Page 55 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 通常モードに戻る ┃ INDEX ┃ ≪前へ │ 次へ≫ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ▼アメリカは何処へ行くのか? Edwerd 02/5/21(火) 22:05 ┣Re:アメリカは何処へ行くのか? ささき 02/5/22(水) 13:24 ┃ ┗Re:アメリカは何処へ行くのか? Edwerd 02/5/22(水) 22:25 ┃ ┗正義のアメリカと邪悪なるテロリズム ささき 02/5/24(金) 11:25 ┃ ┗Re:正義のアメリカと邪悪なるテロリズム Edwerd 02/5/24(金) 16:34 ┃ ┗Re:正義のアメリカと邪悪なるテロリズム ささき 02/5/28(火) 4:15 ┃ ┗Re:正義のアメリカと邪悪なるテロリズム Edwerd 02/5/28(火) 21:47 ┃ ┗Re:正義のアメリカと邪悪なるテロリズム ささき 02/5/29(水) 3:58 ┃ ┣Re:正義のアメリカと邪悪なるテロリズム Edwerd 02/5/29(水) 21:02 ┃ ┗Re:正義のアメリカと邪悪なるテロリズム Edwerd 02/5/29(水) 21:05 ┣かなり偏ってますが。 R 02/5/22(水) 16:36 ┃ ┣軍需産業の陰謀説は ニルス曹長 02/5/22(水) 16:59 ┃ ┃ ┣土建屋。 紅葉饅頭 02/5/22(水) 17:42 ┃ ┃ ┃ ┗戦争は儲かるか? Sparrow 02/5/22(水) 21:50 ┃ ┃ ┃ ┗Re:現代の戦争は儲からない? TAKA 02/5/23(木) 0:52 ┃ ┃ ┗Re:陰謀説の出る割に ooi 02/5/22(水) 21:42 ┃ ┃ ┗Re:陰謀説の出る割に とと 02/5/23(木) 15:48 ┃ ┃ ┗Re:陰謀説の出る割に 烈風改 02/5/24(金) 4:33 ┃ ┗Re:かなり偏ってますが。 Edwerd 02/5/24(金) 9:30 ┣アメリカ一人勝ち TETSU29 02/5/22(水) 19:21 ┃ ┗Re:アメリカ一人勝ち Edwerd 02/5/24(金) 9:28 ┣政治的駆け引き アリエフ 02/5/22(水) 22:52 ┃ ┣Re:政治的駆け引き 勝井 02/5/22(水) 22:58 ┃ ┗Re:政治的駆け引き Edwerd 02/5/24(金) 9:34 ┃ ┗対イラク全面攻撃の条件 アリエフ 02/5/24(金) 22:37 ┗Re:アメリカは何処へ行くのか? Schump 02/5/23(木) 13:49 ┗Re:アメリカは何処へ行くのか? Edwerd 02/5/24(金) 5:12 ┗Re:アメリカは何処へ行くのか? Schump 02/5/24(金) 23:47 ┗Re:アメリカは何処へ行くのか? Edwerd 02/5/25(土) 7:14 ─────────────────────────────────────── ■題名 : アメリカは何処へ行くのか? ■名前 : Edwerd ■日付 : 02/5/21(火) 22:05 ■Web : http://www.interq.or.jp/venus/edwerd/wm.htm -------------------------------------------------------------------------
先週、日曜午後に放送されている「ワシントン・レポート」にて、アメリカの対テロ戦争の行方に関する放送を観ていた時、ふと、以前に何処かのバラエティ番組で写真家の加納典明が、「アメリカはいつも正しいのかよ!この地球はアメリカのものなのかよ!」と至極単純明快で純粋すぎる問い掛けをコメントしていたのを思い出した。 上の日高さんの番組では、現在、アメリカが展開しつつある戦争が、アラブ世界とイスラエルの対立や、朝鮮半島での紛争をも含めた「第4次世界大戦(第3次は東西冷戦を指しているようです。)」と呼べるものとして捉えいた。 しかし、この様な人類史の大きな転換点となる様な大きな歴史的変動が起きてはいても、その歴史的意義の大きさというものは後世の人々が後に歴史を振り返って観た時ほど当事者に強く意識される事はなく、現在、その渦中にあるはずの現代の人々にとっては案外と、その当事者意識なるものが希薄なように感じるのはどうしてだろう? 日常の世事に追われる現代人とは言え、かような問題を論じてみたく、久しぶりに設問を挙げてみたい思います。 上の番組の見解では、アメリカは「その本土を攻撃された」という事実に基づいた集団的自衛権の発動という「大義名分」をもって、イスラム原理主義組織を筆頭とするテロ組織を相手にした本格的な戦争に乗り出し、今年の秋から来年春には再度のイラク攻撃を実施して、テロ国家(もしくはそれを支援する政権)の撲滅を目指している。実際に今のブッシュ政権の置かれた状況はそれを可能とするチャンスに恵まれており、アメリカの対中東・東アジア戦略は今までにない変化を始めているという。 私は政治的・道徳的な問題は抜きにした純粋な軍事戦略的観点だけから観て、今回のブッシュ政権が採った政策は基本的に正しいとみている。対テロ戦争というものは、今まで以上により高度な「ゲリラ戦」を闘うものに相違なく、この様な不正規戦争においては、目に見える敵だけを相手にしていてもベトナム戦争の様にいたずらに事態の長期・泥沼化を招くだけで、決定的な勝利は望めない。その意味で、今回のアフガンへの攻撃だけに留まらず、テロとそれを経済的に支援する勢力からなるテロ・ネットワーク全体を攻撃の対象にするアメリカの戦略は、結局、現時点における問題解決への最も早い近道だと思う。 とは言え、アメリカが採る戦略は、その過程における状況や攻撃対象国に応じて、直接的な軍事攻撃や、経済制裁、外交攻勢を含めた多角的なものとなるだろうし、この軍事戦略全体の完遂には時間がかかる。その中で最も重要なポイントとなる「イラクに対する攻撃」において、アメリカは先の番組で構成していた様なバクダットの占領の様な決定的な勝利を迅速に収め得るのだろうか?純粋に技術的な観点からの見解のみならず、政治的、歴史的な観点からの意見も幅広く含めて、みなさんからの御意見をお聞かせ下さい。 |
> 私は政治的・道徳的な問題は抜きにした純粋な軍事戦略的観点だけから観て、今回のブッシュ政権が採った政策は基本的に正しいとみている。対テロ戦争というものは、今まで以上により高度な「ゲリラ戦」を闘うものに相違なく、この様な不正規戦争においては、目に見える敵だけを相手にしていてもベトナム戦争の様にいたずらに事態の長期・泥沼化を招くだけで、決定的な勝利は望めない。その意味で、今回のアフガンへの攻撃だけに留まらず、テロとそれを経済的に支援する勢力からなるテロ・ネットワーク全体を攻撃の対象にするアメリカの戦略は、結局、現時点における問題解決への最も早い近道だと思う。 私は「テロリスト・ネットワーク」というものが実在するのかどうか懐疑的です。 そもそも武力による対テロ戦争というものが成立し得るのでしょうか? 貧困はテロの温床、という格言があります。 生活に不満のあるところからは何時何処からでもテロリストが出現します。 政治的・道義的・宗教的な動機づけなんて後付けで幾らでも付いてきます。 > とは言え、アメリカが採る戦略は、その過程における状況や攻撃対象国に応じて、直接的な軍事攻撃や、経済制裁、外交攻勢を含めた多角的なものとなるだろうし、この軍事戦略全体の完遂には時間がかかる。その中で最も重要なポイントとなる「イラクに対する攻撃」において、アメリカは先の番組で構成していた様なバクダットの占領の様な決定的な勝利を迅速に収め得るのだろうか?純粋に技術的な観点からの見解のみならず、政治的、歴史的な観点からの意見も幅広く含めて、みなさんからの御意見をお聞かせ下さい。 イラクがテロリストの温床であり、世界的テロリスト・ネットワークを操って アメリカに「形なき戦争」を仕掛けている、という説明には私はどうも納得 しかねます。仮にそうだとしても、武力攻撃だけでそれを撲滅することが 可能だとは思いません。 「悪いのは全てテロリストであり、その元凶はイラクの狂った独裁者 サダム・フセインにある」 という説明は、アメリカの政治家達が自らの外交政策の失敗を糊塗するために 作り出した詭弁に思えます。 アメリカが「真に戦うべき相手」の姿を見極めない限り、「対テロ戦争」は 拳骨の空振りに終わるのではないでしょうか? |
> 私は「テロリスト・ネットワーク」というものが実在するのかどうか懐疑的です。 アメリカが自己の正当性を主張する為に誇大に喧伝している部分も確かに否定できませんが、実在していないとは言えないでしょう。ヨーロッパや南米に散在するテロ組織との「横の連携」というネットワークが強固に存在している、とは言いません。しかし「9.11」のテロ自体、資金的に安上がりな方法には違いないが、テロ組織の維持には多額の資金が必要である以上、オイル・マネーが水面下で供給されているのは想像に難くなく、少なくともその意味での縦割りのネット・ワークは確実に存在しているのでは。 > そもそも武力による対テロ戦争というものが成立し得るのでしょうか? > 貧困はテロの温床、という格言があります。 > 生活に不満のあるところからは何時何処からでもテロリストが出現します。 > 政治的・道義的・宗教的な動機づけなんて後付けで幾らでも付いてきます。 私もそれが武力(「直接的な軍事攻撃」)のみで成し得るとは思いませんし、既に述べている様にその実力行使にあたってはその他の手段(経済・外交的圧力を含めた多角的な戦略)を伴う必要がありますが、しかし現実的に、武力行使を伴わなくとも問題を解決できるとも思えません。 ささきさんのおっしゃる様に、世界のほとんどの紛争の根幹にあるのは南北問題に代表される「貧富の格差」にあるのに相違ないでしょう。けれど、先の意見が「武力によってテロは根絶できない」という意味ならば、それは理想主義に過ぎるのでは。何故なら現代の世界で「資本主義」なる経済システムが主流を占めているいる以上、真に経済的弱者を無くす為の積極的な「富の再分配」など何世紀かかっても実現するはずも無いだろうし、それ故に絶える事のないだろう「テロ」と言う名の手段をもってする弱者の闘争を、ただ座して手をこまねいているだけで国益を守れる程、人間の持ち得ている社会システムは完成されてないからです。 つまり、根本的な問題解決が現在の社会システムからして早期に実現し得ない以上、自国の国益を守るというアメリカの立場からすれば、実際に直面している問題の対応策として「力には力でもってあたる」という方法が否定できない事実であろうと言う事なのです。そしてその行使にあたってアメリカが「テロを行う側」に対抗して下手な理論武装を行なうのは陳腐であろうし、またその必要もないと考えます。 > イラクがテロリストの温床であり、世界的テロリスト・ネットワークを操って > アメリカに「形なき戦争」を仕掛けている、という説明には私はどうも納得 > しかねます。仮にそうだとしても、武力攻撃だけでそれを撲滅することが > 可能だとは思いません。 > > 「悪いのは全てテロリストであり、その元凶はイラクの狂った独裁者 > サダム・フセインにある」 > > という説明は、アメリカの政治家達が自らの外交政策の失敗を糊塗するために > 作り出した詭弁に思えます。 > > アメリカが「真に戦うべき相手」の姿を見極めない限り、「対テロ戦争」は > 拳骨の空振りに終わるのではないでしょうか? アメリカが対イラン政策に始まる中東政策の失敗を棚に上げるのは確かに大国のエゴに過ぎないでしょう。しかしそれ故にフセインに力を与えてしまったアメリカ自身にはしっかりと自らが捲いた種を刈ってもらう義務があると思うし、中東の石油に依存せざるを得ない日本という国に属する者の立場からして、日本や他の先進資本主義国に代わってアメリカが積極的にコミットする対中東政策を支援する義務もまたあると考えます。 また、アメリカがと言うより、先進資本主義国全体が見据えなければならない「真に戦うべき相手(或るいは真に解決すべき問題と解釈しますが)」というのも判りますが、だからと言ってそうした正論に則った方法で実際に直面している現実問題を速やかに解決できると考えるのは、いささか「対岸の火事を眺める」様な当事者意識の希薄な物の見方と感じてしまいます。 |
