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砲兵操典
第二篇 銃教練
第一章 基本
第四節 高射機関銃
第七十六
高射機関銃には銃長一名、銃手二名を属し銃手には一番、二番の番号を附す
第七十七
射撃の位置に於ける銃長以下の定位第五図の如し
第七十八
射撃姿勢を取らしむるには銃の方向及び位置を示したる後左の号令を下す
銃を据え
銃長は示されたる位置付近に於て銃の位置を決定し付属箱を置き之より属品箱及び所用の脚固定材料を出し更に属品箱より万能鋏を出して其の上に載せたる後銃手の操作を監視す
一番及び二番は協力して三脚架を据うべき位置に搬び脚を開きて之を立て一番は開脚螺桿の圧螺を廻わし開脚板を十分圧したる後緊定羅を緊め二番は各脚の履板を開きて駐栓を挿し次で一番及び二番は協力して軸室を概ね垂直ならしむる如く脚を据え之を十分地面に圧定し銃長は付属箱より照準弧板を出して之を銃耳托架に挿入し二番は銃耳蓋を開く
一番及び二番は銃の左側にて夫々其の後端及び前端付近に於て之に面し概ね左股を水平にする如く右膝を屈して地に著け協力して銃を装填孔を下方にして各々左股 載せ銃長と共に銃覆を脱し銃長は之を付属箱の傍に置き一番は右(左)てにて右方握把(逆鉤駐子室の前部)を握り二番は左(右)手にて銃口部(「ガスポンプ」中央部)を握り協力して銃を携えて起ち三脚架の位置に搬び銃耳托架に載せ二番は銃耳蓋を閉じて駐栓を挿し一番は照準弧板と弧板駐子とを結合したる後駐栓を挿す
銃長は適時弾薬箱を第五図の位置に搬び付属箱より照準環及び照門を出して各々確実に坐に装し連接桿駐環を銃耳托架の連接桿軸に連結す
一番は銃耳托架の駐栓を抽き銃を上下、左右に動かし照準機能を検し弧板圧螺及び銃耳托架圧螺を適当に緊めたる後銃を示されたる方向に向け約三十度の射角を与う
銃長、一番及び二番は所用の脚固定材料を用い脚を固定す
銃手は銃の要部を点検し銃長は要すれば装弾を点検せしむ
銃を据えれば銃長以下定位に就き操作に便なるべき姿勢を取る
第七十九
銃を撤去せしむるには左の号令を下す
撤去
銃長以下
第七十八
と概ね反対に操作す
第八十
射撃は直接照準に拠り射法は主として点射を用い時として対空射撃にとては追射を、地上の目標に対しては薙射若くは追射を用うることあり
第八十一
対空射撃を為さしむるには予め目標、航速、射法、射距離を示したる後発射せしむるものにして例えば左の号令を下す
目標右前方先頭の飛行機
三百粁(航速百二十)
点射
撃て
銃長は銃手の操作特に照準を監視し射撃の準備終われば「準備宜し」と報告す
一番は銃を示されたる目標に指向し右手にて槓桿を十分に引きたる後之を旧に復し二番は装填す
装填するには右手にて紙箱の頭部に近く、左手にて其の尾端を側方より共に四指を上方にして握り活塞後退しありやを検したる後保弾板を装弾輪条に載せ其の尾端を少しく上げ頭端を正しく準溝に向かわしめ一挙に短切なる力を加え活音を聞くまで挿入す
一番は両手にて握把を握り照準終わりたる後両手の食指を用心鉄の内側に入れて伸ばし「宜し」と唱う
「撃て」の号令にて一番は好機を捉えて発射し二番は連続装填す
第八十二
地上の目標に対し射撃を為さしむるには予め目標、射法、射距離、発射連数などに関し所要の事項を示したる後発射せしむるものにして例えば左の号令を下す
目標一本松の左二十の機関銃
点射
四百
三連
撃て
銃長は銃手の操作を監視し射弾の景況に注意し要すれば照準点の修正を命ず又所命の連数を撃ち終われば「撃終わり」と報告す
一番は射距離を号令せらるるや之を照尺に装して其の結果を銃長に報告し「撃て」の号令にて一番は直ちに発射す
二番は所命の連数を連続装填し撃終われば「撃終わり」と銃長に報告して続きて装填す
以上の外銃長以下
第八十一
に準じ操作す
第八十三
射撃を中止せしむるには左の号令を下す
撃方待て
一番は引鉄を放つ但し弾薬を射尽くしあるときには二番は直ちに装填す
第八十四
射撃を止めしむるには左の号令を下す
撃方止め
銃長は銃手の操作特に弾薬の抽出を監視す
一番は引鉄を放ち右手を以て槓桿を引き二番は右手の食指を以て碍子を左方に引きたる侭左手を以て保弾板を抽出し一番は薬室内を点検したる後槓桿を保持したる侭左手を以て引鉄を引き槓桿握把の前端照尺に達せんとするとき左手にて先ず装弾輪を次で薬莢蹴出窓蓋を閉じ槓桿を旧に復し照尺を装しあるときは之を三百に復し銃の方向及び高低を正す
二番は弾薬を弾薬箱に収め其の蓋を閉ず
操作終われば銃長以下定位に立つ
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