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 ▼第一次ソロモン海戦時、第八艦隊は輸送船団を攻撃すべきだったか。  山家 02/9/1(日) 14:09
   ┣Re:第一次ソロモン海戦時、第八艦隊は輸送船団を攻撃すべきだったか。  SUDO 02/9/4(水) 16:37
   ┃  ┗なぜ、第八艦隊は出撃したのでしょうか。  山家 02/9/5(木) 20:48
   ┣個人的意見  zono 02/9/4(水) 19:47
   ┃  ┗Re:個人的意見  山家 02/9/5(木) 21:15
   ┃     ┗Re:個人的意見  zono 02/9/11(水) 9:52
   ┃        ┗Re:個人的意見  山家 02/9/11(水) 22:02
   ┃           ┗言い出しっぺの名前  zono 02/9/13(金) 17:03
   ┗残弾数  strafe 02/9/8(日) 20:15
      ┗気になったこと  strafe 02/9/8(日) 20:36
         ┗Re:気になったこと  山家 02/9/9(月) 20:38

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 ■題名 : 第一次ソロモン海戦時、第八艦隊は輸送船団を攻撃すべきだったか。
 ■名前 : 山家
 ■日付 : 02/9/1(日) 14:09
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    Ans.Qに書き込んだところ、議論ボード向きでは、と指摘されたので、あらためて、こちらに書き込みます。

 第一次ソロモン海戦のとき、第八艦隊は、敵の護衛艦隊を撃破し、輸送船団を攻撃できる状況でしたが、引き上げを決断しました。私としては、敵の状況の詳細を艦隊司令部は把握していなかったこと、戦後の参謀長の艦隊の再編成に掛かる時間や弾薬不足になっていたという証言等から、後知恵なら言えるが、当時の決断としては非難はできないのでは、と思っていたのですが、別の戦史系HPで、鳥海の早川艦長は30分もあれば敵輸送船団を撃滅できたと言っている、弾薬不足も嘘だと言われました。それから後、私自身あらためて調べたのですが、鳥海の早川艦長が敵輸送船団攻撃の意見具申をしたのは確認できたのですが、それ以外のことは確認できませんでした。

 本当のところ、第八艦隊は、第一次ソロモン海戦後、敵輸送船団を攻撃すべきだったのでしょうか。それとも、史実の判断は非難できないものなのでしょうか。

 ───────────────────────────────────────  ■題名 : Re:第一次ソロモン海戦時、第八艦隊は輸送船団を攻撃すべきだったか。  ■名前 : SUDO  ■日付 : 02/9/4(水) 16:37  -------------------------------------------------------------------------
    船団を叩くには、周辺の残存敵護衛戦力の掃討が先ず持って要求されます。第八艦隊の残存弾薬を輸送船団に叩き込む前に、まだ浮いてる敵艦や、取り逃がした敵艦を始末しないと安心して船団を襲えません。
 これが困難であるというのが第八艦隊司令部の判断だったというだけの事でしょう。隊列を整えなおし、掃討と船団襲撃を果た後、近海に遊弋しているであろう敵空母の空襲を逃れるのは無理であるとの判断でしょうし、それは誰が見ても極当たり前の判断です。

 そして忘れがちなのですが、第八艦隊には重巡5隻しか第二合戦を行える戦力が無かったのです。本来ならば、そういった細細とした任務に充当できる軽巡・駆逐艦の頭数も残弾も無かったのです(この海戦に参加した軽巡以下には魚雷の急速次発装填機能がありませんし、砲弾や燃料も厳しかったでしょう)
 本来の日本軍の交戦スタイルならば、重巡が敵護衛戦力を始末し、軽巡以下が船団に殺到するのが望ましかったのでしょうが、それが果たせなかった時点で、作戦は失敗していたと見ても良いでしょう。
 弾薬の残りが如何だとか、鳥海ならば30分で色々出来たと言うのは、あくまでも事象の一部でしかなかったと考えます。

 ───────────────────────────────────────  ■題名 : なぜ、第八艦隊は出撃したのでしょうか。  ■名前 : 山家  ■日付 : 02/9/5(木) 20:48  -------------------------------------------------------------------------
    SUDOさま、詳細な回答をありがとうございます。

 私も同様に考えていたのですが。山本連合艦隊司令長官も、この判断を非難している。それなら、何故、第八艦隊は、出撃したのか。輸送船団撃滅を目的に出撃した以上、第八艦隊は、任務に忠実に輸送船団を攻撃すべきだった。それにより、第八艦隊は、大損害を蒙る危険性があったにしても、あそこで引き返すと言うのは、任務放棄だと反論されました。

