歩兵操典

第五篇 大隊教練
第三章 夜間戦闘
第二節 防御
  1. 第556
    夜間の防禦に在りては、通常第一線中隊をして各々昼間の占領区域を堅固に守備せしむると共に、敵の攻撃に対し各種の積極的手段に依り事前に其の企図を挫折せしむ
  2. 第557
    夜間防禦の為、大隊長は所要に応じ一部の兵力を中隊間の間隙大なる部分、若しくは地形上特に必要なる箇所等に新たに配置し、或は重要なる方面の中隊に増加し、又、予備隊を第一線に近く進め逆襲の準備に在らしむ
  3. 第558
    夜間、大隊長は敵の意図を偵知し、且つ近接を警むるを要す。之が為、捜索を周到にし、第一線中隊に警戒に関し任務を増加し、監視部隊相互の連繋を一層密ならしめ、又、小部隊を以って前方の要点を占領し敵の行動を妨げ、或は小部隊の出撃に依り敵の行動を擾乱する等、諸種の手段を講ず
  4. 第559
    夜間、大隊長は通常直轄せる中隊機関銃を中隊に復帰せしめ、所要の重火器を最前線に近く推進し、陣地直前の重要部に火力を準備せしむ
  5. 第560
    夜間、大隊長は特に第一線との連絡を密にし、適時予備隊を使用し得るの準備を整う。而して、敵兵陣地前至近距離に於いて混乱するか、又は大隊陣地に侵入せば、直ちに予備隊を以って果敢に逆襲し之を撃滅すべし。此の際、一小部隊と雖も敵の側背に向かい攻撃せしむるを利とす。然れども、軽挙に陣地を棄てて出撃することなきを要す
  6. 第561
    大隊長は昼間より夜間への配備の変更に関し、準備の余裕を与うる如く適時命令す。昼間の配備に復する場合に於いても亦然り