> アメリカが自己の正当性を主張する為に誇大に喧伝している部分も確かに否定できませんが、実在していないとは言えないでしょう。ヨーロッパや南米に散在するテロ組織との「横の連携」というネットワークが強固に存在している、とは言いません。しかし「9.11」のテロ自体、資金的に安上がりな方法には違いないが、テロ組織の維持には多額の資金が必要である以上、オイル・マネーが水面下で供給されているのは想像に難くなく、少なくともその意味での縦割りのネット・ワークは確実に存在しているのでは。 テロを動かす原動力はカネです。大義名分なんてどうでもいい。 それは時としてアメリカ自身が撒いた種でもあり、時として 身に覚えのないことでもあったりするでしょう。 しかし、もはや因果関係はどうでも良いのかも知れません。 大事なのは自らの利権のためにテロリズムを利用する国家が 存在すること。そのテロリズムが自国に向けられるならば、 武力を持ってでもそれを防がなければならないこと。 原因はどうあれアメリカが「攻撃される」立場になってしまった今、 彼等は身を守らねばなりません。そして最も即効性の期待できる 手段が「武力攻撃」…まぁ、それは理解できないこともないです。 でも、これは即効性はあっても持続性はありませんよ。 > ささきさんのおっしゃる様に、世界のほとんどの紛争の根幹にあるのは南北問題に代表される「貧富の格差」にあるのに相違ないでしょう。けれど、先の意見が「武力によってテロは根絶できない」という意味ならば、それは理想主義に過ぎるのでは。 人間が神でも仏でもない欲のある存在である以上、この世に貧富の格差の ある限り(規模はともあれ)テロは起きるでしょう。 We are living in NOT a perfect world.悲しいことですがね。 それを武力によって一時的に制圧しても、いずれまた出てきます。 ひょっとすると米国の国内からでも。既に「オクラホマ・ボマー」という 立派な実例がありますね。例の炭素菌事件もウヤムヤですが、米国内の 不満分子が旅客機テロに乗じて行った便乗事件だった線も消せません。 これも一つの「戦うべき敵」でしょう。 > また、アメリカがと言うより、先進資本主義国全体が見据えなければならない「真に戦うべき相手(或るいは真に解決すべき問題と解釈しますが)」というのも判りますが、だからと言ってそうした正論に則った方法で実際に直面している現実問題を速やかに解決できると考えるのは、いささか「対岸の火事を眺める」様な当事者意識の希薄な物の見方と感じてしまいます。 私は市民権こそ持っていませんがアメリカに居住しています。 だから部分的に当事者でもあり傍観者でもあると思っています。 私の現在の上司は生粋のアメリカ人ですが、彼と戦争について話す 機会があったとき「何故日本はパールハーバーをやったんだ?」と 聞かれました。アメリカの学校では凶悪な侵略性帝国主義である 日本がナチスと組んでアメリカに一方的な攻撃を仕掛けてきたと 教えられているが、いくら何でも日本人がそこまで向こう見ずだった とは思えない、と。 そこで 1920 年代の大恐慌、経済復興の失敗、軍部の台頭、満州・中国 への進出、アメリカとの利権衝突、ワシントン条約と石油問題、 経済封鎖、交渉の決裂に至るまでを簡単に説明したのですが…。 彼は「そんな事情があったとは初めて聞いた」と驚いていました。 アメリカでは第二次大戦は「正義と邪悪」の衝突であったと考えられ、 最後の「よい戦争」であったという解釈が一般的です。 それは理解しやすく心地よい解釈ですが、事実の一面しか捕らえていません。 その結果、アメリカはベトナムで手痛い教訓を得ました。 しかし湾岸戦争以降、「負けさえしなければ戦争は悪いものではない」 という楽観的な解釈が再び盛り上がっています。あのベトナムの惨めな 敗北さえ「やり方が悪かったから負けたんだ、ちゃんと戦争してたら 俺達は勝っていた」という風に解釈されつつあります。 凶悪なテロ事件再発を防止しアメリカの国益を守るため、とりあえず 現時点でテロを発動しそうな国家に対し牽制攻撃を当たえることも 必要でしょう。しかし、それを「正義と邪悪」の衝突として捕らえ 「何故アメリカが攻撃されたのか?」を忘れてしまうのでは、いずれ ベトナムの二の轍を踏むのではないかと思います。しかし今のアメリカでは 感情論が先行してしまい、事実を冷静に見ることができなくなっている ように思います。 ★政治的・道義的な話になってしまいましたね、済みません★ |
> 原因はどうあれアメリカが「攻撃される」立場になってしまった今、彼等は身を > 守らねばなりません。そして最も即効性の期待できる手段が「武力攻撃」… > まぁ、それは理解できないこともないです。 > でも、これは即効性はあっても持続性はありませんよ。 これは「武力攻撃によってテロを根絶する」=「世界中からテロをなくす」と捉えた上での反論と解釈しますが、私は少なくともアメリカ本土に対するテロを実行するに足る行動力や資金力を持ったテロ組織に打撃を与え、その活動を(半永久的になどと言うつもりはありませんが)停止させるという意味で、今回のアメリカの行動がその効果の持続性を期待できるだけの徹底性と確実性を持たなければ行動する意味がないと思う。 先の湾岸戦争などは大戦後にアメリカの行った大規模軍事介入の中で、表面的には成功を収めた例として捉えられているが、アメリカの中東政策の一環として眺めてみれば、イラクに対する外交政策の失敗のツケを慌てて払わされて、自らの尻拭いを(完全にではないが)行ったという事に過ぎない。父親の方のブッシュは、開戦間際には神経症にかかる程の状態だったと聞く程に、その時のアメリカはまだベトナムの後遺症から抜けきっておらず、一方的に一週間で地上戦を打ち切ってしまった。この結果、軍事的な勝利は得られはしてもアメリカの政治的立場からすれば、バクダットまで侵攻してフセイン政権を倒さなかったのは明らかな政治的失策に相違ない。しかしアメリカは今回の戦争においては、それがどの様にして得た機会であってもその機を逃さずに、その政治的目的を最後まで完遂するつもりだろうし、またその責任もあると考えます。 > 人間が神でも仏でもない欲のある存在である以上、この世に貧富の格差の > ある限り(規模はともあれ)テロは起きるでしょう。 > We are living in NOT a perfect world.悲しいことですがね。 > それを武力によって一時的に制圧しても、いずれまた出てきます。ひょっとする > と米国の国内からでも。既に「オクラホマ・ボマー」という立派な実例がありま > すね。例の炭素菌事件もウヤムヤですが、米国内の不満分子が旅客機テロに乗じ> て行った便乗事件だった線も消せません。 > これも一つの「戦うべき敵」でしょう。 おっしゃる通りだと思います。ただささきさんの文脈からは「努力しても無駄」というニュアンスを感じてしまいますが、しかし人類史において絶える事のない戦争やテロというものを最小限にでも押さえる努力は必要であろうし、そうでなければ世界は混沌とした闇に包まれたままです。少なくともテロの被害を被り、また直接的被害を被らなくとも間接的に(経済的になどの)被害を被る恐れのある国家が、その要因を排除するために国家が当然として保持するであろう権利としての自衛権を、「軍事力の行使」という形で発露する事に、人類の持つ未完成な社会システム中にあってはどの様な国家でも否定する事はできないでしょう。 > 私は市民権こそ持っていませんがアメリカに居住しています。 > だから部分的に当事者でもあり傍観者でもあると思っています。 > > 私の現在の上司は生粋のアメリカ人ですが、彼と戦争について話す機会があった > とき「何故日本はパールハーバーをやったんだ?」と聞かれました。 > アメリカの学校では凶悪な侵略性帝国主義である日本がナチスと組んでアメリカ> に一方的な攻撃を仕掛けてきたと教えられているが、いくら何でも日本人がそこ > まで向こう見ずだったとは思えない、と。 > そこで 1920 年代の大恐慌、経済復興の失敗、軍部の台頭、満州・中国への進 > 出、アメリカとの利権衝突、ワシントン条約と石油問題、経済封鎖、交渉の決裂 > に至るまでを簡単に説明したのですが…。> > 彼は「そんな事情があったとは初めて聞いた」と驚いていました。アメリカでは > 第二次大戦は「正義と邪悪」の衝突であったと考えられ、最後の「よい戦争」で > あったという解釈が一般的です。それは理解しやすく心地よい解釈ですが、事実 > の一面しか捕らえていません。その結果、アメリカはベトナムで手痛い教訓を得 > ました。 > しかし湾岸戦争以降、「負けさえしなければ戦争は悪いものではない」という楽 > 観的な解釈が再び盛り上がっています。あのベトナムの惨めな敗北さえ > 「やり方が悪かったから負けたんだ、ちゃんと戦争してたら俺達は勝っていた」 > という風に解釈されつつあります。 私はヨーロッパに行った事はありますが、アメリカ本土には一歩も足を踏み入れた事がなく、アメリカ人の上司の方とこういう話題を交わす事ができるなんてなんとも羨ましい限りです。私の職場の同僚にはこういう話題で対等に議論できる輩なぞいなくて、例え何かの弾みでそういう話題を振ったとしても、大抵、相手は沈黙してしまうか、ましな方で「ハッハッハツ…」と受け流すかで、ゲームや車やアイドルの話題も良いけど(私自身、その手の話もきらいではないですが)、「たまにはニュースの一つでも観ようよ」と言いたくなるくらいのものでしかありません。 個人的な質問になって大変申し訳ありませんが、ささきさんのその上司の方ですが、「1920 年代の大恐慌、…… 交渉の決裂に至るまで」等を全く知らなかったと言うのは、失礼ですが平均的なアメリカ人の知識レベルとは言えませんよね?たまたまその方が歴史にそれ程興味がなく、アメリカのハイ・スクールまでの一般教科書ではそこまで厳密な事実には言及せずに、「正義と邪悪」云々という観念論だけであの戦争を説明していたと言う事なのでしょうか?まあ、上司の方なので余り突っ込んだ個人的質問はできないでしょうが、できればその方との議論の話などをもう少し詳しく知りたいです。 > 凶悪なテロ事件再発を防止しアメリカの国益を守るため、とりあえず現時点でテ > ロを発動しそうな国家に対し牽制攻撃を当たえることも必要でしょう。 > しかし、それを「正義と邪悪」の衝突として捕らえ「何故アメリカが攻撃された > のか?」を忘れてしまうのでは、いずれベトナムの二の轍を踏むのではないかと > 思います。しかし今のアメリカでは感情論が先行してしまい、事実を冷静に見る > ことができなくなっているように思います。 その通りだと思います。しかしそれほど多くのアメリカ国民が、戦勝国としての一方的な歴史観や、国家が国民世論の支持を得る為に啓蒙する様な「正義と邪悪」の観念論に囚われる程に単純なのでしょうか?かつて中曽根康弘が「アメリカにはプエルトリカンとか教育レベルの低い移民が数多くいて、識字率も低く、全体的に見た知識レベルは低い…」などとつい口を滑らして物議をかもしましたが、もしも一般的アメリカ国民の多くの知識水準が「良い戦争」などと言うものを本気で信じている程に低いのだとしたら、「アメリカは歴史が浅いだけでなく、底の浅い国」と言われるのも無理はないと言う他ありません。 私はそんな事はないと思っていますが、しかし事あるこどに危険な感情論を誘発しかねない稚拙な観念論を振りまわすのは力を持つ大国の奢りであろうという事は、「9.11」の事件からかなり時間を経てから冷静になって考えれば当のアメリカ人にも理解できる事であろうし、そんな感情論で国民を誘導しなければ世論の同意を得られないのであれば、その国は政治的に成熟した国家とは言えない(政治的三等国である国の国民が言うのもなんですが)。 私の個人的な意見では、当然「良い戦争」などと言うのは存在しないし、あるのは「(やるからには)勝たねばならない戦争」と「(結果として)負けてしまった戦争」の二つしかなく、言うまでも無く戦争は「悪」であり、人間の持つ未成熟な社会システムが残念ながらそれを「必要悪」として認めざるを得ないと言う事です。 > ★政治的・道義的な話になってしまいましたね、済みません★ そんな事はありません。政治と軍事は表裏一体の問題として捉えなければ意味がありませんし、道義的な問題も無視できるものではありません。確かに特定の専門的分野に関して深く洞察する事も大事でそれが必要な時もありますが、物事の本質を見極める上で、この様な議論を広い視野からバランス良く行わずに狭窄的な観点からのみで語る事は無用な偏見や誤解を招くもとになり兼ねません。ですから私は多角的な観点から議論するのにやぶ蚊さではないし、ささきさんのレスでは色々と勉強になり、真っ正面な意見を返して頂いて感謝しております。 |
>この結果、軍事的な勝利は得られはしてもアメリカの政治的立場からすれば、バクダットまで侵攻してフセイン政権を倒さなかったのは明らかな政治的失策に相違ない。 それをやっていたら、ベトナムの二の舞だったかも知れませんね。 >しかしアメリカは今回の戦争においては、それがどの様にして得た機会であってもその機を逃さずに、その政治的目的を最後まで完遂するつもりだろうし、またその責任もあると考えます。 それが可能なことなのかどうか、私は懐疑的なのです。 世の中は「悪の枢軸」と一言で片づけられるほど単純ではないでしょう? >おっしゃる通りだと思います。ただささきさんの文脈からは「努力しても無駄」というニュアンスを感じてしまいますが、 いや、努力することに意味があるとは考えています。一人一人が世の中を少しだけ 良くしようと思えば、世の中は良くなってゆくのではないかと。ただ、それが簡単には 実現できないし、そもそも「良い世の中」の定義が宗教や政治理念によって異なり それがまた争いの火種を生むという人類史の「業」みたいなものも感じていますが。 >少なくともテロの被害を被り、また直接的被害を被らなくとも間接的に(経済的になどの)被害を被る恐れのある国家が、その要因を排除するために国家が当然として保持するであろう権利としての自衛権を、「軍事力の行使」という形で発露する事に、人類の持つ未完成な社会システム中にあってはどの様な国家でも否定する事はできないでしょう。 アルカイダの連中も言うでしょう、ソ連の侵略を追い返した彼等はアフガニスタンの 地にイスラムによるイスラムの為の理想国家を作る筈だったのに、アメリカの一方的な 政治介入によってその存在を危うくされていると。あれはテロリズムではなく、彼等が 彼等の正義を貫く為に必要だった武力による報復であり一種の自衛権発動であると。 とても認め難い意見かも知れませんが、アメリカの言い分もまたアルカイダにとって 認め難いものかも知れません。同じ事はイラクにも北朝鮮にも言えるでしょう。 我々日本人はアメリカの論理によるアメリカの軍備、経済の傘の下で平和を謳歌して いるため、時にその平和を「当然そこに存在するもの」として考えてしまいます。 アメリカがその平和を守るために巨大な軍備予算を消費し、アメリカ(とその同盟圏) に刃向かう可能性のある地域に対し常に武力による威嚇を行っていること、その威嚇を 国家生存に関わる脅威と捕らえている国があることを忘れてはなりません。 でも、どちらの正義が正しいかなんて議論は神ならぬ人間にとって不毛です。 アメリカの傘の下で平和を謳歌する日本人が「アルカイダにも言い分はある」とか 「アフガニスタン人のためのアフガニスタンを考えよ」などと主張しても説得力は ありませんね。 > 個人的な質問になって大変申し訳ありませんが、ささきさんのその上司の方ですが、「1920 年代の大恐慌、…… 交渉の決裂に至るまで」等を全く知らなかったと言うのは、失礼ですが平均的なアメリカ人の知識レベルとは言えませんよね? いえ、彼は学歴もあり教養もあるふつのアメリカ人です。日本人だって「大正 デモクラシー」と呼ばれた華やかな時代から真珠湾攻撃に至るまでの世界史を ちゃんと説明できる人は少ないですよね? >たまたまその方が歴史にそれ程興味がなく、アメリカのハイ・スクールまでの一般教科書ではそこまで厳密な事実には言及せずに、「正義と邪悪」云々という観念論だけであの戦争を説明していたと言う事なのでしょうか? 教科書にどう紹介されているかは知りませんが、彼は「習った記憶はない」と言って いました。アメリカにとって「卑怯な日本軍の不意打ち」と「狂信的なカミカゼ」 「戦争終結の手段としてやむを得なかった原爆使用」という歴史解釈はごく一般的 です。それは現代の日本人にとっての「神がかり的かつ好戦的な軍部によって日本は 支配されており、国民は何も知らされていなかった」という歴史解釈の裏面です。 >国家が国民世論の支持を得る為に啓蒙する様な「正義と邪悪」の観念論に囚われる程に単純なのでしょうか? 作家の阿部工房氏は随筆「死に急ぐ鯨たち」のなかで「国家理念や愛国心という情念は 理性的な思考を麻痺させる」と書いていますが、まさに彼が指摘したのと同じ現象が アメリカで起こっているようです。廃虚と化したWTC跡地に消防士達が星条旗を 立てる写真を見れば、誰だって悲しみと怒りに打ちひしがれずにいられません。 そして、それがある意味では自分達が招いた惨事だとは思いたくないものです。 アフガニスタンの武装勢力を対共産主義の防波堤として使用し、ソ連が撤退したあとは 過激なナショナリズム台頭とそれによる中東情勢の混乱を恐れて武闘派を弾圧したこと。 ウサマ・ビン・ラディンと彼の率いる勢力が理性的な集団だとは思わないし、彼等が 行った行為は容認しがたい残虐非道な破壊行為ではありますが、彼等の台頭を許した のはアメリカの対中東政策が生み出した一つの結末だと思うのです。 もちろん、アメリカの中東政策が異なっていればあの惨劇を防げたかどうかは誰にも わかりません。その事について誰かの責任を探そうとするのはナンセンスですが、 しかし歴史から教訓を学ぶ努力はなされなければなりません。 アメリカ人でない私には、そう考える傍観者的な余裕があります。 しかし多くのアメリカ人にとっては、「何ということをしてくれやがったんだ」 「悪魔め」「目にもの見せてやる」「アメリカの力を思い知れ」という情念によって 理性的思考は麻痺してしまうのではないでしょうか。 「軍事力によるテロの撲滅」は耳当たりは良いですし即効性はあるでしょうが、 第二・第三のビンラディンが出現することを止める力はないと思うのです。 > 私はそんな事はないと思っていますが、しかし事あるこどに危険な感情論を誘発しかねない稚拙な観念論を振りまわすのは力を持つ大国の奢りであろうという事は、「9.11」の事件からかなり時間を経てから冷静になって考えれば当のアメリカ人にも理解できる事であろうし、そんな感情論で国民を誘導しなければ世論の同意を得られないのであれば、その国は政治的に成熟した国家とは言えない(政治的三等国である国の国民が言うのもなんですが)。 かつてのナチスドイツがそうであったように、民衆は単純で心地よい理念を求める ものです。アメリカは民主主義の国であり、政治家は民衆の支えなしには存在でき ません。 こういう時こそオピニオン・リーダーの冷静さが問われるところです。 戦前の日本のマスコミのように、二言目には「国辱」と叫び「大和民族の誇り」などと いった情念的文句で大衆を扇動するような言動は危険な兆候でしょう。 あの惨劇について、アメリカのマスコミでは「冷戦終結以降、軍事および情報戦の 予算が削減されたことにより、アフガニスタン地域に勃興しつつある危険な勢力を 早期に察知・撲滅することができなかった」という説明がなされています。 また、軍事力の行使については「事件再発を防ぐためにやむを得ない」とされ、 テロリズムの撲滅については「カンボジアがそうであったように、アフガニスタンに 平和的かつ民主的な政権を築かねばならない。軍事・外交両面にわたる長期的な 政策が必要になるであろう」とされています。 あくまでアメリカの論理によるアメリカ的な視点に終始してはいますが、しかし 一面の事実でもあるわけで、少なくとも「アフガニスタンに核を投下して皆殺しに してしまえ」等といった過激論が流布していないことを救いに思います。 |
