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作戦要務令
第三部
第6篇 気象
第268
気象勤務の目的は、作戦地に於ける気象状態を明かにし、主として航空作戦の指導に資し、且つ一般作戦、特に射撃、瓦斯防護、船舶及び舟艇の行動等の為、必要なる資料を得るに在り
第269
気象勤務の要は気象判断の正鵠を得、且つ、機を失せず必要なる資料を関係部隊に提供し、之を活用せしむるに在り
気象判断は通常広範囲に亙り立体的に各地の気象状態を総合比較するの外、過去の統計等を較量参酌して、始めて其の適正を期し得るものとす。故に、気象勤務に服する者は常に各種気象機関と密接なる連繋を保持するのみならず、自ら広く気象に関する情報を収集すると共に、速やかに記録を整理して当該地方に於ける気象の性質を明かにし、以って其の判断の完璧を期せざるべからず
第270
高級指揮官は、軍気象機関の配置、軍気象機関と既設気象機関との共同連繋、一般作戦の為の気象勤務及び之と航空作戦の為の気象勤務との相互関係、各種気象報、時報の時期及び通報の方法、気象機関に対する兵器、器材其の他の補給等に関し、全般の気象勤務を律す。而して、航空作戦の為の気象勤務に関しては航空最高級指揮官をして、軍及び既設の気象機関等を区処せしむるものとす
気象機関を有する各級指揮官は、上級指揮官の規定に基き、前項に準じ所要の事項を規定す
第271
野戦気象隊長は部下野戦気象部隊を指揮し、且つ各部隊気象機関、既設気象機関等の気象勤務に関する技術的事項を統制すると共に、各気象機関の観測成果と内外気象機関の気象報とを綜合して気象判断を実施し、且つ気象報及び時報を発す
前項の外、野戦気象隊長は作戦に関する気象の調査及び統計等の業務に任ず
第272
野戦気象部隊は、気象上又は作戦上の要点に各種の気象観測班を配置して、高層及び地上気象を観測し、其の成果を野戦気象隊長に報告すると共に、必要なる気象情報の収集、気象判断、及び所要の気象放送に任ず
第273
各司令部及び本部の気象班(気象掛)は、主として当該部隊の作戦に必要なる気象勤務に任じ、且つ其の観測成果を報告す
第274
航空地区部隊の気象班(気象掛)は、其の位置する飛行場に於ける飛行部隊の為必要なる気象勤務に任じ、且つ其の観測成果を報告す
第275
砲兵情報隊の気象勤務を担任する部隊は、砲兵射撃の為必要なる気象勤務に任じ、且つ其の観測成果を報告す
第276
気象報は、実況気象報、天気予報、及び警報気象報に区分す
実況気象報は各地に於ける所定の時刻の気象状態を発表し気象判断の資に供するものにして、通常一般、航空、対機、高層、及び気流の各実況気象報に区分す
一般実況気象報は更に其の内容を陸上実況気象報及び海上実況気象報に分ち、記事として通常天気の概況、高(低)気圧の位置、不連続線の状態等、所要の事項を附加し、以って天気図の作成ならびに一般気象判断に資す
航空実況気象報は所要の地点に於ける気象実況を速報するものにして、要度に応じ頻繁に之を行い、航空部隊の活動に資す
対機実況気象報は在空中の飛行機に対し所要の気象実況を放送し、航空部隊の活動に資す
高層実況気象報は気温、湿度等の状態を、又、気流実況気象報は風向及び風速を、各々高度別に報じ、航空部隊の活動に資するの外、一般気象判断等に資す
天気予報は一般天気予報、航空天気予報等に区分す
一般天気予報は概ね24時間以内に於ける気象状態の予想を毎日数回発表するを通常とし、要すれば払暁、薄暮等の予想をも附加するものにして、受報部隊に於ける要度を考慮し、天気、気温、地上風、高層風、雲、視程、霧等の景況、其の他必要なる事項を適宜包含せしむるものとす。状況に依り稍々長期に亙る気象状態を予想し発表することあり
航空天気予報は通常所要の航路上に於ける数時間以内の気象状態の予想に関し、前項に準じ発表す
警報気象報は気象状態険悪にして作戦に大なる影響を及ぼすと判断せらるる場合に於いて発表し、気象状態恢復するや之を解除す
第277
気象報の伝達は放送に依るを通常とするも、状況に依り有線通信を利用し、又天気図を配布する等の手段に依ることあり
気象放送に方りては暗号を用うるを本則とし、一定の様式に依り通信の簡易迅速を図るものとす。而して、敵の窃聴を考慮し、屡々使用暗号を変更し、又は積極的に敵を欺騙する等の着意を必要とす
第278
敵地の気象情報は勉めて之を窃聴して利用すること緊要なり。然れども、我が適正なる判断と対照し、敵に欺騙せられざるの着意を必要とす
第279
時報は通常毎日定時に正確なる時刻を一定の様式に依り放送するものとす
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