Page 48 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 通常モードに戻る ┃ INDEX ┃ ≪前へ │ 次へ≫ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ▼O級巡洋戦艦の存在意義はどこに? 水上隆蘆 02/4/20(土) 4:21 ┣超甲巡ではないか? 井中かえる 02/4/20(土) 10:06 ┣個人的意見 ルクルス 02/4/21(日) 2:28 ┣Re:O級巡洋戦艦の存在意義はどこに? 勝井 02/4/21(日) 7:47 ┣そーですなあ まなかじ 02/4/21(日) 18:59 ┃ ┗Re:そーですなあ 勝井 02/4/22(月) 2:45 ┣P級とO級の元構想は一緒のもの 大塚好古 02/4/22(月) 10:52 ┗フランス艦隊は? カンタニャック 02/4/27(土) 17:29 ┗英仏を同時に相手にするなら 井中かえる 02/4/29(月) 7:26 ─────────────────────────────────────── ■題名 : O級巡洋戦艦の存在意義はどこに? ■名前 : 水上隆蘆 <sueyosi@ninus.ocn.ne.jp> ■日付 : 02/4/20(土) 4:21 -------------------------------------------------------------------------
初めて書き込むことになる水上と言います。よろしくお願いします。 別館である「架空機の館」で行われた16回競争試作のお題でO級巡洋戦艦について考える機会があり、そのときに疑問に思ったことがあります。 O級は通商破壊を主任務とした軽防御の高速艦と言われることが多いようです。ですが、Z艦隊計画が艦隊決戦を目指した一大軍備計画だったのに(と思うのですが)、通商破壊に特化した大型艦をわざわざ作る必要があるとはあまり思えません。 仮に通商破壊に使うつもりとしても、38センチ砲といったあまりにも威力の有りすぎる砲を装備しているように思えます。むしろ、巡洋艦を排除するのに十分な28センチ砲で良いのではないでしょうか。 船団に戦艦がついてきた時の事を考えると威力不足になるのは否めませんが、そもそも満足な防御のない艦に戦艦と戦わせる事自体が無茶だと思います(そもそも戦艦のついてる船団は襲わなかったんじゃないかと……)。で、仮に戦艦のいない船団を襲うなら、P1級の方が適任ですよね?(数が作れ、個艦性能でも必要十分だし) 本当にこの艦、わざわざ作る必要があるのでしょうか?(O級3隻をやめ、思い切って戦艦を2隻増やした方が良いように思えます) ということで、個人的にはむしろ、通商破壊とか艦隊決戦時の戦艦部隊の援護とかを目的としていたのではなく(ゼロとは言いません。あったらあったで困りませんし)、よく言われる「わずか3年半で完成」という事の方が大事なのではないかと。 1940年にビスマルク級が完成した後、H級が完成するまでの5年以上を戦艦戦力の増強無しではいられなかったために必要ないけど泣く泣く作ることにした「なんちゃって戦艦」なのではと考えてるのですが……。 当初はQ&Aに投稿しようかとも思ったのですが、似たようなスレッドも多いようなのでこちらに書き込むことにしました。 皆様のご意見を聞かせていただけたら幸いです。 |
状況証拠からだけですが、Z計画ではO級・P1級の上にH級戦艦があり、下にM級軽巡洋艦があります。このうちM級は6インチ砲8門の比較的に弱めの軽巡洋艦です。 それに対しイギリスにはキングジョージ五世級その他の新鋭戦艦と多数の旧式戦艦の下にあるのが12隻の重巡洋艦とタウン級に連なる条約型軽巡洋艦(一万トン前後の排水量と12〜15門の6インチ砲を積んだ巡洋艦)です。 これらの大型巡洋艦に対するドイツの手駒としてはポケット戦艦3隻とヒッパー級重巡洋艦5隻がありますが、Z計画では重巡洋艦がこの5隻で打ち止めになっていることからすると、O級・P1級を大型巡洋艦にぶつける気だったのではないでしょうか? 15インチ砲は過剰な気もしますが、ラプラタ沖海戦で11インチ砲では重巡洋艦として最弱の部類に属するエクゼターを倒すこともできなかったのですから、あながち間違いでもないかと(タウン級以降の条約型軽巡洋艦は初期の重巡洋艦より上の装甲を持っています)。 ともかく、Z計画というのはどの艦種においてもイギリスの同級を上回るように計画された個艦優秀主義なものだと思います(M級・SP1級は巡洋艦ではなく駆逐艦に対する駒とみています)。 |
