歩兵操典

第四篇 歩兵砲教練
第一章 密集
第二節 密集の動作
  1. 第354
    密集の動作は一般歩兵中隊に準ず。但し、卸下又は脱駕せるときの整頓は、予令にて携帯箱、標桿、轅桿《提桿》、後砲架、両頭槌、属品箱、照準具箱、弾薬箱を提げ、直レの号令にて地に置く
  2. 第355
    卸下せる分隊を駄載せしむるには、左の号令を下す
    • 載セ
    分隊長は兵の動作を監視す
    卸下せる背嚢は馬の後方約4歩に置く
    馬の両側に駄載するときは、馭兵は両側の準備終わるを見て宜シと唱え、左右同時に載せしむ
    連隊砲

    輪馬馭兵は馬を導きて、六番の左約6歩に到り、左に向かしむ。他の馭兵は間隔5歩にて輪馬の横に横隊となり、馬の正面に立ち、之を保つ

    分隊長は鉤帯を取出す

    一乃至五番は曳綱、担綱を脱して四番の外側に置く。四、五番は支桿止栓、防楯止栓を抽出し、防楯を脱し砲の右に運び、防楯止栓の鎖を支桿に巻きて装し、四番は防楯を畳み、旧に復し、五番は標桿を防楯に着け、之を防楯馬の後ろに運び、砲の右に到る。一、二番は轅桿を脱し砲の左後ろに置き、一番は揺架馬、二番は托架馬の担棍を卸下し砲身馬の後ろに到り、二番は担棍を四番に渡す

    三番は標桿を受取りて右車輪の外側に置き、砲尾被及び表尺被を脱し、曳綱の上に置く。六番は後砲架を右に移し、止栓を挿換え、砲口被を脱して三番に渡し、転輪止革を解き箭材の間に入り、三番と協同して其の場に砲を転向し、七番は携帯箱を受取り照準具箱と共に防盾馬の後ろに運び、砲側に到り1轅桿を取る。四番は諸被、曳綱、及び担綱を防楯馬の後ろに運び、担棍を持ちて砲の左に到る

    八乃至十一番は弾薬箱を弾薬馬の後ろに運び、八番は鉤帯を受取り砲の左に到る。九(十)番は先ず托架馬、次いで防楯馬の右(左)に到り、背嚢を卸下す。九番は防楯の上端を、十番は下端を持ち、協同して馬の右より、照準孔を上に、上部を前にし、支桿接続部を後砲架受板に接して載せ、十番は馬の左に移り、後方縛革、次いで前方縛革を防楯の下より上に廻わし(前方縛革は防楯と標桿との間に通す)、協同して防楯を縛る。九番は照準具箱の提把を外にして防楯馬の右側に載せ、十番は携帯箱に鉤帯を納め、提把を上にして器具箱に重ね、曳綱、及び担綱を其の上に載せ、各々提把に縛革を通して縛り、九番は諸被を架匡に縛着す。十一(十二)番は弾薬馬の右(左)に到り背嚢を卸下し、弾薬箱の蓋を後方にし載せて縛る

    六番は閉鎖機を開き、転輪止革にて高低転輪を縛り、三番は砲身を抽出し、洗桿を其の膨大部まで抽出して持つ。八番は鉤帯を提環に掛け、七番は轅桿を鉤帯に通し、八番と共に轅桿を担い、三番と協同して砲身を砲の左より砲身馬の後ろに運ぶ。一番は担棍を装し、二番と共に其の両端を持ち、七番は轅桿を、八番は鉤帯を脱す。次いで三番の宜シの合図にて一、二、三番協同して砲身を載せ、駐爪にて位置を定め、二(三)番は左(右)より協同して縛革を托環に通し砲身を縛り、三番は砲口被を装し、共に砲側に到る。七番は轅桿を、一番は担棍を持ち、八番は鉤帯を十番に渡し、共に砲側に到る

    六番は閉鎖機を閉じ安全装置にし、駐退管「ナット」を脱し高低転輪に掛け、砲身托架を約30糎抽出す。四番は担棍を装し、六番と共に両端を持ち、五番は衝爪を上げ、砲身托架の前端を支え、協同して之を脱し、托架馬の後ろに運び、五番の宜シの合図にて載せ、駐爪にて位置を定め、四番は担棍の一端を駄馬の右より架匡の下に挿し他端を縛り、五(六)番は右(左)より協同して縛革を托環に通し砲身托架を縛り、各々砲側に到る

