作戦要務令

第四部


大河の渡河

第3章 渡河実施

要則
  1. 第30
    最初渡河せる部隊は速やかに河岸附近に拠点を占め、大隊長は所要の兵力を掌握し、機を失せず所命の目標に向い突進するを通常とす。状況に依り、渡河せる中隊毎に直ちに所命の目標に向い突進せしむることあり
  2. 第31
    特火点攻撃隊を渡河せしむる場合に於いては、之を1舟隊に纏め、且つ乗組を適切にし、一部の舟艇故障の為、其の任務達成に支障なからしむるを要す。而して、重要なる特火点攻撃隊は快速艇に乗組み、第1回渡河部隊の翼側等、恰適の位置に在りて発航し、爾後適時挺身するを要す。此の際、武装せる舟艇を以って該隊を支援せしむるを得ば有利なり
    特火点攻撃隊敵岸に到着せば、水際附近の死角又は特火点の側背より肉薄し、神速に之を攻撃すること緊要なり
  3. 第32
    渡河の効程を発揮せんが為には、全舟艇の能力発揮、敏速なる渡場の整理、控置兵力及び器材を以ってする損耗の補充、搭載力及び曳航力大なる舟艇の推進利用、帰航舟艇の掩護等を適切機敏ならしむると共に、渡河部隊との連繋を緊密ならしむること緊要なり
  4. 第33
    中洲を横断渡河する場合に於いては、作業隊は渡河部隊の第一線と共に渡河材料を提げ前方に躍進し、逐次渡河を実施するものとす。之が為、特に事前の準備を周到にし、渡河部隊との協同連繋を緊密ならしむること緊要なり