> O級は通商破壊を主任務とした軽防御の高速艦と言われることが多いようです。ですが、Z艦隊計画が艦隊決戦を目指した一大軍備計画だったのに(と思うのですが)、通商破壊に特化した大型艦をわざわざ作る必要があるとはあまり思えません。 私はZ計画は艦隊決戦を目指したものでは無いと思っています。 独逸の立場になって考えると、艦隊決戦を挑む利点は少ないと思います。 >1940年にビスマルク級が完成した後、H級が完成するまでの5年以上を戦艦戦力の増強無しではいられなかったために必要ないけど泣く泣く作ることにした「なんちゃって戦艦」なのではと考えてるのですが これは卓見です。15インチ砲6門の高速戦艦と発表しても、弱防御とは決して公言しないでしょう。各国が主砲対応防御と思ってくれる様にゲッペルスが宣伝するでしょうね。 つまり戦艦の持つ政治性を利用する為の政治戦艦というべきか。 このことからもZ計画は決戦計画とは違うのかと。 |
> 1940年にビスマルク級が完成した後、H級が完成するまでの5年以上を戦艦戦力の増強無しではいられなかったために必要ないけど泣く泣く作ることにした「なんちゃって戦艦」なのではと考えてるのですが……。 いや、H級1、2番艦は1939年に、つまりO級より先に起工されてますよ。 彼女らは早ければ43年、遅くとも44年中には竣工しますから O級と同時期かむしろやや早いくらいになったはずです。 |
> O級は通商破壊を主任務とした軽防御の高速艦と言われることが多いようです。ですが、Z艦隊計画が艦隊決戦を目指した一大軍備計画だったのに(と思うのですが)、通商破壊に特化した大型艦をわざわざ作る必要があるとはあまり思えません。 主力とは離れた海面で遊撃戦を展開し、その方面に巡戦や高速戦艦をひきつけることはできます。 O級を排除するには重巡でも役不足です。複数のO級+シャルンホルスト級あたりが大西洋を跳梁するならば、英艦隊の主要打撃戦力はバラバラにされてしまいます。 もし巡洋艦で対抗するなら一個戦隊以上の数量が必要となり、やはり主力艦隊の対水雷部隊用の備えが薄くなる可能性があります。 主力のH級が北海に控えているときに、高速主力艦を大西洋に抽出させられるのは英海軍にとって甚だ面白くない事態となるでしょう。 英海軍は海上輸送路を無視してでも本国水域での艦隊決戦に備えられるという性格の海軍ではありません。 第一次大戦中のドイツ海軍は、巡洋戦艦(大巡)の航続力が不足で遠隔水域に展開できなかったことから敵に戦力分散の強要ができず、グランドフリートの全力と北海で対峙することになり、常に劣勢兵力での対陣を余儀なくされています。 劣勢側の大原則であるはずの、こちらの全力で敵の分力を討つ、を完全に封じられてしまっていますね。 おそらく、この反省から、後方をかき回して間接的に主力を援護しようというのがO級の狙いではないでしょうか。 また、有力水上艦と策応できればUボート部隊の作戦が容易となるのは大戦中のPQ-17船団の戦例を見ても明らかで、この点も外洋型Uボート162隻の整備計画とともに計算のうちに入っているでしょう。 それがうまくいくかどうかは別としてですが。 > 仮に通商破壊に使うつもりとしても、38センチ砲といったあまりにも威力の有りすぎる砲を装備しているように思えます。むしろ、巡洋艦を排除するのに十分な28センチ砲で良いのではないでしょうか。 > 船団に戦艦がついてきた時の事を考えると威力不足になるのは否めませんが、そもそも満足な防御のない艦に戦艦と戦わせる事自体が無茶だと思います(そもそも戦艦のついてる船団は襲わなかったんじゃないかと……)。で、仮に戦艦のいない船団を襲うなら、P1級の方が適任ですよね?