    八番は駐退管「ナット」を装し、攫爪を脱して揺架後端を支え、七番は軸駐楔の駐桿を「脱」にし、轅桿を揺架駐子に装して持ち、八番と共に揺架を脱し小架の上に置き、八番は攫爪を装す。一番は砲の左より担棍を装し、八番と共に両端を持ち、揺架を揺架馬の後ろに運び、七番の宜シの合図にて載せ、止板及び揺架駐子にて位置を定め、一番は托架馬に準じ担棍を縛り、7番は轅桿を架匡左側に載せ、馬の右に移り、八番と協同して縛革を托環に通し揺架と共に縛り、各々砲側に到る

    二(三)番は前砲架と右(左)車輪との間より防楯支桿止栓を挿し、架頭を支う。四番は小架前端に面して位置し、三(四)番は左(右)車軸室の蓋板を開き、二番は内螺頭止栓を抽き、高低照準螺を支え、四番は小架を持ち宜シと合図し、車輪を架頭より約2歩前方に脱し、内螺頭止栓を挿す。二、三番は前砲架を下ろし、車軸室の蓋板を閉じ、蓋板止栓を挿す

    二番は轅桿を高低転輪の前にて前砲架の下に置き、右端を持ちて斜に保ち、三番は箭材を、一番は前砲架の後端を持ち、前砲架を右に反転し、三番は轅桿の左端を持ち、一番は横材を持ち、二(三)番は照準坐(発射坐)を駄載の位置にして大架馬の後ろに運び、一番の宜シの合図にて載せ、箭材駐環にて位置を定め、一番は轅桿止栓を上より挿換う。四番は後砲架を大架馬の右に運び、提把を下に、駐鋤を後ろにして馬背に致し、一番は馬の左より之を受け、協同して前砲架の上に載せ、駐鋤止にて位置を定め、三番は轅桿を架匡左側に載せ、二番は高低照準螺を後砲架の上に反転し、一乃至四番は前砲架の箭材を轅桿と共に縛り、次いで二、三番協同して後砲架を縛る

    七(八)番は前方より小架を反転し、小架及び左(右)車軸を支え、五(六)番は左(右)の軸轄、轂帽及び車輪を脱して轂帽及び軸轄を装し、七、八番は轂帽及び小架の後端を持ち輪馬の後ろに運び、七番の宜シの合図にて載せ、車軸を其の室に致し、協同して縛革を托環に通して縛る。五(六)番は車輪を輪馬の右(左)に運び、五乃至八番は協同して輪止綱を脱し、轂筒及び相対する輻の下に通し、車輪を上げ、輪止綱の鎖を鎖掛に掛け、五、六番は車輪を縛る

    大隊砲

    砲架馬馭兵は馬を導きて、四番の左約5歩に到り、左に向かしむ。他の馭兵は間隔5歩にて砲架馬の横に横隊となり、馬の正面に立ち、之を保つ

    十番は一乃至四番の曳綱を受け取り、一番は防盾止板を旋回し、且つ砲身を略々水平にし、方向を正し、砲尾被を脱して帯革に通し、結合軸大握把を抽出す。四番は揺架と補助防楯支板との結合を解き、防楯を補助防楯と共に上に脱し、十番に渡す。十番は曳綱及び防楯を揺架馬の後ろに運び、担棍を砲架馬より卸下し、砲の右に到る。二番は提桿を脱して砲の両側に置き、脚を約80糎開いて閉脚止に鉤せしむ

    三番は携帯箱を受取り砲架馬の右に到り、担棍の縛革を解き十番に協同し、次いで携帯箱を架匡の中央に、提把を右にし載せて縛り、砲側に到る

    五番は標桿を受取り、照準具箱と共に揺架馬の後ろに運び、砲側に到る。六乃至九番は弾薬箱を第一弾薬馬の後ろに運び、六(七)番は砲身馬の左(右)に到り背嚢を卸下し、弾薬箱の蓋を交互に前方にし、負革を上にし乗せて縛り、砲側に到る

    四番は砲の前より右手にて洗桿を握り左手を砲身上面に添え、一番は両手にて砲尾を下より持ち、協同して砲身を脱し、砲の右に移り、砲身を反転す。十番は担棍を結合軸に結合し、一(十)番は砲身の左(右)に在りて担棍を握り、四番は洗桿を支え外側に廻わりて砲身馬の後ろに到り、四番の宜シの合図にて載せ、駐爪にて位置を定め、十番は担棍を脱し握把を旧に復し、担棍を砲架馬の右に置き、砲側に到る。一、四番は協同し砲身縛革を托環に通し砲身を縛り、一番は砲尾被を装す

