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歩兵操典
第二篇 中隊教練
第三章 夜間戦闘
第二節 防禦
第219
夜間、中隊は通常第一線の兵力を増加し、支点毎に防禦せしむ。此の際、中隊長は所要に応じ支点の配備を変更せしめ、或は予備隊の一部を必要の地点に配置する等の処置を講じ、以って夜間防禦を確実ならしめ、且つ敵の意表に出ずるの着意緊要なり
夜間の配備変更に際しては、敵に乗ぜらるることなきを要す
第220
夜間に於ける火網は正面射を主とし、至近距離に火力を発揚し得る如く定む。之が為、所要に応じ昼間の射撃区域を変更し、重火器の陣地を最前線に進め、特に機関銃を以って陣地直前の重要部を射撃せしむ
夜間戦車の攻撃を受くるの虞あるときは自動砲を配置し、且つ必要なる方面の最前線、要すれば陣地の前方に肉薄攻撃班(組)を配置す
夜間射撃の為には、友軍相互に危害を及ぼさざる如く、周到に規定するを要す
第221
夜間、支点は火力を発揚するに妨なき限り、勉めて兵力を集中し、指揮掌握を確実にし、以って白兵戦を有効に実施し得るを要す
夜間予備隊は主として逆襲に用い、其の位置は通常第一線に近く之を進め、機を失せず使用し得るの準備を整えしむ
第222
夜間は軽易なる障碍物と雖も効果大なるを以って、各種の障碍物、特に移動性障碍物を巧に利用するを要す。此の際、敵の手榴弾投擲を困難ならしむるの着意緊要なり
第223
夜間の警戒は、主として監視部隊、及び各支点毎に陣地前に配置する歩哨に依る。之が為、中隊長は通常支点より出す歩哨の線、監視部隊の帰路、其の他所要の事項を示し、関係部隊との連繋を密ならしむ。又、障碍物を有するときは、特に之が監視法を講じ破壊を防止す
夜間、敵の近接を警め、且つ火力を増大する為、照明弾其の他各種の照明装置を利用し、前地を照明す。然れども、我が位置を暴露し、却って敵の行動を用意ならしむるが如きことなきを要す
夜間警戒の為、犬を有利に使用するを可とす
第224
夜間は特に連絡を確実ならしむ。急を要するときは火光、音響等を使用するを利とするも、錯誤を生ぜしめざるを要す
第225
夜間に於いては、中、小隊長は敵情を捜索し、其の意図を偵知す。敵の攻撃を予察せば、一部をして擲弾等、手榴弾等を以って、之を撹乱せしむるを利とす。然れども、之が為、中隊の戦闘に齟齬を生ぜしめざるを要す
敵兵近接し工事を為すか、或は障碍物を破壊するを偵知せば、一部を以って出撃するか、又は射撃を以って妨害し、且つ速やかに補修に勉む
何れの場合に於いても、友軍相撃の虞なき如く所要の標識等を定め、又、手段を尽くして方向の基準を与え、其の行動を容易ならしむ
第226
敵兵至近距離に達せば、支点の守兵は沈着して猛射を加え、手榴弾を投じ、白兵を揮い、之を撃滅すべし。此の際、過早の出撃を戒むるを要す
敵兵、若し支点に進入せば、其の守兵は白兵を揮い奮闘、以って之を撃滅すべし
第227
攻撃を受けざる支点は警戒を厳にし、隣接支点との連絡を確保し、状況之を許せば隣接支点の戦闘に協力すべし。然れども、一局部の攻撃に幻惑せられ、軽挙に陣地を移動し支点本来の任務遂行に支障なきを要す
第228
中隊長は、敵兵陣地前至近距離に於いて混乱するか、又は中隊陣地に侵入せば、予備隊を提げ敢然逆襲し之を撃滅すべし。敵を撃退せば、速やかに秩序を恢復し、警戒を厳にし、敵の爾後の行動を偵知す
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