> >この結果、軍事的な勝利は得られはしてもアメリカの政治的立場からすれば、バクダットまで侵攻してフセイン政権を倒さなかったのは明らかな政治的失策に相違ない。 > それをやっていたら、ベトナムの二の舞だったかも知れませんね。 果たしてそうでしょうか?私は、もしあの後も地上作戦を継続していたら、「ヴェトナムの二の舞になったかも知れない」と言うのは意見を異にします。 確かに先の湾岸戦争はアメリカにとってヴェトナム以来の初の大規模な軍事介入作戦であり、政治・軍部の指導者はもとより国民の間にもいわゆるヴェトナム後遺症が残っているとされました。しかしあの様な大規模な軍事作戦において(公式発表で)死者100人前後とされる(軍事史上では)希に見る少ない人的損失で軍事的勝利を収めた事でその懸念も杞憂に終わり、アメリカは(良くも悪くも)自身を取り戻していました(その結果、その後に続くアメリカの積極的な対中東政策がアラブ世界の人間の憎悪を買い、今回のテロの原因のひとつや、その直接的な引き金となったのですが)。 ヴェトナムの真の敗因は、軍及び政治指導層の(近代のゲリラ戦である)不正規戦争に対する認識の欠如と、政治指導力の不徹底、そうして戦争が長期化したが為の、発達したマス・コミュニケーションがもたらした国際・国内世論の反戦の波によるものと私は考えます。 しかし先の湾岸戦争の場合、状況はヴェトナム戦争の時とはかなり違っていました。イラクとの戦争はその戦場の地勢からして不正規戦争と呼ばれる様なゲリラ戦とは成り得ず、障害が無い砂漠地帯における第二次大戦型の通常戦争にあってその圧倒的な空軍力と機動戦力を駆使できるアメリカが当初からバクダットを視野に入れた作戦を実施していれば、イラクの全面的な占領を短期の軍事作戦で成し遂げるのはそう難しい事ではなかったはずです。 アメリカがそれをしなかった(あるいは成し得なかった)理由があるとすれば、それはイラク国内への侵攻にまで「砂漠の嵐」作戦が拡大された時点での、当時の多国籍軍と呼ばれていた一時的な連合軍を構成していた他のアラブ諸国の動向に不安があったと言う政治的理由によるものであり、その点に関して言えば、イラク国内へ向けた作戦が長期化すれば、多国籍軍という政治的に非常な不安定な連合が途上で瓦解した危険性は多分にあったと思う。 > >しかしアメリカは今回の戦争においては、それがどの様にして得た機会であってもその機を逃さずに、その政治的目的を最後まで完遂するつもりだろうし、またその責任もあると考えます。 > それが可能なことなのかどうか、私は懐疑的なのです。 > 世の中は「悪の枢軸」と一言で片づけられるほど単純ではないでしょう? つまり、それが「道義的に許されるか」という意味で懐疑的と言っているのでしょうか?それともいずれアメリカは国際世論に対する必要最低限の政治的な「大義名分」さえ失って、その政治目的を最後まで完遂できなくなると言う意味か?あるいは物理的(軍事的)に不可能であると言う意味なのか? それが「道義的に」と言う意味ならば、「悪の枢軸」と言うのは、確かにささきさんの言う様に、情熱的美麗句をもって国民世論を誘導・統制せんが為のプロパガンダに過ぎません。しかしブッシュ政権が既に国民の7〜8割の支持を得ているのは「その一言」だけが理由にあるのではなく、私はそれはあくまで現在の国内世論をなるべく長期間に渡って維持せんとするが為の、(あからさまな偽善である事は否めないにしても)政策の一つの手段と見るべきではないかと思う。むしろそれを指して単純にアメリカの姿勢を「感情的・独善的な行動」と見なすのは、いみじくも国際政治において主要な役割を担っているアメリカという国家の国際政治における行動を過小評価してはいないでしょうか? > 我々日本人はアメリカの論理によるアメリカの軍備、経済の傘の下で平和を謳歌 > しているため、時にその平和を「当然そこに存在するもの」として考えてしまい > ます。アメリカがその平和を守るために巨大な軍備予算を消費し、アメリカ(とそ > の同盟圏)に刃向かう可能性のある地域に対し常に武力による威嚇を行っているこ > と、その威嚇を国家生存に関わる脅威と捕らえている国があることを忘れてはな > りません。でも、どちらの正義が正しいかなんて議論は神ならぬ人間にとって不 > 毛です。アメリカの傘の下で平和を謳歌する日本人が「アルカイダにも言い分は > ある」とか「アフガニスタン人のためのアフガニスタンを考えよ」などと主張し > ても説得力はありませんね。 この点は同感いたします。アフガニスタンで一時行方不明になった後、無事に帰国したフリー・ジャーナリストが、成田で「タリバンは親切だった。彼らにも共鳴できる部分がある」という様な主旨のコメントを発していたのがテレビで放映されていた事があるが、希薄な理想主義を振りかざすジャーナリズム程始末に終えない手合いはないと思う。無論、日本は言論の自由を保障している国家であるからして、彼がどちら寄りの主張を仕様が一向に構わない。しかし、ソ連に抵抗していた主流の軍閥であったいわゆる「北部同盟」とは相違して、アルカイダから資金援助を受けて台頭してアフガンを支配した新興勢力であるタリバンがそれほど理解できるというならば、日本でではなく、アフガンのからその様なコメントを発しなければ何の説得力も感じられない。 > > 個人的な質問になって大変申し訳ありませんが、ささきさんのその上司の方ですが、「1920 年代の大恐慌、…… 交渉の決裂に至るまで」等を全く知らなかったと言うのは、失礼ですが平均的なアメリカ人の知識レベルとは言えませんよね? > いえ、彼は学歴もあり教養もあるふつのアメリカ人です。日本人だって「大正 > デモクラシー」と呼ばれた華やかな時代から真珠湾攻撃に至るまでの世界史を > ちゃんと説明できる人は少ないですよね? しかし、「大正デモクラシー(から)の歴史の経緯」と「太平洋戦争勃発前後の歴史の経緯」とでは歴史に対する一般的な関心度に差がありすぎると思うのですが? つまり、アメリカ人から見た後者の歴史経緯に関する興味は、日本人から見た前者の歴史経緯に対する興味程のウェイトしか無いという理屈になりますが、比較として提示するには妥当ではないと思われますが? > >たまたまその方が歴史にそれ程興味がなく、アメリカのハイ・スクールまでの一般教科書ではそこまで厳密な事実には言及せずに、「正義と邪悪」云々という観念論だけであの戦争を説明していたと言う事なのでしょうか? > 教科書にどう紹介されているかは知りませんが、彼は「習った記憶はない」と > 言っていました。アメリカにとって「卑怯な日本軍の不意打ち」と「狂信的なカ > ミカゼ」「戦争終結の手段としてやむを得なかった原爆使用」という歴史解釈は > ごく一般的です。それは現代の日本人にとっての「神がかり的かつ好戦的な軍 > 部によって日本は支配されており、国民は何も知らされていなかった」という歴 > 史解釈の裏面です。 この点が疑問に思うと言っている点なのです。つまり戦後生まれのアメリカ人は「卑怯な日本軍の不意打ち」「狂信的なカミカゼ」という感情論的な説明だけで、日本がアメリカに対して行った太平洋戦争の戦争動機を納得してしまっているのか?そんな理由だけでアメリカという大国に対して日本が戦争を仕掛けた(と教えられた)事を不思議に思わないのか?太平洋戦争開戦に至る前のアメリカの経済的・政治的圧力等の事情を「習った記憶はない」と言う上司の方は、何で日本が自国の何十倍もの経済力を持つ大国に宣戦をしたのかという疑念を、何故いい年の大人になるまでに持たないのか?と言う事なのです。 決してささきさんやその上司の方を悪く言うつもりはないですが、歴史を専攻した大学卒の方では無くとも、ささきさんの言う「アメリカの一般的な歴史解釈」なるものが「全てではない(一般教科書では教えられていない事がある)」という事ぐらい判りそうなものだと言う事なのです。 それゆえ、その上司の方に対し、「どちらかと言うと歴史に感心のない方なのでしょうか」と言う質問をした次第なのです。 差別的な意味は決してありませんが、合衆国と言う形を採っているアメリカは、多分州によって教科書にも相違があるのでしょうし、いわゆるホワイト・カラーとブルー・カラーの市民によって知的好奇心の興味の対象にも大きな相違があると言う事なのだろうか?とこの件について聞いた時に思った次第なのです。 |
> 果たしてそうでしょうか?私は、もしあの後も地上作戦を継続していたら、「ヴェトナムの二の舞になったかも知れない」と言うのは意見を異にします。 …中略… > アメリカがそれをしなかった(あるいは成し得なかった)理由があるとすれば、それはイラク国内への侵攻にまで「砂漠の嵐」作戦が拡大された時点での、当時の多国籍軍と呼ばれていた一時的な連合軍を構成していた他のアラブ諸国の動向に不安があったと言う政治的理由によるものであり、その点に関して言えば、イラク国内へ向けた作戦が長期化すれば、多国籍軍という政治的に非常な不安定な連合が途上で瓦解した危険性は多分にあったと思う。 はて、私には Edward さんの論点がよくわかりません。 多国籍軍が瓦解しアメリカが大義名分を失えば、たとえ戦闘で勝つことはできても 戦争には勝てないでしょう。それはまさにベトナムで起こったことでは? > > それが可能なことなのかどうか、私は懐疑的なのです。 > > 世の中は「悪の枢軸」と一言で片づけられるほど単純ではないでしょう? > > つまり、それが「道義的に許されるか」という意味で懐疑的と言っているのでしょうか? 違います。「その政治目的を最後まで完遂」することが可能なのかどうか、 つまりテロリズム根絶というあまりにも大きな目標を完遂することができるのか という事です。現在活発に活動しているテロ組織の活動拠点を軍事行動によって 破壊し、その主導者を逮捕ないしは殺害し、政治的圧力によって資金源を断つことは 可能でしょう。しかし、それでテロが根絶できるものでしょうか? 確かにテロリズムを支援しているのは「悪の枢軸」とされる「邪悪で閉鎖的で 攻撃的な敵性国家」かもしれませんが、その根は現代世界のもっと深いところに あるのではないでしょうか。 > しかし、「大正デモクラシー(から)の歴史の経緯」と「太平洋戦争勃発前後の歴史の経緯」とでは歴史に対する一般的な関心度に差がありすぎると思うのですが? つまり、アメリカ人から見た後者の歴史経緯に関する興味は、日本人から見た前者の歴史経緯に対する興味程のウェイトしか無いという理屈になりますが、比較として提示するには妥当ではないと思われますが? 私が言いたいのは、日本が自ら対米戦に突入した理由をちゃんと説明できる 日本人だって少ないであろう、という事です。教科書には ABCD 包囲陣とか リットン調査団とか国連脱退の話も載っていますが、それはそういう事象が 起きたことを淡々と説明しているだけです。何故日本がわざわざ中国に軍隊を 送って満州国などという傀儡国家を作る必要があったのか?何故それが国際 社会に容認されなかったのか?何故日本は国連の椅子を蹴り世界を敵に回して でも満州国に固執する必要があったのか?「学歴も教養もある日本人」のうち 一体どの程度の人がその因果関係(もちろん複数の解釈が存在し得ますが)を 説明できるでしょうか?という事です。そしてそれを紐解くためには 明治維新から日清戦争・日露戦争を経て大恐慌に至るまでの日本と世界の歴史を 知っていなければなりません。対米戦は突然起こったものではないのですから。 そういう意味で「大正デモクラシー」を引き合いに出したのです。 「ハルノートの合意に失敗したから真珠湾が起こった」では歴史の説明には なりません。 > この点が疑問に思うと言っている点なのです。つまり戦後生まれのアメリカ人は「卑怯な日本軍の不意打ち」「狂信的なカミカゼ」という感情論的な説明だけで、日本がアメリカに対して行った太平洋戦争の戦争動機を納得してしまっているのか?そんな理由だけでアメリカという大国に対して日本が戦争を仕掛けた(と教えられた)事を不思議に思わないのか? 私も意識調査をやった訳ではないですから、何が「平均的なアメリカ人の考え」 なのかわかりません。ただ、TVや雑誌の記事の論調は「ナチスと組んだ 日本人が世界征服の野望のためアメリカを攻撃した」という意見が支配的です。 もちろん、ちゃんとした歴史研究書やヒストリー・チャネルなどの良質な ドキュメンタリー番組では中国大陸をめぐる利権の衝突や石油・鉄資源などの 日本に対する経済封鎖にも言及されていますが、あまり一般には知られていない と思います。だからこそ、彼は「何故日本人はアメリカ相手に戦争なんか 始めたんだい?」と私に訊ねてきたのです。 > 差別的な意味は決してありませんが、合衆国と言う形を採っているアメリカは、多分州によって教科書にも相違があるのでしょうし、いわゆるホワイト・カラーとブルー・カラーの市民によって知的好奇心の興味の対象にも大きな相違があると言う事なのだろうか?とこの件について聞いた時に思った次第なのです。 あまり関係ないでしょう。あくまで個人の興味範囲の違いだと思います。 ただ、第二次世界大戦は「邪悪な世界征服を目論んだ枢軸国」と「自由の為に 立ち上がった連合国」の間で行われた「よい戦争」であった、という認識は 今のアメリカで一般的です。 それは今の日本でも同じでしょう? |
