歩兵操典

第五篇 大隊教練
第二章 戦闘
第三節 追撃、退却
  1. 第535
    攻撃奏功せば、大隊長は機を失せず敵を急追し、極力之を殲滅するに勉むべし。此の際、重火器を有利に使用し、又、為し得る限り敵の側方若しくは間隙より突進して之を捉え、苟も脱逸の余裕を与えざること緊要なり
    追撃に方りては、大隊長は速やかに追撃目標を示し、適時部下部隊を部署し、自己の意図の如く追撃を実施せしむ
  2. 第536
    退却の命令を受けたるときは、大隊長は特に沈着して其の処置を決すべく、各部隊は自若として動作すること必要なり
    退却に方りては、特に部下部隊を確実に掌握することに勉む
  3. 第537
    退却を行うには、大隊長は所要の部隊を以って前線を収容し、或は一部を第一線に残置し其の掩護に依り主力を退却せしむるを可とす。此の際、重火器等を有利に使用すること緊要なり