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砲兵射撃教範
第一篇 射撃に関する定説
第二章 遮蔽距離、遮蔽角、最低表尺、最高表尺、遮蔽度
第二十一
遮蔽距離
シャヘイキョリ
とは遮蔽頂を通する弾道(最低弾道)の落点より遮蔽頂に至る水平距離を謂う
遮蔽角
シャヘイカク
とは砲身軸の延線を遮蔽頂に通せしめたるとき此線と水平面とにて成す角を謂う
(第八図)
野、騎、山砲及十加に在りて遮蔽距離と遮蔽角とは略ゝ左式の如き関係を有す
野、騎砲及十加
D=40α
山砲
D=20α
Dは遮蔽距離(米)
αは遮蔽角(密位)
野、騎砲に在りて射距離約千五百米以下、山砲に在りて射距離約二千米以下、十加に在りて射距離約三千米以下なるとき 前項の式に依り算定せる遮蔽距離は実値より稍々小なることに注意するを要す 又最低弾道の弾着点 砲口と同一水平面上に在らざるとき 其高低角を遮蔽角より減じたるものをαに代用して求めたるDは遮蔽物より弾着点に至る距離なり
(第九図)
第二十二
最低表尺
サイテイヘウシャク
とは低射界に在りて最低弾道の弾着点付近の高度角を取りたるとき 其弾道に応ずる表尺距離を謂う
死界
シカイ
とは弾着点と遮蔽頂との中間地帯を謂う
砲車位置遮蔽頂に近きときは 遮蔽頂の僅少なる高低差も最低表尺に交感すること大なるに注意するを要す
第二十三
最高表尺
サイコウヘウシャク
とは低射界に在りて現在の架尾設備を以って射撃し得る最大の射角に応ずる弾着点付近の高低角を取りたるとき 射撃し得べき表尺距離を謂う(第十図)
第二十四
遮蔽度
シャヘイド
とは砲車の直上にて敵眼と遮蔽頂とを連する線に至る高さを謂い 左式に依り之を求む
(第十図)
h=d(tanα-tanα´)
h
遮蔽度(米)
d
砲車より遮蔽頂に至る水平距離(米)
α
遮蔽角(度)
α´
敵眼及遮蔽頂を連する線と水平面とにて成す角(度)
略近似的に
h
求むるには
d
を粁数とし
tanα
に
α
(密位)を、
tanα´
に
α´
(密位)を代用することを得
野戦砲に在りて火光を暴露せしめざる為に要する遮蔽度の標準 左の如し
野、騎、山砲
四米
十五榴
六米
十加
五米
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