう流れで、迎角が大きくなることを視野に入れれば、境界層の抵抗は一定値扱いに重要度を落としていき、一方で非圧縮、非粘性の流体力学の成功は、粘性についての深い理解がもし欠けていたなら、悲惨なことになっただろう、とまとめられると思います。

できることならば、非圧縮、非粘性の流体力学にも温かい目を向けて頂きたいと思う次第です。
引用なし
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渦について(その2)
 じゃま  - 15/12/16(水) 17:48 -
  
如風さん:

 コメントありがとうございます。

非圧縮非粘性流れの考えが、役に立つという如風さんの主旨には賛成です。

それで、まず、流体の渦から、確かめていきませんか。

如風さんのことだから、退屈かも知れませんが。

・三次元空間XYZで、非粘性非圧縮の回転する流体粒子を考えます。

・X方向の速度成分=u
 Y方向の速度成分=v
 z方向の速度成分=w

 X-Y面で、Z軸回りの回転:(1/2)(∂v/∂x-∂u/∂y) →ζ:回転速度の2倍
 Y-Z面で、X軸回りの回転:(1/2)(∂w/∂y-∂v/∂z) →ξ:回転速度の2倍 
 Z-X面で、Y軸回りの回転:(1/2)(∂u/∂z-∂w/∂z) →η:回転速度の2倍

という、ζ、ξ、ηの3つの成分からなる、ベクトルωを考えることができます。
これを、渦度と呼びます。

渦度の輸送方程式は、
 
 Dω/Dt=(ω・∇)V …(1)

これが、非粘性非圧縮流れの渦運動の基礎式で、ヘルムホルツの式です。

もし、粘性を考えたら、動粘性係数をνとして

 Dω/Dt=(ω・∇)V+ν∇**2ω …(2)

と書けます。第2項が粘性に関係する二階微分で、有限の値を持つのがミソです。

 D/Dtは偏微分演算子で、D/Dt=∂/∂t+u∂/∂x+v∂v/∂y+w∂/∂z

 ∇は発散のベクトル演算子で、∇=divV=∂i/∂x+∂j/∂y+∂k/∂z
               ∇**2=div(divV)   
 i、j、kはX、Y、Z方向の単位ベクトルです。
     
 また、渦線というのは

  dx/ξ=dy/η=dz/ζ
 
で表される曲線で、渦線は渦度ベクトルωの方向で、回転軸を結んだ軌跡、

だから、渦線は1/2|ω|の角速度で回転しながら流れとともに移動します。

流れの中に微小な閉曲線をとり、その曲線上の渦線で囲まれたチューブが渦管です。
 渦管の微小断面積dAに対し、中の渦度を面積分すると、
 
   dΓ=|ω|dA

と書けます。

dΓを一定として、dAを無限小にすると、渦度ωは保存されるから、渦管は一本の線として扱うことができて、これが渦糸と呼ばれます。

(1)式から始めたヘルムホルツは、「渦糸」という考えを非粘性流れから思いついたのですね。
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波長があっちゃいました
 如風  - 15/12/16(水) 20:46 -
  
じゃま様、丁寧なコメント、勿体ないくらいです。

ヘルムホルツの定理(どうも法則ではなかったようです)については、非圧縮非粘性の流体力学では渦が特異点あるいは特異線扱いだから、逆に非粘性非圧縮の流体屋さん、無茶苦茶なことをやらないようにね、との警告のようにも見えます。

話変わって、じゃま様が最初の「ヘルムホルツの定理」のところで怪しげな乱流動粘度なんぞ書かなければ、粘性について恥ずかしい話は書かずに済んだのに。

取り敢えず返信まで。
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追伸
 如風  - 15/12/16(水) 22:27 -
  
じゃま様の(2)式に散逸項があること、しっかり認識しております。

私にはこの先の展開が読めませんが、今は却って展開が読めないのが楽しみです。
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感謝しつつこの場を去ります
 如風  - 15/12/18(金) 12:38 -
  
じゃま様
有難うございました。

じゃま様が「ほんとうは、何だろう」と言う疑問を、私以上に真面目に考える方だということが、よく分かりました。

今後別の場でお会いしたとき、仮に意見が対立することがあっても、そのようなときこそ楽しく議論を闘わしたいと思わせるお方でした。
お付き合い有難うございました。
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戦前戦中の日本の技術の貧しさ
 じゃま  - 15/12/21(月) 19:43 -
  
如風さん

長いこと相手にしてくださってありがとうございました。

続きはまた書きます。

それにしても思うのは、戦前戦中の日本の技術の貧しさです。

佐貫又男が、四式戦の主翼のテーパー比がきつい理由を小山技師に尋ね、
「翼端から翼根へ空気が流れるのを防ぐため」と答えていて、おじさん、プロのはずなのに、それもわからないのかと、がっかりしました。

キ45はじめ、日本の双発機が悩まされたナセル・ストールについて、日本の技師は最後まで理解できず、「気流の乱れ」としか、書けなかった。

計算ができないから、ひたすら実験をくりかえして、「数撃ちゃ当たる」で試行錯誤していたのでしょう。

海外の航空雑誌の写真を見て、「ああすると、うまくいくらしい」程度ではなかったのか。

現代の競走用自動車でも、計算や実験がたくさんできないチームは、理屈もわからず、他チームの車の形を真似しているみたいですが、そんな感じです。
引用なし
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Re:戦前戦中の日本の技術の貧しさ
 如風  - 15/12/22(火) 3:07 -
  
