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 ▼航空巡洋艦は役立つか。  山家 02/3/14(木) 22:28
   ┣Re:航空巡洋艦は役立つか。  12式戦爆 02/3/14(木) 22:42
   ┃  ┗Re:航空巡洋艦は役立つか。  山家 02/3/14(木) 22:53
   ┃     ┗塩を撒く  BUN 02/3/14(木) 23:43
   ┣Re:航空巡洋艦は役立つか。  ルージュ 02/3/14(木) 23:06
   ┃  ┣追加  ルージュ 02/3/14(木) 23:21
   ┃  ┣水上機母艦の運用実績はどうっだとのでしょうか?  波タカシ 02/3/14(木) 23:50
   ┃  ┃  ┗水上機母艦と航空巡洋艦は異なる  井中かえる 02/3/15(金) 15:34
   ┃  ┗なぜ軍艦には航空機が載っているのか  井中かえる 02/3/15(金) 10:07
   ┣水上機の限界  ささき 02/3/15(金) 10:47
   ┃  ┗私の考え  山家 02/3/15(金) 22:58
   ┃     ┣対潜護衛は欲しい…けど予算が…  ささき 02/3/16(土) 1:09
   ┃     ┃  ┗航空駆逐艦はどうでしょうか?  井中かえる 02/3/16(土) 13:12
   ┃     ┃     ┗Re:航空駆逐艦はどうでしょうか?  ガミラス不敗 02/3/17(日) 13:25
   ┃     ┣Re:私の考え  MI66 02/3/16(土) 1:12
   ┃     ┃  ┗取り返しのつかない失敗  シュウスイ 02/3/16(土) 8:35
   ┃     ┃     ┗スミマセン.IF話です  MI66 02/3/16(土) 17:31
   ┃     ┃        ┣Re:スミマセン.IF話です  新参親爺 02/3/17(日) 22:40
   ┃     ┃        ┗やはり機動部隊での運用が無難…  シュウスイ 02/3/17(日) 23:31
   ┃     ┣Re:私の考え  ルージュ 02/3/16(土) 2:25
   ┃     ┃  ┗航空巡洋艦という概念は存在したのか  BUN 02/3/16(土) 9:26
   ┃     ┃     ┣Re:航空巡洋艦という概念は存在したのか  戦艦乞食 02/3/16(土) 9:55
   ┃     ┃     ┃  ┣Re:航空巡洋艦という概念は存在したのか  BUN 02/3/16(土) 15:07
   ┃     ┃     ┃  ┣Re:航空巡洋艦という概念は存在したのか  ルージュ 02/3/16(土) 18:07
   ┃     ┃     ┃  ┗Re:航空巡洋艦という概念は存在したのか  無頼庵 02/3/16(土) 21:56
   ┃     ┃     ┃     ┗偵察力の重視  戦艦乞食 02/3/16(土) 23:52
   ┃     ┃     ┃        ┣水偵と艦偵の役割は異なってた??  無頼案庵 02/3/17(日) 2:31
   ┃     ┃     ┃        ┃  ┗カギは二座水偵  BUN 02/3/17(日) 16:07
   ┃     ┃     ┃        ┃     ┗Re:カギは二座水偵  じゃむ猫 02/3/17(日) 18:20
   ┃     ┃     ┃        ┃        ┗十六試夜偵  BUN 02/3/17(日) 19:01
   ┃     ┃     ┃        ┣偵察力の重視?  tackow 02/3/18(月) 0:47
   ┃     ┃     ┃        ┃  ┗Re:偵察力の重視?  戦艦乞食 02/3/18(月) 9:00
   ┃     ┃     ┃        ┃     ┗専門観測機は存在しない  BUN 02/3/18(月) 11:45
   ┃     ┃     ┃        ┗偵察力の重視は無い  BUN 02/3/18(月) 5:08
   ┃     ┃     ┃           ┗Re:偵察力の重視は無い  戦艦乞食 02/3/18(月) 8:16
   ┃     ┃     ┃              ┗奇襲、奇策という程でも・・・ない  BUN 02/3/18(月) 11:10
   ┃     ┃     ┃                 ┗Re:奇襲、奇策という程でも・・・ない  戦艦乞食 02/3/18(月) 14:28
   ┃     ┃     ┃                    ┗水上機と水上艦  戦艦乞食 02/3/18(月) 15:13
   ┃     ┃     ┃                       ┗Re:水上機と水上艦  SUDO 02/3/18(月) 17:58
   ┃     ┃     ┃                          ┣Re:水上機と水上艦  戦艦乞食 02/3/18(月) 18:23
   ┃     ┃     ┃                          ┃  ┣大変失礼いたしました  戦艦乞食 02/3/18(月) 18:29
   ┃     ┃     ┃                          ┃  ┣Re:水上機と水上艦  SUDO 02/3/18(月) 20:53
   ┃     ┃     ┃                          ┃  ┗現実となった机上の空論  BUN 02/3/18(月) 22:05
   ┃     ┃     ┃                          ┃     ┗水爆構想は基地航空隊の充実から生まれた?  ルージュ 02/3/19(火) 4:16
   ┃     ┃     ┃                          ┃        ┗実らないまま生き残った構想  BUN 02/3/19(火) 9:44
   ┃     ┃     ┃                          ┗Re:水上機と水上艦  BB 02/3/19(火) 1:13
   ┃     ┃     ┃                             ┗着眼点の問題  BUN 02/3/19(火) 6:45
   ┃     ┃     ┃                                ┣Re:着眼点の問題  山家 02/3/19(火) 21:51
   ┃     ┃     ┃                                ┃  ┗護衛艦としても問題あり  まなかじ 02/3/19(火) 22:52
   ┃     ┃     ┃                                ┃     ┗Re:護衛艦としても問題あり  BB 02/3/19(火) 23:17
   ┃     ┃     ┃                                ┃        ┣Re:護衛艦としても問題あり  BUN 02/3/19(火) 23:31
   ┃     ┃     ┃                                ┃        ┃  ┗両方のレスここで  BB 02/3/20(水) 0:37
   ┃     ┃     ┃                                ┃        ┃     ┗考える順序が逆では?  BUN 02/3/20(水) 11:51
   ┃     ┃     ┃                                ┃        ┃        ┣Re:考える順序が逆では?  山家 02/3/20(水) 23:22
   ┃     ┃     ┃                                ┃        ┃        ┗レス、ありがとうございます  BB 02/3/21(木) 1:09
   ┃     ┃     ┃                                ┃        ┃           ┗大淀は面白いですね  BUN 02/3/21(木) 6:52
   ┃     ┃     ┃                                ┃        ┗巡洋艦で対潜攻撃は出来ないでしょう。  ルージュ 02/3/20(水) 0:46
   ┃     ┃     ┃                                ┗Re:着眼点の問題  BB 02/3/19(火) 22:45
   ┃     ┃     ┃                                   ┣護衛空母は役に立たない  BUN 02/3/19(火) 23:28
   ┃     ┃     ┃                                   ┣Re:対潜作戦はむしろレーダーの性能  シュウスイ 02/3/19(火) 23:49
   ┃     ┃     ┃                                   ┃  ┗今更ながら、自己補足。  シュウスイ 02/3/21(木) 12:53
   ┃     ┃     ┃                                   ┃     ┣Re:今更ながら、自己補足。  SUDO 02/3/21(木) 15:10
   ┃     ┃     ┃                                   ┃     ┃  ┗レスありがとうございます。  シュウスイ 02/3/23(土) 12:40
   ┃     ┃     ┃                                   ┃     ┗そんな事もないですよ  tackow 02/3/21(木) 23:37
   ┃     ┃     ┃                                   ┃        ┗Re:そんな事もないですよ  シュウスイ 02/3/23(土) 12:46
   ┃     ┃     ┃                                   ┗Re:着眼点の問題  SUDO 02/3/20(水) 7:09
   ┃     ┃     ┗コミュニケーション能力の低い海軍用品ではなかろうか  dg 02/3/16(土) 22:24
   ┃     ┗航空巡洋艦でなければならない理由  八郎太 02/3/16(土) 13:48
   ┃        ┗Re:航空巡洋艦でなければならない理由  シュウスイ 02/3/16(土) 15:24
   ┣二級線任務  BB 02/3/16(土) 23:39
   ┃  ┣私なりの現在の意見  山家 02/3/17(日) 21:47
   ┃  ┃  ┗Re:私なりの現在の意見  BB 02/3/17(日) 22:56
   ┃  ┗使用目的に関する私なりの意見  ほほうてい 02/3/19(火) 23:11
   ┃     ┗Re:使用目的に関する私なりの意見  BB 02/3/19(火) 23:42
   ┃        ┗大淀は?  BUN 02/3/20(水) 0:15
   ┣Re:航空巡洋艦は役立つか。  ”&” 02/3/21(木) 21:30
   ┃  ┗Reやはり偵察が主任務と思います。  シュウスイ 02/3/23(土) 17:49
   ┃     ┗Re:Reやはり偵察が主任務と思います。  まなかじ 02/3/23(土) 23:42
   ┃        ┗Re論点がずれていると思います。  シュウスイ 02/3/24(日) 7:16
   ┃           ┗Re:Re論点がずれていると思います。  SUDO 02/3/24(日) 8:19
   ┃              ┗Re:やはり本来の議論になっていない気がしますが…  シュウスイ 02/3/24(日) 11:54
   ┃                 ┣よく読んで貰えれば・・・  BUN 02/3/24(日) 13:27
   ┃                 ┃  ┗Re:よく読んで貰えれば・・・  シュウスイ 02/3/24(日) 16:38
   ┃                 ┃     ┗誤解があるのでは?  BUN 02/3/24(日) 21:23
   ┃                 ┃        ┗Re:誤解があるのでは?  シュウスイ 02/3/25(月) 22:47
   ┃                 ┣えーと  まなかじ 02/3/24(日) 16:05
   ┃                 ┃  ┗Re:明確な回答ありがとうございます。  シュウスイ 02/3/24(日) 17:09
   ┃                 ┗Re:やはり本来の議論になっていない気がしますが…  SUDO 02/3/24(日) 20:35
   ┃                    ┗Re水爆構想って、所詮は放棄された漸減作戦の一環でしょう。  シュウスイ 02/3/25(月) 21:19
   ┃                       ┣Re:Re水爆構想って、所詮は放棄された漸減作戦の一環でしょう。  SUDO 02/3/25(月) 23:05
   ┃                       ┃  ┗当初の航空戦艦構想は…  シュウスイ 02/3/26(火) 21:41
   ┃                       ┃     ┣Re:当初の航空戦艦構想は…  薩摩 02/3/26(火) 23:47
   ┃                       ┃     ┗Re:当初の航空戦艦構想は…  SUDO 02/3/27(水) 9:11
   ┃                       ┣それほど無意味ではないですよ  BUN 02/3/26(火) 1:44
   ┃                       ┃  ┣米海軍の場合  大塚好古 02/3/26(火) 9:42
   ┃                       ┃  ┣仏海軍の場合  まなかじ 02/3/26(火) 20:04
   ┃                       ┃  ┗Re:それほど無意味ではないですよ  シュウスイ 02/3/26(火) 22:19
   ┃                       ┃     ┣取り敢えず落ち着きましょう。  ルージュ 02/3/26(火) 22:51
   ┃                       ┃     ┗この辺でしょうか・・  BUN 02/3/27(水) 6:44
   ┃                       ┗複座水偵は「偵察機」でない  まなかじ 02/3/26(火) 1:46
   ┃                          ┗Re:複座水偵は「偵察機」でない  シュウスイ 02/3/26(火) 22:54
   ┃                             ┣艦載水上機  まなかじ 02/3/26(火) 23:36
   ┃                             ┗別角度から  まなかじ 02/3/27(水) 0:42
   ┃                                ┗自己レス  まなかじ 02/3/27(水) 1:09
   ┗CFはどういうつもりだったのか?  井中かえる 02/3/25(月) 8:51
      ┗Re:CFはどういうつもりだったのか?  大塚好古 02/3/26(火) 0:33

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 ■題名 : 航空巡洋艦は役立つか。
 ■名前 : 山家
 ■日付 : 02/3/14(木) 22:28
 -------------------------------------------------------------------------
    以前,Ans.Qで取り上げられたことがあるようですが、しばらく経っているし、そ
の頃はこのHPを知らなかったこともあり、あらためて、この議論ボードで取り上げたい
と思いました。似たような艦として、航空戦艦があります。航空戦艦は、Ans.Qで、
詳細な回答がされており、確かになぜ建造されなかったのかが分かったのですが、航空巡
洋艦は、余り触れられていませんでした。それで、WWII当時、航空巡洋艦が建造されて
いたら、そして、それは実際に役立つ艦になるのか、ということについて、話したいと思
います。どうか、よろしくお願いします。

 ───────────────────────────────────────  ■題名 : Re:航空巡洋艦は役立つか。  ■名前 : 12式戦爆  ■日付 : 02/3/14(木) 22:42  -------------------------------------------------------------------------
    航空戦艦の定義は分かるんですが、航空巡洋艦の定義ってどの辺なのでしょうか? 例えば、グラーフ・ツェッペリンのような「普通航空機の発艦ができ、かつ巡洋艦クラスの砲を備えている」(これだと初期の赤城、加賀もそうかな)のか、「多数の水上機の運用が可能な巡洋艦」(利根級ですね)なのか、また違う艦なのか。
 いえ、「航空巡洋艦」で真っ先に利根級が頭に浮かんだので。

 ───────────────────────────────────────  ■題名 : Re:航空巡洋艦は役立つか。  ■名前 : 山家  ■日付 : 02/3/14(木) 22:53  -------------------------------------------------------------------------
    すいません。言葉足らずでした。私としては、艦上機を運用する航空母艦兼砲撃戦も可
能な巡洋艦の複合型(例、建造当初の赤城、加賀やレキシントン級)と水上機を運用する
水上機母艦兼砲撃戦も可能な巡洋艦の複合型(例、ミッドウェー海戦後の最上)それぞれ
について述べたつもりでした。両方とも役立つのでしょうか。それとも一方は役立つが、
他方は役立たないのでしょうか。はたまた両方とも役立たないのでしょうか。どうか、よ
ろしくお願いします。

 ───────────────────────────────────────  ■題名 : 塩を撒く  ■名前 : BUN  ■日付 : 02/3/14(木) 23:43  -------------------------------------------------------------------------
   航空母艦は水上砲戦を考えて構想するのが普通だった。
航空巡洋艦と巡洋艦は任務上大して変らない。
よって航空巡洋艦は存在しない。

というのは如何でしょうか。

 ───────────────────────────────────────  ■題名 : Re:航空巡洋艦は役立つか。  ■名前 : ルージュ  ■日付 : 02/3/14(木) 23:06  -------------------------------------------------------------------------
   現実に航空巡洋艦を建造したのは日本ぐらいで他国は通常の搭載数で済ましていますので
あれば便利かもしれませんが必須では無いと言う事だと思います。
日本の航空巡洋艦自体偵察巡洋艦の延長ですし陸上機や空母搭載機が使えたりと
偵察能力が充実すれば中途半端な巡洋艦でしかない以上、
無くてもそんなに困らないというのが実情ではないでしょうか。

 ───────────────────────────────────────  ■題名 : 追加  ■名前 : ルージュ  ■日付 : 02/3/14(木) 23:21  -------------------------------------------------------------------------
   通常空母と巡洋艦の合いの子の場合は更に使えない代物でしょうね。
ミッドウェイ等の海空戦を見ても判るように空母は危険物満載でしかも脆弱な代物です。
砲撃戦を考えるならば装甲も広範囲に張らなければいけませんし水中防御の充実も
必要です。
防御関係は防御力の向上には繋がりますけれど兵装関係は空母の能力には
何ら貢献しませんしデッドスペースでしかありません。
逆に砲戦では搭載機の燃料弾薬は危険物以外の何物でもありません。

どちらに使うにも問題点が多すぎるので建造されたとしても
史実通り通常空母への改装が待っていると思います。

 ───────────────────────────────────────  ■題名 : 水上機母艦の運用実績はどうっだとのでしょうか?  ■名前 : 波タカシ  ■日付 : 02/3/14(木) 23:50  -------------------------------------------------------------------------
   > 現実に航空巡洋艦を建造したのは日本ぐらいで他国は通常の搭載数で済ましていますの
日本以外ですとスウェーデンのGOTLANDがあるだけですね。これも適当な搭載機が得られずあまり使えていないようですね。

> あれば便利かもしれませんが必須では無いと言う事だと思います。
条約型の巡洋艦で3〜4機搭載なので利根型の6(5)機は少ないですね。

日本は水上機母艦を多数建造あるいは商船から改造していますが、これらの運用実績はどうだったのでしょうか?

 ───────────────────────────────────────  ■題名 : 水上機母艦と航空巡洋艦は異なる  ■名前 : 井中かえる  ■日付 : 02/3/15(金) 15:34  -------------------------------------------------------------------------
    水上機母艦と一言で言っても、その中には三種が存在します。
 一つめが水上機の集団を以って洋上作戦を行なおうとするもの。艦隊空母の水上機版です。日本の千歳級やフランスのコマンダン・テステが相当します。
 二つめが前線へ水上機を輸送するのが専門の艦船、陸上機では護衛空母が似たような事をしています。
 三つめが前線の泊地を利用して臨時基地の任務を果たす艦船で、日本の商戦改造水上機母艦はこの任務が中心でしょう。
 そして、航空巡洋艦が果たすべき役割は艦隊に加わる一つ目が主だと思いますので、商船改造水上機母艦の例は水上機の能力は測れても、艦隊水上機母艦の能力は測れないと思います。

 ───────────────────────────────────────  ■題名 : なぜ軍艦には航空機が載っているのか  ■名前 : 井中かえる  ■日付 : 02/3/15(金) 10:07  -------------------------------------------------------------------------
    とりあえず、軍艦になぜ航空機を積むのかを考えましょう。
 攻撃力を求めるのならば、なぜ任務がかぶる砲や魚雷まで必要なのか、ということになります。多数航空機を積んだ軍艦の行う水上戦の危険性についてはルージュさんが触れているとおりです。
 偵察能力を求めるならば(偵察は巡洋艦の重要な役割です)、なるべくたくさん、それもフロートなしで高性能の陸上機を積みたいという欲求は当然です。
 しかしそれを実現するとなると、長い航空甲板が必要となります。これと砲や魚雷を一万トンぐらいで同時装備するとなると苦しいでしょう。アメリカの航空巡洋艦のある案では6インチ三連装砲塔を三基しか積んでいないのに、航空甲板は100mしかありません(他の案では60m強というものもあります、どんな飛行機を使うつもりだったのでしょうか)。これでは第二次大戦レベルのまともな艦上機では運用が難しいと思います(MACシップの例からして不可能だとは考えませんが)。かといってそれ以上排水量を大きくしようと考えると、巡洋艦としての量を得ることが難しくなると思います。

 ───────────────────────────────────────  ■題名 : 水上機の限界  ■名前 : ささき  ■日付 : 02/3/15(金) 10:47  -------------------------------------------------------------------------
   水上機はまともな艦載機、陸上機より確実に性能が落ちます。
この一点で既に水上機母艦の運用限界が決められます。
まともな空母を持つ敵艦隊や、まともな防空飛行隊を持つ
基地攻撃には使用できません。
使えるとすれば対潜哨戒や対輸送船団などの防空力の低い
目標相手の攻撃(ただし輸送船団も軽空母を伴っている
可能性がありますが)、もしくは偵察くらいではないでしょうか。

また水上機の利点は水上から離発着できることですが、海はいつでも
凪いでいるとは限りません。母艦のウェーキを使って波を
静めるテクニックもありますが、これは速度を落として一定の
パターンを航行する為、潜水艦の脅威のある所では雷撃を受ける
危険が大きいです。

また、仮に安全だとしても水上機の回収は危険な作業で
時間と手間がかかります。中型以上の甲板式空母なら
1機1分以下の時間で着艦させる事ができますが、
揺れる機体にフックを引っかけクレーンで巻き上げる必要のある
水上機はその5〜10倍は時間がかかるのではないでしょうか。

1機10分で収容するクレーンを2基備え、左右舷側から並行して
収容するとしても、20機搭載なら全機収容まで1時間40分。
無闇に沢山積んでも使い勝手が悪そうですね。

架空戦記などには水上機運用能力を持つ戦艦・巡洋艦で
通商破壊作戦を行う描写が散見されますが、水上機収容中の
軍艦は脆弱な存在であり、搭載機を増やせば増やすほど
その危険を増大させる事には無頓着なように思えます。

まぁ、最初のうちは奇襲となって作戦成功するかも知れませんが、
相手に正体を知られて対策を打たれたらもう駄目だと思います。
貴重な重巡を大枚かけて半水上機母艦に改造するのでは
割に合わないと思います。

 ───────────────────────────────────────  ■題名 : 私の考え  ■名前 : 山家  ■日付 : 02/3/15(金) 22:58  -------------------------------------------------------------------------
    どうも、いろいろと意見を頂きありがとうございます。
 私としては、艦上機を運用する航空巡洋艦は、中途半端な存在で、史実の航空戦艦と大同小異の運命をたどるのではないか、と思います。
 しかし、水上機を運用する航空巡洋艦については、日本の特殊事情(艦上機用のカタパルトが開発できなかったことや優秀な水上機を国情から開発・保有していたこと等)から考えて、偵察用巡洋艦や、海上護衛における護衛艦隊の旗艦兼対潜哨戒等の水上機母艦として、日本では運用する価値があったのではないか、と皆様の意見を読んで思ったのですが、いかがでしょうか。やはり、役立たないでしょうか。

 ───────────────────────────────────────  ■題名 : 対潜護衛は欲しい…けど予算が…  ■名前 : ささき  ■日付 : 02/3/16(土) 1:09  -------------------------------------------------------------------------
   >  どうも、いろいろと意見を頂きありがとうございます。
>  私としては、艦上機を運用する航空巡洋艦は、中途半端な存在で、史実の航空戦艦と大同小異の運命をたどるのではないか、と思います。
>  しかし、水上機を運用する航空巡洋艦については、日本の特殊事情(艦上機用のカタパルトが開発できなかったことや優秀な水上機を国情から開発・保有していたこと等)から考えて、偵察用巡洋艦や、海上護衛における護衛艦隊の旗艦兼対潜哨戒等の水上機母艦として、日本では運用する価値があったのではないか、と皆様の意見を読んで思ったのですが、いかがでしょうか。やはり、役立たないでしょうか。

航空機運用能力を持つ対潜護衛艦は欲しいです。喉から手が出るほど欲しいです。
しかし護衛艦に必要なのは数なんですよね…。2隻や4隻あっても焼け石に
水です。10隻以上あれば遣り繰りできるかもしれませんが、それは
前線に必要な巡洋艦をほとんど全て航空化して護衛任務に振り分けることを
意味します。

予算に目を瞑って、とりあえず「既成事実として航空巡洋艦が何隻か
出来ちゃった、どう使おう?」という事ならそれなりに使い道はあると
思いますが、他の艦種を差し置いてわざわざ作るほどの価値は無いのでは
ないか…と思います。

 ───────────────────────────────────────  ■題名 : 航空駆逐艦はどうでしょうか?  ■名前 : 井中かえる  ■日付 : 02/3/16(土) 13:12  -------------------------------------------------------------------------
    本題からは少し離れますが、航空機を運用できる護衛艦をたくさん、ということで参考になりそうなものがあったので紹介します。
 本格架空戦記「覇者の戦塵」の作者谷甲州氏のファンクラブ「青年人外協力隊」のHP
 http://www.asahi-net.or.jp/~ft1t-ocai/jgk/
 で、「甲州研究編」→「覇者の戦塵編」→「覇者の戦塵にみる艦艇マスプロ化の効果と影響」とたどると、なんと松級駆逐艦に水偵を載せることが提案されています。筆者は林譲治氏です。

