歩兵操典

第四篇 歩兵砲教練
第二章 射撃
第一節 連隊砲、大隊砲

要旨
  1. 第365
    小隊は通常2門を以って同一目標に対し射撃を行う。状況に依り、分隊毎に異なる目標を射撃せしむることあり
    陣地に於ける砲は、小隊毎に右より第一、第二の番号を付す
  2. 第366
    射撃は通常間接照準に依り、状況に依り直接照準に依る。但し、連隊砲の対戦車射撃は通常直接照準に依る
    大隊砲は通常低射界射撃を行う。状況に依り高射界射撃を行うことあり
  3. 第367
    射撃は小隊長之を号令す。但し、連隊砲の対戦車射撃に在りては、通常分隊長の号令に依る
    射撃に関する小隊長の号令は、第一砲の分隊長より逐次之を復唱す
    小隊長、分隊をして最低表尺を測定せしむるには、所要の方向及び高低角を示す
    分隊長は射撃に方り、銃の固有修正量を修正せしむ
  4. 第368
    射撃に方り、間接照準に依るときは、照準点、方向角、射向及び高低修正量、《装薬号》、射距離を、直接照準に依るときは、予め目標又は補助照準点、射向及び俯仰修正量、《装薬号》、射距離を、概ね記載の順序に号令し、発射せしむ
    間接照準に依る射撃に在りては、射撃目標は適宜の時機に之を示す
    榴弾以外の弾薬(瞬発信管以外の信管)を用うるときは、予め之を示す
  5. 第369
    砲手は相互の協同円滑なること、諸分画の装定、照準及び装填の確実なること、示されたる照準点を速やかに了解すること、及び標定点の選定適切なることに熟達するを要す
    観測手は観測掛下士官の指揮に従い、協同して各種の状況に応ずる観測勤務を遂行し、特に観測具の取扱いに精熟し、正確迅速に距離及び角を測定すること、速やかに目標を発見すること、及び射弾の観測的確なることに熟達するを要す

射撃用意及び解除
  1. 第370
    射撃用意を為さしむるには左の号令を下す
    • 射撃用意
    連隊砲

    二、五番は轅桿を脱し砲の左後ろに置き、五番は前砲架の中間に入りて之を支え、横材被を脱して前砲架右箭材に縛り、二番、後砲架を結合せば架尾を下ろす

    一番は表尺被を脱して六番に渡し、転輪止革を解き、砲身を砲架に略々平行にし、照準機、表尺托架を点検し、解脱管の爪を後ろに倒し両手似て表尺を装し爪を徐ろに旧に復し、次いで左手にて眼鏡装着バネを圧し、右手にて眼鏡を装し、照準具を点検し、諸分画を定位にし、照準坐を起こす

    三番は砲尾被を脱して六番に渡し、砲腔、砲尾機関等を点検し、発射坐を起こす。六番は後砲架を二番の位置に搬送し、砲口被及び洗桿を脱し、砲腔、軸駐楔等を点検し、表尺被及び砲尾被と共に七番に渡す。七番は照準具箱を一番の許に運び、先ず表尺、次いで眼鏡を渡し、旧に復し、砲尾被及び表尺被を負い、洗桿及び砲口被を持つ。八乃至十一番(脱駕に在りては八番以下)は弾薬を点検す

    大隊砲

    一番は砲身に俯角を取らしめ、方向を正すと共に照準機を点検し、二番は提桿を脱して砲の左に置き、脚を約80糎開く。一番は砲の左に、三番は右に位置し軸臂止板を開き、二番は脚頭架に近く両脚を持ち、五番は砲の前より両手にて揺架を持ち宜シと唱えて砲を上げ、一、三番は一斉に軸臂を270度廻わし止板を閉ず。一番は砲身を略々水平にし、二番は砲尾被を脱し帯革に縛着す。三番は砲口被及び洗桿を脱して五番に渡し、砲腔、砲尾機関等を点検し閉脚止を引き、二番は脚を閉ず。五番は照準具箱を一番の許に運び、先ず表尺、次いで眼鏡を渡す。一番は照準具托架を点検し、左手にて握把を引き、右手にて表尺の眼鏡室の下を右より持ち照準具托架に装し、次いで連隊砲に準じ眼鏡を装し、照準具を点検し、諸分画を定位にし、砲尾を提げ緊定桿を緊む。六乃至九番は弾薬を点検す

