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作戦要務令
第四部
上陸戦闘
通則
第1
本書は作戦要務令の一部として、上陸戦闘の諸準備を整え、次いで水際戦闘を遂行し、陸上の戦闘に移り、概ね上陸戦闘の特質を失う迄の間に於ける戦闘の要領に関し、特異の事項を記述するものとす
第2
上陸戦闘は陸海軍協同して行うを通常とす。状況に依り陸軍極力を以って之を敢行することあり
陸海軍協同して上陸する場合に於いては、真に両軍一体の実を発揮すべきものとす
第3
上陸先頭に於いては、敵の不意且つ不備に乗じ奇襲の利を収むること最も緊要なり。之が為、企図の秘匿、準備の周到、行動の迅速、欺騙、及び創意工夫に勉むるを要す。而して、之が実施に方りては、常に強襲に移る場合を考慮し、備に遺憾なきを期せざるべからず
第4
企図の秘匿は上陸成功の為絶対的の要件なり。之が為、各級指揮官は計画の当初より特に綿密周到なる着意を以って機秘密の保持及び防諜に関し手段を尽くすと共に、厳に部下を監督指導し、以って之が完璧を期せざるべからず
第5
上陸先頭は状況不明の裡に開始せられ、且つ通信連絡困難なるを通常とす。故に各級指揮官は独断機宜の処置を講ずると共に、鞏固なる意志を以って任務遂行に邁進すること緊要なり
第6
上陸戦闘に於いては錯誤多く、且つ動もすれば疑心暗鬼を生じ易し。故に、軍隊は責任観念に徹し志気を旺盛にし、縦い執拗なる敵飛行機、潜水艦等の攻撃、不良なる気象及び海象、頑強なる敵の抵抗等に際会するも、断乎上陸戦闘を遂行すべし
第7
上陸戦闘に在りては、上陸部隊と上陸作業隊(碇泊場司令部、工兵(丁)、船舶通信隊、其の他所要の陸軍部隊、ならびに海軍より派遣せらるる揚陸作業援助員等を以って、高級指揮官之を編組す)との緊密なる協同を必要とす。之が為、上陸部隊は揚陸作業の特質を理解し、又、揚陸作業隊は全力を尽くして上陸部隊の要求を充足するを要す
第8
警戒航行中に於ける輸送船隊の隊形、運動、通信、輸送船上に於ける自衛兵器の使用、及び救難に関しては、護衛指揮官(上陸兵団の直接護衛に任ずる海軍部隊(艦船)の最高指揮官)、師団長と協議決定するものとす
第9
優勢なる敵飛行機、潜水艦等の攻撃を受くるの虞ある場合に於いては、上陸部隊は状況之を許せば当初より舟艇に分乗して海上機動を行い上陸戦闘を敢行することあり。此の際、機を失せず爾後の補給及び上陸に関し処置すること緊要なり
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