 ───────────────────────────────────────  ■題名 : Re:航空駆逐艦はどうでしょうか?  ■名前 : ガミラス不敗  ■日付 : 02/3/17(日) 13:25  -------------------------------------------------------------------------
   ご承知のとうりUSや満州国が試験しているように水上機搭載駆逐艦はさして珍しい発想ではありません。
ご紹介頂いた文にわずかでもオリジナリティが感じられるとすれば一等輸送艦型のスロープにするという点ぐらいです。
でもあまりにも短文なのでいくつか浮かんだ疑問が解決できません。
一等輸送艦のスロープは揚収に用いられましたっけ?
水上機が外洋で着水するのってどんな条件が都合がいいんですか?
揚収の際の理想条件はどんな感じなのでしょうか?
水上機ってどうやってスロープを這い上がるんですか?
1500t程度の駆逐艦に対して水偵3機も収容できる格納庫を設けた場合の風圧面積の増加による不利益にはどのような対処があるんでしょうか?
自分にはどうしても恐ろしく使い勝手の悪い小型艦ができあがるようにしか思えないです。

 ───────────────────────────────────────  ■題名 : Re:私の考え  ■名前 : MI66  ■日付 : 02/3/16(土) 1:12  -------------------------------------------------------------------------
   駆け込みですが,一言言わせてください。
私は実は航空巡洋艦,結構評価しています。
(水上機運用の方です)
以下,利根型に絞って分析。

まず火力不足についてですが,
2門減じることのデメリットは意外と小さいと思います。
夾叉を得るまではほとんど影響が無く,
連続発射状態になったあとも,もともと5%程度の
命中率ですからあまり大差はない。
(SUDOさまの魚雷…に詳述されているように,です)
また,
巡洋艦クラスの砲撃力があまり問題にならないことも
多いのではないでしょうか。というのは,実際に遭遇するのは
戦艦であったり,輸送船だったりしてあと2門あれば…
という状況は稀だと思うのです。

次に防御力不安ですが,
実際の砲戦で水上機備品の誘爆が原因で大損傷を受けた例,
ってあまり聞かないですね。どうしてもだめなら
誘爆しやすい燃料,弾薬等は砲戦前に捨ててしまえば良い
のではないでしょうか。

それらを犠牲にして得る偵察力増強。
まさに帝国海軍に不足していた能力だと思います。
敵にレーダ,暗号解読力があり,情報力では
大きく遅れを取っていたわけですし,
広い太平洋での作戦を考えると,
せめて偵察機くらい充実させるべきだったと思うのです。
後知恵ですが…

設計思想として
敵の同等クラスの巡洋艦を仮想して設計する,という意図は正論でしょう。
しかし,実際の海戦においてもっと大事な要素は沢山あり,
それらのバランスをどうとるか?
そのバランスが現実と見事にマッチした設計こそ,評価に値すると思います。

でもって利根。
機動部隊の目として十分働いた,少なくとも当てにされていた
ことは間違い無いでしょう。主要な海戦への出席率高いですよね。
これだけでも十分設計意図を達成していた。艦隊に貢献していると,
私は思います(時には,取り返しのつかない失敗もしましたが)
しかもレイテでは重巡としての役割も立派に果たしています。
そのことを見るにつけ,帝国海軍の次世代スタンダードは
このデザインで決まり。と,私などは思うわけです。
(え,伊吹ですか?…)

ただもっと個人的に言うと,
重巡においてこの機能を持たせたことが残念ですね。
できれば主砲も廃止して,高角砲を満載し,
防空偵察巡洋艦としてこのようなコンセプトを実現していれば,
更に活躍したのではないでしょうか。
そう,伊勢型の縮小,焼き直しで南太平洋のリベンジ,
というわけです。

どうでしょう??スキだらけですが…

 ───────────────────────────────────────  ■題名 : 取り返しのつかない失敗  ■名前 : シュウスイ  ■日付 : 02/3/16(土) 8:35  -------------------------------------------------------------------------
   > でもって利根。
> 機動部隊の目として十分働いた,少なくとも当てにされていた
> ことは間違い無いでしょう。主要な海戦への出席率高いですよね。
> これだけでも十分設計意図を達成していた。艦隊に貢献していると,
> 私は思います(時には,取り返しのつかない失敗もしましたが)

僕も利根は十分役に立ったと思いますし、ご意見に賛成です。

ところで、「時には、取り返しのつかない失敗」というのはもしかして
ミッドウェー海戦の利根四号機のカタパルト故障による発進遅れのこと
ではないかと思いますが、これについては多少擁護する意見もあるみたい
です。

確かに発進は遅れたけれども「敵ラシキモノ10隻見ユ」と発見打電した
だけでもその段階で索敵機として一定の任務を達成しているし、それを
米空母はいないものと思いこんで重要視せず、「艦種知セ」と指示した
だけで他には迅速な行動をしなかった機動部隊の方が適切でなかった、
というような…。

実際、利根索敵機だけに責任を負わせるようなことはちょっとかわいそう
な気もします。索敵は本来複数機で反復するのが正しい姿と思いますし、
逆に言うと利根型のような水偵の能力が比較的高い艦を作戦投入しても
だめだったということにするなら、利根型がなかったら余計にだめだった
ということになりませんか(索敵計画が甘かった、という指摘もできるか
とは思いますが)。

いずれ上記のことはどちらにしろ結果論ではあるんで、強く主張できる
ものではないと思いますが、少なくとも利根型が機動部隊の目として
重要視され、戦争前半はその目的を達成する能力があったことは確かな
ことだと思います。

 ───────────────────────────────────────  ■題名 : スミマセン.IF話です  ■名前 : MI66  ■日付 : 02/3/16(土) 17:31  -------------------------------------------------------------------------
   >シュウスイさま
ご意見拝見いたしました。

>ところで、「時には、取り返しのつかない失敗」というのはもしかして
ミッドウェー海戦の利根四号機のカタパルト故障による発進遅れのこと
ではないかと思いますが

ご明察です。私の言葉足らずな部分を補っていただき感謝いたします。
でもって,
私の更なる意見を申しますと,

帝国海軍にもっと偵察能力があれば,
あのとき,2段階索敵を実施し確実に敵を補足撃滅できていた
のではないかと思うのです(大ケガもしたでしょうが…)

これについては,2つのIFが必要かと思います。
・偵察機の頭数,レーダ等のハードウエア的な能力
・偵察を軽視する,敵を侮るといった運用側の能力,いわば
ソフトウエア的な能力です。
運用側について語ることは,全くのIF話になってしまいそうですが,
ハード面については面白味がありそうです。

可能性の一つとして,
利根型があと2隻あの場所にあったなら…
2段階索敵をするに足る偵察機が艦隊に豊富にあったなら,
当時の索敵方針も少し変わったのでは?
などと考えるわけです。
これが私が航空巡洋艦を評価する理由の一つでもあります。

ただ,冷静に色々考えてみると,利根型は分類上甲巡です。
ってことは艦隊決戦始まったら,準主力艦として活躍しなければ
ならないわけで,砲力で敵国に勝るとも劣らない,ではNGなわけです。
そのように考えると,
利根型はあくまで高雄型,妙高型があっての利根型であって,
帝国甲巡全部が利根型になったりしたら,
砲戦でいくら頑張っても引き分けが精一杯,てなことになるわけです。
そのようなわけで,
あまり数を作らなかったのも,海軍の方針であったかもしれませんし,
後からみても,正しいと思われます。

しかしながら
私がもっとイチオシする航空巡洋艦は,
丙巡から主砲を取り去って,防空機能を充実させる艦型です。
具体的には大淀,仁淀に水偵を返却し,
主砲を全部10cm高角砲にしたような艦型になるでしょう。

空母対空母の戦いにおいて,随伴する艦隊が直接役に立てるのは
偵察,防空くらいだと思います。
もちろん,砲撃部隊は別に存在することが前提となります。
また,防空機能については
米軍によって,南太平洋海戦でその有効性が証明されています。
(装備が違いますが…)

空母に随伴することを前提とし,
敵艦隊発見までは目として機能し,
敵機来襲時には空母の盾となって機能する。
しかし,砲戦はしない。
戦前の思想で言うなら,前哨戦のプロとでも申しましょうか…

このような航空防空巡洋艦なら,実戦でも文句無く役立つと言えると思います。
以上延々とIF話ですが,
史実の利根型に関しても,十分役立っていると私は思います。

 ───────────────────────────────────────  ■題名 : Re:スミマセン.IF話です  ■名前 : 新参親爺  ■日付 : 02/3/17(日) 22:40  -------------------------------------------------------------------------
   > しかしながら
> 私がもっとイチオシする航空巡洋艦は,
> 丙巡から主砲を取り去って,防空機能を充実させる艦型です。
> 具体的には大淀,仁淀に水偵を返却し,
> 主砲を全部10cm高角砲にしたような艦型になるでしょう。

それなら改装後の「伊吹」や米インディペンデンス級のような、全通甲板型の
艦上機を運用できる艦のほうがよっぽど防空機能が充実すると思いますが。

こんなのは「航空巡洋艦」ではなく「航空母艦」ですが。

 ───────────────────────────────────────  ■題名 : やはり機動部隊での運用が無難…  ■名前 : シュウスイ  ■日付 : 02/3/17(日) 23:31  -------------------------------------------------------------------------
   …ご意見を大雑把にまとめますと、いわゆる航空巡洋艦を機動部隊の中で運用すること
に意義を見いだす、ということになると思います。
航空巡洋艦の「航空」の機能目的を偵察哨戒においた場合、他の方も述べられている
ように船団護衛や、大淀がそうであったように潜水戦隊旗艦としての機能(すなわち
潜水艦による漸減作戦)もあるわけですが、やはり僕としても機動部隊の中での運用を
まず第一に考えたいと思います。
 その理由としてはやはり、帝国海軍として船団護衛にいわゆる航空巡洋艦を回す程の
余裕は考えにくいこと(これは結果論ですが)、そして潜水艦隊旗艦としての運用の
場合、水偵の持つ性能の限界や(たとえ高速水偵の開発に成功したとしても)帝国海軍
の潜水艦本来の性能の限界から、やはりこれも期待通りの結果は出せないと考えます。
 するとやはり、ある程度水偵の限界を認識した上で、機動部隊の中で水偵を艦偵とと
もに偵察任務の一翼を担うものと考え、機動部隊に水偵運用能力の高い巡洋艦を必要に
応じて配備するという方法が一番現実的だったと思います。

 ───────────────────────────────────────  ■題名 : Re:私の考え  ■名前 : ルージュ  ■日付 : 02/3/16(土) 2:25  -------------------------------------------------------------------------
   日本の場合は艦艇の頭数が不足しますので1万トン以上の大型艦を護衛艦隊に回す余裕は
無いと思うんですが・・・。
対戦任務に使うにしても運用面で通常の艦載機に遥かに劣る以上
結局通常の巡洋艦と同じ任務に就く可能性が高いですね。
通常の重巡洋艦でもある程度の搭載機はありますから頭数が確保できれば
其れなりに偵察能力はありますので雷装強化した巡洋艦の方が良いと思いますが。

対戦任務ならささきさんも書いてらっしゃますが数が重要ですので
1万トン巡洋艦2隻分の資材で海防艦20隻作った方が役に立つでしょうね。

 ───────────────────────────────────────  ■題名 : 航空巡洋艦という概念は存在したのか  ■名前 : BUN  ■日付 : 02/3/16(土) 9:26  -------------------------------------------------------------------------
   軍艦がどうしてその形式や装備を採ったのか、という問題と、
現実にそれがどのように有効だったか、という問題は別の話ではないでしょうか。

航空巡洋艦として役立つ、という事はどういうことなのか。
そもそも航空巡洋艦という概念が存在したのか。
根源的には日本の重巡とはどういう軍艦なのか、といった事を考えないと利根型を単に偵察能力だけで判断したり、その戦績を追うだけに終わってしまうかもしれません。
利根型や最上は何であんなに飛行機を搭載しているのでしょうか。

 ───────────────────────────────────────  ■題名 : Re:航空巡洋艦という概念は存在したのか  ■名前 : 戦艦乞食  ■日付 : 02/3/16(土) 9:55  -------------------------------------------------------------------------
   > 利根型や最上は何であんなに飛行機を搭載しているのでしょうか。

結局、帝國海軍は偵察を軽視していたと言う事に尽きるのではないでしょうか?
まともな航空機を運用可能な空母には攻撃力のみを求め、下駄ばきでも可能な偵察や弾着観測は巡洋艦搭載機で十分だというような認識があったのでは?

これは反論も多い事ですので確言はできませんが、利根&最上(航空巡)は本来帝國海軍が企図していた海軍航空化の一環だったと思います。急死した藤本喜久雄と左遷された江崎岩吉による大和原型、航空戦艦長門などとリンクするものとして。実際航空巡最上は平賀死去以降復帰した江崎の手になるもののようですし。

 ───────────────────────────────────────  ■題名 : Re:航空巡洋艦という概念は存在したのか  ■名前 : BUN  ■日付 : 02/3/16(土) 15:07  -------------------------------------------------------------------------
   > これは反論も多い事ですので確言はできませんが、利根&最上(航空巡)は本来帝國海軍が企図していた海軍航空化の一環だったと思います。

本来、巡洋艦搭載機に弾着観測の任務はありませんが、これはいい所を突いていると思います。何か考えているからこそ、それが形になるという思考は重要ですね。

 ───────────────────────────────────────  ■題名 : Re:航空巡洋艦という概念は存在したのか  ■名前 : ルージュ  ■日付 : 02/3/16(土) 18:07  -------------------------------------------------------------------------
   > まともな航空機を運用可能な空母には攻撃力のみを求め、下駄ばきでも可能な偵察や弾着観測は巡洋艦搭載機で十分だというような認識があったのでは?

そういえばミッドウェイでも水偵が偵察を行っていたんですよね(^^;

搭載機の方から見てみると海戦時の水偵の速度と艦攻の速度は大して変わらないですし
能力的には実際には十分だったかもしれませんね。
もしかして水偵の性能要求は同時期発注の艦攻の性能を考慮してるのでしょうか?
紫雲に高速が求められたのは流星が高速だったから・・・とか。

 ───────────────────────────────────────  ■題名 : Re:航空巡洋艦という概念は存在したのか  ■名前 : 無頼庵 <yoshino-@horae.dti.ne.jp>  ■日付 : 02/3/16(土) 21:56  -------------------------------------------------------------------------
   > 結局、帝國海軍は偵察を軽視していたと言う事に尽きるのではないでしょうか?
おっしゃろうとしてる事は理解できるのですが、
言い方一つで逆のいい方も出来る気が・・・。

開戦当時の連合艦隊の編成って、戦隊単位でとらえると
・戦艦戦隊
・重巡戦隊
・水雷戦隊(軽巡+駆逐艦)
・潜水戦隊
・航空戦隊
で、基本的に艦種ごとにまとまっていますよね。
各戦隊ごとの索敵能力を充実させようとして
潜水艦に水上機積んだり、利根や最上をあんな形にしたり
水雷戦隊の旗艦を軽巡にしたのかな〜とも愚考します。

また、艦隊ごとに捉えても
戦艦+水雷戦隊の第一艦隊は「鳳翔」「瑞鳳」という空母が随伴してますが
重巡+水雷戦隊の第二艦隊、潜水艦隊の第六艦隊に空母は随伴していません。

(これは蛇足ですが、第一艦隊が戦艦どうしのドツキ合いになったら
随伴している瑞鳳くんは、とばっちりくらって、まずボカチンでしょうし、
重巡の足についていける日本の小型空母というと、皆無です。
これを考えると、戦艦や重巡にやたらに空母を随伴させるのも、考え物です。)


日本は、艦隊、戦隊ごとの索敵能力を重視したために
艦載水上機の搭載を推進し、
そして、水上機のネガティヴな部分を補うための努力の結果が
瑞雲であり、紫雲ではないでしょうか?

 ───────────────────────────────────────  ■題名 : 偵察力の重視  ■名前 : 戦艦乞食  ■日付 : 02/3/16(土) 23:52  -------------------------------------------------------------------------
   > 日本は、艦隊、戦隊ごとの索敵能力を重視したために
> 艦載水上機の搭載を推進し、
> そして、水上機のネガティヴな部分を補うための努力の結果が
> 瑞雲であり、紫雲ではないでしょうか?

私のような新参・お調子者にレスを付けて下さる方がこんなにいらっしゃるなんて・・・
単純に喜んでおります。

さて無頼庵さまの仰る事は、「索敵力軽視と言うより空母を伴わずとも、ある程度の索敵力を発揮可能な柔軟性を持たせるための航空巡である」と解釈してよろしいのでしょうか?
帝國海軍にとって、むしろ偵察にさけるほど空母数が十分でなかったための航空巡と言い換える事もできそうですね。水上砲戦時でも遠距離偵察力を持つ空母なら事前に単独でも後退可能ですし、速度についてもそれだけの性能を持つ正規空母なら問題は無く、やはり正規空母の絶対数不足が航空巡の必要性を呼んだと言えそうです。
日本の国力ではたとえ大和建造を思いとどまっていても必要な正規空母数を得る事は至難の業と思われます。

しつこいようですが艦政本部の藤本・江崎、軍令部中沢佑中佐・石川信吾少佐が目指していた全艦隊の航空化とは、偵察重視からくる各艦艇の航空機運用能力付加だったのかもしれません。

 ───────────────────────────────────────  ■題名 : 水偵と艦偵の役割は異なってた??  ■名前 : 無頼案庵 <yoshino-@horae.dti.ne.jp>  ■日付 : 02/3/17(日) 2:31  -------------------------------------------------------------------------
   >?さて無頼庵さまの仰る事は、「索敵力軽視と言うより空母を伴わずとも、ある程度の索敵力を発揮可能な柔軟性を持たせるための航空巡である」と解釈してよろしいのでしょうか?

私は、そう思います。

>?帝國海軍にとって、むしろ偵察にさけるほど空母数が十分でなかったための航空巡と言い換える事もできそうですね。水上砲戦時でも遠距離偵察力を持つ空母なら事前に単独でも後退可能ですし、
これに関しては、あげ足取りかもしれませんが、ちょっと疑問点があります。
例えば(俗説によれば)利根のウリは砲戦しながら、水上機を発進できるトコですよね。
さて、俗説も、
「利根くん、アンタ、ガソリン満載の偵察機背負ったカチカチ山状態で砲戦するんかいなっ!」と
ツッコミを入れる事が可能なんですが、真相jはどうなんでしょう?

---以下は、水偵の概論ではなく、重巡搭載の水偵に限った話です-----
あと、水偵の性能なんですが、例えば98夜偵は極論として、94水偵は、
「終夜、艦隊に触接できること」が高評価の一因だったりします。
ひょっとすると、空母の偵察機と、重巡の偵察機とでは、
ことなった役割を求められていたのかも、と思います。
-------------------
彩雲からの「テキカンミユ」電報を受け取った航空隊は、一気に数百海里はなれた
敵艦隊まで攻撃を掛けることができますし、
紫雲からの「テキカンミユ」電報をうけとった大淀は、
適切な位置にいる潜水艦に攻撃指令を出すことが出来ます。
ところが、敵艦隊を発見した94水偵や、零式水偵は、
戦艦のドツキ合いに先立ち、カチコミを掛ける巡洋艦隊が到着するまで
およそ半日の間(つまり絶対夜を含む)、敵にへばりついて動向を打電せねはいけません。
巡洋艦の偵察機は、言ってみれば、
日本海海戦の時の索敵艦、
「信濃丸」「秋津島」のような役割だと考えるのですが
いかがでしょう。
(でも、空母に、その種の夜間触接用途の偵察機が積めていれば、航空巡は不要とのいい方もできますね。)
>速度についてもそれだけの性能を持つ正規空母なら問題は無く、やはり正規空母の絶対数不足が航空巡の必要性を呼んだと言えそうです。
建造時の意図はおいといて、
現実の、利根の使われ方を考えると、まさにご指摘の通りですよね。
たとえば、ミッドウェイで航空戦の重要性が認識された後、改造された最上は
おっしゃられる考えに基づいて改装されたのかも知れません。


ただ、最上については、一つの疑問なのですが、
改装後の伊勢、日向は、航空戦隊に編入されてますが、改装後の最上は
特定の戦隊に組みいれられる事なく、
沈没するまで、ずっとある意味「別動隊」的ポジションですよね。

海軍は最後まで「重巡の索敵任務は、空母では代用不可」と考えていたのかもしれない・・・。と思います。

 ───────────────────────────────────────  ■題名 : カギは二座水偵  ■名前 : BUN  ■日付 : 02/3/17(日) 16:07  -------------------------------------------------------------------------
   利根型、最上に限らず、巡洋艦の航空兵装の目的を解く鍵は二座水偵にあるようです。
戦艦用の水上戦闘機を原型とする零式水上観測機と第二艦隊の任務に基づく夜間触接・偵察機としての三座水偵、零式三座水偵以外に、全く別の機種として二座水偵が検討されています。その構想は早くから存在しますが実際に試作発注された十二試二座水偵の計画要求こそが巡洋艦の航空兵装を解く鍵になるでしょう。日本の重巡洋艦が搭載する主力機種はこの二座水偵なのです。
この機体の性能要目とその開発失敗が、現実の戦争での利根型の運用を決定していると見るべきでしょうし、またこのコンセプトが次期二座水偵に受け継がれたからこその最上改造実施と言えます。
日本の重巡の航空兵装は本来の使われ方をしていないのです。
航空巡洋艦を偵察巡洋艦として論じても意味が無いかもしれない、ということですね。

 ───────────────────────────────────────  ■題名 : Re:カギは二座水偵  ■名前 : じゃむ猫  ■日付 : 02/3/17(日) 18:20  -------------------------------------------------------------------------
   > この機体の性能要目とその開発失敗が、現実の戦争での利根型の運用を決定していると見るべきでしょうし、またこのコンセプトが次期二座水偵に受け継がれたからこその最上改造実施と言えます。

一点確認です。
なるほど航空巡改装後の最上の予定搭載機が十四試水偵11機だというのは確かですが、では索敵力強化という要求に対してはゼロ回答なのでしょうか。
十四試水偵はこの時点では既に零式三座の後継と目されていた可能性は全くありませんか?

 ───────────────────────────────────────  ■題名 : 十六試夜偵  ■名前 : BUN  ■日付 : 02/3/17(日) 19:01  -------------------------------------------------------------------------
   > 十四試水偵はこの時点では既に零式三座の後継と目されていた可能性は全くありませんか?