 第八艦隊は、重巡5隻、軽巡2隻、駆逐艦1隻、という私の見る限りアンバランスな編成です。輸送船団の護衛艦隊を攻撃し、更に輸送船団を攻撃するのは、SUDOさまの言われることからすると、出撃前に困難だと分かりそうにも思われてきます。

 なぜ、第八艦隊は出撃したのでしょうか。輸送船団ではなく、敵艦隊を攻撃目標として出撃したのでしょうか。

 ───────────────────────────────────────  ■題名 : 個人的意見  ■名前 : zono <zono@imcs.mse.kyutech.ac.jp>  ■日付 : 02/9/4(水) 19:47  -------------------------------------------------------------------------
    伊藤正徳著の「連合艦隊の栄光」では、輸送船団の撃滅は当初の目的だったが、襲撃が終わったあとに敵の空襲圏から無事に離脱することが司令部首脳の関心の第一にあった、そして第8艦隊は完全に戦場からの撤退に成功している(最後になって潜水艦の雷撃で「加古」を失いましたが…)、よって輸送船団を打ち漏らしていたとしても戦場からの離脱に成功した以上、第8艦隊首脳部を咎めるにあたらない、と言うような内容のことが書いてありました。

 また同書には、実は第一次ソロモン海戦の直後(襲撃数時間後)に、空母ワスプからの艦載機が第8艦隊を襲撃できた可能性があった、と言うことも書いてありました。これによるとワスプの艦載機は夜間発進の訓練を受けており、ワスプ艦長の意見申請を司令部が握りつぶさなければ、夜明け前までに第8艦隊に夜間空襲が行われていた…という話です。
 もちろんこの経緯は第8艦隊は知る由もないでしょうが、「空母が近海にいる、作戦が成功しても朝までに少しでも空母艦隊から遠ざからねば」という観点で作戦を立案・実行したことがこの作戦の成功に繋がったと考えます。
(撤退後に第8艦隊は、第11航空艦隊に上空援護を要請しています。空母対策について可能な限り万全を尽くしたのでしょう。)

 またおそらくご存知の事だと思いますが、この夜襲とラバウルからの長距離空襲のために、目標となっていた輸送船団は結局積荷の半分も下ろさずに(確か海戦の翌日に)撤退しています。よって(結果論ではありますが)仮に輸送船団を攻撃していたとしても、ガタルカナルの戦況に極端な変化が発生したとは思いがたいのです。

 長くなりましたが、結論としては、輸送船団撃滅のメリットと空襲のリスクを天秤にかけるとやはり後者が重大な問題であり、よって史実の判断は誤りとは決して言えない、と私は判断します。

 ───────────────────────────────────────  ■題名 : Re:個人的意見  ■名前 : 山家  ■日付 : 02/9/5(木) 21:15  -------------------------------------------------------------------------
    zonoさま、詳細な回答をありがとうございます。

 空母ワスプの艦載機による夜間空襲の話しは、全然知りませんでした。もし、それが実現していたら、第八艦隊は夜間空襲を受けていたかもしれません。そうなっていたら、第一次ソロモン海戦に対する世評もまた変わったかもと思いました。

 つい最近も雑誌記事において、第一次ソロモン海戦で第八艦隊は輸送船団を攻撃すべきだったと主張してあるのを読みました。私の誤解かもしれませんが、第一次ソロモン海戦で第八艦隊は輸送船団を攻撃すべきだったという方は、結構おられるみたいです。いつ頃から、このように言われるようになったのでしょうか。私の確認した中で、一番古いのは高木氏の「連合艦隊ついに勝つ」あたりなのですが。

 ───────────────────────────────────────  ■題名 : Re:個人的意見  ■名前 : zono <zono@imcs.mse.kyutech.ac.jp>  ■日付 : 02/9/11(水) 9:52  -------------------------------------------------------------------------
   >  つい最近も雑誌記事において、第一次ソロモン海戦で第八艦隊は輸送船団を攻撃すべきだったと主張してあるのを読みました。私の誤解かもしれませんが、第一次ソロモン海戦で第八艦隊は輸送船団を攻撃すべきだったという方は、結構おられるみたいです。いつ頃から、このように言われるようになったのでしょうか。私の確認した中で、一番古いのは高木氏の「連合艦隊ついに勝つ」あたりなのですが。

