作戦要務令

第四部


大河の渡河

第2章 渡河準備

第4節 諸兵種の行動
  1. 第24
    諸兵種、特に第一線部隊と渡河作業隊との緊密なる協同、ならびに砲兵の適切な支援は、大河に於ける渡河成功の為極めて緊要なり。此の際、飛行部隊の協同は其の価値大なるものとす。故に、関係指揮官は適時合同し周到的確なる協定を行うと共に、精神的の結合を鞏固ならしむるを要す
    諸兵種の指揮官相互に協定すべき事項は、一般の渡河の場合に準ずるの外、概ね左の如し
    • 第一回渡河部隊の乗船区分上、特に注意すべき事項
    • 発航及び航進の方法
    • 要すれば水際障碍物の破壊法及び歩、工兵の分担
    • 要すれば発煙の時期、方法及び歩、工兵の分担
    • 要すれば特火点の処理法及び歩、工兵の分担
    • 要すれば中洲占領の時機、方法及び利用法
    • 砲兵の射撃、第一線部隊との連絡法等
  2. 第25
    攻撃地区に特火点存在するときは、通常第一線部隊の特火点攻撃隊を以って肉薄攻撃を行わしめ、且つ後岸に歩、砲兵を配置し銃眼射撃を準備せしむること必要なり。然れども、其の射撃は通常強行渡河へ転移する時機より舟艇の前岸到着迄の至短時間なるべきを以って、敵を制圧若しくは目潰するするに止むること少なからず
    攻撃地区外より我が渡河を妨害すべき特火点に対しても亦適時之を処理すること緊要なり
    特火点攻撃隊は大隊長之を設くべしと雖も、第一線の各中隊をして随時特火点を自ら処理し得る如く、予め特火点攻撃隊を準備し置くこと緊要なり
  3. 第26
    特火点攻撃隊を部署するに方りては、航進間に於ける損害を考慮し所要の兵力、資材、特に水際障碍物の破壊に任ずる歩、工兵を増加すると共に、予備特火点攻撃隊を準備し置くこと緊要なり