昭和十五年春に瑞雲(A10)の試作発注が行われた時点で、この機体が零式水偵(十二試水偵)の後継機とは考え難いのではないでしょうか。
零式水偵の後継機としては同じく愛知の十六試夜偵(A50)計画があるからです。

 ───────────────────────────────────────  ■題名 : 偵察力の重視?  ■名前 : tackow <ikku@rb3.so-net.ne.jp>  ■日付 : 02/3/18(月) 0:47  -------------------------------------------------------------------------
    本来、我が重巡搭載機の任務は、捜索、索敵、接触、等々が予定されていた筈ですが、砲戦距離の延伸に伴い「弾着観測」の任務が追加され、昭和8年の戦闘射撃において観測機を用いて以来、遠距離砲戦での観測機の重要性が認識されるに至っています。
 
 弾着観測に必要とされる機数は、本来は予備機と掃討機を合計して3機ですが。巡洋艦戦隊の場合には「他にやることが多く」とてもそこまでは廻す余裕が無く、全弾観測(複数艦の弾着を1機で観測する)せざるを得ない状況であり。その結果として誤観測が多くなり、実施部隊からは「もっと観測機の数を増やしてくれ」という要望が毎年のように出ているのが実状でした。
 それが改善され、分離観測(一艦の観測を1機で実施する)となるのは昭和十四年なのですが、その裏には、今までの任務をある程度犠牲にして弾着観測任務に充当していると考えるのが妥当だとも思います。
 
 翻って、利根型の搭載機を見れば、三座水偵は2機ですが、二座水偵は4機となっています。とすれば、単純に「偵察能力の増強」と考えるのも違う感じもしますが。

 ───────────────────────────────────────  ■題名 : Re:偵察力の重視?  ■名前 : 戦艦乞食  ■日付 : 02/3/18(月) 9:00  -------------------------------------------------------------------------
   tackowさま、いつも勉強させていただいております。
弾着観測について艦隊側からの要望のお話大変ためになりました。
新造時、妙高型・ニ座×2、高雄&最上型・三座×1+ニ座×2ですからこの点からも弾着観測重視が裏書きされますね。昭和17年7月以降に三座機とニ座機の数が逆転しておりますが、これは戦局の推移により索敵重視に変更されたと考えられます。

結局BUNさまの建造時における対艦攻撃初期構想が専用機開発失敗等なんらかの形で崩れ、現場の運用においてtackowさまの弾着観測という地味ながら真っ当な任務に切り替えられたと考えてよろしいのでしょうか? また、水上機の弾着観測重視と言う事は、制空権下の艦隊決戦を前提としている訳ですから正規空母部隊は制空権確保に全力投入状態だと思うのですが、この時点での偵察はどこが担当になるのでしょうか?

無頼案庵さまのおそらく第二艦隊における運用法も納得できる考えですし、それでも足りない脳みそが混乱しております。皆様の結論を楽しみにしつつ、観客席に戻らせていただきますね(笑)

 ───────────────────────────────────────  ■題名 : 専門観測機は存在しない  ■名前 : BUN  ■日付 : 02/3/18(月) 11:45  -------------------------------------------------------------------------
   日本海軍に専門の「観測機」は存在しませんよね。
「観測任務を持った二座水戦」=零観や「観測任務にも使われた水偵」は存在しても観測機は開発されていません。
攻撃、偵察と観測は予想される海戦ではフェイズがずれるのですから他の機種が兼任しても問題無いのでしょう。日本の戦艦にしても、積みたかったのは「観測機」じゃなくて「戦闘機」ですからね。あの零戦さえ、ひょっとしたらカタパルト射出される可能性があったのですから。

 ───────────────────────────────────────  ■題名 : 偵察力の重視は無い  ■名前 : BUN  ■日付 : 02/3/18(月) 5:08  -------------------------------------------------------------------------
   >全艦隊の航空化とは、偵察重視からくる各艦艇の航空機運用能力付加だったのかもしれません。

構想の本来の形は、巡洋艦の二座水偵は急降下爆撃能力を持ち、戦闘に際しては敵艦隊への航空攻撃を第一の任務とするというものです。利根に限らず重巡全ては急降下爆撃機を搭載するという意味なのです。これは奇矯な発想というよりも、海軍航空発祥以来、ずっと検討され続けて来た構想ですね。偵察任務は空母の艦攻の中に軽装備の偵察専門の機体を置いて実施する構想です。第一艦隊と第二艦隊に空母が分属する時代の考え方はこんなものだったのです。

 ───────────────────────────────────────  ■題名 : Re:偵察力の重視は無い  ■名前 : 戦艦乞食  ■日付 : 02/3/18(月) 8:16  -------------------------------------------------------------------------
   なるほど、BUNさまの御説明でよくわかりました。
ただ、実現しなかった航空戦艦大和や伊400にしても思うのですが、水上機による対艦攻撃は長期に渡って採用可能な戦術とは思われません。ヘタすれば一回こっきりで見抜かれてしまい、対策を講じられる危うさがあります。そのような物に多大な費用と時間を割くのは、やはり6割海軍という危機感からくるものなのでしょうか?
それとも一回の海上決戦で全てを制するつもりだったのでしょうか?
むしろその欠陥から計画自体が放棄されたと考えるべきなのでしょうか?

 ───────────────────────────────────────  ■題名 : 奇襲、奇策という程でも・・・ない  ■名前 : BUN  ■日付 : 02/3/18(月) 11:10  -------------------------------------------------------------------------
   > 水上機による対艦攻撃は長期に渡って採用可能な戦術とは思われません。ヘタすれば一回こっきりで見抜かれてしまい、対策を講じられる危うさがあります。そのような物に多大な費用と時間を割くのは、やはり6割海軍という危機感からくるものなのでしょうか?

水爆構想は一回きりの奇策とは言えないでしょう。
機体の性能から見ても十二試水偵は艦爆と同等の速度がありますし、瑞雲にしても運用する母艦に制限があった彗星よりは低速ですが九九艦爆二二型よりも高速です。母艦部隊の戦力を補完する補助艦爆としては十分常識の範囲にあるのではないでしょうか。
昭和十三年に予想された昭和二十五年度の連合艦隊戦時編制では、これらの水爆搭載巡洋艦は新鋭空母群と共に第二艦隊に配置され、敵空母部隊と前衛部隊の制圧を予定しています。また、この機種が継続して使用するものと考えられていた証拠のひとつに十九試水上爆撃機という試製計画が存在します。この計画は十六年頃に現れて十八年度中に廃されたものですが、ここからは、十二試で二座水偵へ急降下爆撃能力を付与し、十四試で要目をより急降下爆撃機に近づけ、十九試で機種として独立、という流れが読み取れます。

余談ですが、日本の軍艦は空と海の両方から見るべきものなのかもしれませんね。

 ───────────────────────────────────────  ■題名 : Re:奇襲、奇策という程でも・・・ない  ■名前 : 戦艦乞食  ■日付 : 02/3/18(月) 14:28  -------------------------------------------------------------------------
   観客宣言したのにお恥ずかしいのですが・・・
私が一回こっきりと書いたのは、当時の認識として下駄履き機に本格的な対艦攻撃力を付与したものが存在せず(あったらスミマセン)、攻撃時に敵の意表を突く意図もあったという記事を読んだものですから。
またその意図が無く、もしくは敵の認識以降もこの種の攻撃を続けた場合、速度や搭載量で通常機と互角であっても迎撃機からの攻撃に不利はまぬがれないでしょう。

私は水上機からの対艦攻撃というものについて、ずっと頭の片隅にちらついていたものがありました。旧ソ連海軍の水上艦・潜水艦・航空機から米機動部隊に対する対艦ミサイル飽和攻撃です。まったく異なるプラットホームから、性能や特性の違う各種の対艦ミサイルを発射し、敵の対処能力を飽和させるあの方法です。
実際、第一次大戦と一変して立体的な海戦が第二次大戦では行われましたが、帝國海軍の全艦隊航空化もそれをさらに進めたものだったのかな?と無責任に思ったりもしています。

蛇足ですが偵察・観測機の類は恥ずかしながらよく知らないので皆さんのお話で勉強させていただいております。中途半端以前の知識でお騒がせして申し訳ありませんでした。

 ───────────────────────────────────────  ■題名 : 水上機と水上艦  ■名前 : 戦艦乞食  ■日付 : 02/3/18(月) 15:13  -------------------------------------------------------------------------
   >「機体の性能から見ても十二試水偵は艦爆と同等の速度がありますし、瑞雲にしても運用する母艦に制限があった彗星よりは低速ですが九九艦爆二二型よりも高速です。母艦部隊の戦力を補完する補助艦爆としては十分常識の範囲にあるのではないでしょうか」

水上爆撃機開発の系譜ですが、計画はともかく艦上機と同等の性能を付与させるのはやはり困難だと思うのですが。99艦爆を引き合いに出されても瑞雲等が投入される戦場はさらに苛烈な時代のものなのですから、やはり水上機の不利は否めません。ただ補助戦力として有効なのは問題無いと思いますが。しかし日本の重巡は外国の対応艦と同じカテゴリに入れて良いのか疑問に感じてしまうほど、多種多用な装備と任務(砲撃・水雷攻撃・偵察・航空攻撃・・・)を期待されていたのですね。1万トン越えちゃっても、私は許してあげたくなってしまいました(笑)。
 それにしても特殊水上機の開発に対する自信は、陸上機に対し絶対不利と言われた艦上機において、陸上機に匹敵・凌駕する96艦戦の成功からくるものなのでしょうか? 最新技術によって下位ジャンルのものも上を狙おうとするのはあたかもVTOL機とCTOL機の関係に酷似していますね。航空巡洋艦構想は今も昔も空母以外の艦艇に航空能力を持たせようとする切実な欲求なのかもしれません。

 ───────────────────────────────────────  ■題名 : Re:水上機と水上艦  ■名前 : SUDO  ■日付 : 02/3/18(月) 17:58  -------------------------------------------------------------------------
   > 水上爆撃機開発の系譜ですが、計画はともかく艦上機と同等の性能を付与させるのはやはり困難だと思うのですが。99艦爆を引き合いに出されても瑞雲等が投入される戦場はさらに苛烈な時代のものなのですから、やはり水上機の不利は否めません。

D1A2 最大速度310km/h 巡航222km/h S11? 96艦爆
D3A1 最大速度382km/h 巡航287km/h S14? 99艦爆11型
D3A2 最大速度428km/h 巡航278km/h S18? 99艦爆22型

D4Y1 最大速度550km/h 巡航420km/h S17? 彗星
D4Y3 最大速度570km/h 巡航370km/h S19? 空冷彗星

SBD  最大速度400km/h 巡航230km/h S14? ドーントレス
SB2C 最大速度450km/h 巡航250km/h S18? ヘルダイバー

E12A 最大速度360km/h 巡航不明 12試二座水偵 不採用
E16A 最大速度450km/h 巡航350km/h S19? 瑞雲

過酷な戦場と言う言葉が一人歩きしていませんか?
瑞雲が失格なら、飛行機としての安定性にも問題があるSB2Cヘルダイバーはゴミですね
実際問題としてヘルダイバーの戦力化時期と瑞雲の量産機出現次期はほぼ同じ頃で
この頃ですと発動機生産切り替えの混乱で彗星の製造実績が伸びておらず
また99艦爆の22型は見ての性能ですから、瑞雲の性能は中々な物なのです。
マリアナ沖海戦にもSBDや99艦爆は参加しています。瑞運の性能はそれらよりも優れていて、米軍の新型艦爆と比較しても飛行性能はいい勝負です。
勿論、SBDや99艦爆は1世代古いですし、SB2Cは駄作と呼ぶのが相応しい部分の強い機体ですが、英軍の最新豪華多用途艦攻であるバラクーダだって瑞雲と比較して勝るとは言いがたいでしょう。
彗星は零戦よりも速いと言う何か何処かが間違っている機材であり、しかも母艦を限定します。瑞雲の位置付けは意外と良いところに有ったというのも厳然たる事実なのです

 ───────────────────────────────────────  ■題名 : Re:水上機と水上艦  ■名前 : 戦艦乞食  ■日付 : 02/3/18(月) 18:23  -------------------------------------------------------------------------
   BUNさま、お手数おかけします。
確かに言葉が一人歩きしていましたね、すみません。瑞雲に対して変な思い込みがあったようです。

水上機の対艦襲撃が為し得なかったのは、時期的にも戦局的にも手遅れだったと言う事だったのでしょうか? まったくの言葉遊びではありますが、今少しの開戦準備期間があれば実現できていたのでしょうか? またその場合、BUNさま御自身はこの運用方法にどれほどの効果があったとお考えなのでしょうか?
質問ばかりで申し訳無いのですが、お答えによって帝國海軍航空巡洋艦というものの意義が判定できるかと思います。

 ───────────────────────────────────────  ■題名 : 大変失礼いたしました  ■名前 : 戦艦乞食  ■日付 : 02/3/18(月) 18:29  -------------------------------------------------------------------------
   > BUNさま、お手数おかけします。

BUNさまではありませんでした、SUDOさま! 大変な勘違いをしてしまいました。
本当に申し訳ございません。SUDOさま、BUNさまお2人に陳謝いたします。
今度こそ閉門蟄居して参ります。御迷惑おかけしました。

 ───────────────────────────────────────  ■題名 : Re:水上機と水上艦  ■名前 : SUDO  ■日付 : 02/3/18(月) 20:53  -------------------------------------------------------------------------
    逆にお尋ねしますが、水上機で対艦襲撃が出来なくなったという事実は何処にありますか?それらは他の機材、高性能な陸上機でも同じだったのでは有りませんか?
 となると、大戦末期には制空権喪失と対空機材の進歩により、航空機による尋常な対艦襲撃が困難になったというだけの事では?水上機だからという言葉は何も意味を持たないのです。
 問題点は制空権喪失状況下での用法に対してどの程度の認識があったかという点ですが、これは過去の議論ボード等を見ていただければ判るように、防空見張りレーダーが無く、艦隊に大した量の空母が置かれていない時代では高速突入する攻撃機を阻止することは早々できるものではなかったのです。
 零戦が一撃必殺の火力を備えていたこと、戦艦に戦闘機を載せようと考えたことは、つまり攻撃機を阻止することは非常に難しいものであったという認識を意味します。
 となると、攻撃機を巡洋艦から放って敵に痛撃を与えようという思想は一定の妥当性を持っています。空母の搭載戦力の何割かを肩代わりできればその分他に余力が回せるのですから、一定の妥当性がそこにはあったと考えても良いでしょう。何しろ巡洋艦戦隊一個からなら一個中隊程度の攻撃機を放てるのです。これは無視し得ない戦力です。
 開戦劈頭の南方攻略戦等でこうした機材があったら作戦は更に順調に推移したかもしれません。確かに制空権完全喪失したら役立たずですが、そんなこと言ったら戦艦や巡洋艦といった大型水上戦闘艦そのものが無意味になります。
 空母の集中配備による圧倒的な航空戦力という思想は、貧乏な日本軍には成し得ず、最終的に米軍だけがそれを果たしました。これを戦前に想像できなかったとか対処案を打ち立てていなかったと責めるのはあまりにも結果だけを見過ぎてませんか?
 これは、ある規模の艦隊の戦力を考えた場合、巡洋艦に航空打撃力の何割かを受け持たせるというだけの話なのです。

 ───────────────────────────────────────  ■題名 : 現実となった机上の空論  ■名前 : BUN  ■日付 : 02/3/18(月) 22:05  -------------------------------------------------------------------------
   >御自身はこの運用方法にどれほどの効果があったとお考えなのでしょうか?

私の言っている事は半分ホラみたいなものなので、そう深刻に受け取らず、
そんな考えもあるのか、程度に考えていただければ結構です。

さて、水爆構想の実効性なんですが、一艦に多数の水上機を搭載する場合、その用法はかなり限られてしまうでしょう。伊勢、日向の第四航空戦隊でも疑問に思われていたように、進撃中の艦が果たして攻撃後の帰還機を全て揚収できるのか、という問題です。
水上機を多数搭載した艦が必ずしも偵察目的にかなう存在ではないだろうと私が思う理由はこれです。発進したら帰還できないのですから攻撃任務以外に使い道が無いのではないでしょうか。そんな点からも水爆構想は攻撃隊の行動範囲の中に陸上基地の存在があることを前提にした邀撃戦構想なのだと思います。空母だけではなく、水上機だけではなく、陸上基地と陸上機までを総合した戦術構想の一端が水上爆撃機なのでしょう。ですから水爆構想単体で評価することは難しいように思います。連合艦隊の邀撃戦構想に密接にリンクしていること、この構想がどこか机上の空論めいているのはその為です。
実際机上の空論なのですが、その空論の為に艦が建造され、機体が開発されている事実があるという事が言いたいだけなのです。
ゲームのコマのようにそのスペックのみからあれこれ想像するよりも、どうしてそんなものが出現してしまったのかという点に目を向けても面白いのではないか、との提案と受け取っていただければ幸いです。

 ───────────────────────────────────────  ■題名 : 水爆構想は基地航空隊の充実から生まれた?  ■名前 : ルージュ  ■日付 : 02/3/19(火) 4:16  -------------------------------------------------------------------------
   日本海軍の構想は基本的に迎撃作戦だった事を考えると
陸上基地所属の中攻や飛行艇が偵察のかなりの部分を担っていたのではないでしょうか。
水爆の開発は十二試二座水偵から始まっていますが、この年に九六式陸攻が採用されて
九七式飛行艇も試験中ですから陸上機による長距離偵察も可能になりつつあります。
戦争後半の守勢に入った状態で基地航空隊が主力になった後でも同じ事が言えそうですね。

そして艦隊側の偵察の負担が減少して浮いた搭載力を攻撃に回す為に水爆の構想が
浮上し、戦争後半になっても開発が続行されて瑞雲が登場する事になったのではないかと
思うのですが。

 ───────────────────────────────────────  ■題名 : 実らないまま生き残った構想  ■名前 : BUN  ■日付 : 02/3/19(火) 9:44  -------------------------------------------------------------------------
   ルージュさんの考察通り、大筋としてそういう事なのでしょう。

ただ、水上戦闘艦に爆撃機や雷撃機を搭載して戦うという発想は大正時代から存在します。当初の構想では日本の戦艦部隊もまた独自の艦載攻撃隊を持つことになっているのです。日本の場合に限っての事ですが、艦載水上機=偵察、観測任務と見てしまうのは軍備構想の全容を見誤りかねないことだと思います。
こうした伝統の中に水爆構想は花開くことはなくとも最後まで生き残り続けるのです。

戦争後期の瑞雲搭載艦については、洋上航空戦についての考え方が機動部隊の戦闘の実態から「同一艦の攻撃隊が数次にわたる反復攻撃を実施することは不可能」との認識に至った事が大きいと考えられます。一回出撃した攻撃隊はもう第二次攻撃に参加することは出来ないという実際の経験に基づく「戦訓」(ミッドウェー海戦後の戦訓検討でこうした考えが出始め、第二次ソロモン海戦、南太平洋海戦では反復攻撃を実施した機数の調査が行われ、こうした結論が出ています)が一般化しているので、水上機に対しての揚収問題などは省みられなくなっていたのでしょう。陸上基地への帰投は母艦機にも考えられていますし、それが叶わない場合には帰還後の機体放棄も暗に容認されていたのではないでしょうか。

しかし、結局の所、瑞雲でさえ昭和二十年になっても急降下爆撃試験を継続中という状況ですので、水上爆撃機構想は多くの力を注いだにも拘わらず、絵に描いた餅に終っているのですから今更何を言っても仕方がありません。実績も残らず、計画も知られず、ただ異様な装備の軍艦と不可解な飛行機試作計画が謎を投げかけるのみ、なのです。

 ───────────────────────────────────────  ■題名 : Re:水上機と水上艦  ■名前 : BB <ijn_agano@geocities.co.jp>  ■日付 : 02/3/19(火) 1:13  -------------------------------------------------------------------------
   どこからレスしようか迷いましたが、とりあえずここからとさせていただきます。
主題である「航空巡洋艦は活躍できたか?」と交えて意見します。

>瑞雲の位置付けは意外と良いところに有ったというのも厳然たる事実なのです
瑞雲の対艦能力はそれなりのものがあったと思います。ですが、どういった状況下で瑞雲は活躍できるのでしょうか?

開戦初期であろうと後期であろうと、航空巡洋艦に搭載できる(重巡でも可)瑞雲の数は限られています。重巡洋艦一○隻引っ張り出しても瑞雲は三○機です。結果、攻撃隊に含まれる機数はどうしても少なくなります。
相手が空母機動部隊なら搭載戦闘機とレーダーでマリアナ沖のような結果となりますし、瑞雲が実戦化されるころに低い防空火力しか持たない敵水上艦隊は滅多にいないでしょう。
空母と比べて航空巡洋艦であろうが重巡であろうが、とにかく水上機搭載の巡洋艦では出撃できる機数が限られています。収容時間については語るまでも無いでしょう。となれば水上機である瑞雲の欠点は性能にあるのではなく、艦載機に比べて明らかに劣る運用能力にあると思います。飛行性能はあまり関係ないと考えます。

個人的には、それこそ水上機多数を搭載した巡洋艦を船団護衛に廻し、<太鷹>等の船団護衛に廻されていた改装空母を艦隊の索敵・哨戒専用空母にしたほうがよりいいと思います。水上機を運用する航空巡洋艦は速力と航空機運用能力で(収容時間問題を除けば)立派な対潜空母となります。逆に(主力の後方から)改装空母で彩雲等を運用できるようになれば、索敵艦として水上機搭載巡洋艦より使いでのある艦となります。
水上機であろうと艦載機であろうと、中途半端な能力しか持たない航空巡洋艦を前線で扱うこと自体、無理があると考えます。

 ───────────────────────────────────────  ■題名 : 着眼点の問題  ■名前 : BUN  ■日付 : 02/3/19(火) 6:45  -------------------------------------------------------------------------
   私は水上爆撃機構想が良い発想だとは思いませんが、それを発案した側の論理はどのようなものだったのかには大変興味があります。
もともと新鋭航空母艦群を含む第二艦隊全体としての運用を前提としているのでしょうから、機数は艦隊全体で40機以上あります。第一次の攻撃隊に艦爆が2隊強加わるというだけの事ですのでこの任務に限った場合は、水上機としての制約や敵の対空砲火などは論じても仕方がないでしょう。敵空母を制圧して味方制空権下での主力決戦に臨むという発想は日米共通したものですから、こうした意味での攻撃力の強化には魅力があったのでしょう。
対潜任務についても日本の主要航路にとって一番合理的なのは陸上基地からの哨戒ですので、艦載水上機の投入はそれほど画期的なことではありません。戦争初期から海防艦を充実すればよかった、というようなご意見だと思います。理には叶っているのですが、現実からは離れているのではないでしょうか。

 ───────────────────────────────────────  ■題名 : Re:着眼点の問題  ■名前 : 山家  ■日付 : 02/3/19(火) 21:51  -------------------------------------------------------------------------
    私としては、WWII当時で考える限り、艦上機を運用する航空巡洋艦というのは、当時の艦上機の発着艦能力等から考えると発艦はカタパルトでできても着艦は困難なものになり、非現実的な存在なのではないかと思います。しかし、水上機を運用する航空巡洋艦は「利根」、「最上」等実在し、実戦でもそれなりに活用されています。従って、決して水上機を運用する航空巡洋艦は、役立たないものではないのではないか、と思います。しかし、問題はコストと現実性です。航空巡洋艦が役立つ場面というと、BBさまも詳しく論述されていますが、海上護衛戦が、私にも第一に思い浮かびます。航空巡洋艦は、対艦砲撃戦闘を考える限り、通常の巡洋艦より、同一排水量なら見劣りしますし、通商破壊戦闘にも、そう長く使えるとは思えません。機動艦隊の護衛艦として、例えば、搭載機を対潜哨戒機や偵察機として運用して活用する等して使う方法もありますが、それなら、航空母艦や通常の巡洋艦を建造した方が良さそうに思えます。海上護衛戦に使うことを考えてみると、航空巡洋艦は、1隻で護衛艦隊の旗艦と水上機母艦としての性能をそこそことはいえ備えることができ、役立ちそうです。しかし、日本では、海防艦すら充分に揃えることができなかったし、陸上から対潜哨戒機を運用することで、かなりの航路をカバーすることができ、航空巡洋艦を建造・運用する必要性が乏しいように思えます。私としては、むしろ米国が参戦する前の英国に必要な存在だったように思えます。米国が参戦するまで、英国は大西洋上のエアカバーに大変苦心していました。大西洋上には島が余り無く、陸上から対潜哨戒機を運用して、Uボートを封じ込めるのは困難なことだったからです。もし英国が旧式巡洋艦を航空巡洋艦に改装し、船団護衛に活用していたら、というのは、私としては現実味もあり、コスト的にも引き合うものではないか、と思えるのですが。どんなものなのでしょうか。