> はて、私には Edward さんの論点がよくわかりません。多国籍軍が瓦解しアメリカが大義名分を失えば、たとえ戦闘で勝つことはできても戦争には勝てないでしょう。それはまさにベトナムで起こったことでは? 私の文章が判りにくかった様ですので、一つ前の私のレスの引用を、省略されていた1段落文まで溯って説明させて頂きます。 > > しかし先の湾岸戦争の場合、状況はヴェトナム戦争の時とはかなり違っていました。イラクとの戦争はその戦場の地勢からして不正規戦争と呼ばれる様なゲリラ戦とは成り得ず、障害が無い砂漠地帯における第二次大戦型の通常戦争にあってその圧倒的な空軍力と機動戦力を駆使できるアメリカが『当初からバクダットを視野に入れた作戦を実施していれば』、イラクの全面的な占領を『短期の軍事作戦で成し遂げる』のはそう難しい事ではなかったはずです。 アメリカがそれをしなかった(あるいは成し得なかった)理由があるとすれば、それはイラク国内への侵攻にまで「砂漠の嵐」作戦が拡大された時点での、当時の多国籍軍と呼ばれていた一時的な連合軍を構成していた他のアラブ諸国の動向に不安があったと言う政治的理由によるものであり、その点に関して言えば、『イラク国内へ向けた作戦が長期化すれば』、多国籍軍という『政治的に非常な不安定な連合が途上で瓦解した危険性は多分にあった』と思う。 つまり私が『政治的に非常な不安定な連合が途上で瓦解した危険性は多分にあった』と述べた意見は『イラク国内へ向けた作戦が長期化すれば』という仮定のものであり、私は上記のレスの一段落目で説明した軍事的見解から、「アメリカが作戦を継続していればバクダットの占領を短期決戦でなし得る事ができたはず」と結論しているのです。 「『当初からバクダットを視野に入れた作戦を実施して【いれば】』、イラクの全面的な占領を『短期の軍事作戦で成し遂げる』のはそう難しい事ではなかった」という節は紛らわしい文章だったかと思いますが、しかしこれは「実際にはブッシュは最初からクウェートの奪還までで矛を収めるつもりであった」ので、それ(短期戦によるバクダットの占領)に無理があるという意味ではなく、 実際のあの時点から作戦を継続しても十分それが可能であった(「そう難しい事ではなかった」という程度には『困難』ではあるが)という意味なのです。 しかし「そう難しい事ではなかった」という形容は私としては「(さして)難しい事ではなかった(十分可能に近い)」というつもりで使用したつもりでしたが、それは「『そこそこ』難しい(十分可能にほど遠い)」という比較表現として認識される方が一般的であるとも認められるので、微妙な形容を使用した事に関しては申し訳ないと思います。 > > > > > そして最も即効性の期待できる手段が「武力攻撃」… まぁ、それは理解できないこともないです。でも、これは即効性はあっても持続性はありませんよ。 > > > > これは【ささきさんの上の問を】「武力攻撃によってテロを根絶する」=「世界中からテロをなくす」と捉えた上での反論と解釈しますが、私は少なくともアメリカ本土に対するテロを実行するに足る行動力や資金力を持ったテロ組織に打撃を与え、『その活動を(半永久的になどと言うつもりはありませんが)停止させる』という意味で、今回のアメリカの行動がその効果の持続性を期待できるだけの徹底性と確実性を持たなければ行動する意味がないと思う。 先の湾岸戦争などは…(中略)…軍事的な勝利は得られはしてもアメリカの政治的立場からすれば、バクダットまで侵攻してフセイン政権を倒さなかったのは明らかな政治的失策に相違ない。しかしアメリカは『今回の戦争』においては、それがどの様にして得た機会であってもその機を逃さずに、『その政治的目的を最後まで完遂するつもり』だろうし、またその責任もあると考えます。 > > > それが可能なことなのかどうか、私は懐疑的なのです。 世の中は「悪の枢軸」と一言で片づけられるほど単純ではないでしょう? > > つまり、それが「道義的に許されるか」という意味で懐疑的と言っているのでしょうか? > 違います。「その政治目的を最後まで完遂」することが可能なのかどうか、 つまりテロリズム根絶というあまりにも大きな目標を完遂することができるのかという事です。現在活発に活動しているテロ組織の活動拠点を軍事行動によって破壊し、その主導者を逮捕ないしは殺害し、政治的圧力によって資金源を断つことは可能でしょう。しかし、それでテロが根絶できるものでしょうか? 確かにテロリズムを支援しているのは「悪の枢軸」とされる「邪悪で閉鎖的で 攻撃的な敵性国家」かもしれませんが、その根は現代世界のもっと深いところにあるのではないでしょうか。 この点も論点に関する認識の違いがあるようなので、少しレスを溯って説明します。私としては、「『今回の戦争』を『その政治的目的を最後まで完遂するつもり』」と述べた見解は、『その活動を(半永久的になどと言うつもりはありませんが)停止させる』という制約つきで「個々のテロ支援国家に対する作戦(この場合は、現在進行している「テロ撲滅の為の壮大な軍事キャンペーン」ではなく、前回全うできなかった「イラクに対する攻撃」を指す)」に限定して、「『その政治的目的を最後まで完遂するつもり』だろうし、またその責任もあると考えます」と述べたつもりなのです。 つまり直前のささきさんのレスにある「その政治目的を最後まで完遂することが可能なのかどうか」という私のレスからの引用文は、それに続く「つまりテロリズム根絶というあまりにも大きな目標を完遂することができるのかという事です」という「テロ撲滅キャンペーン全体の完遂」を指して述べたものではなく、私としては今回行なわれようとしている「イラク攻撃」を主に指して述べたつもりなのです。 ささきさんの述べる、「悪の枢軸」等のブッシュ発言に象徴されるアメリカの「テロ撲滅への試み」に対する懐疑的見解は判ります。ただ、ブッシュにしても、如何にアメリカが強大な力を持っているとしても、自分が生きている間に「テロ撲滅への試み」と言う壮大な偉業が成し遂げられるとは思ってはいないでしょう。しかし少なくともアメリカがこれまで、そしてこれからも中東問題に深くコミットする以上、今回のテロの引き金の一つとなった対中東政策の失敗の尻拭いはしっかりとってもらわねばならず、その意味で前回全うできなかった「(テロ支援国家としての)イラクへの攻撃」を『今回の戦争』においては、『その政治的目的を最後まで完遂する』責任があると言いたかったのです。また、当然、中東の石油に経済的に依存しているにも関わらず、武力行使という汚れ仕事をアメリカに依存して放棄している日本は、アメリカに対する(外交関係における)道義的義務からもこれを政治・経済的に、そして準軍事的な可能な範囲で支援して行く責任があります。 |
> > しかし、「大正デモクラシー(から)の歴史の経緯」と「太平洋戦争勃発前後の歴史の経緯」とでは歴史に対する一般的な関心度に差がありすぎると思うのですが? つまり、アメリカ人から見た後者の歴史経緯に関する興味は、日本人から見た前者の歴史経緯に対する興味程のウェイトしか無いという理屈になりますが、比較として提示するには妥当ではないと思われますが? > 私が言いたいのは、日本が自ら対米戦に突入した理由をちゃんと説明できる日本人だって少ないであろう、という事です。教科書には ABCD 包囲陣とかリットン調査団とか国連脱退の話も載っていますが、それはそういう事象が起きたことを淡々と説明しているだけです。何故日本がわざわざ中国に軍隊を送って満州国などという傀儡国家を作る必要があったのか?何故それが国際社会に容認されなかったのか?何故日本は国連の椅子を蹴り世界を敵に回してでも満州国に固執する必要があったのか?「学歴も教養もある日本人」のうち一体どの程度の人がその因果関係(もちろん複数の解釈が存在し得ますが)を説明できるでしょうか?という事です。そしてそれを紐解くためには明治維新から日清戦争・日露戦争を経て大恐慌に至るまでの日本と世界の歴史を知っていなければなりません。対米戦は突然起こったものではないのですから。 そういう意味で「大正デモクラシー」を引き合いに出したのです。 「ハルノートの合意に失敗したから真珠湾が起こった」では歴史の説明にはなりません。 ここでも少し論議のポイントを整理したいと思いますが、私の元々の問いの真意は、 > > そこで 1920 年代の大恐慌、経済復興の失敗、軍部の台頭、満州・中国 への進出、アメリカとの利権衝突、ワシントン条約と石油問題、経済封鎖、交渉の決裂に至るまでを簡単に説明したのですが…。 彼は「そんな事情が『あった』とは初めて聞いた」と『驚いて』いました。 と言うささきさんのレスに対し、その上司の方は、ささきさんの説明した事情に関して「ちゃんと説明できない」までも、その様な歴史的事実の存在さえも「全く知らなかった」のか?と言う解釈の疑問を持ったという事です。 つまり日本人でも、歴史の教科書を丸暗記するだけで歴史なんか好きではない中高生ならいざ知らず、いい大人になれば、本や映画や社会番組を見たり、その方面に造詣が深い友人から聞いたりして、決して日本が「ナチスと組んで世界征服を目論んで」と言う単純な動機で戦争をしたのではなく、それが欧米列強が先導した植民地支配主義のシステムが限界に達していた時代において、経済・政治的な国家間の利害が衝突して起きたものであると言う事を「理路整然と説明できない」までも、その様な他の要因があって起きたものと漠然とでもうすうす気が付き始めるのが「一般的な歴史に対する認識」というものでしょうという事なのです。 その意味で「(私の解釈した)全く知らなかった」という歴史認識がアメリカでは一般的なのか?という問いに、「(それならば日本人も)『明治維新から日清戦争・日露戦争を経て大恐慌に至るまでの日本と世界の歴史』を知っている人は少ないでしょう(詳しく知らないでしょう、と解釈しますが)」という事実でもって比較・反論する事は妥当ではないという意味なのです。 恐らく聡明なささきさんの事ですから、上司の方の「そんな事情があったとは初めて聞いた」というのは、その様な歴史的事実の存在さえも「全く知らなかった」という意味でとったのではなく、その様な事実の存在は聞きかじっていたが、それらの戦争勃発に至るまでの多様な要因がどう関係し合っていたかという事を詳しく理解はしていなかったと受け止めていると言う事なのだと思います。 ただ、その後の私のレスとそれに対するささきさんのレスでは、 > > たまたまその方が歴史にそれ程興味がなく、アメリカのハイ・スクールまでの一般教科書ではそこまで厳密な事実には言及せずに、「正義と邪悪」云々という観念論だけであの戦争を説明していたと言う事なのでしょうか? > 教科書にどう紹介されているかは知りませんが、彼は「習った記憶はない」と言っていました。アメリカにとって「卑怯な日本軍の不意打ち」と「狂信的なカミカゼ」「戦争終結の手段としてやむを得なかった原爆使用」という歴史解釈はごく一般的です。 とありますが、この事から私は、その上司の方が義務教育で受けた、(相対的見地から見れば)建前論にすぎない戦勝国側からのみ見た歴史事実を今の今まで盲信して来た(少しの疑問も持たなかった)、と受けとらざるを得ないという解釈に行き着いたと言う事であり、それを(アメリカという国家ではなく)アメリカ人の一般的な歴史解釈とする(と私が解釈した)見解に対して異論を持ったのです。 