じゃま様、ご丁寧にありがとうございます。

先ずは、ネタばらし。
小山技師の話は、私にとっても耳の痛い話です。 現役のおじさんの頃、若い連中にとって当然のことを知らなくて、逆に教えてもらったりしたしたこともあります。
小山技師の当時の年齢を知らないので良くわからないのですが、急激な技術革新の時代だったのかも知れませんね。

エンジンナセルについてはほとんどチンプンカンプンで、何もコメントできません。
しかし学生時代に先生が気化器ではガソリンは気化すると思うなと常々言っておられて、どこぞのAnsQ?でじゃま様が吸気管を可視化したらガソリンが液状に流れているのを見たとの話をされていて、更にイメージが一新された覚えがあります。同時に、可視化せずに吸気管の温度がもっと高かったら少し変化があるのかなと思った覚えもあります。

ところで、当時の日本も谷一郎さんの層流翼(読んだことありません)や、堀越二郎さんの捩り下げ(ユンカースの物まねでなく自分でしっかり考えた物になっていると思うのですが)や、菊原さん(でしったけ)の空戦フラップなど優れたものがあるように思うのですが。 なかでも私が一番好きなのは、松平精さんのフラッター試験法と機体への荷重の頻度計測です、私も損傷には色々悩ませられたものですから。

しかし当時の日本には、周辺工業力の成長に振り向ける人材と時間が一番足りなかったように思います。 私が社会に出た1975年でさえ、工業の土台である金属の表面粗さ測定装置、真円度測定装置は外国製が幅を利かせていました。
 
今のように電子工業や化学工業、製鉄業、工作機械など、それと世界に誇る中小企業などに支えられていれば、当時DB601をライセンスしてもそれを凌ぐ液冷エンジンでさえ可能であったように思うのですが。

余談ですが年明けに、昔の人は言っていたのに今の人は見逃しているのでは?というネタを議論ボードに上げる予定です。 あちこちに穴がありそうですが、皆様に議論していただいた方がいい結果になるだろうという状況になっています。 
じゃま様には、喜んで辛口のコメントを期待します。 有難うございます。
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Re:戦前戦中の日本の技術の貧しさ
 零戦勉強中  - 15/12/22(火) 19:28 -
  
はじめまして。日頃はROM専ですが、少々気になった箇所があるので書き込ませていただきます。

じゃまさんは、「計算ができないから、ひたすら実験をくりかえして、「数撃ちゃ当たる」で試行錯誤していたのでしょう。」と書かれていますが、これは逆で、理論先行で実験で出遅れているといった状態です。

ANS.Qのほうで書かれていた「三次元の翼理論など知らなかったはず」というのも誤りで、当時の日本航空学会誌(ネットでも見れます)や航空力学の教科書を読むと、三次元翼理論でさまざまな平面形の翼の特性を解析する研究が行われています(後退翼に関する研究もありますね)。

一方、NACAラングレー研究所のような実機風洞が無いため、風洞実験は模型を使用したものに限られ、実機のレイノルズ数に合わせた実験はできません。このため、流れの剥離(とそれに伴うナセルストールなど)のようなレイノルズ数の影響の大きい現象に関しては知見が不足していた、というのが実情ですね。

もっとも、アメリカでも実機風洞が機体設計に活かされ始めたのは1930年代末期であり、それ以前の機体では、カーチスP-36で旋回中に胴体側面で大規模な剥離が生じてスピンに陥るといった不具合が発生したりもしています。

「海外の航空雑誌の写真を見て、「ああすると、うまくいくらしい」程度ではなかったのか。」などということは無く、結構貪欲に海外の論文を入手して機体設計に活かそうとしている状況が当時に航空関連書籍を読むと理解できると思います。
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Re:戦前戦中の日本の技術の貧しさ
 零戦勉強中  - 15/12/22(火) 19:58 -
  
ついでに、流体力学の話でいくつか気になった箇所について。

じゃまさんは、「飛行機が飛ぶようなレイノルズ数では乱流動性係数というものが加わって」と書かれていますが、乱流動粘性係数とは、乱流化した流れを扱う際に変動成分を粘性と同様に扱えるようにモデル化したものであり、「飛行機が飛ぶようなレイノルズ数だから粘性が増す」といったようなものではありません。

全体が乱流化した流れを扱う場合にはこの乱流動粘性係数の影響が大きくなりますが、翼や流線型の物体周りの場合、乱流動粘性係数が影響を及ぼすのは境界層と呼ばれる物体近傍のごく狭い領域のみであり、それ以外の流れは非粘性流体の流れと類似した振る舞いをします。非粘性流+境界層で流れを取り扱うという手法は1930〜1940年代に多く用いられた手法ですが、状況次第では現代の数値解析(コンピューターシミュレーション)と同等といってもよい精度を持ちます。

翼端渦に関しても、ヘルムホルツの定理「渦は不消不滅である」とまではいきませんが、機体サイズの数十〜数百倍の長さにわたって機体後方に残されます。
現代の飛行場での航空機の離陸間隔にはこの翼端渦の影響が反映されていますね。
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だいぶ長くなってきたので
 じゃま  - 15/12/23(水) 15:57 -
  
零戦勉強中さん:

重要なご指摘ありがとうございます。

ちょっと長くなりすぎた気がしますので

新しくスレッドを立てたいと思います。

いかがでしょうか。
引用なし
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Re:だいぶ長くなってきたので
 零戦勉強中  - 15/12/24(木) 18:40 -
  
かまいませんが、こちらはそれほど面白い話題は持ち合わせていませんよ。
引用なし
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