作戦要務令

第四部


特種陣地の攻撃

第4章 重砲兵の戦闘

要則
  1. 第58
    特二十四榴は破壊威力強大且つ其の有効射程も亦大なるを以って、特に堅固なる特火点若しくは稍々遠距離に於ける特火点の破壊に適す
    特二十四榴(長)は特二十四榴に比し精度、破壊力共に更に大なるものとす
    二十四榴は破壊威力大にして、堅固なる特火点の破壊に適す
    二十八榴は破壊威力、有効射程共に二十四榴に及ばざるを以って、近距離に於ける稍々堅固なる特火点の破壊に適す
    十五加は破壊威力十分ならざるも、強度大ならざる特火点の制圧若しくは破壊に使用することを得
  2. 第59
    重砲兵は、敵の主なる抵抗を企図すべしと判断する陣地帯に対し、遺憾なく破壊威力を発揮せしむること緊要なり。之が為、其の前方に更に陣地帯を有するが如き場合に於いては、時として先ず之を奪取したる後、所要の部隊を展開せしむることあり
  3. 第60
    重砲兵の展開は機を失せざる限り、勉めて攻撃開始に近く短時間に之を完了すべきものとす
    展開に方りては、各種の既往の準備を最も有効に利用するの着意を必要とするも、当時の状況を考慮し、之に拘束せられざるを要す
    弾薬の整備は重砲兵の威力に影響すること極めて大なるものとす。而して、之が整備には通常多大の運搬機関と時日とを要するを以って、火砲の展開に先だち予め所要の弾薬を陣地附近に集積するを要すること少なからず
  4. 第61
    重砲兵を有する場合に於いては、我が企図を秘匿する為、手段を尽くして其の行動、特に攻撃準備の秘匿に遺漏なきを期せざるべからず