作戦要務令

第四部


特種陣地の攻撃

第3章 夜間攻撃
  1. 第52
    特種陣地を攻撃するに方りては、夜間攻撃に依り敵陣地の要部を奪取して昼間の攻撃を容易にし、状況之を許せば夜間縦深に亙り攻撃を敢行することあり
    攻撃経過中夜間に入る場合に於いても、戦勢浮動の好機を逸することなく、断乎攻撃を続行するを要す
  2. 第53
    特火点攻撃隊の編組は概ね昼間の場合に準ずるも、勉めて其の区分を簡単にし、所要に応じ白兵力を増加し、且つ突撃班(組)には通常火焔発射器を携行せしめざるものとす
    夜間に於いては、特に選抜したる少数の人員を潜行せしめ特火点を奇襲せしむるを有利とすること少なからず
  3. 第54
    夜間攻撃に在りては、為し得れば主要なる特火点に対しては予備特火点攻撃隊を準備し置くを可とす
  4. 第55
    特火点攻撃隊長は特に夜暗の為各班(組)相撃せざることに注意すると共に、対照明行動、目的達成後の連絡法等を明確に定め、又敵の昼夜に於ける配備の変更に留意するを要す
  5. 第56
    突撃班(組)は不意に特火点に肉薄し、要すれば自ら敵の妨害を排撃し、爆薬、手榴弾、瓦斯等を以って速やかに特火点を撲滅するものとす。状況に依り先ず銃眼を閉塞するを可とすることあり
  6. 第57
    陣地内部の特火点に対しては強襲を必要とすること多し。此の場合に於いても特火点攻撃隊の火力の使用は勉めて之を避くるものとす