 ───────────────────────────────────────  ■題名 : 護衛艦としても問題あり  ■名前 : まなかじ  ■日付 : 02/3/19(火) 22:52  -------------------------------------------------------------------------
   船団護衛だったら、MACシップやCAMシップでもいいじゃないですか
水上機は揚収の手間と海況への対応能力を考えると、艦上機に絶対的に劣りますから、水上機母艦投入するくらいなら護衛空母投入したいし
艦上機使えるなら当然特設水上機母艦という選択も無意味です
重たい飛行機をカタパルトなしで運用するのでなければ護衛空母は高速である必要はないのです、発着艦のときにちょっとあさっての方向にいっても船団に追いつける程度の速力があればよい。

水上戦闘やるなら通常の巡洋艦でしょう
襲ってくるのが敵の巡洋艦なら、わざわざ航空装備を持った巡洋艦を投入する意味がない
水上砲戦になれば航空装備なんて弱点を増やすだけの存在です
水上戦闘に航空機を介入させるにしても、空母と巡洋艦は別にいた方が都合が良い

MACシップ(豪華にするなら護衛空母)と巡洋艦、それに対潜護衛艦で、要するに史実どおりでたくさんではないでしょうか

海自のDDHはそうした存在に近そうですが、ヘリとミサイルという当時には得られない兵器を中心に組み立てられたシステムです。
艦上固定翼機には飛行甲板が必要で、水上機では使い勝手が悪すぎる、水上戦闘は砲と魚雷でやらなくてはならない、となったら、航空と水上戦は分業にすべきではないでしょうか

 ───────────────────────────────────────  ■題名 : Re:護衛艦としても問題あり  ■名前 : BB <ijn_agano@geocities.co.jp>  ■日付 : 02/3/19(火) 23:17  -------------------------------------------------------------------------
   正論です。十分な戦力があるならもっとも良い対応策です。
ですが十分な予算と戦力を与えられた軍隊は(少なくともWWII参戦国には)存在しません。
Fw200とUボート、さらには水上艦まで通商破壊に投入されていた戦争初期の大西洋では、船団護衛には随分と護衛が必要でした。全ての脅威に対抗するためには、大型巡洋艦・艦載機・駆逐艦が理想てきです。結果として船団護衛に必要な戦力・費用・人員は膨大なものとなります。
中途半端な能力ですが、航空巡洋艦はそれらの仕事の大半をこなせます。護衛艦乏しい戦争初期の英国海軍や戦争後期の日本海軍では、航空巡洋艦は随分と有効だったと思います。
つまり護衛空母や巡洋艦が揃う前、あるいは揃えられない場合の対応策として航空巡洋艦は活躍できるのです。最善の策では無いが、他に方法が無い、というところです。

 ───────────────────────────────────────  ■題名 : Re:護衛艦としても問題あり  ■名前 : BUN  ■日付 : 02/3/19(火) 23:31  -------------------------------------------------------------------------
   > つまり護衛空母や巡洋艦が揃う前、あるいは揃えられない場合の対応策として航空巡洋艦は活躍できるのです。最善の策では無いが、他に方法が無い、というところです。

巡洋艦を改造している間に艦上機を運用できる商船改造対潜艦が完成してしまうのではないでしょうか。

 ───────────────────────────────────────  ■題名 : 両方のレスここで  ■名前 : BB <ijn_agano@geocities.co.jp>  ■日付 : 02/3/20(水) 0:37  -------------------------------------------------------------------------
   無駄にツリーを拡大させたくないので、失礼ながらレスはこれ一つに纏めさせていただきます。

日本の主要航路における護衛空母投入の無意味、確かにそうです。
護衛中に沈んだ改装空母が(といっても全部合わせて五隻ですが)結構多い点や、それによって沈んだ艦の少なさ、さらに軍部の認識を考えれば当然の事実ですね。
自分はこの原因を艦載・機載レーダーの有無と機体の能力不足と考えています。
それで航空巡洋艦を投入したほうがいいじゃないか、と僕は思います。
例えば改装空母の運用する九七式艦攻や九九式艦爆と比べると水上機には対潜哨戒に向いた機体もありました。水上機が初期から対潜哨戒に使用されていましたし、磁気探知機装備の愛知零式三座水上偵察機11型乙やレーダーを備えた同乙もあります。正式化は19年末ですが・・・
巡洋艦はいつも必要な対空能力・万が一の対艦能力、日本の対潜能力がそこそこある水上機を搭載する、という点において改装空母より有効な対潜戦闘を実現できると考えます。レイテにおける重巡の被害もありますが、あのとき栗田艦隊はまだ早朝だったので水上機を対潜哨戒に飛ばしていなかったのでしょう。

>英国の場合
巡洋艦改装中に改装空母が完成するという点については、どうでしょうか?
航空巡洋艦と呼べる(これはあくまで自分が勝手に想定したものです)五機以上の航空機運用能力を与えるならば、後部甲板の兵装を撤去してクレーン、その他設備を与えればいいわけです。英国の高い造船能力を使用すれば、予備艦を実戦化する時についでに行えばいい改装ですから長くとも数ヶ月で済みます。
改装空母がMACであるならば航空巡洋艦の意義はまだありますし、本格的な護衛空母なら大量竣工まで時間があります。やはり護衛主力を揃える前に航空巡洋艦は必要ではないでしょうか?
船団護衛重視の英国なら、たとえ開戦初期の危機感が高い時期に航空巡洋艦を配備して活躍させることは十分にありえたと思います。

 ───────────────────────────────────────  ■題名 : 考える順序が逆では?  ■名前 : BUN  ■日付 : 02/3/20(水) 11:51  -------------------------------------------------------------------------
   水上機のプラットフォームとしてならば何も巡洋艦である必要は無いでしょう。
また、水上機がこのような形の対潜任務に向くとは言えません。
海面の状況によらず発着できるMACで運用する艦上機のほうがはるかに有用でしょう。
水上機は陸上機よりもはるかに天候の影響を受けてしまいます。運用の制限が余りにも多い艦載水上機を稼動率の高さが問題になる対潜護衛任務に投入するのはやはり悪手ではないでしょうか。そして対空戦闘に水上機が向く訳でもなく、仮にそうした任務が必要ならば軽荷状態の戦闘機を出せば良いのです。航空兵装を強化した巡洋艦が護衛任務についても、任務中、大西洋上で飛行作業不能の日々が続き、何の役にも立たない事は容易に想像出来ると思いますが、如何でしょうか。

また、日本の場合ならば、水上機基地は航路付近の島嶼に簡単に設営できるのですから尚更巡洋艦である必要はありません。
磁探装備にしても、ある程度の余裕のある機体ならば搭載できるものなので、実際、陸軍では練習機に装備していますし、水上機に装備機があるからと言って任務に適する訳でもありません。カタログデータに対潜能力がうたってあることと、対潜任務に適しているとは別の問題です。

日本の空母が護衛任務で失われたのは機体の能力不足という事よりも、護衛空母の持つ本質的な欠点によると考えるべきでしょう。対潜水艦戦で、潜水艦側から対潜攻撃側の中枢に手を掛けられるというのは余りに不利ですし、護衛空母が空母である限り、低速の船団には直接随伴できません。これは護衛空母の護衛が必要という事ですから、護衛任務への空母投入が決して誉められた者ではない事がわかるでしょう。陸上機で哨戒すれば全航路をカバーできる以上、こんな苦労をする必要は本来ありません。これは当時から指摘されていた事です。


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 ───────────────────────────────────────  ■題名 : Re:考える順序が逆では?  ■名前 : 山家  ■日付 : 02/3/20(水) 23:22  -------------------------------------------------------------------------
    どうも、いろいろとありがとうございます。
 私としては、CAMシップ(MACではありません)が、50隻も建造され、それに搭載するために中古のハリケーンをカタパルト発進させられるように改造してまで、英海軍が船団護衛に力を注いだというのを以前読んで、それなら、旧式の巡洋艦を航空巡洋艦に改装し、零戦を二式水戦に改造したように、スピットファイアやハリケーンを水上戦闘機に改造して、航空巡洋艦に搭載して、船団護衛に使用すれば、CAMシップと違って、使用機を再使用することができ、コスト的にも見合うのではないか、とつい考えていました。旧式の巡洋艦の改装ならば、新規建造するよりも安くつくし、二式水戦や強風を日本海軍は実戦に投入したのだから、スピットファイアやハリケーンを水上戦闘機に改造して、実戦に投入しても役立つに違いないと思っていたのです。それに、水上機を対潜任務にも投入できるし、とも思っていました。かなり思い違いをしていたみたいで、どうもすいませんでした。

 ───────────────────────────────────────  ■題名 : レス、ありがとうございます  ■名前 : BB <ijn_agano@geocities.co.jp>  ■日付 : 02/3/21(木) 1:09  -------------------------------------------------------------------------
   皆さんへのレス、ここでさせていただきます。

いろいろ読み返すと、自分が随分と思い込みをしていたことを思い知らされます。
おっしゃる通り、船団護衛に航空巡洋艦を投入することはコストパフォーマンスから考えて効率の悪い運用方法ですね。自分は何ら成果を挙げなかった護衛空母よりは、対潜能力が高いというイメージを抱いていた水上機を投入することのほうが良いと考えていました。しかしよくよく考えれば、航空巡洋艦を投入するぐらいなら水上機母艦を投入したほうがいいですね。とにかく、日本海軍が航空巡洋艦を護衛任務に投入するのは効率の悪いことであると判りました。ありがとうございます。

問題は、戦争初期のイギリス海軍がと思います。
この場合もCAMやMACの搭載機を水上機にしたり、付近に陸上基地を設ければ機体の損失は抑えられるわけですから、わざわざ旧式艦を航空巡洋艦に改装する必要は無いということでしょう。
陸上機や護衛艦は当時十分あったわけではありませんが、やはり航空巡洋艦を必要とする状況でも無いということですね。一隻で運用するというメリットである人員削減・輸送費用削減でも、対した効果は無いということでしょう。CAM用の機を水上機にして、護衛の巡洋艦に回収させればいいわけで。

自分は後期の日本海軍と初期の英国海軍は護衛戦力に不足していたから、船団護衛用に航空巡洋艦を投入すれば効率的な運用ができると考えました。ですがよく考えると、船団護衛では攻撃を受けた船団を守ることも重要ですが、攻撃を受けさせないために絶えず哨戒する必要もある、ということも重要です。無駄の多そうなハンターキラーグループや、定時哨戒もその辺りから実行されたのでしょう。そういう意味では航空巡洋艦を護衛任務に投入してもあまり意味が無いみたいです。どうも船団を守りながら潜水艦と戦う駆逐艦や対潜哨戒機のイメージが強すぎたみたいです。昔読んだ「眼下の敵」の影響でしょうか。
勉強になりました。ありがとうございます。

それと、BUNさんがおっしゃる大淀は航空巡洋艦であるかどうか、という点についてレスさせていただきます。
使用目的・史実はどうあれ、大淀は六機の水偵を運用し砲撃能力も備えています。排水量も八千トンありますから、航空巡洋艦と考えていいと思いますが。

 ───────────────────────────────────────  ■題名 : 大淀は面白いですね  ■名前 : BUN  ■日付 : 02/3/21(木) 6:52  -------------------------------------------------------------------------
   ええ、高速水偵を専用の大型カタパルトで射出しようとした大淀の構想こそ、偵察・索敵を主任務にした「航空巡洋艦」かもしれませんね。逆に言えば、前衛を務める部隊で索敵任務につくならばここまでの装備が必要という事なのかもしれません。飛行機も発着兵器も新調しなければ昼間に敵主力を求めての索敵、触接は不可能との認識が垣間見えるようで、なかなか面白い軍艦だと思います。

話はくだけてしまいますが、結局、我々が航空巡洋艦という本来類別の無い艦種の運用についてあれこれ頭を悩ますのは、昔手にとった1/700の最上の姿が強く心に焼き付いているからなんでしょうか。飛行甲板の部品を取り付け、搭載機を並べた時、誰もが「はて、これはどうやって使うものなのか」と頭をひねったか、あるいはその姿に惚れ込んで「これは凄い」とうなったか、それぞれに心に残っているからこそ、実際には活躍もしなければ、艦隊に配備されれからの運用も徹底していない、言わばあまり大した事のない軍艦について、ついついあれこれと考えてしまうのだろうなぁ、と今更ながらに感じています。

 ───────────────────────────────────────  ■題名 : 巡洋艦で対潜攻撃は出来ないでしょう。  ■名前 : ルージュ  ■日付 : 02/3/20(水) 0:46  -------------------------------------------------------------------------
   水上機で哨戒するのは良いのですが補給等運用面を考えると
かなり手間が掛かる代物ではありませんか?
それに水上機だけで制圧できる訳でもありませんし、水上機の搭載兵器で
沈められなければ後は僅かな護衛艦に頼る事になります。
1隻だけならまだしも複数で来られると対応不可能ですね。
対潜作戦は個艦性能より護衛艦の数を揃える方が余程効果があると思います。
急場を凌ぐのならMACシップもどきに台湾辺りで眠っている96式艦攻辺りを乗せるのも
効果がありそうですけれどね。

 ───────────────────────────────────────  ■題名 : Re:着眼点の問題  ■名前 : BB <ijn_agano@geocities.co.jp>  ■日付 : 02/3/19(火) 22:45  -------------------------------------------------------------------------
   >敵空母を制圧して味方制空権下での主力決戦に臨むという発想は日米共通したものですから、こうした意味での攻撃力の強化には魅力があったのでしょう。
その通りだと思います。また艦隊決戦が発生したら(日本海軍は本来それを想定していましたから)、それなりに活躍はできたでしょう。弾着観測その他を除いても20機ぐらいは出せるでしょうからそれなりに攻撃隊の増強にはなります。
そんな状況は発生しなかった、というのは我々の後知恵ですから、そこを議論の対象にしても無意味ですね。

> 対潜任務についても日本の主要航路にとって一番合理的なのは陸上基地からの哨戒ですので、艦載水上機の投入はそれほど画期的なことではありません。戦争初期から海防艦を充実すればよかった、というようなご意見だと思います。理には叶っているのですが、現実からは離れているのではないでしょうか。
水上対潜哨戒機は確かに能力的な面において陸上哨戒機に劣ります。十分な補給を受ける陸上基地と陸上機があればそもそも船団に駆逐艦を配備する必要まで無くなります。
日本軍だろうが連合軍だろうが、そんな護衛は不可能です。ですから船団に自衛能力を持たせる意味で航空巡洋艦を配備するのです。
つまりそれなりにコストパフォーマンスがある航空巡洋艦を護衛任務に転属し、その分陸上機や巡洋艦・改装空母を(たとえ戦争後期でもいいから)主力のサポートにつければいい、ということです。戦争後期なら日本海軍とて船団護衛の重要性をそれなりに認識しているので、有効だと思います。
例え護衛戦力を主力に転属しなくとも、利根や大淀・最上を護衛任務に投入することで、輸送船の被害はそれなりに減少するでしょう。戦争後期のUボートの被害の多くが護衛空母艦載機によるものであることを考えても、航空巡洋艦の護衛任務投入が現実的で無いとは思えません。とくに英国海軍が実行する対抗策としては、現実的だと思います。

 ───────────────────────────────────────  ■題名 : 護衛空母は役に立たない  ■名前 : BUN  ■日付 : 02/3/19(火) 23:28  -------------------------------------------------------------------------
   日本の主要航路への護衛空母の投入は全くの無駄との認識は日米共通に存在したはずです。
これは護衛作戦に参加した母艦の戦訓所見の中にもあったと思います。
まして航空兵装を強化した重巡を投入する価値は無に等しいのではないでしょうか。
費用対効果の点から見てもかなりの悪手だと思います。

 ───────────────────────────────────────  ■題名 : Re:対潜作戦はむしろレーダーの性能  ■名前 : シュウスイ  ■日付 : 02/3/19(火) 23:49  -------------------------------------------------------------------------
   > 例え護衛戦力を主力に転属しなくとも、利根や大淀・最上を護衛任務に投入することで、輸送船の被害はそれなりに減少するでしょう。戦争後期のUボートの被害の多くが護衛空母艦載機によるものであることを考えても、航空巡洋艦の護衛任務投入が現実的で無いとは思えません。とくに英国海軍が実行する対抗策としては、現実的だと思います。

有効な対潜作戦が行えるかどうかは、哨戒機の飛行性能ではなくレーダーの性能がなり
大きいと思います。その点、英国海軍は大丈夫と思いますし、同意ですが、利根や
最上という話になってくると逆に米潜水艦に返り討ちに合う可能性の方が大なのでは
ないでしょうか。

零式水上偵察機についてはH6も搭載されたものもありますが、不具合続出と聞いてい
ますし、いずれ米潜水艦は42年にはSD対空レーダーを標準装備していたのに対し、
日本の哨戒機はそれに対する逆探の装備がないのですから、まともに考えればとても
有効な作戦を行えるとは思いません。さらに後期になってSJレーダーで夜間雷撃され
れば、手も足も出ないというところなのではないでしょうか。確かに何も護衛に付けな
いよりはましかもしれませんが、史実がそうだったように、重巡や駆逐艦といえどお構
いなしに沈められるというリスクもあります。帝国海軍についてはその意味で巡洋艦を
海上護衛に投入することは費用対効果の面で疑問を持っています。

 ───────────────────────────────────────  ■題名 : 今更ながら、自己補足。  ■名前 : シュウスイ  ■日付 : 02/3/21(木) 12:53  -------------------------------------------------------------------------
   …すべてがそうとは言えませんが、SJレーダー配備後、43年以降の米潜水艦の
基本的戦法としては、
1.夜間に浮上してSJレーダーによる索敵
2.目標を発見したら、他の潜水艦と連携しての狼群戦法
 そして夜間のうちに、当初の索敵を行った潜水艦でも、あるいは通報を受けて
連携する他の潜水艦でも、いずれかが射点につくことができれば、当然夜間
雷撃、といったところでしょう。

そしてこの一連の行動がこのとおりすべて夜間に行われると、前に述べたように
レーダー技術に劣る日本軍に限っていえば、別に水偵に限らなくとしても哨戒機での
捕捉はかなり難しいと思います。二式飛行艇搭載のH6では夜間にレーダー反応した
こともあったようですが、あまり一般的な事例ではないと思いますし、それによって
米潜水艦の活動が低下したという話も聞きません。

やはり、英軍の対Uボート戦と日本軍の対米潜水艦に対する作戦を比較するとレーダ
ー技術の差により決定的な違いが出ているということは言えると思います。

 ───────────────────────────────────────  ■題名 : Re:今更ながら、自己補足。  ■名前 : SUDO  ■日付 : 02/3/21(木) 15:10  -------------------------------------------------------------------------
   その船団に張り付くまでは浮上航行しています。
哨戒機に日中見つかったら潜る必要がありますよ
そしたらその潜水艦が船団航路に接触できる時間は減ります。

撃破だけが戦果ではありません。

 ───────────────────────────────────────  ■題名 : レスありがとうございます。  ■名前 : シュウスイ  ■日付 : 02/3/23(土) 12:40  -------------------------------------------------------------------------
   潜水艦作戦について、僕もまだまだ知識不足ではあり、確たることは
いえないのですが、通商破壊戦の場合はある程度船団航路と時間帯を
予想し、追いかけるというよりはポイントで夜間待ち伏せという場合
も多いと思いますし、日中目標を発見しても、航路と夜間の時間帯を
予測しての先回りという場合もあるでしょう。
もちろん日中に発見されたような場合は無理をして追跡を行う必要は
ないと思いますし、水上作戦と違って、別のより有利な機会を狙えば
済むことです。

そして、おっしゃるとおり潜水艦の撃破だけが戦果ではありません
が、果たして戦果とはなんでしょうか。

ある一回の海上護衛について、米潜水艦を寄せ付けなかったとしても
次の機会に船団が撃破されれば、トータルでは敗北です。先にも述べた
ように米潜水艦は「別のより有利な機会」を狙ってある一定の期間に
戦果が上がれば勝利です。

日本が海上護衛戦に勝利したと考える人はいないと思いますし、負け
具合にしても、米潜水艦を沈めた数はもちろんUボートの喪失数とは
桁が違ってます。いや、数だけでなくて撃破の内容も質的にも劣るとい
わざるをえません。

この議論の本題から外れてしまい、申し訳ありません。いろいろご批判や
意見もあろうかとは思いますし、それらは甘んじて拝聴しますが、この件
については以後自分からの発言は控えたいと思います。

 ───────────────────────────────────────  ■題名 : そんな事もないですよ  ■名前 : tackow <ikku@rb3.so-net.ne.jp>  ■日付 : 02/3/21(木) 23:37  -------------------------------------------------------------------------
   > 捕捉はかなり難しいと思います。二式飛行艇搭載のH6では夜間にレーダー反応した
> こともあったようですが、あまり一般的な事例ではないと思いますし
 
 そんな事も無かったようで、H6を装備した飛行艇の状況としては「探知距離は浮上潜水艦で10哩、潜望鏡で4〜5哩」「夜間でも豪雨の中でも作戦可能」というものであったようです。

 これと磁探を併用した場合、かなり効果があったと見るべきでしょう。

 ───────────────────────────────────────  ■題名 : Re:そんな事もないですよ  ■名前 : シュウスイ  ■日付 : 02/3/23(土) 12:46  -------------------------------------------------------------------------
   H6搭載の飛行艇の夜間哨戒状況については、改めて調べたいと
思っています。御示唆をいただきありがとうございました。

 ───────────────────────────────────────  ■題名 : Re:着眼点の問題  ■名前 : SUDO  ■日付 : 02/3/20(水) 7:09  -------------------------------------------------------------------------
   面倒なんで、ここに張るね>レス

まず、戦前からの日本軍の構想

艦隊全体の発する航空戦力を少しでも増強させたいと言う事
そしてそれは艦隊だけではなく、地上や沿岸の基地も視野にはいった物である。
つまり戦場上空に送り込める航空機の数量を最大に持っていくというという事。

紆余曲折は有れど、これが根底に流れていた思想であり発想でしょう。


そして巡洋艦の航空艤装においては、より多くの航空機搭載が一つの方向性であり要求であったといえるでしょう。
ただし、ここで重要視すべきは、それは艦隊や戦隊という単位でどうなのかと言う事です。
単独の艦の性能や能力なんぞ恐らく殆ど気にしていないでしょう。
そして、艦が水上戦に参加する場合はその個艦戦力は大事な要素になってきます。
航空巡洋艦構想がどうのというのはこの両者を混同して考えるから混乱するのです。

強力な重巡洋艦が必要であるという点と、巡洋艦の多数含まれる第二艦隊の航空打撃力を引き上げたいという点を適当なところで妥協させると
他は多少不便だけど、重巡に乗せる二座水偵に爆装させて突っ込ませれば攻撃隊数量が増えるじゃない?って事なのです。
(空母一隻あたりの同時発進数は20?30機です、+20とか+30は空母一隻の一回分の打撃力です)
そして各重巡からカタパルトに乗った機体を打ち出すだけなら、空母から攻撃隊を吐き出すよりも早いのです。
つまり重巡に攻撃戦力の一部を肩代わりさせるというのは、それなりに理解できる思想ではあるのです。
勿論、それによって他の機能が引かれますが、航空戦力拡充の中の一つの適用例であり案であったと見れば理解は可能でしょう。


そして護衛に航空装備をした巡洋艦を使うのは

1万トン巡洋艦は他に沢山仕事があり、対潜航空装備なんぞしないでその分砲なり魚雷なり攻撃機なりを積んで最前線に投入したほうが良いでしょう。
護衛に使うなら、巡洋艦の高速性も、重装甲も、そして重武装も、全部無駄です。非常に愚かしい使い方ですね。

 英国が護衛に大型艦を投入したのは、敵が水上艦による通商破壊を目論んだからです。勿論、真面目に護衛していますよという内外に対するアピールもありますが・・・・。大型水上戦闘艦による護衛とは、基本的に対艦打撃戦力なのです。
 ですから、太平洋においても敵艦が通商破壊もしくは船団襲撃を想定している場合には巡洋艦の護衛というのは大きな意味を持ってきます。
 例えばスラバヤ沖海戦ですね、あの時には重巡と水雷戦隊が、突っ込んでくる連合軍艦隊から船団を守るという形で推移しました。このような事例で、重巡よりも水上戦力の低い巡洋艦が何を出来ます?並みの重巡が居たほうがずっと便利ですね。

 では搭載航空機による哨戒はどうでしょうか?
 いみじくも各氏が述べられたように、水上機は回収の問題があります。船団護衛とは常時航空機を貼り付けることがまず持って重要です。レーダーやら磁探やらは瑣末な問題です。航空機が居るだけで潜水艦は水上航行できなくなります。そうなったら船団を追いかけることが出来なくなるのです。探知装置をもたない戦闘機ですら大西洋の護衛作戦では銃撃等で潜水艦をけん制して大きな役割を果たしています。性能は二の次なのです。まずは常時航空機を飛ばせることが大事になります。
 となると、船団に張り付いた母艦からなら飛行時間はかなり稼げますが、回収の手間を考えると非常に困難な事もあるでしょう。護衛空母なら離着艦の問題は大幅に緩和します。特に着艦で回収できるのは非常に大きな違いになるでしょう。
 また水上機と母艦を船団に張りつけるなら、特設水上機母艦でも全然問題は無いでしょう。特設母艦でも1ダース程度の搭載機を持ちます。これは後部を航空設備しにした最上に匹敵します。そして、船団にこうした大型艦を貼り付けても効力を発揮するのは日中だけであることが問題になります。
 夜間はどうしようもないのです。

 大西洋航路のように、その航路のかなりに航空機の傘が差し掛けられない場合は大きな意味を持ちますが、日本の通商ルートと日本が保有する航空機の場合、その航路のほぼ全てに基地から発進する航空機が傘を提供できます。それこそ基地が適当な場所に無いなら、適当な沿岸部の漁村にでも特設母艦を派遣して臨時水上機基地を設営しても良いでしょう。実際に日華事変やソロモン戦でやってます。

そして、これでも船団上空に航空機を投入することが出来て、更には大型船舶を危険に晒さなくても良くなります。

 重巡洋艦程度の艦艇を水上機母艦にするという用法は非常に効率が悪く、更にそれを効率の悪い護衛任務に投入するのは、資源の無駄遣いでしか有りません。空母作って艦隊に投入するなり、マトモな重巡にして歓待に投入するなりしたほうが効果は大きく、もしくは特設母艦と水上機を多数確保しても良いし、それ以上に基地航空隊を充実させて護衛に投入したほうが良いでしょう。

 常時張り付く護衛戦力としての艦艇と航空機による哨戒は全く意味が違うものであり、特に第二次大戦レベルでは航空機による哨戒とは、潜水艦を潜らせて船団に追随できなくさせるという意味が大きく、直接護衛の艦艇は接触した敵潜に対抗するものなのです。そして図体の大きい巡洋艦は居ればそれで役立つ護衛艦艇としてみた場合は大きすぎるのです。1000トンの艦と同じ事を1万トンの艦にさせてどうするのです?