つまり、私が論議の対象としている「一般的歴史解釈」とは、政治的立場を考慮する国家が公式見解を述べる様な「建前論」ではなく、個々人が良心に根差した客観的な洞察によって思う所の「ホントの所はこういう事ではないか」という「本音」の部分なのです。 > 私も意識調査をやった訳ではないですから、何が「平均的なアメリカ人の考え」なのかわかりません。ただ、TVや雑誌の記事の論調は「ナチスと組んだ日本人が世界征服の野望のためアメリカを攻撃した」という意見が支配的です。 もちろん、ちゃんとした歴史研究書やヒストリー・チャネルなどの良質なドキュメンタリー番組では中国大陸をめぐる利権の衝突や石油・鉄資源などの日本に対する経済封鎖にも言及されていますが、あまり一般には知られていないと思います。だからこそ、彼は「何故日本人はアメリカ相手に戦争なんか始めたんだい?」と私に訊ねてきたのです。 彼が「何故日本人はアメリカ相手に戦争なんか始めたんだい?」と質問する事事態、ささきさんが支配的であるとする(私が建前論と述べる)アメリカ人の一般的解釈に疑念を持っていたからなのではないですか?そうでなければ(「一般には知られていない」という何か別の戦争に至る動機があるのでは?という疑問から生じると思われる)その問い掛け自身が生まれるはずもなく、私は彼が(一般的解釈とされている)建前論を盲信していた訳でなく、(漠然とではあっても)本音の部分での彼自身の歴史解釈も持っていたと思います。そうでなくては、彼を平均的なアメリカ人とするささきさんの意見からしてアメリカ国民は何も知らずに表面的な事実しか捉えてないという事になってしまうでしょう。 > 第二次世界大戦は「邪悪な世界征服を目論んだ枢軸国」と「自由の為に 立ち上がった連合国」の間で行われた「よい戦争」であった、という認識は 今のアメリカで一般的です。それは今の日本でも同じでしょう? 建前論をそうと知りながら受け入れている認識を一般論として捉えるならば、アメリカと日本を問わずそういう事になります。しかし子供でも、ニュースを眺めていると大人のやっている事と言っている事が矛盾しており、世の中には公式に語られている事が必ずしも真実ではないと言う事に気付いています。しかし国家が戦勝国という政治的立場からのみ押し付けようとする歴史認識を、国民がそれを建前であると気付いていれば、私にはそれを「一般的」な歴史認識と呼ぶ事はできないと思います。 |
ソビエトが崩壊した今、アメリカは喧嘩相手を探してるようにみえてしまう。 軍需産業と政治家との関係もあるでしょうし。 アメリカは戦争をコントロールして自国の利益をむさぼってるようにみえる。 |
> 軍需産業と政治家との関係もあるでしょうし。 > アメリカは戦争をコントロールして自国の利益をむさぼってるようにみえる。 世間ではよく、こういった「軍需産業が自分達の利益を上げるために戦争を起こす」という軍需産業陰謀説を聞きます。最近では湾岸戦争やアメリカのアフガン攻撃でも軍需産業の陰謀説が言われてました。 漫画の世界ならともかく、現実問題として本当に戦争ってそんなに儲かるんものなんでしょうか? |
> 漫画の世界ならともかく、現実問題として本当に戦争ってそんなに儲かるんものなんでしょうか? 日本でも宗男さん問題など日々政治家と土建屋の癒着が問題になっています。 アメリカの場合、土建屋が武器商と言う字に置き換わっただけではないでしょうか? おそらく、ではありますが。 |
> 日本でも宗男さん問題など日々政治家と土建屋の癒着が問題になっています。 > アメリカの場合、土建屋が武器商と言う字に置き換わっただけではないでしょうか? > > おそらく、ではありますが。 NEWS WEEKか何かに書かれていたことですが、今度の「アフガン空爆」以降、軍需産業が儲かっているということは特に無いようです。 儲かっているか、いないか?という指標が株価だったので、正確なことはわかりませんが、湾岸の時に比べて株価は全然上がっていない。むしろノースロップグラマンなんかは値下がりしていたように思います。 ロッキードもF-35選定時に少し上がっただけで、その後またもとの価格に戻っていました。 というか、ボーイングなんか民間機部門で損害が大きかったんじゃないでしょうか? 軍需産業と政治家の癒着が問題になるのは、かつてのF/A-18開発時とか、今のクルセイダー自走砲とか新兵器の開発時に問題が出るんじゃないでしょうか? |
昔は「戦争は儲かる」と言われていました。これは経済学的にも正しいです。 即ち、第二次世界大戦の時代までは本当の意味での「総力戦」であり 国の経済力を総動員し、生産力をフル回転させないと戦争に勝利できませんでした。 具体的例がまさしく第二次大戦のアメリカです。 アメリカでは、1920年代の大恐慌により生産力の2割以上が完全に余剰になる 歴史上まれに見る需給ギャップ(=不況)が発生しました。 それに対し、フランクリン・ルーズベルト大統領は「ニューディール」政策を 実施し公共事業で需給ギャップの解消を図ろうとしますが大きすぎて半分失敗します。 そのアメリカの膨大な需給ギャップを解消したのは「第二次大戦」です。 アメリカは第二次大戦に経済的介入後、参戦すると翌年1942年には生産力の フル稼働状況に突入します。それによりアメリカは恐慌から脱出します。 しかし現代は異なります。経済に上記の様な需給ギャップ解消の為に有効需要を 創出するケインズ経済学的政策は通用しなくなっていますし、兵器が専門的になりすぎて 兵器生産の波及効果は極めて乏しくなっています。(=兵器生産は有効需要を 創出出来ない)それに加えて湾岸戦争の様に戦争が短期間で行われる様になり 在庫のみで戦う戦争になり、在庫処分セールは出来ても新規生産に急速かつ直接 波及しなくなっています。 ですから現代の戦争は、ごく一部の兵器生産者の中で利益をいる人は居るかも しれませんが、経済全体を経済学的に考えると「戦争は儲からない」と言えるのでは? |
> > 軍需産業と政治家との関係もあるでしょうし。 > > アメリカは戦争をコントロールして自国の利益をむさぼってるようにみえる。 > > 世間ではよく、こういった「軍需産業が自分達の利益を上げるために戦争を起こす」という軍需産業陰謀説を聞きます。最近では湾岸戦争やアメリカのアフガン攻撃でも軍需産業の陰謀説が言われてました。 > 漫画の世界ならともかく、現実問題として本当に戦争ってそんなに儲かるんものなんでしょうか? アメリカの軍需産業が儲かっているかどうかは(利益調べた事無いんで)不明ですが、株価にはそんなに反映しては居ないようなんだそうです。 試しに去年(9/11)以降の米軍需産業の株価をプロットして見られては如何でしょう、そうしたら何か見えてくるかもしれませんよ。 |
アメリカの場合は特に、株価は実体経済を反映せずに、投機資金によって決定されるのではないでしょうか。 クリントンのITバブル経済を引き継いだブッシュにとては美味しい展開といえます。 いずれ株価は大幅調整が必至だった時に9/11が起きて、株価が下がっても失政と非難されずに(米国民にとって株は生活の一部)、テロのせいにして支持率を挙げたのだから。 |
> アメリカの場合は特に、株価は実体経済を反映せずに、投機資金によって決定されるのではないでしょうか。 私もこの意見に賛成です。 欧米では株は日本と違って投機的な意味合いが少ないように思われます。 戦争によって儲かるとかではなく、軍事産業を維持するために起こり得るように思われます。よって積極的に紛争に介入したとしても株価の急激な変動は無いのでは・・・。 ちなみに「在庫一掃セール」をすれば、新に在庫をしなくてはいけないのだから、軍需産業は維持できるわけですよね。別に陰謀なんかしなくても当たり前の行為として・・・。 |
> ソビエトが崩壊した今、アメリカは喧嘩相手を探してるようにみえてしまう。 > 軍需産業と政治家との関係もあるでしょうし。 > アメリカは戦争をコントロールして自国の利益をむさぼってるようにみえる。 いささか偏っていると思います(Rさんは率直な感じ方をそのまま述べているだけのつもりなのでしょうが)。 いわゆる軍産複合体の存在が、アメリカの経済のみならず、その外交政策に少なからぬ影響力を持っているのは否めないですが(JFK暗殺には軍産複合体が関与していたという説に私はかなりの説得力を感じている)、しかし戦後、アメリカが関与してきた数多くの軍事介入を指して、「自国の利益を貪っている」と言い表すのは安直に過ぎる見解ではないかと。 アメリカは冷戦時においては自由主義陣営の中心的役割を担う国家として、またソ連崩壊後は世界の唯一の超大国として、自身に対して「世界の警察」と言う責務を自ら課して欲しいままにするという政治的動機以上に、他の先進資本主義国が本来果さなければならない責務を、自らの血を流し、手を汚し、そして事ある毎に他国からのみならず時には自国内の反戦主義者からも批判を受けながらも代行し、一環してそれを継続してきた事を忘れてはならないし、日本の繁栄も良しにつけ悪しきにつけアメリカとの関係を抜きにしては語れないという事を認識する必要があるでしょう。 また、戦争によって少なからぬ経済的恩恵を被るのはどの国家も同じであり、アメリカが超大国として担うべき役割を果して来た結果として数多くの紛争に軍事介入して来た事を、経済的発展に利用する為だけの大国のエゴと捉えるのは早計でしょう。私は「アメリカは絶対正義」などと主張するつもりは毛頭ないですが、もし太平洋戦争が起きていなかったら、戦前の日本の政治体制からして、「アジアの憲兵」と称して日本の若者が朝鮮半島やインドシナ半島で血を流す羽目になっていた可能性も否定できない事を考えれば、アメリカに対して必要以上に負い目を感じる必要もないが、かと言って現実を見据えない一部の理想・反戦主義者の如く、アメリカの行動に対してむやみに反対を唱えるのも疑問を感じずにいられない。 |
かつてこの世界には様々な「悪役」達がいました。ナチス・ドイツや大日本帝国、ソビエト連邦などと名乗っていました。これらの国々はそれぞれの時期にそれぞれの地域で他国や他民族の憎悪を買ってました。 ところがこれらの「悪役」達は全てアメリカ合衆国に敗れて滅ぼされてしまいました。 この結果、かつての「悪役」達がそれぞればらばらに受けていた憎悪は全てただ一国勝ち残ったアメリカ合衆国に向けられることになってしまいました。 ・・・・ こんな感じなのではないかと最近は考えています。あちこちで今もそれぞれに地域紛争は起こってますが、今のところはアメリカは一人勝ちしてしまったが故に一人で世界中の憎悪を背負っているようにも見えます。仮にテロ・ネットワークなる集団を潰しても結局は別の敵対勢力が新たに興るだけなんじゃないでしょうか。 「だからアメリカはこうするべきだ」とか「アメリカの報復は怪しからん」などというつもりはありません。ただ単に私が常日頃漠然と考えているというだけのことです。まあこんな見方をしている人間もいるという程度に認識していただければと思います。 |