    二番は砲身を脱すや、後坐測尺の遊標を挿し、揺架耳蓋板を開き小架歯弧と高低照準器歯車との噛合を脱し、五番は揺架上部を握り、二番は揺架下端を支え、協同して揺架を脱し揺架馬の右に運びて載せ、揺架耳を其の室に嵌め、二番は馬の左に移り、協同して揺架縛革を托環に通し揺架を縛り、五番は標桿を嚢に収め、第一属品箱の上に、提把を右にして照準具箱、次いで標桿を其の上に載せ、二番は曳綱を第二属品箱の上に載せ、防楯の下部を上にし、補助防楯を下面にして其の上に載せ、各々縛る

    三番は砲の前より揺架耳蓋板を旧に復し、架頭を支え宜シと唱え、六(七)番は左(右)車輪を脱し、割「ピン」を挿し砲身馬の左(右)に運び、軸臂を外にし車輪を上げ、一、四番は輪止綱を軸臂の下より相対する輻の下に通し、鎖を鎖掛に掛く。六、七番は車輪縛革にて車輪上部を縛る

    八(九)番は提桿を左(右)車軸に装し、割「ピン」を挿して持つ。次いで、三(十)番は右(左)脚を持ち、協同して砲架を砲架馬の後ろに運び、三番の宜シの合図にて載せ、托環にて位置を定め、次いで三番は担棍の一端を左の提把に接し、他端を右車軸附近にして砲架の上に置き、八(九)番は提桿を脱し、割「ピン」を旧に復して一(四)番に渡し、4砲手協同して砲架を担棍と共に縛る。一、四番は提桿を砲身馬の架匡の両側に載せて縛る

    速射砲

    砲架馬馭兵は馬を導きて、四番の左約6歩に到り、左に向かしむ。他の馭兵は間隔5歩にて砲架馬の横に横隊となり、馬の正面に立ち、之を保つ

    一番は二、三番の曳綱、担綱を受け取り、四、五番と共に之を四番の右に置く。三番は歯弧被を脱し、砲尾托架の駐爪を押し、高角転輪を廻わし砲身を略々水平にし、砲尾被を脱し歯弧被と共に一番に渡し、砲尾托架を右脚に畳み、砲身結合軸を抽出す。一番は照準具被を脱し(照準具を装しあるときは之を脱して五番に渡す)支桿止板乙の蝶「ナット」を緩め、両手にて支桿を持ち、四番の防楯離脱に協力したる後、諸被を脚馬の後ろに運び、旧に復す

    四番は防楯の両側を持ちて脱し、脚馬の後ろに運び、次いで両頭槌、曳綱及び担綱を第一弾薬馬の後ろに運びて分置し、砲側に到る。二番は轅桿を脱し、轅桿接続具にて結合し、砲の右後ろに置く。五番は第一属品箱(照準具を装しあるときは属品箱に納む)を、六番は轅桿接続具を二番に渡し、第二属品箱を各々脚馬の後ろに運び、次いで脚馬の背嚢を卸下し、五番は砲口前に到り、六番は揺架馬の背嚢を卸下し、馬の左に位置す

    七乃至十番は弾薬箱を第一弾薬馬の後ろに運び、七(八)番は弾薬馬の背嚢を卸下し、弾薬箱の負革を相接する如く提把を上にして馬の右(左)側に載せ、縦縛革を提把に通して縛り、次いで各々両頭槌の柄を後方にして弾薬箱の上に載せ、曳綱及び担綱にて縛り、砲側に到る

    九(十)番は砲身馬の右(左)に到り背嚢を卸下し、予備轅桿及び担棍を卸下し、九番は予備轅桿を、十番は担棍を持ち砲側に到り、九番は予備轅桿を車輪の前に分置す。三番は砲身下面を、二番は砲身中央部を、五番は砲口部を持ち、協同して砲身を脱し、二、三番は砲身を持ち、転向しつつ砲の左に移り、準溝部を上にす。九(十)番は砲身の左(右)に位置し、担棍を以って砲尾前端に接し、下より砲身を換装して受取り、三番は旧に復し、二番は砲口部を支え砲身馬の後ろに運び、二番の宜シの合図にて載せ、駐爪にて位置を定め、二番は砲側に到り、十番は担棍を畳みて傍に置く。九、十番は協同して砲身縛革を托環に通し砲身を縛り、揺架馬の右(左)に到り輪止綱を持つ