 あくまでも巡洋艦は巡洋艦であって、その上でプラスアルファを考えた場合に航空機を多めに乗せてみようとか考えるべきものではありませんか?
 航空巡洋艦の船団護衛投入とは、それしか手段が無いならば仕方が無いですが、根本というか、手前のかなりの部分からボタンのかけ違いが進んだ結果に出てくるものではないかと思います。

 ───────────────────────────────────────  ■題名 : コミュニケーション能力の低い海軍用品ではなかろうか  ■名前 : dg  ■日付 : 02/3/16(土) 22:24  -------------------------------------------------------------------------
   偵察線を構成するためには、進行方向を中心として
180度の半円型を捜索するだけの機材が必要になるわけです.
偵察機1機当たり15度の面積を受け持つとするなら、
偵察線1段を満たすためには12機の偵察機が必要となる.

戦艦・あるいは巡洋戦艦が、各3機の水偵を搭載するなら、
扶桑山城伊勢日向、あるいは金剛榛名比叡霧島と
4隻がそろえば12機の偵察機を送りだすことができる.

4隻をまとめられないなら、小型空母を随伴すれば、
8〜12機の艦爆を発進させ、数を充足できる.

ところが重巡戦隊(通常4隻・時に2隻で構成)では
搭載される水偵の数がそろわない.

他の偵察手段、例えば潜水艦や飛行艇、陸攻などの
偵察手段をミックスし、相互の通信がうまく進められれば
戦隊単位で偵察手段を充足させる必要は軽減できたかも
知れない.

ところが日本海軍についての記事を読むと、通信能力には
さまざまの制限や障害があり、情報交換がスムーズに
進められていたかといえば、かなり疑わしいのではないだろうか.

そうであるなら、重巡戦隊単独で、索敵活動を構築させたく
なったとも考えられるかも知れない.
そであるなら、利根・あるいは最上が、6機-11機もの偵察機を
搭載しようとした必然性が浮かび上がってくる.

 ───────────────────────────────────────  ■題名 : 航空巡洋艦でなければならない理由  ■名前 : 八郎太  ■日付 : 02/3/16(土) 13:48  -------------------------------------------------------------------------
   一隻の艦に砲戦能力と大規模な航空機の運用能力の両方を持たせるというのは、汎用性が高いように見えて実際にはそれを損なう事になるのではないかと思います。

航空燃料などは何とか防御できても艦載機はなかなかそうはいきませんので20cm砲弾の一発でも命中すれば艦載機は甚大な被害を受けます。
もし航空機運用に重点を置いていればその艦は極力水上戦闘を回避するよう運用されるでしょうし、そうなれば巡洋艦としての砲力は無駄になってしまいます。

もし砲力と多数の航空機の両方を使いたいと言うのであればやはり在来型の巡洋艦と水上機母艦を艦隊に編入した方がさまざまな事態に対処可能になると思います。

むしろ一隻の艦に砲力と航空機の両方が必要な状況を想定するなら単艦かごく少数の艦で運用される艦隊と言う事になると思います。
そういう意味で潜水艦隊の旗艦として単艦機動哨戒を行うべく生まれた大淀は、実際には予期した運用は出来ませんでしたが、少なくとも構想の上では「なるべくして航空巡洋艦になった」数少ない艦ではないかと思います。

つまり航空巡洋艦とは「一隻でいろんな事が出来る」というより「一隻でいろんな事をしなければいけない」と言う艦で、そういう特殊事情下がない限り敢えて建造するメリットは薄い艦ではないかと愚考します。

 ───────────────────────────────────────  ■題名 : Re:航空巡洋艦でなければならない理由  ■名前 : シュウスイ  ■日付 : 02/3/16(土) 15:24  -------------------------------------------------------------------------
   確かに、いわゆる航空巡洋艦というものを、運用構想も不確かなままに建造することは
無駄だと思いますし、汎用性も損なわれると思います。

ただ、空母機動部隊の中での支援部隊としての巡洋艦を考える場合には、空母の艦上
偵察機を補完する機能として、水偵搭載運用能力が通常の巡洋艦よりも比較的大きい
艦があってもいいということも考えられるのではないでしょうか。
また、空母機動部隊であれば水上砲戦はほとんどありませんが、やはりその可能性
も考えれば、ある程度巡洋艦としての砲戦能力も必要でしょう。艦載機は砲戦開始と
ともに投棄するという選択もあることですし。

従って、空母機動部隊の支援部隊たる巡洋艦についても「一隻でいろいろなことを
しなければならない艦」の範疇に含める、ということではいかがでしょうか。

偵察目的の航空巡洋艦が艦種として最上の選択とは思いませんが、実際、水偵運用
能力の高い巡洋艦が機動部隊に配属され、偵察任務の補完機能を果たしていたことは
間違いないと思いますし、それを仮に航空巡洋艦と称するならば、それはそれなりに
存在意義は認めたいと思います。

 ───────────────────────────────────────  ■題名 : 二級線任務  ■名前 : BB <ijn_agano@geocities.co.jp>  ■日付 : 02/3/16(土) 23:39  -------------------------------------------------------------------------
   レスを書いて今日状況を見てみたら、既に同じような意見が述べられています(泣)
Wordで一生懸命書いたものです。暇があれば読んで下さい

議論を考えるにあたって、もっとも重要なのは航空巡洋艦の定義であると思います。
共通項目:
・    排水量一万トン前後
・    一五センチ砲以上の砲
・    航空機運用能力
これだけでは普通の巡洋艦と変わりはないので、
・    五機以上の航空機運用能力
・    航空設備の充実
この二つを追加します。以上の五点を航空巡洋艦の必須事項としましょう。
ここで構造について幾つかの分類を設けてみました。
(1)    載機運用型
 実例として考えられるのはアメリカ航空巡洋艦(No.39)です。蒼竜原案(G-6)は排水量オーバーなので除外します。基本的な構造は、主砲等を全部甲板に置いて飛行甲板を後部に設置する、です。ただし実用的な艦載機運用能力を確保するために砲塔は最大でも二基とし、飛行甲板は150メートル前後確保します。
 この場合トップヘヴィーを避けるためにはどうしても装甲を薄くする必要があります。航空設備に装甲を施さなくても格納庫と飛行甲板自体が相当な重量になるからです。結果的に航空機運用能力・水上打撃能力共にを酷く制限された艦が出来上がります。
 運用できる航空機にも問題があります。本格的な空母運用経験のある日米英海軍の艦載機を考えた場合、搭載機は複葉機程度になると思います。飛行甲板150メートルという物理的な問題と、主力艦載機を果たして航空巡洋艦程度に配備する余裕があるかどうか(アメリカを除いて)疑問です。一度に発進できる機数の少なさにも問題があります。
 排水量が大きくなることを覚悟するならば、フランス海軍の未完空母<ジョフレ>のように、砲塔を艦橋の前後に装備する方式もあります。この場合排水量が二万トン近くなるので、航空巡洋艦といえるかどうか疑問です。
(2)水上機運用型
 実例として考えられるのは<利根>型、<大淀>でしょう。このタイプの基本構造は(1)と同じですが、飛行甲板を短くできるメリットがあります。水上機を多数搭載し、高い索敵能力を確保できる有用性があります。また砲塔を一部に集中することで集中防御の効果が狙えます。とくに<利根>級はそれを考慮して設計されたと記憶しています。
 この形式は今日の<はるな>型DDHに代表されるように、搭載機がヘリである点を除けばもっとも一般的な航空巡洋艦です。第二次世界大戦の航空機を考えた場合、日本海軍であるならば搭載機は哨戒機から戦闘機まで揃えられます。英国海軍やアメリカ海軍も対潜哨戒機程度の運用はできると思います。
 問題は水上機収容にかかる時間でしょう。敵に発見される可能性が高くなる点が問題だと思います。この点は運用方法に深く関係するので後述します。砲撃能力は<利根>型を見る限り問題はありませんし、防御力もそれなりに期待できます。
(3)艦載機運用特別タイプ
 これについては蒼竜原案(G-8)を考えてください。光栄の「未完成艦名鑑」にも記載されていますが、これはG-6があまりに非現実的な内容であったことを踏まえて考案されたタイプです。基本構造は、飛行甲板の下に砲塔を設置する案です。飛行甲板が砲塔の屋根になっていると考えればいいです。両サイドは支柱を除いて空いているので、長い飛行甲板と砲撃能力の両立を可能としています。
 この構造の最大の欠点は、やはりトップヘヴィーである点でしょう。(1)より酷い結果になると思えます。砲塔はそれだけでかなりの重量物なので、その上に飛行甲板を設置したら結果は見えています。
(4)商船改造タイプ
 よく商船に砲を装備して仮装巡洋艦として就役させる事例があります。この場合は排水量が二万トン程度でも仮装巡洋艦といえるので、それなりに余裕があります。<太鷹>型に水上砲戦用の砲を装備すれば仮装航空巡洋艦といえるのでは無いでしょうか?
 ただしこの場合、もっとも中途半端な艦ができあがります。水上砲戦は明らかに不利ですし、(史実の商船改造空母と同様に)艦載機もあまり対したものを搭載できません。

航空巡洋艦は以上のように分類ができたと思います。
ここで問題となるのは、上記のタイプをどのような任務に投入するか、という点です。そこで任務を想定してみました。
<1>    艦隊戦闘
 最悪の選択です。今まで見てきたとおり、航空巡洋艦は専門職の艦艇(空母と巡洋艦)と比べてそれぞれの能力で劣ります。
 航空戦においては旧式機を運用する(1)(4)は論外です。非効率的な運用でしょう。日本海軍に限れば(2)は二式水戦や強風を艦隊防空戦用に期待できますが、やはり機数が限られてきます。むしろ水上機母艦を配備したほうが早いです。(3)はトップヘヴィーである点を除けば、空母のように扱えるので防空戦闘は有利でしょう。攻撃任務はどのタイプも搭載機の対艦攻撃力から考えて不適当です。(3)でも飛行甲板は最大二○○メートル程度しか無いので新型艦攻や艦爆は運用できません。
 砲撃戦においてやはり(4)は無視できる存在です。(1)(3)も防御力を考えると不安があります。(2)は<利根>のように期待できる戦力です。
 やはり航空巡洋艦に期待する能力は高い索敵能力でしょう。巡洋艦である以上速力もあるので、艦隊の眼として活躍できます。収容時間に時間のかからない(1)(3)は効果的ですが、であるならば軽空母にしたほうが早いでしょう。
結果的に艦隊戦闘に航空巡洋艦は向いていません。他の艦艇で代用が効きます。
<2>    通商破壊
 この運用方法は基本的に時期によって随分と効果が変化します。
 開戦初期は明らかに効果的な通商破壊を行えるでしょう。(1)〜(4)はそれぞれ性能に差がありますが、基本的にどれもが索敵能力と対艦能力を活かして独航船相手の通商破壊を行えると思います。とくに(4)は元商船であるから長期行動にも向いています。<グラーフ・シュペー>以上の索敵能力を持っているので、捕捉される可能性も低くなります。(1)(3)は素早く広範囲の攻撃哨戒任務に就けますので、効率的な運用が可能です。
 ただし英国がそうしたように、戦争が進めばその効果は薄くなります。輸送船団と護衛艦艇が出現すれば、相手にもそれ相応の対処手段があります。守るべき船が多すぎることから船団の対空砲火の効果は低いでしょうが、それでも搭載機の攻撃は難しくなります。空母が護衛についていたら航空攻撃は極端に困難になります。この時点で(1)(3)を投入するより改装空母か軽空母を投入したほうが効率的でしょう。
 水上戦闘による輸送船団襲撃は、同じように困難です。正規の巡洋艦どころか駆逐艦との戦闘にも危いところのある(1)(3)(4)では戦果は望めません。(2)は有効ですが、逆にただの水上艦を送り込めばいいのでは、ということになります。
 開戦初期ならいざしらず輸送船団が出現した場合、航空巡洋艦による攻撃は難しくなります。ただし大きなメリットが得られることも事実です。輸送船団に空母と巡洋艦の護衛を必要とする海域が増大するという点です。
 例えばヨーロッパ戦線で主に地中海と北海では水上艦と航空攻撃の襲撃に備えるため、英海軍は戦艦まで持ち出して船団護衛を行っていました。しかしインド洋や大西洋中部は潜水艦襲撃に備えるために最大でも駆逐艦程度が配備されていた兵力でした(護衛空母が大量に竣工しはじめたのは、アメリカの兵器生産が軌道にのり戦争もピークを過ぎたころです)。ところがどのルートでも輸送船団に空母と巡洋艦を必要とするならば、相手の国に多大な負担をかけることができます。これだけで航空巡洋艦を投入するメリットはあります。
<3>護衛艦隊旗艦
 <大淀>がそうであるように、航空巡洋艦は高い索敵能力をもって敵艦を探知する能力が高い点が長所です。砲撃能力もそれなりに確保されています。<1>のような正面戦闘では能力が不足していますが、後方任務なら役に立つと思います。
 例えば<大淀>の任務である潜水艦隊旗艦としての任務は贅沢に見えます。ところが敵の早期発見・艦艇の効率運用を考えるならば、航空巡洋艦は単独の戦闘より指揮艦として機能したほうが良いのではないでしょうか。さらに潜水母艦や水上機母艦の含む後方支援艦隊が敵水上艦と遭遇した場合、戦って打ち勝つのでは無く、相手を翻弄して護衛対象を逃がす点において航空巡洋艦は有効です。レイテ海戦におけるスプレイグ部隊の奮闘を見れば、海空両方から攻撃する有効性は明らかです。逃がすのが目的なら撃破する必要は無いので、多少戦闘力が落ちても大丈夫でしょう。(1)(3)(4)ならば艦載機を主体とした迎撃、(2)ならば水上砲戦を主体とした迎撃を展開できます。それによって襲撃する敵を翻弄して護衛対象を逃がすのです。
 また航空巡洋艦は航空機を搭載するという点において護衛空母の能力を持ち、砲撃能力を持つことで巡洋艦の能力を持ちます。これまではどちらの能力も中途半端であることが問題でしたが、護衛任務なら多少性能が落ちても任務を達成できます。むしろ護衛空母と巡洋艦を一隻ずつ配備するより航空巡洋艦は(多少建造に手間がかかるとはいえ)一隻でそれに迫る能力を確保できます。必要な人員や燃料を考えた場合、こちらのほうが効率的では無いでしょうか?
ただし航空巡洋艦一隻に必要な経費・建造期間を考えて護衛空母一隻と巡洋艦一隻に必要なそれを比べて本当に有効かどうかは、議論の余地があると思います。

現在でも航空巡洋艦は多数あります。ヘリコプター搭載の中小艦艇(巡洋艦以下)は明らかに航空巡洋艦と捉えることができます。その理由を考えると、航空巡洋艦はあながち否定すべきものでは無いと考えます。

<結論>
航空巡洋艦は二級線任務に使用すべき、安価な艦艇であるべきである。

 ───────────────────────────────────────  ■題名 : 私なりの現在の意見  ■名前 : 山家  ■日付 : 02/3/17(日) 21:47  -------------------------------------------------------------------------
    私としても、他の皆様も述べられていますが、航空巡洋艦は、何を目的として建造されるか、そして、その建造コストが見合うものかということも考えねばならないといけないと思います。
 BBさまが要領よくまとめておられますので、それに乗っかる形で、私なりの現在の意見を述べます。航空巡洋艦というのは、二線級というと誤解を招きそうですが、後方での運用を第一に考えて建造されるものだと思います。前線で使用するならば、やはり巡洋艦と軽空母をそれぞれ1隻建造した方が良いと思います。現実には、海防艦も充分には建造できなかったことから考えると絵空事ですが、後方で行われる海上護衛戦において、輸送船団に対潜哨戒等の航空支援を行うならば、航空巡洋艦を建造し、護衛艦隊の旗艦兼水上機母艦として運用するというのは、護衛空母と軽巡洋艦を1隻ずつ造るよりもコストを削減することができます。実際には二座水偵の開発に失敗していますが、二座水偵を対潜哨戒機として、例えば最上に搭載・運用すれば、常時3,4機を輸送船団の周囲で哨戒任務につけることができます。そして、最上ならば、護衛艦隊の旗艦としての指揮・通信能力も備えることができます。こうした目的で建造すると言うならば、水上機を運用する航空巡洋艦は、WWIIで充分に役立つ艦だと思うのですが。いざとなれば、機動艦隊の護衛艦としても運用することもできますし。いかがなものでしょうか。

 ───────────────────────────────────────  ■題名 : Re:私なりの現在の意見  ■名前 : BB <ijn_agano@geocities.co.jp>  ■日付 : 02/3/17(日) 22:56  -------------------------------------------------------------------------
   全般的に、同意見ですね。

>海防艦も充分には建造できなかったことから考えると絵空事ですが
これは日本海軍では事実です。ですが主題は「WWIIで活躍できたか?」であるので、使用国は日本海軍のみに留まらないと思います。
英国なら旧式軽巡を多数持っていましたから、それの航空装備を拡大したりすることは可能です。新型艦としても、後方任務ですから贅沢な装備は必要としません。大量建造は可能です。

英国が船団護衛に航空巡洋艦を配備すれば、随分と護衛が楽になったと思います。地中海みたいな場所はともかく、Fw200程度が相手の中部大西洋なら飛行甲板に旧式戦闘機を搭載できますし、通商破壊艦相手にも多少の奮闘が期待できます。少なくとも空母や重巡洋艦をひっぱり出す必要は無くなります。

>実際には二座水偵の開発に失敗していますが、二座水偵を対潜哨戒機として、
>例えば最上に搭載・運用すれば、常時3,4機を輸送船団の周囲で哨戒任務
>につけることができます。
英国にはソードフィッシュやグラジエーター、米国にも失敗機がいっぱい余っています
もちろん水上機はどこの国でもたくさんありますので、旧式機を利用するならば艦載機には困らないと思います

>いざとなれば、機動艦隊の護衛艦としても運用することもできますし。
この効果は薄いと思います。空母機の場合、旧式機ならいざしらず貴重な主力機を中途半端な性能の航空巡洋艦に搭載するのは難しいです。
水上機の場合、搭載機が強風や二式水戦なら効果的です。しかしこれは日本海軍のみ可能な芸当であり、英国や米国には空母艦載機や陸上機相手に戦える水上機はありません。
護衛艦として扱うなら、やはり防御力の不足が問題となります。

航空巡洋艦の問題は中途半端な性能です。二つの能力を一つに纏める点が原因です。ですが護衛任務なら多少の性能不足も許容範囲内ですから、中途半端だけど一隻で空母と巡洋艦双方の任務をこなせる航空巡洋艦は活躍できる、ということになります。
二級線任務というのは、つまりそういうことです。艦隊の戦いでは力不足なのです。むしろ艦隊に空母や普通の巡洋艦を廻せることに、航空巡洋艦の意義はあると思います

 ───────────────────────────────────────  ■題名 : 使用目的に関する私なりの意見  ■名前 : ほほうてい <hohouty@infoseek.jp>  ■日付 : 02/3/19(火) 23:11  -------------------------------------------------------------------------
   このボードに書き込むのは初めてです。以後宜しくお願いいたします。どこに書くか迷ったのですが、ここに書きたいと思います。

航空巡洋艦の使用目的として「大淀」本来の使用目的と言うのはどうでしょうか?
つまり、潜水艦隊(戦隊)旗艦です。

このような部隊を編成し、航空巡洋艦と潜水艦を組み合わせて通商破壊を行えばそれなりの成果は挙げられるのではと思うのですが。
搭載機は偵察に徹し攻撃は潜水艦、または巡洋艦主砲により攻撃を行う。偵察によりやばい船団には近づかない、とすればかなり長く行動でき、またこのような戦隊がいる、と予想される海域には、有力な護衛戦力を割かなければいけないでしょうから輸送コストもかさむ事になるでしょう。
相手に負担を強いる事を目的とするならば有効な方法ではないかと思うのですが・・・

 ───────────────────────────────────────  ■題名 : Re:使用目的に関する私なりの意見  ■名前 : BB <ijn_agano@geocities.co.jp>  ■日付 : 02/3/19(火) 23:42  -------------------------------------------------------------------------
   潜水艦戦力の統括的な運用、それによる戦果と相手国の負担増大。
護衛空母が投入された後にもそれなりに効果があると思います。
危険海域情報と船団情報を収集・伝達できるということは、
通商破壊においてたいへん重要なことです。
そもそも建造目的がそれであるから、実現性も十分にあります。
ただし、日本海軍潜水艦の攻撃対象想定は基本的に艦隊であり船団ではありません。
戦争が進めば日本海軍も通商破壊の重要性を悟りますので、それ以前の実現は難しいでしょう。
とはいっても活躍できたか?という点については疑問の余地はありません。

自分のBUNさんのレスを読んで、実現の可能性を考えている最中です

 ───────────────────────────────────────  ■題名 : 大淀は?  ■名前 : BUN  ■日付 : 02/3/20(水) 0:15  -------------------------------------------------------------------------
   水上艦艇を通商破壊戦に投入することもまた無駄の多い話ですが、
それは置いても、日本の潜水艦隊は通商破壊戦を主要な作戦と見ています。
開戦劈頭から交通破壊戦は実施されています。
だからといって、こうした作戦に大淀が参加する事自体無理がありますし、実際無益でしょう。
しかし、大淀はいわゆる「航空巡洋艦」なのでしょうか?

