作戦要務令

第三部


第1篇 輸送

第4章 飛行機
  1. 第105
    飛行機に依る輸送は其の迅速なる機動力に依り、戦機に投じ屡々偉大なる効果を発揮す。然れども、輸送の為飛行機を使用するは、他の輸送機関使用不能なるか、或は特に急を要する輸送に限るものとす
  2. 第106
    飛行機に依る輸送の為には通常輸送機を用い、之が実施は関係飛行部隊指揮官の指揮又は区処に依るを通常とす
  3. 第107
    飛行機に依る輸送に方りては、予め関係機関に連絡し、人員、材料の搭載準備を周到にし、飛行機の出発を遅延せしむるが如きことなきを要す。而して、出発に方りては予め先方の関係機関に連絡し置くの着意を必要とす
  4. 第108
    敵の後方に於ける要点を占領し、或は其の重要なる交通幹線を破壊せしむる等の目的を以って、所要の部隊を飛行機に依り輸送することあり
  5. 第109
    飛行機に依る輸送中、一般に遵守すべき事項概ね左の如し
    • 勉めて軽装すること
    • 飛行中、特に離着陸に方り、妄りに位置を移動せざること
    • 火気に注意し、引火、発火を予防すること
    • 機関装置に妄りに触れざること
    • 飛行機不調の場合に於いては特に沈着し、乗務員の指示に従うこと等
  6. 第110
    飛行機に依り弾薬、糧食等を補給するに方り着陸を許さざる場合に於いては、空中より投下せざるべからず。此の際、注意すべき事項概ね左の如し
    • 投下物1梱の大いさ(原文ママ)は、航空機の種類及び落下傘の大いさ(原文ママ)に適応し、投下に便なる如く之を定め、且つ其の梱包は破損せざる如くすること
    • 投下物は予め飛行場等に集積し、急需に応ぜしむること
    • 投下物には、受領部隊、品種、数量等を明記すること
    • 受領部隊は希望する投下地点を的確に通報し、勉めて部隊号と共に之を標示すること
    • 投下地点は成るべく広闊にして、且つ飛行機より発見容易なること
    • 投下に方り使用せられたる落下傘は速やかに之を還送すること等