    一番は揺架結合軸、次いで脚結合軸を旋回し、四番は左右の軸臂止栓を旋回す。五番は揺架を脱して揺架馬の後ろに運び、揺架帽を後方に準梁部を上にして架匡上に致し、六番は馬の左より之を受け、協同して揺架を載せ、駐爪にて位置を定め、揺架縛革を托環に通し、協同して揺架を縛り、五(六)番は砲の左(右)に到り、予備轅桿各々1を持ち、砲架前端上部の突梁に装す

    三番は接続したる轅桿を持ち、轅桿接続具の突耳部を下より装着架の円孔部に挿し、一番と共に両端を持ち、一、三、五、六番は砲架に、二(四)番は右(左)車輪に、七(八)番は左(右)脚に就き、各々分解を準備す。次いで分隊長の指示に依り、砲架を支え、両車輪、両脚を同時に分解す

    二(四)番は揺架馬の右(左)に、軸臂を外にして車輪を置き、九(十)番と協同し、下より轂を支え、輪止綱を軸臂の下より相対する輻の下に通し、鎖を鎖掛に掛く。九(十)番は直ちに、二(四)番は車輪を縛着したる後、各々砲架馬の右(左)に到る。一、三、五、六番は砲架を砲架馬の後ろに運び、防危板を前にし、5番の宜シの合図にて載せ、九、十(二、四)番は前(後)方の砲架縛革を各々協同し托環に通して縛る。五(六)番は予備轅桿を一番に、三番は轅桿接続具を六番に渡し、六番は之を属品箱に納め、脚馬の右(左)に到る

    七(八)番は脚を脚馬の右(左)に運び、五(六)番と協同し、駐鋤を前にして載せ、駐爪にて位置を定めて縛る。次いで五(六)番は属品箱を負革を内に提把を上にして右(左)側に載せ、五番は属品箱の外に諸被を載せ、各々之を縛る。七番は防楯を其の下部を左に、支桿を上にして脚上に載せ、七(八)番は前(後)砲の防楯縛革を防楯上面より托環に通し、協同して縛る

    三番は轅桿を砲身馬の架匡の左側に、一番は予備轅桿を右側に載せ、前方縛革にて縛り、三番は更に担棍を砲身上に載せ、一番と共に後方縛革にて轅桿と共に縛る

    駄載後、要すれば更に諸被を装す
    動作終われば、分隊長以下背嚢を負い、定位に就く
  3. 第356
    駄載せる分隊を卸下せしむるには、左の号令を下す
    • 卸セ
    駄載と概ね反対の順序に依るの外、左の如く動作す
    • 連隊砲に在りては、砲を後方に向けて組む
    • 大隊砲に在りては、車輪を結合したる後、三番は二番の卸下せる防楯及び曳綱を砲側に運ぶ
    • 速射砲に在りては、一、三番は予備轅桿及び担棍を卸下したる後砲架の縛革を解き、四番は防楯、次いで曳綱、担綱及び両頭槌の順序に砲側に運ぶ
  4. 第357
    卸下又は脱駕せる分隊を繋駕せしむるには、左の号令を下す
    • 砲ヲ繋ケ(ほうをつけ)
    分隊長は兵の動作を監視す
    連隊砲

    第十一図其ノ一の隊形に繋駕するには、輪馬馭兵は輪馬を轅桿の後ろに導き、他の馭兵は繋駕の隊形の位置に就き、馬の正面に立ち、之を保つ

    分隊長は標桿を三番に、携帯箱を五番に渡す。一乃至四番は曳綱、担綱を五番に渡す。五番は携帯箱、曳綱及び担綱を防楯馬の左に、七番は照準具箱を右に運び、八(九)番、十(十一)番は弾薬箱を弾薬馬の左(右)に運ぶ。一、二番は揺架馬の、九、十番は托架馬、次いで防楯馬の、十一、十二番は弾薬馬、次いで砲身馬の背嚢を卸下す

    三番は標桿を防楯に着け、四番は砲身を砲架に略々平行にし、転輪止革にて両転輪を縛り、大架馬の右に到る。六番は後砲架を大架馬の右側に運び、止栓を挿換え、四番と協同して後砲架を大架馬に載せて縛る。七(八)番、九(十)番は防楯馬の右(左)に到り、協同して照準具箱、携帯箱、曳綱、担綱を、十一、十二番は弾薬馬に弾薬箱を各々載せて縛る