 ───────────────────────────────────────  ■題名 : Re:航空巡洋艦は役立つか。  ■名前 : ”&” <andiez31@hotmail.com>  ■日付 : 02/3/21(木) 21:30  -------------------------------------------------------------------------
    戦前の構想下での艦隊決戦時の水雷戦隊の支援に、
水爆も用いるつもりだったという事はないでしょうか?
 観測のついでに爆撃で攪乱できれば見方の支援に
かなり効果があると思うのですが。


余談)
利根型はむしろ空母直衛艦としての性格が強いとは思いますが…。

 ───────────────────────────────────────  ■題名 : Reやはり偵察が主任務と思います。  ■名前 : シュウスイ  ■日付 : 02/3/23(土) 17:49  -------------------------------------------------------------------------
   「ついでに爆撃で攪乱」というのは、偵察や観測任務があくまで主任務
であるということだと思いますし、個人的に可能性としてあると思います。

ところで、この議論内でいろいろコメントがあった水爆構想というのは、
結局、「花開かなかった構想」という結論になったと思いますが…。

機動部隊が十分な航空作戦兵力を維持している間は、もちろん水偵にまで
攻撃させるなんて運用も必要もあり得なかったですし、そうした段階で水偵
をいたずらに攻撃に参加させて消耗させる作戦はとんでもない誤りと思います。

よくいわれることですが、後世の我々が今の段階で考えることよりも当時の
優秀な海軍のプロの人材が当事者としてずっと真剣にかつ詳細に作戦運用を
考えていたはずです。結局水爆構想は機動部隊運用の中で入り込むスペースが
なかったということでしょう。

水偵の等の機材の開発時の一構想やスペックだけを捉えて、「水爆も可能」
などと現在になって論ずることは、それこそ水偵を「ゲームの駒」として物事
を考える事としかいいようがありません。

機動部隊の航空作戦兵力が十分にある緒戦の連勝段階で、水偵搭乗員が本来の
任務とはいえない敵艦への爆撃を命じられるということがありえたでしょうか。
水偵搭乗員としても貴重な専門の人材です。また、命じられた方も何故そこまで
する必要があるのか疑問を持つでしょう。水偵及びその搭乗員を「ゲームの駒」
のように考えるのではなく、当時のこともいろいろ考えて欲しいものです。

また、戦争後半になって日本機動部隊が有効な作戦をなしえない段階となって
しまってから、水偵の爆撃をさせようとしても、散発的かつ小規模なものとなって
しまい、有効な成果をあげられるとは思いません。より優秀となった米軍のCAP
や対空砲火に喰われてしまうのがほとんどでしょう。特攻攻撃に近いものになって
しまうのではないかと思います。

いずれ水爆構想は花開かなかったし、実行される必要性も乏しいものだったと思い
ます。

 ───────────────────────────────────────  ■題名 : Re:Reやはり偵察が主任務と思います。  ■名前 : まなかじ  ■日付 : 02/3/23(土) 23:42  -------------------------------------------------------------------------
   > 機動部隊が十分な航空作戦兵力を維持している間は、もちろん水偵にまで
> 攻撃させるなんて運用も必要もあり得なかったですし、そうした段階で水偵
> をいたずらに攻撃に参加させて消耗させる作戦はとんでもない誤りと思います。

水爆構想って、もっとずっと前からある構想です。
それに基いて十二試複座水偵の要求が出され、瑞雲の要求が出されているわけです。

索敵機は空母から出す予定なんです。
水上機は運用上海況の影響を受けやすく、時化ていたら洋上回収は望めず、片道で出すことを強いられます。また巡洋艦や戦艦から索敵機を発艦させるということは、水上打撃部隊を索敵機の回収のために足止めさせることにつながります。

空母を集中して空母機動部隊を編成するというのは、更にそれよりも後から出てきた構想ですが、水爆構想はそれと対立しません
むしろ、水爆の実用化が遅れたためにこそ、ミッドウェーで索敵機に水偵を出さなければならなかったのだと言えるかもしれません
巡洋艦搭載の水爆の打撃力が存在しなかったために空母機の打撃力を削ることができず、艦攻を索敵に出すことができない、だから利根型の三座水偵に索敵機戦力を依存せねばならなかったのだと

> 水偵の等の機材の開発時の一構想やスペックだけを捉えて、「水爆も可能」
> などと現在になって論ずることは、それこそ水偵を「ゲームの駒」として物事
> を考える事としかいいようがありません。

水偵にまで、というのではなく、そういうふうに使う水偵を作ろうとしてできなかったのです。
零式三座水偵とか九八式夜偵とは別の系統の、米海軍が艦爆でやっているような索敵爆撃機としての複座水偵を、です。
十二試複座水偵や瑞雲は「水爆も可能」なのではなくて、それが要求された任務なのです

 ───────────────────────────────────────  ■題名 : Re論点がずれていると思います。  ■名前 : シュウスイ  ■日付 : 02/3/24(日) 7:16  -------------------------------------------------------------------------
   …ちょっと待って下さい。僕は水爆構想の自体の存在は否定なんかして
しませんよ。

この議論の主題は「WW2に航空巡洋艦は役にたったか」というものでしょう。
であれば、水爆構想を議論対象とするのであれば、実際に水爆の運用が可能な戦争
局面があったかどうかの検証考察がなくてはならないでしょう。僕はそういう論点
で話を書いているのです。そのそして意見内容は前の文章に書いたとおりです。

機体開発過程を俯瞰しただけで、その開発不成功だけをもって「WW2で航空巡洋艦
は役に立ったか」という答えには全くなっていません。開発できた機体を航空巡洋艦
という艦種に集中搭載させ水爆任務で運用する必要性の是非なのです。

「米海軍が艦爆でやっている索敵爆撃機」という表現がでてきましたが、もちろん
索敵爆撃機と航空巡洋艦は矛盾しないでしょうが、航空巡洋艦のために索敵爆撃機
があるわけでは決してありません。いうまでもなく米海軍は航空巡洋艦とは無関係
です。そこのところの議論が完全に混同しているように思います。

そもそも水爆構想についてコメントを開始したBUN師匠は、この議論の冒頭で
わざわざ「塩を撒き」、「航空巡洋艦は存在しない」と否定的なコメントをはっきり
書いていると思いますが。それとも水爆構想を開陳するのに突然君子豹変したんで
しょうか?

 ───────────────────────────────────────  ■題名 : Re:Re論点がずれていると思います。  ■名前 : SUDO  ■日付 : 02/3/24(日) 8:19  -------------------------------------------------------------------------
   あー・・・
なんか、多分相当混乱してますね。

まず航空巡洋艦という艦種は日本海軍には存在しません。
航空装備の充実した利根型巡洋艦は、他の巡洋艦と基本的に変わらない任務を想定しています。
各型の重巡洋艦が前型から主砲を増減したり魚雷を増減したりしているとと同じように
航空機搭載能力を多少強化しただけの通常型重巡洋艦なのです。

この時点で航空巡洋艦が活躍できたかどうかという論はナンセンスなのです。
何故なら存在しないのですから。(少なくとも日本海軍の構想の中にはありません)

次に、日本軍重巡洋艦の航空機運用能力はなにを目的としていたのかという事になります。
そして、何故それを強化する方向に向かったのかですが。
これは従来型重巡洋艦もそうなのですが、爆装複座水偵を用いた艦隊航空打撃戦力の一翼を担うという構想と思想だったのです。

以上が、日本軍が「本来あるべき姿」として考えていた、巡洋艦の航空装備と強化の実態だったのです。

注意してください。
空母、戦艦、重巡からなる艦隊の航空戦力は、日本軍の場合それぞれが戦力を提供して受け持っていたのです。
偵察機、戦闘機、攻撃機、そして爆撃機を必要数、適正比率で持たせようとした場合。
当初の日本軍の構想では、複座水偵に爆撃戦力の相当数を受け持たせ、偵察戦力は空母主体と考えていたのです。
これが他国では珍しい艦上偵察機群や、長大な航続力を持つ特色ある艦攻群の根底にあった思想なのです。
日本軍は索敵戦力の第一義に水上偵察機を考えていなかったのです。
これはある種の万能機として零式三座水偵が完成してから、次への要求が中々始まらなかったことからも理解できます。
後継とも言える機体は、ある種の特殊型偵察機でもあり、偵察戦力の主流ではありません。

日本軍は『艦隊」という単位で、航空戦力のバランスを取り、強化しようとしていたのです。

航空巡洋艦は偵察機を沢山載せられるからよろしいという論は、代わりの打撃戦力は誰に依存するのかという事を無視しています。

12試の失敗によって、日本軍は打撃戦力を空母に任せました。
ですが、攻撃隊は特性上、一度に発進することが望ましく、空母の飛行甲板の大きさと数から同時に出せる数は決まってきてしまいます。
艦隊に沢山あるカタパルトから一機ずつ同時に出してもらえたら便利だったでしょう、戦力は実態として低下したのです。
艦攻や艦爆の飛行性能を考えれば12試や14試複座水偵の飛行性能は大同小異から勝るぐらいです。
攻撃戦力を他艦から出せるなら、空母はその分護衛戦闘機等を多めに出せます。攻撃隊の安全も打撃力も改善できますね。
反対に偵察機は定まった予定時刻に適時発進できれば良く、空母から出すほうが回収率を考えても無難です。
12試の失敗は艦隊の航空機運用構想を根底から揺るがしてしまったのです。

空母随伴の重巡洋艦は、空母の航空機運用能力だけでは不満だから、それを何らかの形で補助するための意味が多分に含まれていたのです。
そして予定では爆撃機を、現実では偵察機を受け持ったに過ぎないのです。

日本軍の巡洋艦航空兵装は、それ単体で是非を論じるものではなく、空母や戦艦や更には水雷戦隊も含めた艦隊単位で必要な航空機戦力の数量と任務の何がしかを受け持つという物だったのです。
ですから配備される戦隊や艦の特性に応じて、夜間触接重視任務で航空機を載せた重巡も居ましたし、敵艦隊全体を監視するための偵察機を搭載した戦艦も居たのです。これらは、それ単体ではなく、戦隊の任務特性や艦隊の戦力構成バランスから求められ定められたものでした。

単体で完結したものは無かったのです。
もう一回りか二回り大きな単位で眺めてみると、日本軍の構想と妄想の実態というか狙ったものが判るかと思います。
勿論、この構想が現実的に見てどうだったのかというのは、またいろいろ考えられますが、その想定にしたがって艦が建造され、飛行機が設計開発されてしまったのも事実なのです。

 ───────────────────────────────────────  ■題名 : Re:やはり本来の議論になっていない気がしますが…  ■名前 : シュウスイ  ■日付 : 02/3/24(日) 11:54  -------------------------------------------------------------------------
   詳しいレスをいただきましてありがとうございます。


> まず航空巡洋艦という艦種は日本海軍には存在しません。
> 航空装備の充実した利根型巡洋艦は、他の巡洋艦と基本的に変わらない任務を想定しています。
> 各型の重巡洋艦が前型から主砲を増減したり魚雷を増減したりしているとと同じように
> 航空機搭載能力を多少強化しただけの通常型重巡洋艦なのです。
>

利根型については、僕もそのとおりと思います。しかし、建造当初の構想はともかく
利根型の第8戦隊が高い偵察能力を生かし、機動部隊の随伴として運用されたことは
間違いのない事実です。他の重巡と組み合わせて機動部隊運用を行うということは
ちょっと考えられないことと思います。

> この時点で航空巡洋艦が活躍できたかどうかという論はナンセンスなのです。
> 何故なら存在しないのですから。(少なくとも日本海軍の構想の中にはありません)
>

それを言ってしまっては、おしまいです。今までの皆様の議論が無駄になったとは思
いませんが、WW2以前の帝国海軍の艦隊航空構想を確認しただけで終わりという
ことなんでしょうか。それなら知っている人は知っている、知らない人は知らなかった
というだけの話であって(実際にクイズみたいな問いかけも見受けられますし)、
中味のある議論とは思えません。

また航空巡洋艦が日本海軍の構想にない、というのはいいですが、それではそれと結び
つけて水爆構想を論ずるのはさらにもっとナンセンスということになりますね。
いままでもそういう議論だったのでしょうか…

>
> 単体で完結したものは無かったのです。
> もう一回りか二回り大きな単位で眺めてみると、日本軍の構想と妄想の実態というか狙ったものが判るかと思います。
> 勿論、この構想が現実的に見てどうだったのかというのは、またいろいろ考えられますが、その想定にしたがって艦が建造され、飛行機が設計開発されてしまったのも事実なのです。

利根型については確かに、搭載水偵数もさほど多いわけではないですし、単なる航空搭載
能力増強型と思いますが、改装後の最上はどう評価されるんでしょうか?なんか今までの
議論でもその評価は明確になっていないような気もしますが…。

また、相変わらず水爆構想の想定があったという確認のところで説明が停止してしまい
ますが、この議論が立ち上がった本筋から議論するなら、例えば水爆を航空巡洋艦に
集中配備した場合とそうではなく各巡洋艦に均等に配備した場合、或いは基地運用の
場合との場合の優劣などいろいろ議論に値する内容はあると思います。

結局この議論のもともとの本筋からはずれているという気がします。水爆構想と艦隊
航空構想の知識開陳確認だけで満足してしまったようにしか思えませんが。
ただ、皆さんの前後の発言内容から結論を推測すると、いずれ水爆構想を結びつける
にしろ航空巡洋艦の活用自体がナンセンスということなんでしょうね(ハッキリしない
ところもありますが)。
その一点くらいは、単なる戦前の艦隊航空構想確認ではなくて、この議論のまとめとして
確認したいと思います。

 ───────────────────────────────────────  ■題名 : よく読んで貰えれば・・・  ■名前 : BUN  ■日付 : 02/3/24(日) 13:27  -------------------------------------------------------------------------
   > 利根型については、僕もそのとおりと思います。しかし、建造当初の構想はともかく
> 利根型の第8戦隊が高い偵察能力を生かし、機動部隊の随伴として運用されたことは
> 間違いのない事実です。他の重巡と組み合わせて機動部隊運用を行うということは
> ちょっと考えられないことと思います。

それを説明する為に水爆構想を紹介しました。
日本の重巡洋艦搭載航空機の第一の任務は正式に「敵艦攻撃」です。
これは昭和十二年から複数年度にわたって艦船飛行機搭載標準という艦載機の定数と機種、その任務の規定で確認できる事です。
この点は議論の余地がありません。

また、偵察、観測任務についてですが、これらは副次的な任務であり、主力砲戦時の観測任務の主体は航空母艦搭載機によってなされるよう命令も出ています。
第一艦隊に随伴する母艦の配属が現実にあるのはこうした命令によって構想が実施された結果です。まず常識的かつ健全な判断だと思います。
艦名が上がった大淀も実施には移されませんでしたが、高速水偵は艦上機型とし、戦闘機と高速偵察機を運用する特殊空母として完成させる案があり、艦政本部側も参加して研究が行われているのですが、こうした動きはそれぞれ偵察、観測任務に水上機を当てる事への不安から生まれたものでそれぞれの命令や改造案と共にその理由として述べられています。そして、その延長線上に最上があるということです。日本海軍の水偵に対するスタンスが理解できるのではないでしょうか。

いわゆる「航空巡洋艦」と呼ばれることもある艦はこうした経緯で登場したもので、可能性もあれば限界もあるものだったでしょうし、それらは検討に値するでしょう。
しかし、ただ、航空巡洋艦=偵察巡洋艦との先入観で最上単体のスペックから無闇に論を進めようとすれば、あまり意味のある話はできないでしょう。
前に書いたように、水偵を豊富に搭載できたので、水偵を使い捨てながら連続して偵察行動ができたという事ならば、それは「航空巡洋艦」の利点ではなく、むしろ兵器としての欠点を述べている事になりますね。

>水偵の等の機材の開発時の一構想やスペックだけを捉えて、「水爆も可能」
>などと現在になって論ずることは、それこそ水偵を「ゲームの駒」として物事
>を考える事としかいいようがありません。

>結局この議論のもともとの本筋からはずれているという気がします。
>水爆構想と艦隊航空構想の知識開陳確認だけで満足してしまったようにしか思えませんが。

そのような視点とは全く違う、という事が解って戴けたでしょうか。
開発時の一構想ではありませんし、単なる可能性でもありません。
構想の歴史も実際の運用方針も無視してスペックのみからその可能性だけを語る姿勢こそが「ゲームの駒」なのです。この場ではそうした無意味な話はできるだけ避けたいと願ったまでのことです。

「航空巡洋艦は存在しない、偵察目的は期待されていない、と言うなら話が止まってしまうじゃないか」との気持ちも解りますが、実りのある議論と言うものは、誰にでも思いつくような事を述べるだけではなく、よく考え抜いてそこから更に一歩を進めて行く作業なのではありませんか?

 ───────────────────────────────────────  ■題名 : Re:よく読んで貰えれば・・・  ■名前 : シュウスイ  ■日付 : 02/3/24(日) 16:38  -------------------------------------------------------------------------
   長文のレスありがとうございます。

>
> また、偵察、観測任務についてですが、これらは副次的な任務であり、主力砲戦時の観測任務の主体は航空母艦搭載機によってなされるよう命令も出ています。
> 第一艦隊に随伴する母艦の配属が現実にあるのはこうした命令によって構想が実施された結果です。まず常識的かつ健全な判断だと思います。

「主力砲戦時の観測任務」…って、実際の機動部隊による航空打撃作戦とは全く別次元
の水上砲戦の話ではありませんか?「母艦搭載機が主力砲戦の観測任務を行う」という
のはWW2の空母戦からすれば時代錯誤のものと思います。どこか話が食い違っている
ような気がしますが。

相変わらず話が平行線で申し訳ありませんが、実際の作戦においては利根型の偵察
能力が高く評価され、そのように偵察目的で運用されているのですから、実際に運用に
ならなかった構想を大きく取り上げても論点を難しくさせるだけだと思います。
また、いわゆるその「構想」が実際の作戦立案をどこまで規制するものかも考える必要
があるのではないでしょうか。実際はもっと柔軟な作戦立案が行われていると思いますが…。


くどいようですが、この議題のテーマは「WW2に航空巡洋艦は役に立ったか」という
ものなのですから、偵察任務あるいは爆撃任務、あるいはその両方において、航空巡洋艦の存在価値があったかを考えることになるはずです(日本における海上護衛任務につい
ては否定されました)。

議論の進め方を見ると「偵察目的」を矮小化したいために水爆構想を持ち出している
という印象を受けます。伝統的な漸減作戦においても偵察は重要な任務のはずですし、
艦上機にだけその任務を与えていた訳ではないですよね。また、偵察索敵段階と実際の
戦闘段階の作戦運用航空機数がまるっきり同じ訳でもなく、もちろん巡洋艦の水偵の索敵偵察機能が無視されている訳ではないのですから、いたずらに水偵の爆撃任務だけを強調することは実態を誤るもとではないかと考えます。
自分としては「誰にでも思いつくようなこと」ではなくて「当然のこと」を書いている
つもりですし、まず当然の認識があって、そこから議論を進めていくのか常道かと思い
ます。


> 「航空巡洋艦は存在しない、偵察目的は期待されていない、と言うなら話が止まってしまうじゃないか」との気持ちも解りますが、

前の僕の文章でも少し書きましたが、利根型と違い、改装後の最上については水偵の
搭載機数も多く「航空巡洋艦」として表現できるもの思います。しかし、「構想にない
から」といって、そのように改装後の最上の存在をほとんど無視してしまうというの
は、いかがなものでしょうか。「日本海軍の構想には航空巡洋艦はなかったから、改装
後の最上は決して航空巡洋艦ではない」と主張し続けるということなのでしょうか。
とても納得の得られる話ではないと思います。「最上は日本海軍の構想になかったから
航空巡洋艦ではない」と断言する艦艇研究者や当時の関係者がいるのでしょうか。
そういう書籍や記述があれば是非御教示していただきたいものです。

いずれ、おっしゃりたいことは、偵察目的だけで航空巡洋艦を考えることはおかしい、
水爆任務もある、ということだろうと思います。しかし、それの議論を進めていくうちに
水偵の水爆任務も花開かなかったにせよ実際は奇策とは言えない、という主張も出てきて
ますよね。
ここで話が終わってしまうと、水爆目的の航空巡洋艦も存在価値あり、という発想に
もつながると思いますし、そう受け取った人もいると思います。

僕としてはいつまでも議論を続けたいとは思っているわけではなく、水爆構想から議論
を進めた方々が、水爆任務の航空巡洋艦についてどのような意見を持っているか再度確認
したいだけです。反論をまた書き続けたりするつもりも全くありませんので、水爆任務の航空巡洋艦の存在価値について、認めるのか、認めないのかを参考に教えていただければ幸いです。

できれば、認めない場合は「日本海軍の構想にはないものだから、ダメ」という理由は
やめていただきたいですね。実際に改装された最上があるわけですし、そういう扱いは
最上が不憫に思います。

 ───────────────────────────────────────  ■題名 : 誤解があるのでは?  ■名前 : BUN  ■日付 : 02/3/24(日) 21:23  -------------------------------------------------------------------------
    > できれば、認めない場合は「日本海軍の構想にはないものだから、ダメ」という理由は やめていただきたいですね。

そういう主旨ではありません。
「そんなもののは疑わしい」とのご意見を戴いたから回答したのです。
事実、存在しますし、最上の形を定めたのもこうした構想があればこそのことです。
実際に搭載機が間に合わない状況で運用された最上に対して「最上も実戦ではいくらか役に立った」と評価してもそれは「航空巡洋艦」についての評価にはならないでしょう。巡洋艦の航空兵装は最後まで活用されたという事を語るのみです。事実、最上は定数を満たした搭載を一度も実施していません。普通の重巡として使用されたのです。
その行動を航空巡洋艦として評価するというのは少し無理のある見方でしょう。

シュウスイさんはおそらく戦史の中での戦闘記録的側面を重視されているのでしょうが、洋上航空を艦上機に任せるという考え方は当時、先進的でこそあれ、どこも時代錯誤ではありませんし、機動部隊の航空攻撃と主力部隊の砲戦が一つの流れの中で考えられていた時期はそんなに昔の事ではありません。
また、「構想はどうであれ、実際にはもっと柔軟に作戦立案されていた」との御意見もわかりますが、ハワイ空襲からミッドウェー、マリアナまでも、軍令部レベルでの数年来の構想に左右されています。できれば発生した事実の背景にも目を向けて戴きたいと思います。