> この結果、かつての「悪役」達がそれぞればらばらに受けていた憎悪は全てただ一国勝ち残ったアメリカ合衆国に向けられることになってしまいました。 TETSU29さんのおっしゃる「憎悪」を、「富を得ている者、それ故に絶対的な力を行使できる者に対する憎悪」という意味でのものなら、漠然とでもその様に感じている方は多いでしょうし、むしろ自然な物の見方だと思います。 (TETSU29さんがそう思っているという訳ではないですが、ナチス・ドイツや大日本帝国、旧ソ連が絶対悪であったと言う認識が「自然」と言う意味ではありません、念のため。しかしそれを自然と受け止める事が当たり前のよう受け止められる風潮が厳然と存在する事に対し、日本が容認している自身の持つ歴史に対する自虐史観なるものには憤然たる思いになりますが…) |
例の「悪の枢軸」発言を含め、武力行使の可能性による強硬姿勢を宣言する一方で裏ではどこか第三国で外交交渉を行ってたりするものです。悪の枢軸の中にイランも入っているが、米国はイラクとイランとは別個の対応をしていると思いますね。最近のニュースでイランと米国が秘密外交交渉を行っていると報じられたが、イラン国内の反米勢力を切り崩すため強硬姿勢でブラフをかけると共に、親米派を強化すべく経済関係も含む提携・協力を話し合っているのではなかろうか。 要するにテロ支援国家とされた国々について、アメリカは決して一様に考えているわけではないということです。また、イラクについてフセイン政権を打倒してもその後釜をどうするのか、という戦略が今のところない。アメリカにとってイラクが無政府状態になり周辺国の草狩場になる位なら、テロ支援を行わないおとなしいフセインの方がずっとふさわしいわけです。 ここ当分は周辺中東諸国の情勢も見ながら偵察飛行や中東地域での演習を行い、イラクにじわりじわりと圧力をかけていく、という戦術を取るのではないかと思いますが。大量の地上部隊の派遣は中々しんどいでしょう。イラクが相当な核戦力を保有・実戦配備し現実に危機が高まっているというような状況でも生じないと、イラクへの全面攻撃作戦について国際世論を味方につけることは難しい。サウジアラビアやUAE等の動向がかなり影響しますね。 |
>イラクについてフセイン政権を打倒してもその後釜をどうするのか、という戦略が今のところない。 つい先日、イラク3分割案が報道されましたな。 この3つで連邦制を敷くみたいなの。 |
> 例の「悪の枢軸」発言を含め、武力行使の可能性による強硬姿勢を宣言する一方で裏ではどこか第三国で外交交渉を行ってたりするものです。悪の枢軸の中にイランも入っているが、米国はイラクとイランとは別個の対応をしていると思いますね。最近のニュースでイランと米国が秘密外交交渉を行っていると報じられたが、イラン国内の反米勢力を切り崩すため強硬姿勢でブラフをかけると共に、親米派を強化すべく経済関係も含む提携・協力を話し合っているのではなかろうか。 「ワシントン・ニュース」での仮想シナリオでは、「イラクに対する地上攻撃をクウェートに上陸・展開したアメリカ軍が開始してから、30〜40日でバクダットを占領した」という展開になっていた(まあ、特定の第三国をアメリカの後方支援の為の協力国と勝手に想定するのも問題があるので、それほど真剣に考えて創ったシナリオでもないと思うが)が、しろうと考えでも、クウェートの様な猫の額のような狭い足場からだけでは、まともな地上作戦を実施するには無理が感じられる。 その意味でイランの協力(国内領土の通行・航空基地の一時使用権・兵站線維持の為の後方支援等)を得られれば、アメリカはかなりの戦略的優位に立つ事ができる。かつての両国の因縁を考えるに、もしそうなれば世界が仰天する様な展開だと言えるが、今やかつての天敵であったロシアが対テロ問題に関してアメリカと利害を一致させて歩み寄りを見せている事を考えれば、あながち不可能とも言えない(もっとも今回の米ロ核軍縮交渉では多少の摩擦を生じさせているとは言え、アメリカは最初にきつい条件を提示しておいてからロシアに譲歩を与える条件として、アメリカの対テロ政策に対するより積極的な協力をとりつけるカードとする事も考えていたのでは)。チェチェン問題に悩まされているロシアが、直接的な軍事協力を行う事はないと思うが、それでもイランに対する政治的圧力をアメリカと協力して行うなどの有形無形の支援を与える事はできる。 > ここ当分は周辺中東諸国の情勢も見ながら偵察飛行や中東地域での演習を行い、イラクにじわりじわりと圧力をかけていく、という戦術を取るのではないかと思いますが。大量の地上部隊の派遣は中々しんどいでしょう。イラクが相当な核戦力を保有・実戦配備し現実に危機が高まっているというような状況でも生じないと、イラクへの全面攻撃作戦について国際世論を味方につけることは難しい。サウジアラビアやUAE等の動向がかなり影響しますね。 サウジアラビアはあのオサマ・ヴィン・ラディンの出身国である事からも想像に難くないが、一般国民の世論はおおむね反米感情で占められており、湾岸戦争時の様に国王とその政府がそれを押さえつけて今回もアメリカに協力してくれると考えるのは、サウジ政府の中枢にも原理主義組織の共鳴者が存在すると言われているだけに難しい。サウジに関しては比較的新参者のアメリカよりも英国の方が深い関わり合いを持っているので、英国との協力体制が重要になるのでは。いずれにしても米英共に実際の軍事作戦に至る段階の前に、諜報工作レベルでの謀略戦を展開する事が必須である事から、カーター時代に凋落したCIAなどは更に強化される方向に進むだろう。 また、平時は志願制による限られた兵力しかないアメリカも、州兵制度などによる予備役に支えられた動員システムによって前回に相当する兵力を短期間に限って動員する事は可能であり、軍事攻撃に必要な周辺環境を整える事ができれば、強硬派のライス安全保障担当補佐官を擁する今のブッシュ政権なら、確実に勝利するシナリオを組み立てた上での短期決戦の戦略を以って、断固とした行動に打って出るに違いない。 |
限定的な空爆作戦だけでなく、湾岸戦争並みの兵力を中東に貼り付けて全面作戦を展開するには、他の地域で米軍の空母艦隊戦力等を投入せざるを得ないような紛争又は危機が発生しないことも必要でしょう。 今、インドとパキスタンが一触即発状態になっており、アメリカは何とかして情勢安定化のための外交を展開しているが、両国が全面戦争(第二次印パ戦争?)に突入した場合、パキスタンはアフガン方面の兵力を引き上げるとも言っているし、インド周辺に幾つかの空母艦隊を張りつけざるを得ない状態になる。そうしたら対イラク攻撃は延期せざるを得ない。 以前に比べてアメリカが対テロ攻撃に積極的なのは、テロに関して中国やロシアと共通の利害関係を持つようになってきたことも重要な原因だと思います。最早、中国はネパールの毛沢東主義ゲリラを支援する時代ではない。むしろ、新橿ウイグルなどにおけるイスラム教過激派によるテロを封じ込めなくてはならない。 後は朝鮮半島や台湾海峡で当分安定を保てるかでしょうね。米中関係は決して好調ではないが一時ほどではない。朝鮮半島も95年のときのような危機は脱したわけだし。もちろん、予断は許さないけど。 |
> 上の番組の見解では、アメリカは「その本土を攻撃された」という事実に基づいた集団的自衛権の発動という「大義名分」をもって、イスラム原理主義組織を筆頭とするテロ組織を相手にした本格的な戦争に乗り出し、今年の秋から来年春には再度のイラク攻撃を実施して、テロ国家(もしくはそれを支援する政権)の撲滅を目指している。実際に今のブッシュ政権の置かれた状況はそれを可能とするチャンスに恵まれており、アメリカの対中東・東アジア戦略は今までにない変化を始めているという。 今回のアフガン攻撃には明確な大義名分はありません。9.11テロがアルカイダの仕業であったとしても、タリバン政権が「国策として」「アメリカを攻撃する目的で」「アルカイダを支援し」「(包括的なものであろうと)対米攻撃を指示した」結果として事件が起きたのでなければ、アメリカにはアフガニスタン(のタリバン政権)に対して個別的自衛権をすら発動できません。そういう経緯がないことは、アメリカが当初タリバン政権に対して「アルカイダ指導者の引渡し」を要求したことから分かるように、アメリカ自身が認めているところでもあります。 そこで、アメリカとしては国連決議を持ち出して軍事行動に出ているわけですが、この決議とて、テロを非難し、再発のための国際協調を呼びかけているだけで、少なくとも明文では「アフガニスタンに対して武力攻撃を行う」ことを推奨していませんし、それがテロ対策として有効であるとも言っていません。 要は、今回のアメリカの軍事行動は、テロ対策としては「有効そうな脱法行為」なのです。 英国等、今回の軍事作戦に協力している国々も、そのあたりは踏まえつつ、「たまたまテロについてはアメリカと利害(及び当座の対抗手段)が一致するから」「アメリカに貸しを作っておきたいから」参加を選択しているに過ぎません。 問題は、かような脱法行為に大々的に手を染めてしまった(以前から細々とはやってきていますが)ために、アメリカ自身が手を縛られた部分があるということです。 武力攻撃自体がテロリスト側にとっては格好の大義名分になりますから、アメリカは常に軍事作戦を展開しつづけ、それを見せつけ続けない限り「隙あり」とてテロの標的にされるというリスクを背負ってしまった面があります。イラク攻撃をほのめかす(実際にはやらない可能性がけっこうある)のも、その実効性以外に、「テロリストに口実を与えながら脅しつける」という矛盾から抜けられないことによる部分がありそうです。 むろんアメリカもバカではないので、軟着陸を図る策は進めているでしょうが。 |
> 今回のアフガン攻撃には明確な大義名分はありません。9.11テロがアルカイダの仕業であったとしても、タリバン政権が「国策として」「アメリカを攻撃する目的で」「アルカイダを支援し」「(包括的なものであろうと)対米攻撃を指示した」結果として事件が起きたのでなければ、アメリカにはアフガニスタン(のタリバン政権)に対して個別的自衛権をすら発動できません。そういう経緯がないことは、アメリカが当初タリバン政権に対して「アルカイダ指導者の引渡し」を要求したことから分かるように、アメリカ自身が認めているところでもあります。 > そこで、アメリカとしては国連決議を持ち出して軍事行動に出ているわけですが、この決議とて、テロを非難し、再発のための国際協調を呼びかけているだけで、少なくとも明文では「アフガニスタンに対して武力攻撃を行う」ことを推奨していませんし、それがテロ対策として有効であるとも言っていません。 > 要は、今回のアメリカの軍事行動は、テロ対策としては「有効そうな脱法行為」なのです。 私は、モハメド・アタを筆頭にした「9.11」の事件の実行犯達がアルカイダに所属しており、タリバンが彼らに訓練基地を提供しており、アメリカによるアルカイダ・指導者の引渡しにも応じない、という事実だけで、アメリカは国際法上における厳粛な適法性抜きに、国際世論の容認を得ていると解釈します。 「国策として…」とありますが、タリバン勢力を正式なアフガン政権と認めている国は(紛争中に唯一国のみとなったが)ありません。そしてテロ組織に(訓練・避難場所という意味の)聖域を与えている事は十分に「アルカイダを支援」している事にあたりますし、また、「アメリカを攻撃する目的で」、「(包括的なものであろうと)対米攻撃を指示した」と言う要件は、タリバンが(アメリカの引渡要求を拒否した事で)アルカイダの行動を黙認しているとして、「タリバンもアルカイダと同罪」という論理の前に説得性に欠けます。 国連にしても、そのシステムが今回の様な「テロ問題」に対して有効性を発揮しない以上、アメリカがことさら明確な合法性を国連決議として得る必要性もなく、今回の決議に関しては、公式に国連の顔を立て、国際世論と関係各国に対する根回し以上の意味はない。言い換えれば、誰からの文句の付けようも無い厳密な「大義名分」など古今において得らるようはずもないし、それを得る必要もないという事です。 > 問題は、かような脱法行為に大々的に手を染めてしまった(以前から細々とはやってきていますが)ために、アメリカ自身が手を縛られた部分があるということです。 > 武力攻撃自体がテロリスト側にとっては格好の大義名分になりますから、アメリカは常に軍事作戦を展開しつづけ、それを見せつけ続けない限り「隙あり」とてテロの標的にされるというリスクを背負ってしまった面があります。イラク攻撃をほのめかす(実際にはやらない可能性がけっこうある)のも、その実効性以外に、「テロリストに口実を与えながら脅しつける」という矛盾から抜けられないことによる部分がありそうです。 > むろんアメリカもバカではないので、軟着陸を図る策は進めているでしょうが。 「…アメリカ自身が手を縛られた部分がある」とありますが、私はテロ組織の側こそ、アメリカに公然と実力行使を許す口実を与えてしまい、彼らを経済的に支援する「テロ国家」を攻撃すると言うアメリカの軍事戦略に利用されていると考えます。アメリカがこの絶対的な好機を逃さずに、湾岸戦争時にやり残した、生物兵器を保有し、近い将来には核を戦力化するであろう、中東の石油に経済的に依存している先進資本主義国家にとって好ましくない政権が掌握している「敵性国家」に対する実力行使を実行に移す可能性は、(ブラフなどというレベルを超えて)非常に高いでしょう。 |
