歩兵操典

第六篇 通信隊教練
通則
  1. 第570
    通信隊は、通信隊長を核心とせる志気結合の基礎なり。故に通信隊は、通信隊長の意図に従い衆心一致良く精神的団結を保ち、戦闘の惨烈及び至難の状況を克服して通信の能力を最高度に発揚し、以って戦闘の要求を充足するを要す
  2. 第571
    通信隊の主要なる任務は、確実迅速なる連絡に依り連隊長の指揮及び各部隊の協同を適切ならしむるに在り。而して通信網構成の主眼は戦機に適合し、特に緊要の方面と時機とに於いて完全を期するに在り
  3. 第572
    適切なる指揮、厳粛なる軍紀、必通の責任感、及び精熟せる技能は通信任務達成の為、重要なる素因なり。而して通信に任ずる者は、縦い欠兵を生じ、器材、馬其の用を為さざるに至るも、手段を尽くして連絡の確保に勉め、状況之を要すれば敢然武器を執りて敵を排撃せざるべからず
  4. 第573
    幹部以下秘密保全に全幅の注意を払い、通信窃取に対する防遏(ぼうあつ)を厳にし、事故の関知せし秘密は、縦い友軍の間に於いても漏洩すべからず
  5. 第574
    通信隊は常に通信器材の機能を良好に維持し、其の能力を発揚するに遺憾なからしむ。之が為、機材の愛護及び補充に注意し、且つ、戦闘間と雖も為し得る限り之が点検、整備を行う
  6. 第575
    通信隊長は准尉を長とする若干の人員を以って指揮班を編成す
  7. 第576
    本篇中、有線及び視号に関し、基点(先方)とは基点(先方)の通信所を、基点(先方)班長とは有線の基点(先方)に於ける通信所の長を謂う
    基点(先方)班長、交換所長、視号班長及び視号班の先方の長等の動作は、特に示すものの外、分隊長に準ず