    輪場馭兵は馬を後退せしめて轅桿内に誘導し、一、二番は轅桿の前端を持ち、要すれば後躯を左右に誘導し、轅桿を轅桿受革の環革に通し、丁字鎖を轅桿端環に掛け、轅桿控革を托環に通して縛る

    第十一図其ノ二の隊形に繋駕するには、分隊長は標桿を三番に、携帯箱を五番に渡し、一乃至四番は曳綱、担綱を五番に渡す。三番は標桿を防楯に着け、五番は携帯箱、曳綱及び担綱を、六番は後砲架を、七番は照準具箱を八乃至十二番は弾薬箱を第一弾薬車に載せて縛る。一、二番は前項に準じ、先ず後馬を繋ぐ。前馬は語馬の轅桿の間に入りたる後、徐ろに後馬の前方に後退せしめ、三、四番は前馬の輓索鉤を轅桿端環に掛く

    大隊砲

    砲架馬馭兵は馬を砲の後ろに導き、他の馭兵は繋駕の隊形の位置に就き、馬の正面に立ち、之を保つ

    十番は一乃至四番の曳綱を受取る。分隊長は携帯箱を三番に、標桿を五番に渡す。二番は提桿を脱して砲の両側に置き、次いで装着部栓を抜き、一、四番の轅桿を装するや止栓を挿す。一(四)番は砲架馬の右(左)より轅桿を卸下して砲側に運び、之を伸ばしたる後、轅桿を装着部に装す

    三番は携帯箱を砲架馬の右に運び、載せて縛る。六(七)番、八(九)番は弾薬箱を第一弾薬馬の左(右)に運び、六(七)番は砲身馬の左(右)に到り背嚢を卸下す。八(九)番は揺架馬より背嚢を卸下し、次いで第一弾薬馬の左(右)に到り背嚢を卸下し、弾薬箱を載せて縛る。五(十)番は揺架馬の右(左)に到り、五番は標桿を嚢に納めて十番に渡し照準具箱を、十番は曳綱及び標桿を載せて縛る

    砲架馬馭兵は馬を後退せしめ轅桿内に誘導し、一、四番は轅桿前端を持ち、要すれば後躯を左右に誘導し、轅桿を轅桿受革の環革に通し、丁字鎖を轅桿端環に掛け、三(二)番は轅桿控革を托環に通して縛る。六(七)番は提桿を砲身馬の架匡の左(右)側に載せ縛着す

    速射砲

    砲架馬馭兵は馬を轅桿の後ろに導き、他の馭兵は繋駕の隊形の位置に就き、馬の正面に立ち、之を保つ

    四番は一、二、三、五番の曳綱を受取り、二番は揺架馬の右に到り、四番は曳綱、担綱及び両頭槌を第一弾薬馬の両側に分置して、揺架馬の左に到り、二番と協同して背嚢を卸下す。五(六)番は属品箱を脚馬の右(左)に運び背嚢を卸下し、属品箱を載せて縛る。七(八)番、九(十)番は弾薬箱を第一弾薬馬の右(左)に運び、七、八番は第一弾薬馬より背嚢を卸下し、弾薬箱を乗せて縛り、九、十番は砲身馬より背嚢を卸下す

    砲架馬馭兵は馬を後退せしめ轅桿内に誘導し、一、三番は轅桿前端を持ち、要すれば後躯を左右に誘導し、轅桿を轅桿受革の環革に通し、丁字鎖を轅桿端環に掛け、轅桿控革を托環に通して縛る

