作戦要務令

第四部


大河の渡河

第2章 渡河準備

第5節 渡河材料の推進
  1. 第27
    渡河材料は軍隊の移動に伴い、夜間を利用し、開進地より逐次材料の展開位置に推進し、渡河実施の当夜泛水準備位置に之を推進するを通常とす
    渡河材料の展開位置は敵に秘匿し得る限り河岸に近く選定すべしと雖も、状況、特に地形平坦開豁せる場合等に於いては渡河実施の当夜に於ける機動力を考慮し、止むを得ず適宜河岸より離隔せしむるを要することあり
    泛水準備位置は敵に音響を秘して機舟の組立、点検を行い得るを度として河岸に近からしめ、勉めて敵の地上観察に遮蔽すると共に、爾後の搬出に便なるを要す
  2. 第28
    機舟の運搬は第一線歩兵自ら之に任ずるを通常とすP61
    機舟の運搬に任ずる指揮官は、関係作業隊指揮官の区処に基き、進路、隊形、行進順序、運搬法、要すれば途中の統制方法等、細部の事項を定むるものとす
  3. 第29
    大型舟艇は用途及び運搬の能力に応じ、陸路、鉄道、又は水路に依り適宜之を渡河点に推進す。而して、渡河当初より之を使用し得ば有利なり
    重門橋、曳舟、武装せる舟艇等は渡河作業隊長通常之を直轄す