作戦要務令

第四部


特種陣地の攻撃

第2章 特火点攻撃隊の肉薄攻撃

第3節 攻撃実施
  1. 第45
    特火点攻撃隊は、死角を利用し、或は火力に依る銃眼制圧の好機を捉えて特火点に近迫し、各班(組)協同して速やかに目的を達成するを要す
  2. 第46
    支援班は要すれば自ら障碍物を破壊し速やかに敵に近迫し、突撃班等の前進を妨害する敵を制圧し、障碍物班は支援班と協同し障碍物の破壊を強行す
  3. 第47
    突撃班(組)は機敏に特火点に近迫し、敵火の死角(銃眼の死角、特火点の背後及び上面、弾痕、壕等)に足場を占め、我が主力の攻撃に危害を与うる銃眼の機能を先ず速やかに奪うの着意緊要なり。時として、最も制圧容易なる銃眼を攻撃し、逐次他に及ぼすことあり。然れども、状況之を許せば突撃班の各組を同時に各銃眼に指向するを有利とす
  4. 第48
    突撃班(組)は特火点に肉薄せば、直ちに銃眼に対し火焔発射器又は破壊筒を使用し其の機能を撲滅す。状況に依り、先ず銃眼閉塞具を挿入するか、若しくは銃眼前に射撃を妨害すべき物料(煙、藁、布類等)を設置或は懸吊したる後、銃眼、排気孔、潜望孔等より手榴弾、火焔、瓦斯等を使用し、敵を撲滅す。敵若し鉄扉を閉鎖せば破甲爆雷を鉄扉に装し、先ず之を破壊す
  5. 第49
    特火点の銃眼部に対する処理成功せば、妄りに其の周囲に蝟集することなく、突撃班(組)は速やかに内部に侵入し之を掃蕩す。此の際、埋設通信線又は地下交通路を索出し、之が遮断、或は利用の方法を講ずること必要なり
  6. 第50
    特火点の地下交通施設を爆破するに際し、爆煙等に依り離隔せる位置に地下交通路の外部の入口等を発見することあり。之が兆候なき場合に於いても速やかに該入口を発見し、爆破若しくは閉塞するに勉むるを要す
    特火点に直接入口なきものは通常地下交通施設の存在する証拠なるを以って、特火点の破壊後に於いても速やかに其の地下交通路の発見に勉むるを要す
  7. 第51
    特火点内部の掃蕩の為瓦斯を使用する場合に於いては特火点の換気孔等を閉塞するを要す