    動作終われば、分隊長以下背嚢を負い、定位に就く
  5. 第358
    繋駕せる分隊を脱駕せしむるには、左の号令を下す
    • 砲ヲ解ケ(ほうをとけ)
    繋駕と概ね反対の順序に依るの外、左の如く動作す
    • 連隊砲に在りては、九乃至十二番は分隊長以下の背嚢を駄載し、或は第一弾薬車に積載す
    • 大隊砲に在りては、八(九)番は四(一)番より轅桿を受取りて駄載し、七乃至十番は分隊長以下の背嚢を駄載す
    • 速射砲に在りては、六、八、九、十番は分隊長以下の背嚢を駄載す
  6. 第359
    繋駕せる分隊駄載せしむるには、載セの号令にて砲手は其の場に背嚢を下ろし、概ね卸下より駄載するときに準ずるの外左の如く動作し、駄載終われば背嚢を負う
    • 連隊砲に在りては、十一、十二番先ず後砲架を卸下し、八番は鉤帯を取出す
    • 大隊砲に在りては、六、七番は先ず提桿を卸下し、八、九番は轅桿を砲架馬に縛着し、標桿を揺架馬の右側に移して載す
    • 速射砲に在りては、六番先ず第二属品箱を卸下す
  7. 第360
    駄載せる分隊を繋駕せしむるには、砲ヲ繋ケの号令にて、繋駕より駄載するときと概ね反対の順序に動作す
  8. 第361
    卸下又は脱駕の行進に於ける分隊長以下の動作、左の如し
    • 連隊砲に在りては、予令にて分隊長(七番)は携帯箱及び標桿(照準具箱)を提げ、一、三、四、五番は曳綱を瓢形環に掛け、一、三、(四、五)番は片手にて轅桿(曳綱)を握り、二番は担綱を轅桿端環に掛け両手にて轅桿を握り、一、二、三番は二番の宜シの合図にて之を上げ、六番は後砲架を担い、八乃至十一番(脱駕に在りては八番以下)は伏臥し弾薬箱を負う
    • 大隊砲に在りては、予令にて分隊長(五番)は携帯箱及び標桿(照準具箱)を提げ、一、二番は曳綱を瓢形環に掛け両手にて轅桿を握り、一番は宜シと唱え、協同して提桿を上げ、六乃至九番は伏臥し弾薬箱を負う。砲は、要すれば一乃至四番にて搬送せしむ
    • 速射砲に在りては、予令にて、一、三番は曳綱を瓢形環に掛け片手にて轅桿を握り、二番は担綱を轅桿端環に掛け両手にて轅桿を握り、五番以下属品箱又は弾薬箱を負い、一、二、三番は二番の宜シの合図にて轅桿を上げ、四番は両頭槌を担う。砲は、要すれば一乃至五番にて搬送せしむ。此の際、分隊長は第一属品箱を、四、五番は両頭槌を携行す
    各砲の属品箱及び弾薬箱は、之を提げ、又は担いて行進せしむることを得
    停止せば整頓し、次いで轅桿《提桿》、属品、弾薬箱を置き、曳綱、担綱を脱す。繋駕せるときは、停止に方り輓馬定位に止らざるも、馭兵は定位に誘導せず
  9. 第362
    卸下又は脱駕に在りて折敷、伏臥するには、兵器に衝突せざる如く姿勢を取る。行進間に在りては砲、属品、弾薬箱を置き、動作す。但し、曳綱、担綱は砲より脱さず、負いたる属品箱、弾薬箱は下ろさず
    折敷、伏臥より行進するには、予令にて起ちつつ轅桿《提桿》、属品、弾薬箱を提げ、或は担う
  10. 第363
    砲を分解して搬送するには、分解搬送の号令にて砲を分解し、概ね左の要領に依り、分隊長の指示に従い搬送す
    • 連隊砲に在りては、分隊長は後砲架、携帯箱、標桿を、三番は防楯を、四、五番は轅桿を車輪に通し、協同して小架、車軸、車輪を、六番は前砲架を、九、十番は曳綱にて砲身托架を縛り、轅桿を通して之を、一、二番は揺架を、十一、十二番は砲身を、七番は照準具箱、弾薬箱1を、八番は弾薬箱2を携行す。他の弾薬箱は一時残置す
    • 大隊砲に在りては、分隊長は携帯箱、標桿を、一番は曳綱を車輪に通し、提桿にて之を、二、六番は交代して脚(脚頭架、小架共)を、三番は砲身を、四番は揺架を、五番は照準具箱、防楯を、七番以下は弾薬箱を携行す
    • 速射砲に在りては、分隊長は防楯を、一、二番は曳綱にて砲架を縛り、接続せる轅桿を通して之を、三、四番は各々両頭槌を1車輪に通して之を、五、六番は属品箱を負いたる侭、協同して砲身を、七番は弾薬箱、揺架を、八、九番は各々弾薬箱、脚1を、十番は弾薬箱を携行す
    分解搬送を行うに方りては砲手の体力を考慮し、要すれば携行区分を変更し、且つ適宜交代せしむ
  11. 第364
    分隊及び縦隊の方向変換に方り、内側の者は駄載のときの外、半径約4歩の円形を描く如く行進す。馭兵は馬を概ね外側の兵の後方(繋駕に在りては外側)を行進せしめ、新正面に於いて定位に入る
    隊形変換は機関銃に準ず