歩兵操典

附録
其の一 観兵の制式、刀及び喇叭の操法

観兵の制式
  1. 第1
    閲兵式の隊形(附図第一)は、大隊の縦隊横隊を一線若しくは三線に配置し、連隊の歩兵砲隊、通信隊等は横隊を以って、其の左翼若しくは後方に配置す
    分列式の隊形(附図第二)は、一般歩兵中隊に在りては併立縦隊又は中隊縦隊を、重火器、通信隊等に在りては横隊又は之に準ずる隊形を用う
    作業隊の隊形は一般歩兵中隊に準ず
  2. 第2
    分列行進を起こさしむるには、通常大隊長、連帯の歩兵砲隊長、通信隊長等は、第一列の右側(押伍列)に在る小隊長、指揮班長以外の者を列中に入れたる後、分列ニ前へ 進メの号令を下す
刀及び喇叭の操法
  1. 第3
    刀は佩環を鉤に懸け、柄を後ろにして佩ぶ。馬上に在りては鉤に懸けず
  2. 第4
    各級指揮官(指揮班長を含む)は密集隊形(大隊以上は集合隊形)に在りては通常抜刀す。但し、戦闘に際しては所要の時機に抜刀す
  3. 第5
    刀を抜くには、左手にて柄を前にし、佩環の所を握り、右手にて刀を抜き、右臂を右前上方に伸ばし、次いで肩刀(かたへ とう)を為し、同時に左手を下ろす
    • 肩刀は、柄を右手の拇指と食指及び中指との間に保ち、他の二指を柄の外に附し、其の手を右寛骨の稍々下方に着け、刀身を垂直に立て、刀背を肩に托し、肘を稍々後方にす
    抜刀の侭休憩するには、右臂を垂れ、或は之を体の前に致し、左手にて右手を支え、刀身を臂に托す
  4. 第6
    刀を納むるには、刀を垂直に上げ、刀面を顔の前にし、切羽(せっぱ)を口の高さにし、同時に左手にて佩環の所を握り鯉口を前にし、之に注目して刀を納む
  5. 第7
    抜刀の侭行進するには、柄を握り臂を垂れ、刀身を上膊に托し、サヤは懸けたる侭左手にて握り(抜刀せざるときは之に準ず)、両臂を自然に振る。但し、分列行進に在りては肩刀とす
  6. 第8
    馬上に在りて抜刀するには、左手にムチを執り、右手にて抜刀す。肩刀は柄頭を右股に托し、右手の脈部を寛骨に接す
  7. 第9
    抜刀しあるとき、刀緒は観兵式其の他所要に応じ右手に嵌む
  8. 第10
    喇叭を携うるには、懸紐を頸に懸け、右手にて拇指を上にし、食指を緊定螺圧螺に接して握り、接着管を軽く右手の脈部に接し、中指を概ね袴の縫目に当て、正しく前に向かしむ。行進するときは、之を自然に振る
  9. 第11
    喇叭を吹奏するときは接着管を左にして水平に保つ