> 「国策として…」とありますが、タリバン勢力を正式なアフガン政権と認めている国は(紛争中に唯一国のみとなったが)ありません。そしてテロ組織に(訓練・避難場所という意味の)聖域を与えている事は十分に「アルカイダを支援」している事にあたりますし、また、「アメリカを攻撃する目的で」、「(包括的なものであろうと)対米攻撃を指示した」と言う要件は、タリバンが(アメリカの引渡要求を拒否した事で)アルカイダの行動を黙認しているとして、「タリバンもアルカイダと同罪」という論理の前に説得性に欠けます。 他国に承認された政府でなければ法理論の対象にならない、とも読めます。しかし、ある国が他国における政権の成立を承認する理由は、形式的には政権樹立過程の合法性(事実認定は恣意的だけど)や前政権の負っていた義務を履行する意思(国債の償還、国境の遵守等)であり、実利的には付き合って得になるか否か(こちらの利益を損なう貿易政策をとらないか、難民が押し寄せないか、敵対勢力を支援していないか(!)等)なのです。 当該権力が領域を有効に支配し、その住民と資源を動員できることは、国家を承認する必要条件ではありません。しかし、外交や貿易、ひいては戦争の相手になるのはこちらの「実質としての国家」であり、だからこそアメリカはタリバン政権相手にいったんは交渉を試みたのです。 さて、確かにタリバン政権がアルカイダ幹部の引渡しを拒んだことは攻撃開始の口実にはなりましたが、こうした「同罪」論を敷衍しすぎると「IRAのテロの報復としてRAFがダブリンを爆撃」「本国に民主化活動家の拠点があることを口実に、ミャンマー軍が日本大使館を攻撃」などということも許されてしまいかねない危険があります。そんな危ない思想を「国際世論が容認」したのも「どうせ未承認の外国政府が消滅しても損にはならない」という事情があったうえで、機に乗じてアメリカにイスラム過激派(原理主義という呼び方は不可)をやっつけてもらおう、とか、テロ容認のレッテル貼りだけは避けよう、という思惑によるところが大でしょう。それさえも、アメリカが「一応はタリバン政権を交渉相手として遇したうえでダメだった」という形を整えていなかったらどうなったか分かりません。一時期話題になった「証拠の提示」もその一環でしょう。 もし、軍事攻撃による圧倒的な制圧ができる実力がなく、軍事行動にいたるまでの手続きも充分でなく、反対しそうな各国に圧力をかける政治的・経済的な力もない国が同じ様な真似をしたらどうなるか…イスラエルがいい例です。 「大義名分」は天から降ってくるものではないのです。 > 「…アメリカ自身が手を縛られた部分がある」とありますが、私はテロ組織の側こそ、アメリカに公然と実力行使を許す口実を与えてしまい、彼らを経済的に支援する「テロ国家」を攻撃すると言うアメリカの軍事戦略に利用されていると考えます。 この点は同意します。ただし、「悪の枢軸のみなさん、できれば自分でやめてね」という思いはあるでしょう。いくらアメリカでも多方面作戦は苦しいですから。現にイラン政府などは、保守派との権力闘争への追い風としてアメリカの反テロ圧力を利用するかたちでこの要請に応えはじめています。 |
> 他国に承認された政府でなければ法理論の対象にならない、とも読めます。しかし、ある国が他国における政権の成立を承認する理由は、形式的には政権樹立過程の合法性(事実認定は恣意的だけど)や前政権の負っていた義務を履行する意思(国債の償還、国境の遵守等)であり、実利的には付き合って得になるか否か(こちらの利益を損なう貿易政策をとらないか、難民が押し寄せないか、敵対勢力を支援していないか(!)等)なのです。 > 当該権力が領域を有効に支配し、その住民と資源を動員できることは、国家を承認する必要条件ではありません。しかし、外交や貿易、ひいては戦争の相手になるのはこちらの「実質としての国家」であり、だからこそアメリカはタリバン政権相手にいったんは交渉を試みたのです。 つまり、「タリバン政権は国際的に正式に認知された政府ではないが、アフガンを実質的に掌握している政府には違いない」という主旨だと解釈しますが、この点に関しては私は異論を唱えてはいません。タリバンが実質的な政府であっても正式に認知された政府でないと言う事実が、そもそも「国策として…」という要件を満たし様がないので、その要件を「個別的自衛権」発動に必要な要件と解釈するのは法理論全体から観ても不適当だと言う事です。 言い換えれば、Schumpさんが挙げた「個別的自衛権」の対象として認知される為の4つの要件の内の一つである「国策として…」という要件が、そもそもタリバン政権なるものが国際的に正式な政府として認知されていない以上、それが国際法上の「個別的自衛権」の発動に必要な要件として満たされる(もしくは要件として考慮の対象とする)必要はないと言う意味です。ですから、その要件に関しては、事実に合致していないという意味で法理論の対象としていますが、しかし「個別的自衛権」の発動に必要な要件とは解釈していません。 でなければ、宣戦布告ともなわない攻撃や、正式な政府でない反政府ゲリラなどに越境攻撃された国家が反撃を行っても、後日、その行動を「自衛権」と見なさないという法解釈になってしまいす。 また、この様な法の矛盾(あるいは抜け穴)に関しては、本来、当事国間と国連による調整や話し合いによって柔軟に解釈して施行すべき問題でしょうが、肝心のタリバン政権が正式に認知されておらず、国連にも加盟していないので話し合いの仕様がない。よってこの要件は任意に考慮の対象外と解釈してしかるべき問題であって、国連にしてもこの様な些事を突っついてアメリカに反対を唱えてもいないでしょう。 > さて、確かにタリバン政権がアルカイダ幹部の引渡しを拒んだことは攻撃開始の口実にはなりましたが、こうした「同罪」論を敷衍しすぎると「IRAのテロの報復としてRAFがダブリンを爆撃」「本国に民主化活動家の拠点があることを口実に、ミャンマー軍が日本大使館を攻撃」などということも許されてしまいかねない危険があります。そんな危ない思想を「国際世論が容認」したのも「どうせ未承認の外国政府が消滅しても損にはならない」という事情があったうえで、機に乗じてアメリカにイスラム過激派(原理主義という呼び方は不可)をやっつけてもらおう、とか、テロ容認のレッテル貼りだけは避けよう、という思惑によるところが大でしょう。それさえも、アメリカが「一応はタリバン政権を交渉相手として遇したうえでダメだった」という形を整えていなかったらどうなったか分かりません。一時期話題になった「証拠の提示」もその一環でしょう。 > もし、軍事攻撃による圧倒的な制圧ができる実力がなく、軍事行動にいたるまでの手続きも充分でなく、反対しそうな各国に圧力をかける政治的・経済的な力もない国が同じ様な真似をしたらどうなるか…イスラエルがいい例です。 > 「大義名分」は天から降ってくるものではないのです。 確かに「タリバンもアルカイダと同罪」という論理が「危険思想」である事に相違ないでしょう。アメリカの攻撃の正当性を強調したいが為、世論の同調を煽りたいが為のブッシュの大言が裏目に出ている感がします。 しかし、「1,国策として…」という要件はそもそも必要な条件として適切でない、活動拠点を与えている事は「3、アルカイダを支援している」事にあたる、「「2、アメリカを攻撃する目的で」、「4、(包括的なものであろうと)対米攻撃を指示した」と言う要件」は、タリバンが(アメリカの引渡要求を拒否した事で)アルカイダの行動を黙認している(言い換えればそれを容認しているという事は、先の2、4の要件を満たすアルカイダを支持しているととられても仕方がない)事で満たされ、これを「個別的自衛権」発動の正当性の根拠とする論理は、国連及び関係各国からの容認と協力によって既成事実として既に「大義名分」を得ているものと解釈するのです。 Schumpさんの(無いと)おっしゃる「大義名分」とはつまり厳密に純法律的・社会的・人道的な観点に照らして、何処をどう突っついても非の打ち所の無いものと解釈しますが、私の考える所の「大義名分」との概念の解釈に相違があるようです。私の考える所では(戦争をしても良いという)非の打ち所の無い「大義名分」など最初から有り得ようもありません。あるのはこの様な紛争において、実力行使に及ぶしか迅速な結果を出す選択肢を持たない不完全な社会にあって、その国家が実力行使に及ぶ際に形式的に体裁を繕う為の「大義名分」でしかありません。つまり真の「大義名分」など人道的・道徳的観点から熟慮すればどんな戦争にも成立し得ない訳ですから、私の言う「大義名分」とは、当事国が事にあたるに至り、国連や関係協力国との政治的関係を損なったり、強い批難を受けたりする事などを回避するためにある政治手法の一つに過ぎないという事なのです。 論議の主旨からはそれますが、「イスラエルのパレスチナ自治区侵攻」はこの場合の例には適切でないと思います。「反対しそうな各国に圧力をかける政治的・経済的な力もない」のはその通りですが、昔からあの国は、はなから国際世論の支持を得ようなんてこれっぽっちも期待していませんし、アラブ諸国の脅威を受けつつ「頼りになるのは自分だけだ」という信念のもとに軍事力を強化・維持し続け、「大儀名分」があろうとなかろうと自国の政策を強硬する事に逡巡したりはしないし、それ故、「軍事行動にいたるまでの手続き」という様な悠長な事も最初から考慮していないでしょう。 また、「軍事攻撃による圧倒的な制圧ができる実力がなく」という点は意見を異にします。イスラエルは結局、自治区への侵攻作戦を継続しましたし、最終的に撤退したのは、当初の軍事目的とシャロンの政治的目的(自治区に潜む潜在的過激派・テロメンバーの逮捕と実力行使によるテロ組織への警告)を達成したからに他なりません。 |