作戦要務令

第三部


第1篇 輸送

第2章 船舶

第1節 船舶輸送
第3款 給養及び衛生
  1. 第78
    乗船部隊の給養は、現品を船長に交付して行わしむるか、船主の請負賄に依るか、若しくは之を借用す。其の何れに依るべきやは、輸送を命ずる長官之を定む
    馬糧は通常船長に之を交付するものとす
  2. 第79
    現品を船長に交付して給養を行う場合に於いては、軍事船舶機関より所要の現品を船長に交付保管せしめ、輸送指揮官は船長より食餌、馬糧を受領し、上陸前給養人員及び食区分等に対する証票(馬糧に在りては受領証)を交付するものとす
  3. 第80
    船主の請負賄に依り給養を行う場合に於いては、輸送指揮官は船長の提出する献立表に照らし、不良なるか定量に満たざるときは船長に要求し改善を図るものとす
  4. 第81
    船内に於ける給養は、通常乗船当日の夕食より上陸当日の昼食迄とし、状況に依り数食分の弁当を携帯上陸せしむることあり。敵前上陸にて特に然り。又、上陸後の状況之を要すれば、乗船部隊をして船内予備糧秣の一部を携行上陸せしむ。此の場合に於いては予め命令せらるるを通常とす
  5. 第82
    輸送指揮官は乗船部隊及び勤務員を督励し、又船長と協議して衛生状態を良好ならしむるを要す。航行長期に亙るか、若しくは炎熱時の輸送に於いて特に然り。之が為、志気を振作し、教練、体操等を課して体力を増強するの外、衛生教育を実施し、予防接種を完了し、船内の換気通風に留意し、且つ炊事場、入浴場、厠其の他を清潔に保ち、又所要に応じ薬物等を用いて船暈を予防すると共に、諸種の手段を講じて食欲の増進を図るを要す
  6. 第83
    輸送船には医キョウ(木偏に及)、瓦斯医キョウ、船舶獣医キョウ其の他所要の衛生材料及び獣医材料を備附け、船長之を保管す。若し乗船部隊に於いて之を必要とするときは、輸送指揮官は船長より受領し、機材は用済後返納し、消耗品は取扱者をして払出証を調製し船長に交付せしむ