(数が作れ、個艦性能でも必要十分だし) さて、問題はここですね。 O級はP1級より後から計画されたとされていますが、P1級よりも先に設計を終え、建造にかかるところまでいっていました。 あるドイツ語サイト(http://www.dkm.cpp.de/index.htm)によれば、P1級の拡大改良こそがO級であって、P1の建造計画はOに吸収され、P1は細部設計を詰めることなく放棄されたとあります。 Z計画の原計画ではP1級12隻のみがあり、O級の姿は見えません。 O級3隻を加えた結果P1級は8隻に縮小されたという話もありますし、このあたり諸説紛々たる有様ですが、現実的に見てP1級はラプラタ沖のシュペーと同様、軽巡2隻で対処可能な程度の艦と見ていいと思います。 砲の射程や投射量からするならば、航続距離が長くて副砲を持っているヒッパー級といった感じで、本質的には重巡です。三連装2基6門ですから、副砲の連装2基4門を加味しても実際の戦術的側面からすればヒッパー級より辛いかもしれません。 むろん、11インチ砲ですから一方的に狩るにはレナウン級以上の高速主力艦が必要ですが、どうしてもというわけではありません。 英軍からしてみれば、極めて多数の巡洋艦を拘束されるけれども、H級に備えて全戦艦をスカパフローに置いておくことは不可能ではないということになります。そして、それに何とか対応できるだけの巡洋艦を英海軍は持つことができます。 これは戦力分散を図ろうとしているドイツ海軍にとっては由々しい事態です。 また、ドイツ海軍に「廃艦所要弾数」という概念があったかどうかはわかりませんが、複数の敵艦を相手取った場合に、1隻を叩き潰すまでに時間がかかりすぎてもう1隻にフトコロに喰い込まれるという状況がP1級では容易に予想されます。 15インチならば1〜2発命中でほぼ巡洋艦の戦力を喪失させられる上に、弾道性能面からもアウトレンジがより容易になるわけで、英巡洋艦部隊にとってはいくらなんでも割の合わない勝負になります。O級を狩り出すにはどうあっても高速主力艦の出馬を仰がねばならず、ドイツ海軍は英主力艦戦力の分散に、ついに成功することになるでしょう。 > ということで、個人的にはむしろ、通商破壊とか艦隊決戦時の戦艦部隊の援護とかを目的としていたのではなく(ゼロとは言いません。あったらあったで困りませんし)、よく言われる「わずか3年半で完成」という事の方が大事なのではないかと。 「2年半」で造れ、という話ではなかったでしょうか? これは戦時急造に近いノリです。 > 1940年にビスマルク級が完成した後、H級が完成するまでの5年以上を戦艦戦力の増強無しではいられなかったために必要ないけど泣く泣く作ることにした「なんちゃって戦艦」なのではと考えてるのですが……。 Z計画が艦隊決戦を目論んだ艦隊整備計画であるとしても、仮想敵たる英海軍は既成の大艦隊を擁していますね。 もちろん、対外的にはルクルスさんが仰ったような宣伝がなされるでしょう。 戦争が起きなければ、水上さんが仰るような意味合いがO級には付与されるはずです。 とはいえ、H級の整備成るまでに不幸にして戦争となってしまったら、史実でやったように大西洋に出て通商破壊戦をするしかなく、その意味でも既成のポケット戦艦3隻、およびシャルンホルスト級2隻を更に補完する最有力の「遊撃戦力」としてO級の完成は急がれます。 H級の戦力を最大限に生かすにはO級の助力が必要ですが、O級は独力での通商破壊任務にも耐えられます。 H級のオールディーゼルによる長大な航続距離を通商破壊作戦用と見る向きもありますが、このディーゼル主機+重油1万トンはおそらく本国水域から北海の戦場までの行き帰りをずっと高速を維持して行なうためのものと見るべきではないかと思います。 もちろん、その重油搭載量を巡航速度に置き換えて長途進出にも応用できるはずですが、わざわざ遠隔海面で決戦を求める必要性はまったくなく、主力6隻もの戦艦を連ねて通商破壊するより、英海軍主力を撃滅して制海権を掌握する方がより合理的です。 