    高射界射撃の場合に於いては、射撃用意曲射の号令にて、砲手は前項に準じ操作す。但し、軸臂の旋回は90度とし、一番は眼鏡の装着後、右手にて眼鏡室の下を握り、左手にて表尺の解脱子を左下方に倒し、眼鏡托架を前方に廻わし表尺を定位にす

    諸分画の定位左の如し
    • 俯仰分画
      0若しくは100
    • 回転盤分画
      前視0
    • 高低水準器分画
      100《0》
    • 傾斜分画
      略々0
    • 表尺
      略々2000《装薬一号略々0》(高射界射撃に在りては略々2800)
    • 砲架分画
    分隊長及び砲側に位置すべき砲手は、射撃用意に方り通常耳に綿等を込む
  2. 第371
    射撃用意を解くには用意ヲ解ケの号令にて、射撃用意と概ね反対の順序に動作す。但し、射撃用意に於ける一番の操作は四番之を為し、大隊砲の閉脚止は四番之を操作す

陣地に於ける分隊長以下の関係位置
  1. 第372
    陣地に於ける分隊長以下の関係位置は、状況、特に地形に依り異なるも、其の標準第十五図の如し
    第十五図
    分隊長は指揮に便なる如く、砲の右(左)後ろに位置す。四番は照準坐《左脚》に腰を下ろし照準に、三番は発射坐《右脚》に腰を下ろし装填、抽出及び撃発《照準、撃発、装填及び抽出》に、六番《一番》は小隊長と分隊長との間に在りて連絡に任ず。二番は随時砲側の砲手と交代し得る如く砲の左後方に、七番《五番》は砲の右後方に、八番《六番》は砲側に対する弾薬の補充に便なる如く、砲の後方に適宜離れて(利用すべき地物なきときは約20歩)伏臥し、九番《七番》以下は弾薬の搬送に便なる如く適宜離れて伏臥す
    連隊砲の一番は四番の後ろに接して折敷き装填に任じ、五番は架尾に近く伏臥し、照準に方り架尾の移動に任ず

信管及び装薬の準備
  1. 第373
    信管の準備を命ぜらるるや、二、七番、要すれば八番《二、五番、要すれば六番》は、八番《六番》の位置に於いて、所命の信管を改装す
    • 信管の改装は、信管を右に廻わして脱し、所命の信管を啄螺に載せ、少しく右に廻わし、微管に依り吻合を検し、信管を左に廻わして緊定す
  2. 第374
    大隊砲の装薬号を換えしむるには、例えば左の号令を下す
    • 装薬二号
    分隊長は装薬の編合を監視す。二、五番、要すれば六番は所命の装薬を編合す
    • 装薬を編合するには、左手にて弾頭を左に弾体を略々水平にし、右手にて下部薬筒を左に廻わして脱し、次いで薬筒内より二号のときは薬包の1を、三号のときは12を、四号のときは123を除き、下部薬筒を緊定し薬筒底に装薬号を記す。薬筒乙に在りては、薬筒を脱し右に準じ操作す

