作戦要務令

第三部


第3篇 衛生

第1章 人衛生

第1節 衛生機関
  1. 第198
    隊附軍医は隊長の命を受け、関係諸官と密に連繋し、部隊の衛生勤務に関し、計画、調査、指導、及び之が実施に任ず
    軍医を有せざる部隊に在りては、前項の勤務を最寄部隊に依託す
    歩兵部隊の担架術修業者は、所要に応じ患者の輸送に任ず
  2. 第199
    軍医は、軍医携帯嚢及び瓦斯治療嚢を、衛生下士官は医療嚢及び瓦斯治療嚢を、衛生兵は繃帯嚢及び瓦斯治療嚢を携帯す
    将校以下は繃帯包及び消(除)毒包を携帯す
    各部隊の衛生材料は隊医キョウ(木偏に及)、隊瓦斯医キョウ、担架、傷者用防毒面、及び衛生濾水機とし、通常歩兵隊に在りては弾薬班に、戦車及び砲兵隊に在りては段列に、工兵隊に在りては器材招待に携行す
    各部隊の行李に携行する予備被服中には患者用毛布若干を有す
    作戦地の状況に依り、前諸項の外、特別の材料を携行せしめらるることあり
  3. 第200
    患者収容隊は、戦闘に際し第一線に進みて傷者の収容及び後送を行うを以って主要なる任務とす
    衛生隊は、所要に応じ野戦病院、患者療養所等を開設し、戦場に於ける治療を行うを以って主要なる任務とす
    防疫給水部は師団の防疫、防疫給水等に任ず
  4. 第201
    兵站衛生隊は、衛生隊と交代し或は増援して、之が推進に任じ、或は後方に開設して後送せられたる患者、ならびに兵站管区内に於ける患者を収療し其の戦地回復を図るを以って主要なる任務とす。之が為、適宜の地に兵站病院、患者療養所、患者集合所を開設し、又、兵站主地等には伝染病病院其の他の特殊病院を設置することあり
    患者輸送隊は主として衛生隊よりの患者後送に任ず
    野戦防疫給水部は、防疫、防毒、防疫給水等に任ず
  5. 第202
    患者集合所、野戦病院、兵站病院等の位置には赤十字旗と国旗とを併せ植立し、夜間は更に赤十字燈を掲げて標示す。然れども、之が為我が軍の配備等を敵に暴露せざるを要す。戦線に近きものに在りて特に然り