H級(およびビスマルク級)は自らもかなりの速力を持ち、その速度を長時間に亙って維持できるのですから、第一次大戦時にドイツ巡戦がやった英本土砲撃などの釣りだし行動をも自力でやることができます。 このドイツ主力部隊が本国水域に頑張っている限り英海軍は一定数の高速戦艦をスカパフローに置いておく必要があり、かといってO級基幹の遊撃部隊をフリーハンドにしておけば帝国の生命線が危うい。 ティルピッツ1隻でああだったのですから、英海軍の主力艦隊は、もしライオン級に更にヴァンガードを加えたとしても戦力的にあっぷあっぷになるでしょう。 …ただ、この考察には当時の気分を反映して(?) 航空戦力の役割を意識的に低く見積もっています(笑 ドイツ海軍が描いた餅はたぶんこんな感じだったんじゃないかな、と思いますが、大きな穴はいくつもあいているようですね。 |
僕もP級が本質的に重巡洋艦という見方には賛成ですね。 図体はドイッチュラントの倍以上ですが、 装甲は大して強化されてません。 大きく変わったのは機関関係で、 ドイッチュラントの5万4千馬力から16万5千馬力と 実に3倍以上です。 このため速力は前者の28ノットから33ノットに向上し、 対巡洋艦の高機動戦闘への対応が可能となっています。 ついでに航続力も13ノット比較で1万7400浬から2万5千浬へと 相当に延びてますね。 |
P級はドイッチュランド級と同じ目的で建造されてます。あくまで主力艦として使用可能な装甲巡洋艦ですね。 この計画を進めているうちに、28cm砲の大型艦に対する打撃力不足が実弾試験の結果認識され、この結果を踏まえてP級に38cm砲装備の計画(38cmx4)がでますが、これは門数の不足もあって38cmx6を搭載する大型巡洋艦という別案として検討されることになります。これがO級ですが、この案自体は1938年に挙がっており、Z計画の巡洋艦建造計画が1940年から開始ということもあって1939年にはP/O両案共々平行して検討・計画されます(この段階での建造予定が最近言われるPx8、Ox3)。 しかしながら1939年末に起きたプレート河の海戦で装甲艦が重巡洋艦に対して優位を保ちえない事が明確となった結果、P級の建造が中止される一方でO級が初期構想よりやや防御力を増した形となって、高速の大型(装甲)巡洋艦として建造されることになります(この時点でP級はO級に吸収されたと見て良いでしょう)。この決定は大型砲による打撃力の強化もありますが、シャルンホルストとグナイゼナウ用に製造した38cm砲が余っており、急速建造が出来ない事も無かったのが大きく影響しています(戦争が始まらなかったら1940年初頭には換装工事を始めていたでしょうね<シャルンホルスト級)。ただし、艦の目的は特に変化しておらず、O級の建造目的はあくまで「主力艦としても使用可能な大型高速の装甲巡洋艦」というものであり、決して通商破壊艦として計画されたわけではありません(巡洋艦の任務の一つに通商破壊がありますけどね)。まあ、他国の艦では性格的にはアラスカ級が一番近い艦でしょうか(あれは対巡洋艦用の大型高速巡洋艦ですけどね)。 |
資料に基づく発言ではないので、当時の事情の認識の誤りがあるかも知れませんが、当時のドイツ海軍は、皆さんがおっしゃる対英戦争に加えて対仏戦争のことも考えていたのではないでしょうか。 イギリス中立下の対仏戦争という後知恵で考えれば虫のいい設定での戦争(39年夏までの発想)や、フランス崩壊などというチョー虫のいい予想に基づかない仏艦隊とも戦う必要がある堅気な対英対仏戦争(40年夏までの発想)を考えた場合、O級はポケット戦艦キラーのダンケルク級を確実に凌駕し、リシュリュー級ともそれなりに戦え、フランス戦艦隊をH級艦隊におびき寄せるオトリとして最適という手頃な艦になるでしょう。ドイツ海軍の主敵がイギリス海軍であることには完全に同意しますが、O級の計画にあたっては第二の敵のこともかなり考慮していたのではないでしょうか。 |
英仏の二海軍をまとめて相手にする状況ならば、ダンケルク級にしろ、リシュリュー級にしろ、KGVやレナウン級・フッドに比べて質的に特に注意を必要とする相手ではないのでは。無論量的にはただでさえ大きな英海軍に応援が加わったわけで大変でしょうが。 |