>。「日本海軍の構想には航空巡洋艦はなかったから、改装後の最上は決して航空巡洋艦ではない」と主張し続けるということなのでしょうか。

よく読んで欲しいというのはこの事です。
ちゃんと読んで戴けないでしょうか。

掻い摘んで話せば、

1.航空巡洋艦は重巡の航空兵装強化の一つの結果として存在した。
「艦種として独立した存在ではない」

2.重巡の航空兵装強化の背景は二座水偵による水上爆撃機構想だった。
「偵察任務にのみ注目しても本質を取り逃がす」

3.水上機に与えられていた偵察、観測任務は艦上機にとって代られつつあった。
「水上機の本質的な短所は十分に認識された結果、最上、速吸、伊勢型、大和型搭載の水爆瑞雲だけが残った」

4.その中で本来の搭載機を配備されなかった航空巡は基本的には普通の重巡と同様に扱われた。
「航空巡としての活躍は事実としても構想としても無い」

5.最上の構想は速吸や水母時代の千代田に与えられたのと同じ攻撃任務だった。
「通常の水偵を少数運用しただけの実績を以て、航空巡としての活躍とは言えない」

私が発言の主旨は上記のようなものですが、私はこのような問題がある為に、「航空巡洋艦は活躍できたか」とのストレートな問いかけには簡単に答えられません。まずは「航空巡洋艦とは何なのか」「活躍とはどんな行動をもって活躍と称すべきなのか」といった問いをよく検討してみる必要があると思っています。
そして、

>水爆任務の航空巡洋艦の存在価値について、認めるのか、認めないのかを・・・

といった事はこの場で議論されれば良い事です。認める、認めないと詰め寄られても困ります。シュウスイさんはどうお考えでしょうか。

 ───────────────────────────────────────  ■題名 : Re:誤解があるのでは?  ■名前 : シュウスイ  ■日付 : 02/3/25(月) 22:47  -------------------------------------------------------------------------
   水爆構想における航空巡洋艦の価値を、認めるか、認めないか、と詰め寄ったつもり
はなかったのですが、確かに自分で読み返すとそういうニュアンスも感じられます。
主旨としては、再確認の意味で簡単にお答えいただければ結構で、詳しくお答え
いただく必要はないということです。意図されていることは大体理解しているつもり
ですので。

「最上の評価」での「評価」というのも「よく評価する」という意味ではなくて、
単に「どのように評価」するか、の意味です。最上の評価にこだわった理由は、
「構想にないから」という議論の進め方だったので、それはおかしいではないか、
と感じたからです。ある作戦運用構想に基づいて開発された機材は当然その運用
構想を満たす性能を保持することになるでしょうし、改装でもしないかぎりは
性能がかわることはありません。しかし、作戦運用は新たな戦訓や戦況によって
変化しうるものです。

そしてSUDO様へのレスでも書きましたが、帝国海軍の作戦戦術構想は、開戦
直前から漸減作戦の放棄と、戦艦主兵論から航空中心主義に変わりますし、個別の
戦術思想も変化していると思います。そうした開戦以前の戦術構想の過渡期以前の
構想で開発された兵器だからといって、その当時の構想でいつまでもその兵器や
以後の作戦を考察するということにはならないと思います。

別に自分では戦史の記録的側面を重視している訳ではありません。しかし、運用
構想が実際に効果のあるものだったのかは、史実との照合検証が必要でしょう。

たとえば、「偵察、観測任務は艦上機にとってかわられつつあった」という話ですが
もちろん、正式な運用はそうだったかもしれません。しかし、史実でもそうだった
のでしょうか。戦争前半はもちろん水偵の活躍がめだつことは言うまでもありません
が、マリアナ沖海戦でも零式水偵が二段索敵に参加しています。

また、「偵察観測」と一口にいってますが、その他に機動部隊としてはレーダーが
実用化する以前は「対空哨戒」も必要なはずですね。これはもちろん戦闘機による
上空警戒とは別の概念です。二段索敵を実施し、そのほかに機動部隊の常時の
哨戒任務も加わるとなると、艦上機だけを当てていたのでは、攻撃力が減殺される
のは目に見えています。補助的に水上機を使用するとことも作戦立案では視野にいれ
なければならないでしょうし、それが合理的なのではないでしょうか。戦争後半の
米軍の用にありあまる空母部隊があるなら別ですが。
特に哨戒任務については艦隊の進路周辺の対潜哨戒という選択もあり得るでしょうし、
これは輸送船団のような海上護衛戦とは性質が違います。

十分な偵察索敵哨戒を実施するにあたり、水偵を利用することはその短所を考慮
しても必要なことと思います。米海軍だって巡洋艦の水偵搭載はやめていないし、
むしろ帝国海軍よりも搭載数が多いくらいなのですから(任務内容は別としても)。

その意味で、自分としては機動部隊直属としての偵察や哨戒目的の航空巡洋艦がある
とすれば、それはよく評価したいと思いますね。それは水上機母艦で代用できる、
という意見もでることはあると思いますが、航空巡洋艦だからこそできる戦闘局面
が生じないとも限りません。

 ───────────────────────────────────────  ■題名 : えーと  ■名前 : まなかじ  ■日付 : 02/3/24(日) 16:05  -------------------------------------------------------------------------
   > 利根型については、僕もそのとおりと思います。しかし、建造当初の構想はともかく
> 利根型の第8戦隊が高い偵察能力を生かし、機動部隊の随伴として運用されたことは
> 間違いのない事実です。他の重巡と組み合わせて機動部隊運用を行うということは
> ちょっと考えられないことと思います。

あくまで史実を追うならば、そうですね。
十二試複座水偵は実際には完成していなかったから、ああいう編成になったのでしょう。
しかし、これも「航空巡洋艦」の有効性を立証するものではないと思います。
索敵線を形成するのには例えば龍驤や瑞鳳型といった小型空母1隻追加して艦攻を搭載すれば間に合います。他の戦場で必要だったから使えませんでしたが。
むしろ、利根型があったから、日本海軍は安易に攻撃力保持に走って空母部隊の索敵機を水上機に逃げてしまったともいえるのではないでしょうか。
米海軍も、また英海軍でさえも、空母機動部隊が自隊から放つ索敵機に巡洋艦搭載の水偵を投入することはしていませんよね。
また、日本海軍も彩雲という索敵専用機を艦上機として配備に努力しています。
水爆があろうとなかろうと、利根の水偵で空母部隊の索敵線を張るのは、日本海軍としても不本意なことだったのですし、他のレスでもいろいろ出ているように、空母がいるなら艦上機で索敵する方が絶対有利なのです。

> 利根型については確かに、搭載水偵数もさほど多いわけではないですし、単なる航空搭載
> 能力増強型と思いますが、改装後の最上はどう評価されるんでしょうか?なんか今までの
> 議論でもその評価は明確になっていないような気もしますが…。

最上の改装は損傷修理の一環であったことを忘れてはならないでしょう。
また、十四試複座水偵(瑞雲)の実用化に目処が立ちつつあり、一方では珊瑚海やミッドウェー、第二次ソロモン海戦で大小6隻の空母を失った後であり、さらに改装空母は隼鷹型を除いて艦隊空母としては使い物にならないことがわかったという時期的な面もあります。
全面的に空母へ改装するには時間も足らず、工廠の手数も間に合わない、しかも伊吹の構想を見ても、空母化しても能力的に怪しい。よって空母化は不可。
しかし、航空打撃力の不足は目下重大化しつつあり、猫の手も借りたい。
後部2砲塔を取っ払って航空甲板にし、十四試水偵を載せれば、手っ取り早く簡単に艦爆戦力の補強ができるだろう。もちろん重巡であるからには空母部隊についてあるくことは造作なく可能である。
前部3砲塔は最低限の6門(まだ古鷹型・青葉型と同等の火力です)を有しているので、これと魚雷兵装はそのままとする。昼間砲戦にはやや不安もあるが、夜戦には十分である。空母機動部隊に随伴運用する以上、水上戦闘のシチュエーションとしては夜戦が主となるであろうから、これで我慢しなくてはなるまい。
といったあたりが最上改装の計画のアウトラインになるでしょう。

つまり、改装後の最上は巡洋艦として運用できないこともないというような「極めて強兵装の水上機母艦」に成り下がったといえるかもしれません。
いわば時局に合わせた対症療法であり、緊急避難的なものと考えることもできます。

一方に「今この時点で」艦隊航空兵力に不足があり、一方に水爆たる瑞雲が完成しつつある、この二つのどちらが欠けても、最上は元通りに修理されたものと考えます。

> また、相変わらず水爆構想の想定があったという確認のところで説明が停止してしまい
> ますが、この議論が立ち上がった本筋から議論するなら、例えば水爆を航空巡洋艦に
> 集中配備した場合とそうではなく各巡洋艦に均等に配備した場合、或いは基地運用の
> 場合との場合の優劣などいろいろ議論に値する内容はあると思います。

集中配備するならどうせなら水上機母艦にするべきで、まさに千歳型や瑞穂、日進はそうした目的を持って作られています。
しかし、「水上打撃部隊にも航空打撃力を分担させる」というのが水爆構想のキモなのですから、水上機母艦は水爆隊の勢力を増すものとなりこそすれ、重巡から水爆を降ろす理由にはならないでしょう。

また、水爆は「艦隊の持つ航空打撃力を増強する」ための存在ですから、わざわざ基地だけから出す理由がありません。

> 結局この議論のもともとの本筋からはずれているという気がします。水爆構想と艦隊
> 航空構想の知識開陳確認だけで満足してしまったようにしか思えませんが。

ちがいます
巡洋艦搭載機が「索敵機」であるという一種の固定観念を打破するために持ち出されている話題です。
大淀型を除いては「偵察索敵能力の拡大のために巡洋艦の航空機搭載能力を増大する」ことは、日本海軍はやっていないし、やるつもりもなかった、ということを説明しているものと思いますが。

> ただ、皆さんの前後の発言内容から結論を推測すると、いずれ水爆構想を結びつける
> にしろ航空巡洋艦の活用自体がナンセンスということなんでしょうね(ハッキリしない
> ところもありますが)。
> その一点くらいは、単なる戦前の艦隊航空構想確認ではなくて、この議論のまとめとして
> 確認したいと思います。

そうです
二流三流のローカル海軍が限定水域でのプレゼンスをごく限られたリソースで確保しようというようなシチュエーションでもない限り、真面目な「航空巡洋艦」といった艦種は、あまりに中途半端で非常に使い勝手の悪い艦になるしかないと思います。
利根の後の伊吹がオーソドックスな重巡として計画されているのを見ても、利根型でさえ飛行機を積みすぎている、とされているわけです。

巡洋艦の本領は水上戦闘にあり、敵の同等以上の水上艦艇に対抗することにある。航空兵装の拡大はその能力を損なう程度になってまですることはしない。
そういうことだと思います。

 ───────────────────────────────────────  ■題名 : Re:明確な回答ありがとうございます。  ■名前 : シュウスイ  ■日付 : 02/3/24(日) 17:09  -------------------------------------------------------------------------
   明確な長文の回答をいただきありがとうございます。
比較的多岐に渡った議論でもあり、発言者によってもいろいろなニュアンスがある
ように感じられたため、ある程度の結論のまとまりが再確認できると、今後の参考
となります。
もっとも自分としてはご意見のすべての点に納得している訳ではありませんが(笑)。

 ───────────────────────────────────────  ■題名 : Re:やはり本来の議論になっていない気がしますが…  ■名前 : SUDO  ■日付 : 02/3/24(日) 20:35  -------------------------------------------------------------------------
   > > まず航空巡洋艦という艦種は日本海軍には存在しません。
> 利根型については、僕もそのとおりと思います。しかし、建造当初の構想はともかく
> 利根型の第8戦隊が高い偵察能力を生かし、機動部隊の随伴として運用されたことは
> 間違いのない事実です。他の重巡と組み合わせて機動部隊運用を行うということは
> ちょっと考えられないことと思います。

ですから、既に誤解があるのです。

時系列順にならべると

機動打撃部隊である第二艦隊の航空戦力拡充として重巡にも一翼を担わせる。
各艦の構成や特性から重巡搭載機は爆撃機を中心とする。
 ↓
重巡搭載爆撃機の開発失敗と第一機動艦隊の編制
 ↓
本来乗せるべき爆撃機を失った利根型に三座水偵を搭載して第一機動艦隊の航空戦力の一翼を担わせた。

第八戦隊で無く、別に他の重巡であっても空母の随伴は可能ですし。
空母側が欲したのは、自らの戦力を補佐してくれる航空機搭載艦艇です。
勿論ベストは空母の追加ですが、別に第八戦隊である必要は無いのです。
現実に第二機動艦隊には別の重巡がついています。あくまでも「艦隊」の航空戦力増強として重巡搭載機は活用されたのです。

ですから八戦隊は「大きな偵察戦力」を発揮したのではなく。
大きな航空戦力を発揮したのであって、あの時期の場合はそれが「偵察機」だったに過ぎません。
水爆を搭載していたら「大きな航空打撃力」を発揮し、空母の打撃力を補佐したでしょう。勿論偵察機は空母から出せば宜しい。

そして、もう一点

機動部隊の構想や思想は以前からあったのは事実ですが
12試の頃は、空母は第一と第二艦隊に配備されていました。

ですから、第一艦隊の空母は制空権確保に敵主力艦の攻撃を
第二艦隊空母は偵察と敵空母攻撃を第一義に考えています。
言うまでもなく、重巡洋艦部隊は第二艦隊主力でもあります。

第二艦隊は機動力を生かして、高速で走り回り、空母の優れた偵察能力を活用して敵艦隊を発見し、まずは艦隊の全航空打撃力を抽出して敵空母を叩くというのが基本構想だったのです。
第一艦隊は敵残存空母からの攻撃を戦闘機で迎撃し戦場上空の制空権を確保し、戦艦の火力を遺憾なく発揮し、空母の艦攻等も活用して敵主力艦を始末するというのが第一機動艦隊が登場するまでの基本構想だったのです。

利根型や12試複座水偵、14試複座水偵(瑞雲)はそういう時代の思想で開発されています。っていうか第二次大戦中盤までの日本軍航空機や艦艇はそういう思想と構想の元に開発製造されたものです。

第一機動艦隊の編制に伴って、各艦隊から空母や戦闘艦を抽出していますが。
この時に利根型が選ばれたのは、その大きな航空機戦力を艦隊に提供できるという側面が評価されたからで、それが水爆であろうと水偵であろうと構わない(実際には水偵より水爆が望ましいのは先に述べたとおりです)
第一機動艦隊が欲したのは、少しでも多くの航空戦力です。利根はその搭載力が評価されたのであって、その搭載力が偵察力に繋がったのは乗せているのが偶々あの時期は三座水偵だったからに過ぎません。

これを混同していると理解は進まないと思います。

> > この時点で航空巡洋艦が活躍できたかどうかという論はナンセンスなのです。
> > 何故なら存在しないのですから。(少なくとも日本海軍の構想の中にはありません)
> それを言ってしまっては、おしまいです。今までの皆様の議論が無駄になったとは思
> いませんが、WW2以前の帝国海軍の艦隊航空構想を確認しただけで終わりという
> ことなんでしょうか。それなら知っている人は知っている、知らない人は知らなかった
> というだけの話であって(実際にクイズみたいな問いかけも見受けられますし)、

だから、全然中身が無い議論になっていませんか?
何処にも議論はないと思いますが、私の気のせいでしょうか?


> また航空巡洋艦が日本海軍の構想にない、というのはいいですが、それではそれと結び
> つけて水爆構想を論ずるのはさらにもっとナンセンスということになりますね。
> いままでもそういう議論だったのでしょうか…

ですから、航空巡洋艦構想は無く、
一般に航空巡洋艦と誤解される利根型は、
水爆を活用する形で打撃能力を向上させた巡洋艦であったと述べているのです。


> 利根型については確かに、搭載水偵数もさほど多いわけではないですし、単なる航空搭載
> 能力増強型と思いますが、改装後の最上はどう評価されるんでしょうか?なんか今までの
> 議論でもその評価は明確になっていないような気もしますが…。

これは既にまなかじさんの的確なレスがついています。
私は、早期復帰にはそれが無難だったという後ろ向きな部分もあると思いますが。


> また、相変わらず水爆構想の想定があったという確認のところで説明が停止してしまい
> ますが、この議論が立ち上がった本筋から議論するなら、例えば水爆を航空巡洋艦に
> 集中配備した場合とそうではなく各巡洋艦に均等に配備した場合、或いは基地運用の
> 場合との場合の優劣などいろいろ議論に値する内容はあると思います。

既にまなかじさんのレスがありますので、それで十分な事だと思います。


> にしろ航空巡洋艦の活用自体がナンセンスということなんでしょうね(ハッキリしない
> ところもありますが)。
> その一点くらいは、単なる戦前の艦隊航空構想確認ではなくて、この議論のまとめとして
> 確認したいと思います。

だから、そんな構想も無かったのに、どう論じろというのですか?
艦は、艦隊や搭載機や運用思想や艦隊構想といった色んなものの影響を受けます。
そういった構想が生み出されてもおかしくは無いといえなくも無い時代にあって、結局のところ生まれなかったという点からみても、ナンセンスというかあまり意味のあるものではなかったのではないかと想像します。

艦艇建造に制限があった条約時代には、限られた戦力の最大活用として重巡の航空打撃力という思想が登場しました。また水上機母艦も建造されました。
どちらかと言うと、航空巡洋艦と言えるのは千歳型等の水上機母艦の方でしょう。

ですが無条約時代に入って建造着手されたのはまっとうな重巡の伊吹と各空母であり。千歳は空母に改造されました。
日本軍は最初から、艦上機を中核として、水上機戦力をその補助として用いるつもりだったのです。
水上機を使わざるを得なかったのは空母戦力が足りなかったからなのです。
そして、水上機を艦隊航空戦力の中で見た場合、攻撃戦力として用いるのがもっとも有効であると日本軍は考え、空母戦力の負担を減らす事に用いようとしていたのです。

もう一度書きます。
巡洋艦単体の戦力で見ないで下さい。巡洋艦部隊でも見ないで下さい。
他に空母も戦艦も居るのです。

艦隊全体の戦力を考えた場合、何にどれをどのぐらい分担させるかという考え方なのです。
全て空母に任せられたら最高ですが、それは果たせません。だから出てきた思想なのです。

ゲームの駒という言葉が出てきましたが「この艦は偵察力がある駒」と見ては無意味です。
何故、それがそういった能力をその時期に持っていたのかを考えるべきでしょう。

日本軍は、結構大きいスパンで物を見て戦力整備を行おうとしていたのです。
ですから、航空巡洋艦みたいなニッチなものは応急処置としては成立しえても、長期的展望においては居場所が無いのです。

 ───────────────────────────────────────  ■題名 : Re水爆構想って、所詮は放棄された漸減作戦の一環でしょう。  ■名前 : シュウスイ  ■日付 : 02/3/25(月) 21:19  -------------------------------------------------------------------------
   自分としては巡洋艦をゲームの駒として使えているつもりはまったくありませんよ。
はじめから主張しているとおり、空母機動部隊としての運用構想の中で考えています。

結局、水爆構想というのは、結局は放棄された漸減邀撃作戦の一環ではないのですか?
漸減後の主力艦隊決戦時に、持てるすべての航空兵力を投入して敵艦隊の撃滅にあたる
という発想でしょう。

帝国海軍が戦艦ではなくて航空を中心として本格的な空母機動部隊の運用研究に着手
したのは昭和14〜15年頃くらいです。しかし、実際には真珠湾作戦計画が具体化
してきてもまだ、戦艦主兵論は根強いものがありましたよね。そうした過渡期の戦術
構想以前の漸減邀撃作戦構想に基づいて、WW2の太平洋の海戦を考察してもあまり
大きな意味はないと主張したいのです。

もちろん漸減作戦構想でも空母運用は考えられていましたね。しかし、大編隊による
共同同時攻撃法の効果が確認されたのは、昭和15年の飛行演習研究です。それ以後
爆撃嚮導機などの導入の研究が行われ、航空打撃戦の構想が発展していくところで
しょう。真珠湾以降も戦訓を取り入れて作戦運用も改善を図っており、それ以前の戦術
構想とはちがってきているのですから、戦前の構想にもとずいて機材が開発されたから
といって、それ以前の構想を持ち出してきても大きな意味はありません。

こうした新しい空母機動部隊運用の戦術確立過程の中で、水爆構想の入り込む隙なんて
あるのでしょうか。僕はまったくないと思います。

特に航空巡洋艦構想は排されているのですから、水爆といっても、個別散発的な攻撃
にならざるを得ない。そうした個別散発的な航空攻撃が効果が薄いことは演習や研究
でも確認されているところです。それとも水爆が艦上機と同一編隊を組んで攻撃を
行う構想なんてあったのでしょうか。僕はそんな構想は全く知りません。あったら
教えていただきたいものです。

真珠湾攻撃やそれ以後の空母作戦で水爆が用いられていないのは、機材開発の問題
以前ものと思いますよ。空母機動部隊の「運用構想」からはずれたものと思います。
人材育成の面でも「爆撃専修員」という制度もありますが、これも水偵搭乗員とは
無縁のものでしょう。

僕が言っている「ゲームの駒」とは、水爆を論じるにあたり航空巡洋艦を排する
となればもともと巡洋艦の数自体が多くはないのだから、水爆の機体数も一層少なく
なる。従って、その攻撃自体も少数の散発的なものにならざるを得ない。そうした
攻撃は損失ばかり多くて効果が少なく水偵搭乗員を消耗するだけである。
それなのに、機体の性能だけから可能性を論じることは、単なる「水爆可能な駒」
という発想でしか見ていない、ということです。

僕のいいたいことが理解していただけたでしょうか?

 ───────────────────────────────────────  ■題名 : Re:Re水爆構想って、所詮は放棄された漸減作戦の一環でしょう。  ■名前 : SUDO  ■日付 : 02/3/25(月) 23:05  -------------------------------------------------------------------------
   > 結局、水爆構想というのは、結局は放棄された漸減邀撃作戦の一環ではないのですか?

漸減邀撃作戦と水上戦と空母戦を混同してませんか?

> しょう。真珠湾以降も戦訓を取り入れて作戦運用も改善を図っており、それ以前の戦術
> 構想とはちがってきているのですから、戦前の構想にもとずいて機材が開発されたから
> といって、それ以前の構想を持ち出してきても大きな意味はありません。

そして、それでも最上や伊勢には瑞雲を搭載することが決まり、瑞雲は生産されました。
水爆構想が破棄されたなら伊勢型や最上の改装は無かったでしょう。
それに、他の重巡にも瑞雲搭載の案が出てくることも無かったでしょう。
そして瑞雲の生産が行われることも無かったでしょう。
勿論、戦艦主兵が根強かったように、ちょっと前の構想や思想はくすぶってる部分があります。

先入観に囚われていませんか?
日本軍はマリアナでもそうだったように、戦艦の水上砲戦すら捨ててないんです。

勿論、将来における主体は航空戦力であることは理解されてますし
その方向に向かっていたのは紛れもない事実ですが、
その主体は基地航空機で空母ですらなかったりします。

仰られるような空母機動部隊の運用構想は理解できますが
(ただし私はそれを証明するような文書の存在は知りません)
その中では水上艦の搭載機はどのような役割を命ぜられていたのでしょうか?

機動部隊に随伴する艦艇が水上機を搭載している以上、
その用途用法も当然記されており、それに見合った後継機の開発も示唆されていると思いますが、それはどのようなものだったのでしょうか?