もう一度先に述べた「連合艦隊の栄光」を見直してみたのですが、この話の最初の出所は実はアメリカ側だったそうです(名前などは失念。ある艦の艦長だった)。 この人が、半ば負け惜しみ(ととれなくもない?)で言った、「日本側は輸送船団を撃滅しに行ったのに、結局輸送船団を叩けなかった、だから第一次ソロモン海戦はアメリカ側の勝利である(!)」という言葉が誤解されて世に伝わり、また事実「輸送船団攻撃」を考えていた人物が日本側にもいたことから、さらに話が広まったものと思われます。
 しかしながらこれを否定できる論拠もあるわけで、同書にはその理由として「もともとの作戦計画(時計の針を逆に回す奇襲作戦)」と、さらには「陸軍からの楽艦論」があったとされています。
 前者については詳しい説明は省略しますが、後者について述べれば、第8艦隊出航前に行われた陸軍第17師団との会議の際に、「陸軍としてはアメリカ兵を少数の兵で撃破出来る自信がある、敵の上陸大いに結構、追い落とすまでだ」といった趣旨のことを陸軍側が発言し、三川司令長官も(アメリカ陸軍が強いという話を聞いたことがない、という理由もあり)これに納得したことから、第8艦隊首脳部は「輸送船団の護衛艦隊を片付けるのは我々の仕事だが、そのあとで上陸軍を片付けるのは陸軍の仕事、輸送船など、直後に行われるであろう反攻作戦で陸軍が勝ってくれれば関係ない」という前提で作戦に臨んだのかもしれません。

 ───────────────────────────────────────  ■題名 : Re:個人的意見  ■名前 : 山家  ■日付 : 02/9/11(水) 22:02  -------------------------------------------------------------------------
    zonoさま、重ね重ねどうもありがとうございます。

 米側が最初に言い出したのですね。

 ───────────────────────────────────────  ■題名 : 言い出しっぺの名前  ■名前 : zono <zono@imcs.mse.kyutech.ac.jp>  ■日付 : 02/9/13(金) 17:03  -------------------------------------------------------------------------
   >山家さん
 第一次ソロモン海戦における「輸送船団を撃ち漏らしたから〜」の話ですが、「連合艦隊の栄光」を先日読み直した結果、誰が最初に言い出したかわかりました。
 その人とは、この海戦で沈められた「ヴィンセンス」艦長のリーフコール大佐だそうです。
 米海軍最大級の敗北の当事者ですから、このようなことを言って自分たちを慰めたくなる気分も分からないでもないのですが…。

 ───────────────────────────────────────  ■題名 : 残弾数  ■名前 : strafe  ■日付 : 02/9/8(日) 20:15  -------------------------------------------------------------------------
   >弾薬不足も嘘だと言われました

砲弾数はわからないのですが、搭載魚雷数と発射魚雷数は次のようらしいです。

鳥海 搭載数24本中8発射
古鷹 搭載数16本中8発射
加古 搭載数16本中8発射
青葉 搭載数16本中13発射
衣笠 搭載数16本中8発射
天龍 搭載数12本中8発射
夕張 搭載数8本中4発射
夕凪 搭載数8本中発射数不明

残魚雷数が二次攻撃に足るものだったのかどうかはわかりません。じつはこの数字も所謂「戦史系HP」からの引用でして。ただしそのHPでは、三河中将の判断に対して明確な評価はしていません。
弾薬不足が嘘なのか?では件の「戦史系HP」には残弾数は明示されていたのか?そしてどれだけの定数に対してどれだけの残数だと弾薬不足になるのか?
私もそれを知りたいのです。

 ───────────────────────────────────────  ■題名 : 気になったこと  ■名前 : strafe  ■日付 : 02/9/8(日) 20:36  -------------------------------------------------------------------------
   山家さんの最初の書き込みでは、「嘘だ」と言ったのが鳥海の早川艦長なのか件の戦史系HPでの発言者なのか判別できなかったものでして。
鳥海の艦長が二次攻撃を意見具申したというのはよく見聞きしますが、二次攻撃しなかった理由を「嘘だと言」ったというのは初耳(初見)なもので。

 ───────────────────────────────────────  ■題名 : Re:気になったこと  ■名前 : 山家  ■日付 : 02/9/9(月) 20:38  -------------------------------------------------------------------------
    私自身は原文を確認できていないので、気が引けるのですが。

 戦史系HPの発言者の方が、自分の主張の根拠として挙げておられたのは、森本忠夫氏の「ガダルカナルの勝者と敗者の研究」で、戦史叢書等からの引用として、魚雷をほとんど射耗はすぐばれる虚偽であり、大西参謀長の再突入に2時間掛かるという主張も信憑性に乏しく、直ちに三川提督が手元の4隻を率いて、輸送船団を攻撃すれば、輸送船団は撃滅できた等と書いてあるそうです。嘘と言ったのは、早川艦長ではありません。戦史系HPの発言者の方です。

 どうも、誤解を招く書き込みをし、本当にすいませんでした。

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