射向の決定、射向及び射角の附与、装填、発射
  1. 第375
    間接照準に依る射撃に方りては、小隊長は通常原点を定め、之に対し射向を決定し、之に応ずる各砲の標定点に対する回転盤分画(原点分画と謂う)を記載せしむ
    射向の決定に方りては通常基準砲を定め、其の射向を原点に導き之を基準射向と為し、他の砲の射向を之に平行(平行射線と謂う)せしむ
    最初より各砲の射向を目標に対し集中せしめたる場合(集中射線と謂う)に於いても、状況之を許すに至れば、原点に対し平行射線を成形するを要す
    原点は、通常目標又は其の予想現出地点附近に於いて、明瞭にして消滅、移動の虞なきものを選び、要すれば符号を附す。其の数は少なきを可とす
    標定点は明瞭にして照準容易、且つ成るべく遠きものを選び、消滅、移動の虞あるもの、紛れ易きものを避く。又、別に標桿等を以って、砲に近く予備標定点を設くるを可とす
  2. 第376
    間接照準に依る射撃に於ける射向の決定は、通常標桿法、垂球法、反視法、若しくは照準点法に依る
  3. 第377
    間接照準に依り射向を附与せしむるには、例えば左の号令を下す
    • 照準点 標桿(砲隊鏡)(右後方森林の右上際)
    • 方向 0(6分画50)
    四番は回転盤に所命の方向角を装し、其の結果を分隊長に報告し、五番《二、三番》と協同して方向照準を為す
    • 方向照準を為すには、五番《二、三番》は提把を持ち架尾《脚》を左右し、砲を略々所望の方向に向かしむ。四番は先ず眼鏡上面より、次いで左手にて俯仰転輪を操作して眼鏡内より照準点を覘視し、且つ五番《二、三番》に対し、右手若しくは音声にて合図し架尾《脚》を左右せしめ、概略の照準を為したる後、右手にて方向転輪を操作し精密に照準す
    • 精密に照準するに方り、連隊砲に在りては四番は照準の前(後)に於いて高低水準器及び傾斜水準器の気泡を中央に導きたる後照準を行い(復行し)、大隊砲に在りては三番は右手を高低転輪に、左手を傾斜転輪に致し、四番の照準に伴い高低水準器及び傾斜水準器の気泡を常に中央に導く
    照準終われば、四番は宜シと唱え、射向を換うることなく回転盤を廻わして標定点を照準し、現在の分画を分隊長に報告し、砲架分画を定位に復し、連隊砲に在りては照準孔の蓋を閉ず。操作終れば分隊長は準備終リと報告す
    標定点は砲床準備に方り四番之を選び、分隊長に報告す
    表尺補助桿を用いたるときは、標定点の照準に先だち之を脱す
  4. 第378
    垂球を使用し射向を附与せしむるには、照準点垂球の号令を冠す
    分隊長は砲身の後方延長線上に位置し、五番《二、三番》をして架尾《脚》を左右せしめ概略の方向を与え、次いで四番をして方向転輪を操作せしめ、垂糸と照準点とを含む垂直面に砲身軸を一致せしむ。爾後、一般の射向附与の如く動作す
  5. 第379
    原点分画を書くには、分画書ケの号令にて、分隊長は現在の回転盤分画及び標定点を記す
  6. 第380
    発射法は指命射、連続射及び各個射とす
    指命射を為さしむるには、例えば左の号令を下す
    • 第一 撃テ
    所命の砲は直ちに発射す
    連続射を為さしむるには、例えば左の号令を下す
    • 右(左)ヨリ撃テ 2発
    射弾を区分して観測し得るを度とし、右(左)砲より交互に各々所命の弾数を発射す
    1門を以って連続射を為さしむるには、右(左)ヨリに代え、砲の番号を示す
    各個射を為さしむるには、例えば左の号令を下す
    • 各個ニ撃テ 3発
    各砲は最大速度にて各々所命の弾数を発射す
  7. 第381
    原点に依り射撃せしむるには、例えば左の号令を下す
    • 1分画50右へ
    • 高低4増セ(減ケ)
    • 《装薬二号》
    • 1200
    • 第一発射
    連隊砲

    射向修正量を号令せらるるや、五番は其の量に応じ三番と協同して架尾を左右し、一番と協同して砲を固定す

    (砲を固定するには、五番は駐鋤の中央を地上に標示し、一番と協同して砲を前に移し、駐鋤溝を掘開し、駐鋤を正しく駐鋤溝に嵌む)

