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作戦要務令
第三部
第1篇 輸送
第3章 自動車
第2節 輸送実施
第97
搭載に要する時間は勉めて之を短縮するを要す。而して、其の時間は状況に依り異なるも、搭載準備完了せる場合に於いて1自動貨車に対する標準左の如し
人員
5分
馬(2乃至4頭)
30分
砲車又は弾薬車
20分
其の他の器材
20分
卸下に要する時間は搭載に要する時間より稍々短縮するを通常とす
第98
砲車、弾薬車等の搭載は、後板を開き床板後端より適宜の斜板を架するか、又は自動貨車の後端を凸道等の一側に接して位置せしめたる後、床板上に牽入れ後板を閉じ、荷綱及び輪止等を以って荷匡に固縛す
第99
馬は通常装鞍の侭搭載す
馬は側板と並行又は之と直角に搭載す。搭載するには後板を開き、概ね床板幅に等しく、且つ藁、莚等を以って滑走防止の整備を施せる斜板を架し、馬を床板上に導き、後板を閉じ、要すれば隔木等を装す
床板上には要すれば適当なる板、又は藁、莚等を敷き補強す
時として、床板高と同高なる桟橋を設け、又は凸道等を利用して搭載することあり
自動貨車の荷匡低き時は予め之を高くし、又、馬の搭載を終ればムナガイ(漢字表示できず)を荷匡に結着し、顛落、逸出を防止するを要す
第100
車上射撃を必要とするときは、小銃、軽機関銃に在りては其の射撃方向に依り、側板、又は運転台上面に射撃設備を為し、機関銃等に在りては弾薬箱、土嚢等を以って脚位置を高からしむるを可とす
第101
自動車部隊の各級指揮官は乗車部隊の関係指揮官と同車し、相互の連絡を容易ならしむるを要す。戦闘を予期する場合に於いて特に然り
第102
乗車部隊の一般に遵守すべき事項左の如し
乗(下)車の動作を敏速にし、兵器の愛護及び危険予防に注意すること
記号と誤認せられ易き身振を為し、或は旗類を振るが如き動作を為さざること
指定せられたる者は、耳目を活動して警戒し、行進間常に道標、標識、ならびに前、後車の状態に注意し、適時之を車長に報告すること
自動車不意の動揺又は停止等に方り、妄りに下車せざること
火気に注意し、引火、発火を予防すること
不良なる進路に於ける輸送に在りては、乗車部隊は適時下車し自動車部隊の行進を援助し、共同して通過に勉むること等
第103
輸送中、敵飛行機の攻撃を受くるに方り、疎開して行進を続行すべきや、或は停止すべきやは予め定め置くを要す。而して、自動車停車せば乗車部隊は機敏に下車し、適宜車輌より離隔して疎開し、直ちに敵機の撃墜に勉む
第104
卸下地の選定は搭載地の選定に準ず
乗車部隊下車後直ちに戦闘を予期する場合に於ける卸下地は、要点への進出或は展開等に便なるを要す。然れども、過度に敵に近接し爾後に於ける行動の自由を失い、又は無益の損害を被ることなきを要す
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