    四番は所命の射向修正量を回転盤に、高低修正量を高低水準器の分画板に、射距離を表尺に装し、其の結果を分隊長に報告す

    砲の固定終れば、一、三番は位置に就き、三番は拉縄を解きて発火装置にし、一番と協同して装填す

    (装填するには、三番は左手に拉縄を持ちたる侭、右手にて閉鎖機を開き、一番は弾薬を取出し安全栓を抜き、弾薬次いで砲腔を点検し、要すれば拭浄し、左手にて弾薬の重心位置を支え右手にて弾薬筒後端を握り、弾薬を砲身托架の後端まで挿入し、次いで右手を薬莢底部に致して砲身軸の方向に押し込み、薬莢起縁部を砲身後端面に接着せしむ。三番は閉鎖機の槓桿を稍々前方に押す如く軽く握り、槓桿少しく後方に回転せんとするとき閉鎖機を閉じ、一番は三番の閉鎖を始むると同時に右手を退く)

    装填終れば、三番は四番の動作に注意す。四番は高低照準を為し、標定点に対し射向附与に準じ方向照準を行い、照準終れば右手を方向転輪に、左手を高低転輪に致したる侭、頭を眼鏡の外側に離すと同時に宜シと唱う。分隊長は準備終リと報告す

    大隊砲

    射向修正量を号令せらるるや、二、三番は其の量に応じ脚を左右し、砲を固定す

    (砲を固定するには、二(三)番は左(右)脚駐鋤の中央及び両端を地上に標示し、協同して砲を前に移し、駐鋤溝を掘開し、駐鋤を正しく駐鋤溝に嵌む)

    分隊長は偏流版に依り、射距離に応ずる偏流の修正を命ず(曲射に在りては砲の固定前に之を命ず)

    四番は所命の射向修正量を回転盤に、高低修正量を高低水準器の分画板に、射距離を表尺に装し、其の結果を分隊長に報告す

    砲の固定終れば、四番は標定点に対し脚を左右せしめて概略の照準を為し、三番は四番の照準に協同したる後、右脚上に腰を下ろし、左手にて発火装置にし、装填す

    (装填するには右手にて閉鎖機を開き、砲腔を点検し、要すれば拭浄し、弾薬を取出し安全栓を抜きて点検し、右手にて弾体を握り、左手指を薬莢底面に添え、弾薬を砲身軸の方向に押し込み、薬莢起縁部を薬室底面に圧着し弾底を支え、右手にて閉鎖機を閉ずると同時に左手を上方に退く)

    装填終れば、三番は高低照準を行うと共に傾斜水準器の気泡を中央に導く。四番は転輪に依り方向照準を行い、照準終れば右手を方向転輪に致したる侭、頭を眼鏡の外側に離すと同時に宜シと唱う。三番は緊定桿を緊め左手に拉縄を持ち、分隊長は直ちに準備終リと報告す

    発射を号令せらるるや、分隊長は撃テの号令を下す。三番は拉縄を引き、発射せば閉鎖機を開き砲腔を点検し、一番《三番》は装填し、四番は諸分画を点検修正す。次いで再び高低照準及び方向照準を行う。但し、各個射に在りては方向照準は所命の弾数を発射したる後行う
  8. 第382
    直接照準に依り射撃せしむるには、例えば左の号令を下す
    • 右前堆土ノ右ノ機関銃
    • 《装薬二号》
    • 500
    • 第一撃テ 2発
    連隊砲に在りては、四番は左手を高低転輪に致し、架尾を左右せしめ目標に対し概略の照準を為す。次いで傾斜水準器の気泡を略々中央に導き、転輪に依り精密に照準す
    大隊砲に在りては、四番は左手を高低転輪に、右手を方向転輪に致し、先ず眼鏡上面より目標に対し概略の照準を為す。次いで眼鏡に依り精密に照準す。三番は傾斜水準器の気泡を略々中央に導く
  9. 第383
    補助照準点に依り射撃せしむるには、例えば左の号令を下す
    • 補助照準点 囲壁ノ右上際(右下際)
    • 27右へ
    • 俯仰15増セ(減ケ)(ませ(ひけ))
    • 《装薬二号》
    • 900
    • 第一発射
    分隊長以下、補助照準点に対し、直接照準に準じ動作す。但し、四番は俯仰修正量を俯仰分画に装す
  10. 第384
    各個射及び連続射に在りては、三番は発射する毎に1(2)(3)等と唱え、所命の弾数を発射し終れば分隊長に終リと報告し、分隊長は撃終リと報告す
  11. 第385
    各陣地に於ける最初の2、3発の発射に方り、毎発三番は次発の弾薬を装填せば後坐量を測定し分隊長に報告し、遊標を旧に復す
  12. 第386
    間接照準又は補助照準点に依る射撃より直接目標を照準して行う射撃に移る場合に於いては、分隊長は先ず直接照準と号令し、俯仰分画、回転盤分画を定位に復せしむ
  13. 第387
    掃射を為さしむるには、例えば左の号令を下す
    • 右へ掃射2回
    • 転輪2ツ
    • 各個ニ撃テ 3発
    四番は分隊長の撃テの号令にて現在の射向より始め、1発毎に方向転輪に依り所命の回数宛右(左)に射向を移動し、所命の弾数を発射し、射向を旧に復し、所命の回数を反復す
  14. 第388
    不発のときは、分隊長は数回撃テと号令し、尚発火せざるときは弾薬を抽出せしむ
  15. 第389
    対戦車射撃を行う連隊砲に在りては、四番は前進又は退却する戦車に対しては直接之を照準し、横行又は斜行する戦車に対しては所命の射向修正量を分画筒に修正して照準線を稍々前方に導き置き、戦車の前端照準線に入るや、頭を眼鏡より離すと同時に撃テと唱え、四番は直ちに拉縄を引く。此の際、五番は架尾を左右して概略の方向を与え、二番は要すれば予め装着したる轅桿を保ち、五番の架尾移動を容易ならしむ

射向及び射角の修正、目標変換
  1. 第390
    射向を修正せしむるには、例えば左の号令を下す
    • 8ツ右(左)へ
    四番は分画筒に所命の分画を修正し、其の結果を分隊長に報告し、方向照準を為す。架尾《脚》の移動を要するときは、四番はの架尾《脚》移動と唱え、砲架分画を定位に復し、三番は安全装置にし、五番《二、三番》は架尾《脚》を左右す
  2. 第391
    射距離を修正せしむるには、例えば左の号令を下す
    • 1150
    四番は所命の射距離を装し、其の結果を分隊長に報告し、大隊砲に在りては分隊長は射距離に応ずる偏流の修正量を算定し、四番をして分画筒に修正せしむ。次いで四番《三、四番》は照準を為す
  3. 第392
    高低角を修正せしむるには、例えば左の号令を下す
    • 高低6増セ(減ケ)
    四番は高低水準器に所命の修正量を装し、其の結果を分隊長に報告し、四番《三番》は高低照準を為す
  4. 第393
    原点分画を取るには、原点分画取レの号令にて、分隊長は四番をして之を回転盤に装し、高低水準器分画及び砲架分画を定位に復せしむ
  5. 第394
    目標変換を為すには、原点分画を取ることなく射向及び射角の修正の要領に依る。然れども、方向及び距離差大なる目標変換の場合に於いては、新目標に近き原点の原点分画に依るを利とす
    目標変換に方り小隊長は旧目標に対する射撃の結果得たる諸元を利用し、新目標に対し勉めて最初より効力射を行うを可とす
  6. 第395
    直接射弾を観測し得ざる目標を射撃する場合に於いては、之に近き適当なる地点に対し試射を行い、目標変換に準じ射撃を転移す

射撃中止及び停止
  1. 第396
    射撃を中止するには撃方待テの号令にて、三番は安全装置にし、分隊長以下操作を中止し伏臥す。但し、発射後なるときは装填す
    射撃を止むるには撃方止メの号令にて、左の如く動作す
    連隊砲に在りては、三番は一番と共に弾薬を抽出し、安全装置にし、拉縄を握把に掛く。一番は信管に安全栓を挿し弾薬を納め、四番は砲身を砲架に略々平行にし、諸分画を定位に復す
    大隊砲に在りては、三番は弾薬を抽出し、信管に安全栓を挿し弾薬箱に納め、安全装置にす。四番は砲身を略々水平にし、諸分画を定位に復し、閉脚止を引き、二番は三番と共に脚を閉ず。一号装薬以外に編合しある弾薬は一号装薬に復し、薬莢底に記せる装薬号を消す