> 真珠湾攻撃やそれ以後の空母作戦で水爆が用いられていないのは、機材開発の問題
> 以前ものと思いますよ。空母機動部隊の「運用構想」からはずれたものと思います。

レイテの伊勢は瑞雲を載せずに出撃しましたが、同時に彗星も降ろしています。
水上機だから、性能が低いから瑞雲だけ降ろしたのなら判ります。
ですが、伊勢は彗星も降ろしたのです。機材が無かったわけではありません。
降ろされた634航空隊の彗星と瑞雲はフィリピン戦に参加しています。

私には伊勢が搭載機を載せずに出た理由は判りません。
ですが、伊勢が小沢艦隊に組み込まれて空母機動部隊の一員として行動し
伊勢が瑞雲を搭載する予定だった事は知っていますし有名な話です。

つまり、ミッドウェイ後からこの時期までの空母機動部隊の用法構想の中に瑞雲も含まれていませんか?
伊勢型戦艦は19年9月に瑞雲の発進訓練をしてますから
少なくともこの時期までは、載せて使うつもりだったのではありませんか?

> それなのに、機体の性能だけから可能性を論じることは、単なる「水爆可能な駒」
> という発想でしか見ていない、ということです。

水爆可能な駒と見てるのではありません。
瑞雲は水上爆撃機として開発された飛行機です。
可能な駒では無くて、それを目的とした駒です。
そして、それを使うことを前提とした思想や構想は大戦末期まであったのです。

 ───────────────────────────────────────  ■題名 : 当初の航空戦艦構想は…  ■名前 : シュウスイ  ■日付 : 02/3/26(火) 21:41  -------------------------------------------------------------------------
   > > 結局、水爆構想というのは、結局は放棄された漸減邀撃作戦の一環ではないのですか?
>
> 漸減邀撃作戦と水上戦と空母戦を混同してませんか?
>

SUDO様に対しては、釈迦に説法ですが、伝統的な漸減邀撃作戦構想の最終段階の
艦隊決戦では、戦艦が主兵であって、航空兵力も含めた他の各補助部隊も全力で敵主力
を攻撃することとなります。その意味で書いたもので、別に水上戦と空母戦を混同して
いる訳ではありません。


>
> そして、それでも最上や伊勢には瑞雲を搭載することが決まり、瑞雲は生産されました。
> 水爆構想が破棄されたなら伊勢型や最上の改装は無かったでしょう。

これまた釈迦に説法のような気がしますが、伊勢型の航空戦艦の当初構想では、彗星
又は流星の艦爆だけを搭載する予定で設計改装されていますよね。その意味から言えば
水爆の存在は無視されていた、といっていいと思いますが。

>
> レイテの伊勢は瑞雲を載せずに出撃しましたが、同時に彗星も降ろしています。
> 水上機だから、性能が低いから瑞雲だけ降ろしたのなら判ります。
> ですが、伊勢は彗星も降ろしたのです。機材が無かったわけではありません。
> 降ろされた634航空隊の彗星と瑞雲はフィリピン戦に参加しています。
>

SUDO様から、「構想」ではなくて史実を考察した質問を受けるのは何となく
意外です。僕はなんか「史実だけを追ってる奴」みたいなイメージになってしまって
困ってます。瑞雲も彗星も降ろした理由は僕も詳しく調べていませんのでしたので、
真相はよく解りません。

 ───────────────────────────────────────  ■題名 : Re:当初の航空戦艦構想は…  ■名前 : 薩摩  ■日付 : 02/3/26(火) 23:47  -------------------------------------------------------------------------
   > これまた釈迦に説法のような気がしますが、伊勢型の航空戦艦の当初構想では、彗星
> 又は流星の艦爆だけを搭載する予定で設計改装されていますよね。その意味から言えば
> 水爆の存在は無視されていた、といっていいと思いますが。
>
初めまして、薩摩と申します。
改装決定時に彗星、流星を使用する「予定」であって、決定ではない以上、この点は
後からいくらでも変更されえるものでは無いでしょうか?
また、彗星や流星は陸上基地でも運用は出来ます。
しかし瑞雲は水上機という形態ゆえに航空戦艦に改装された伊勢、日向の艦載機に
後から選ばれたのではないかと思います。

学研から出ている本の中で、伊勢・日向の2隻の改装は信濃と組んで爆撃戦力を
補佐する為ではないか、という説もありました。
上記の説から考えれば日本海軍は最後まで水爆を主要戦力の一つとして捉えていた
と言ってもいいような気がします。

拙文ですみませんが個人的な意見を書き込ませていただきました。

 ───────────────────────────────────────  ■題名 : Re:当初の航空戦艦構想は…  ■名前 : SUDO  ■日付 : 02/3/27(水) 9:11  -------------------------------------------------------------------------
   > > 漸減邀撃作戦と水上戦と空母戦を混同してませんか?
> SUDO様に対しては、釈迦に説法ですが、伝統的な漸減邀撃作戦構想の最終段階の
> 艦隊決戦では、戦艦が主兵であって、航空兵力も含めた他の各補助部隊も全力で敵主力
> を攻撃することとなります。その意味で書いたもので、別に水上戦と空母戦を混同して

いや、だから・・・
漸減作戦と、戦艦はイコールじゃないんです。

漸減は思想であって、戦艦はそのための手段の一つなんです。
だから空母や水雷戦隊が主力でも構わないんです。

これと、空母や戦艦を混同してませんか?と述べたまでです。

> > 水爆構想が破棄されたなら伊勢型や最上の改装は無かったでしょう。
> これまた釈迦に説法のような気がしますが、伊勢型の航空戦艦の当初構想では、彗星
> 又は流星の艦爆だけを搭載する予定で設計改装されていますよね。その意味から言えば
> 水爆の存在は無視されていた、といっていいと思いますが。

シュウスイさんは現実路線を重視し、構想はそうだったかもしれないが実態としては違ったという事を重視される方のようですから、それに合わせて、本当に載せてしまったモノを例に出したのですが?

構想面から見るのも、実態面から見るのも同じ事なのです。
自らが望む結論がそこに記されているとは限りません。

その時にあったモノ。
その時にあった考え。

そしてそれらの妥協や融合点が何だったのかをまずもって理解するべきでしょう

 ───────────────────────────────────────  ■題名 : それほど無意味ではないですよ  ■名前 : BUN  ■日付 : 02/3/26(火) 1:44  -------------------------------------------------------------------------
   > もちろん漸減作戦構想でも空母運用は考えられていましたね。しかし、大編隊による
> 共同同時攻撃法の効果が確認されたのは、昭和15年の飛行演習研究です。それ以後
> 爆撃嚮導機などの導入の研究が行われ、航空打撃戦の構想が発展していくところで
> しょう。

シュウスイさんは各論においてかなり誤解がある為に話がおかしくなっているのではないでしょうか。
大編隊による同時攻撃という発想は海軍航空の草創期からあるものですし、具体的に戦術として形をとり、明確な方針となるのは昭和十五年のはるか以前です。海軍航空隊の航空戦術の基礎を形成したのは昭和十二年の航空本部を中心とした空威研究会の成果に依る所が大きいのですが、既にここで編隊同時攻撃が提唱されています。しかもこれはこの時に初めて提案された戦術ではありません。昭和十三年以降、爆撃機が編隊精密爆撃を重視するのは精密爆撃に適する照準装置が登場し、その用法が確立され、更に九一式航空魚雷の改良により高速雷撃が可能になりつつある状況が出現した結果の昭和十五年であって、「共同同時攻撃法の効果」がその場で初めて確認されたのではありません。単純に戦技レベルでの話なのです。
昭和十二年の戦術構想はそれこそ終戦まで基本的な部分が維持されているのです。
海軍の戦術思想自体もまた大艦巨砲主義から空母機動部隊へと単純に移行している訳でもなく更に他の要素そ含んで複雑に動いているのです。

> こうした新しい空母機動部隊運用の戦術確立過程の中で、水爆構想の入り込む隙なんて
> あるのでしょうか。僕はまったくないと思います。

あると考えられていたから継続されていましたし、事実、可能性はあります。
あながち無理な計画とは言い切れません。「新しい空母機動部隊運用の戦術確立過程」とは具体的に何を指すのでしょうか。そしてその何が水爆を補助艦爆として用いる構想と矛盾するのでしょうか。

> 特に航空巡洋艦構想は排されているのですから、水爆といっても、個別散発的な攻撃
> にならざるを得ない。そうした個別散発的な航空攻撃が効果が薄いことは演習や研究
> でも確認されているところです。それとも水爆が艦上機と同一編隊を組んで攻撃を
> 行う構想なんてあったのでしょうか。僕はそんな構想は全く知りません。あったら
> 教えていただきたいものです。

個別散発的な運用とはシュウスイさんの海軍航空戦術史に対する誤解から生まれたものであることは上記の通りです。大正九年計画にあるような魚雷を用いての対主力艦攻撃を目指した原構想時はともかく、昭和十二年以降であるならば水爆は艦上機と同一局面で同時攻撃をするものとして考えられています。伊勢型も速吸も最上もまたそうした用法を考えたものです。その為に二五番爆弾を装備した急降下爆撃機としての計画要求が出ているのです。急降下爆撃機の第一目標は終戦まで一貫して敵航空母艦です。
シュウスイさんが論じても仕方がないとする開戦前の戦術構想は戦争全期を通じて重要な意味を持っています。

そして、水上爆撃機構想そのものについても、果たして旧思想の残滓として括れるものなのかどうか、そして、これが日本だけのものだったかどうか、他国の状況もぜひ検討して戴きたく思います。

 ───────────────────────────────────────  ■題名 : 米海軍の場合  ■名前 : 大塚好古  ■日付 : 02/3/26(火) 9:42  -------------------------------------------------------------------------
    アメリカがTBDにフロートを付け、そしてSB2Cにフロート装着、魚雷装備を求めたのは水上機母艦の支援による対艦攻撃任務を企図していたためですからねぇ(あの国は日本の中攻に相当する双発水上偵察雷撃機も試作してるし)。1940〜1941年頃であれば、日本の水爆構想は旧思想と言えるものでは無いと思います

 ───────────────────────────────────────  ■題名 : 仏海軍の場合  ■名前 : まなかじ  ■日付 : 02/3/26(火) 20:04  -------------------------------------------------------------------------
   > そして、水上爆撃機構想そのものについても、果たして旧思想の残滓として括れるものなのかどうか、そして、これが日本だけのものだったかどうか、他国の状況もぜひ検討して戴きたく思います。

フランス海軍の水上攻撃機構想はかなり力の入ったものとなっています。
ラテコエール298は急降下爆撃に加えて雷撃も当初から要求されており、カタパルト発艦も可能という非常に欲張った機体ですが開発には成功し、やや速度が遅い点を除けば理想的な「水攻」と言えます。
もちろん基地航空隊からも運用されますが、注目すべきは艦隊航空隊配備の機体で、水上機母艦コマンダン・テストはこれを二個中隊24機を搭載でき、低速で航空機運用能力が高くない空母ベアルンよりもこちらの打撃力をアテにしていた節があります。
ひょっとしての話ではありますが、ラ・ガリソニエール級軽巡、またその改型ド・グラース級原計画の妙に充実した航空兵装を見ると、もしかすると日本並みの「水攻構想」があったのかな、とも思います。実際にはラ・ガリソニエール級各艦がラテ298を搭載した事実はありませんが。
フランス海軍航空隊の主要対艦攻撃機は基地航空隊も艦隊航空隊もラテ298であり、フランス海軍はこれに満足していました。

また、フランス海軍は空母には雷撃機を装備しようとしていません。
1939年当時、ベアルンに続く建造中の次期空母ジョッフル及びパンルヴェーのために大急ぎで艦上機を整備しようと試みています。
自国製のロワール・ニューポールLN410系列、あるいは米国製ボートV-156(SB2Uビンディケイターの輸出仕様)と艦爆のみ、艦戦にはブリュースターB-339F(F2A-2バッファロー)、後にグラマンG-36A(マートレットI)を購入していますが、艦攻(艦雷)を持とうとはしませんでした。
しかし、雷撃機としては水上機のラテ298を保有しており、しかもかなりのペースで量産を続けています。

 ───────────────────────────────────────  ■題名 : Re:それほど無意味ではないですよ  ■名前 : シュウスイ  ■日付 : 02/3/26(火) 22:19  -------------------------------------------------------------------------
   >
> シュウスイさんは各論においてかなり誤解がある為に話がおかしくなっているのではないでしょうか。

…いやはや、これはひどくきつい表現ですね。

昭和十三年以降、爆撃機が編隊精密爆撃を重視するのは精密爆撃に適する照準装置が登場し、その用法が確立され、更に九一式航空魚雷の改良により高速雷撃が可能になりつつある状況が出現した結果の昭和十五年であって、「共同同時攻撃法の効果」がその場で初めて確認されたのではありません。単純に戦技レベルでの話なのです。

ここで言っている「共同同時攻撃法の効果」というのは、艦攻と艦爆のことであって、
水爆も含めた同時攻撃が研究確認された訳ではないと思いますが。

そしてその何が水爆を補助艦爆として用いる構想と矛盾するのでしょうか。

補助艦爆として用いる構想と矛盾するなどとは主張していません。その裏を返せば
あくまで「補助」艦爆にしか過ぎない、ということでしょう。違うのでしょうか?
艦上機と水爆のような異なる機種に同一編隊を組ませて攻撃をかけるよりは、偵察
索敵を水偵にまかせ、艦上機による攻撃編隊を組んだ方がずっと合理的と思いますね。
構想がそうなっていない、というのはわかりますが、機数の制約などから構想どおり
には行かないのが現実ですし、実際に艦上機と水爆が同一編隊で攻撃をかけた局面
などないのですから。構想だけしか語れないのは不毛な議論と思います。

 ───────────────────────────────────────  ■題名 : 取り敢えず落ち着きましょう。  ■名前 : ルージュ  ■日付 : 02/3/26(火) 22:51  -------------------------------------------------------------------------
   また何時ものパターンに嵌っているように見受けられますので
取り敢えず穏便に行きませんか?これでは議論にもならないです。>皆さん

・・・ところで、利根や最上が索敵機を他の重巡より多く出した事例ってありました?
マリアナの時も他の重巡と同じく2機づつしか出してませんし、
多分これ以上出すと長時間艦隊から落伍する限界の機数だったのでは?
もしそうならば偵察任務にも使い難いと言う事になりそうな気がするんですが。

 ───────────────────────────────────────  ■題名 : この辺でしょうか・・  ■名前 : BUN  ■日付 : 02/3/27(水) 6:44  -------------------------------------------------------------------------
   航空巡洋艦最上は水偵を運用した実績があるという事実について、
「航空巡洋艦の活躍」と評価できるかどうかなのでしょう。
偵察目的での運用は妥当で評価できるという見解と、
それは航空巡の本来の目的とは異なるのでわざわざ造られた特殊な艦の活躍とは言い難い、という見解とがある、という事がわかって貰えただけで、もう十分ではないでしょうか。

 ───────────────────────────────────────  ■題名 : 複座水偵は「偵察機」でない  ■名前 : まなかじ  ■日付 : 02/3/26(火) 1:46  -------------------------------------------------------------------------
   > 特に航空巡洋艦構想は排されているのですから、水爆といっても、個別散発的な攻撃
> にならざるを得ない。そうした個別散発的な航空攻撃が効果が薄いことは演習や研究
> でも確認されているところです。それとも水爆が艦上機と同一編隊を組んで攻撃を
> 行う構想なんてあったのでしょうか。僕はそんな構想は全く知りません。あったら
> 教えていただきたいものです。

中島の十二試複座水偵なり瑞雲なりであれば、当時の空母攻撃隊についていくだけの速力は十分持ち合わせています。
同一艦隊から出撃するのですから、空母機と策応するのは当然で、わざわざバラバラに出す方が不自然です。
妙高型・高雄型・最上型の重巡には1隻宛て3機、利根型には4機の複座水偵を積む予定でしたが、この3〜4機を射出する方が、呉式2号5型射出機ですから多少3機め、4機めは遅れるとはいえ、それでも空母が搭載機半分を小一時間かけて発艦させるよりもはるかに早いのは自明のことと思います。

> 真珠湾攻撃やそれ以後の空母作戦で水爆が用いられていないのは、機材開発の問題
> 以前ものと思いますよ。空母機動部隊の「運用構想」からはずれたものと思います。
> 人材育成の面でも「爆撃専修員」という制度もありますが、これも水偵搭乗員とは
> 無縁のものでしょう。

機材がなくては使いようがありません
E12N1が仮に実用化されて「零式複座水偵」とでもして存在していれば、利根型はこれを搭載し、索敵機は赤城や加賀から艦攻を放ったことでしょう。艦爆8機が増えたのと同じ効果があるわけですから。
天気がよければ、念の為に利根型から各1機ずつの三座水偵も出したかもしれませんが。

> 僕が言っている「ゲームの駒」とは、水爆を論じるにあたり航空巡洋艦を排する
> となればもともと巡洋艦の数自体が多くはないのだから、水爆の機体数も一層少なく
> なる。従って、その攻撃自体も少数の散発的なものにならざるを得ない。そうした
> 攻撃は損失ばかり多くて効果が少なく水偵搭乗員を消耗するだけである。

重巡一個戦隊から出撃可能な複座水偵は12機、利根型2隻でも8機出られます。
水上機母艦1隻からは仮に全力出撃可能とすれば24機。
先にも言ったようにこれらは艦上機についていく性能をもっています。
なぜ単艦の搭載機がバラバラに進撃しなくてはならないのでしょうか。

> それなのに、機体の性能だけから可能性を論じることは、単なる「水爆可能な駒」
> という発想でしか見ていない、ということです。

複座水偵というものに対して、誤解ないし先入観があるように思われます。
複座水偵は「偵察もやる急降下爆撃機」なのであって、偵察機と銘打ってはいますが、実質的には第一に攻撃戦力であって、副次的に偵察戦力をも担うというものです。
日本海軍では索敵を主任務とするのは艦攻ないし艦偵、および三座水偵であって、複座の艦爆および複座水偵における索敵偵察の重要度は次等以下です。
既に九五水偵の運用実績にもその萌芽は見られます。

 ───────────────────────────────────────  ■題名 : Re:複座水偵は「偵察機」でない  ■名前 : シュウスイ  ■日付 : 02/3/26(火) 22:54  -------------------------------------------------------------------------
   結局、水爆としての複座水偵については、瑞雲についても満足に艦隊への配備もされず、
空母機との共同攻撃は行われなかったのですから、水爆構想があったことだけをもって
あたかもその意義を認めるというような論議はどうかと思います(皆さんが認めている
とは言ってませんよ)。

以前にも書いているとおり、ある作戦運用構想に基づいて開発された機材はあると
しても、その作戦運用構想というものは、戦術や戦訓、あるいは戦争局面で変化
していくものです。

帝国海軍の場合、水爆の開発配備が滞ったという現実があるにしても、巡洋艦の水偵
は偵察目的に使用され、それなりの働きをしていると思います。やはり帝国海軍には
構想はどうあれ、現実には艦上機を偵察索敵にまわす程の余裕もないと思いますし、
史実でも偵察索敵が不十分だった局面もあるわけです。

逆に言うと、自分としては水爆としていたずらに攻撃に消耗させてしまうよりも、史実
のとおり、偵察に活用して正解だったと考えます。これは構想がどうだったからそう
あるべきとか、構想がどうだったか解釈する、という発想でものを言っているものでは
ありません。もちろん、そうした解釈も必要ですけどね。
この点はわかっていただきたいと思います。

 ───────────────────────────────────────  ■題名 : 艦載水上機  ■名前 : まなかじ  ■日付 : 02/3/26(火) 23:36  -------------------------------------------------------------------------
   > 帝国海軍の場合、水爆の開発配備が滞ったという現実があるにしても、巡洋艦の水偵
> は偵察目的に使用され、それなりの働きをしていると思います。やはり帝国海軍には
> 構想はどうあれ、現実には艦上機を偵察索敵にまわす程の余裕もないと思いますし、
> 史実でも偵察索敵が不十分だった局面もあるわけです。

逆です。
第一機動艦隊が以前からの構想の通りに艦攻を索敵に出せなかったのは、まさに利根と筑摩に水爆がないからです。
水爆8機が欠けているから、加賀と赤城はその分多くの(しかし必要最低限度の)艦爆を積み、艦攻のスペースを削ることになるのです。
結果、ミッドウェーでは各々1機ずつしか索敵機を出せていません。
空母の発着能力には多大の余裕を残しています。
ひるがえって、別レスでルージュさんが仰っておられるように、ミッドウェーでもマリアナでも利根は水偵を2機しか出していません。
洋上回収の手間を考えると、随伴艦、直衛艦としてはそれが限界だからです。
最大6機、常用4機の搭載力も、索敵に使う以上は2〜4機はよく言って予備、悪く言えば遊兵と化してしまいます。

> 逆に言うと、自分としては水爆としていたずらに攻撃に消耗させてしまうよりも、史実
> のとおり、偵察に活用して正解だったと考えます。

艦載水上機の特徴として、発艦はカタパルトで迅速にできるが、回収は艦に円を描かせたり、風波のある海上で速度と向きを合わせてクレーンで引っ掛けたりと非常に手間がかかります。
この特性は、これから敵にあたるかもしれない索敵よりも、既に敵を発見してから出る攻撃発進に向いているとは思われませんか?

 ───────────────────────────────────────  ■題名 : 別角度から  ■名前 : まなかじ  ■日付 : 02/3/27(水) 0:42  -------------------------------------------------------------------------
   > 帝国海軍の場合、水爆の開発配備が滞ったという現実があるにしても、巡洋艦の水偵
> は偵察目的に使用され、それなりの働きをしていると思います。やはり帝国海軍には
> 構想はどうあれ、現実には艦上機を偵察索敵にまわす程の余裕もないと思いますし、
> 史実でも偵察索敵が不十分だった局面もあるわけです。

それはそうでしょう。
三座水偵は補助艦偵であり、九七艦偵が九七艦攻に喰われてしまった以上は索敵面での補助艦攻でもあるわけです。
だからこそ、艦戦と艦爆が割増しになってバランスの取れた艦上機編成になったかわりに「艦攻が減った」分を、三座水偵がカバーするわけですよね。補助ですから。
補助の方がメインになってしまったわけで、甚だ面白くない事態ではあったと思います。

別に、用法が変化したとか、こっちの方が合理的だからといったようなことはまったくないと思います。
むしろ、泥縄的にむりやり辻褄合わせをした結果が利根型の三座水偵4機搭載なのでしょう。

> 逆に言うと、自分としては水爆としていたずらに攻撃に消耗させてしまうよりも、史実
> のとおり、偵察に活用して正解だったと考えます。

ところで、事実上、瑞雲は艦載機としてはほとんど使われていませんが、史実でも爆撃機として使われています。
フィリピンでも沖縄でも、水上爆撃機として運用されています。
速力は彗星には劣りますが九九艦爆よりはかなりよく、爆弾搭載力では劣りますが飛行性能や固定武装ではヘルダイバーに匹敵する機体です。
偵察だけをさせるにはもったいない(笑

零式三座水偵を投入しようという話ではありません。
零式三座水偵にはれっきとした爆弾倉があり、最大25番1発を抱いて飛ぶこともできますが、三座水偵の任務は第一に偵察であって、爆撃はほんの余技に過ぎません。
本気で攻撃に投入するつもりは海軍も持っていないですし、やったこともありません。

 ───────────────────────────────────────  ■題名 : 自己レス  ■名前 : まなかじ  ■日付 : 02/3/27(水) 1:09  -------------------------------------------------------------------------
   あー、つまり、あくまで史実を追えば。

日本海軍の巡洋艦に搭載できる、また搭載すべき飛行機は、事実上零式三座水偵しかないわけです。
九八夜偵は零式三座で代替可能で、零観積んでも仕方がないですし、十二試複座は失敗作で、瑞雲は間に合わなかった。九四水偵、九五水偵は問題外(笑
つまり、他の選択肢は残されていなかった。
だから、どうすればよいか、よかったか、ということを論ずるのはまったく意味を為しませんね。
三座水偵は艦載機として本質的には偵察索敵(と、それに付随する触接)以外にやれることはないんですから、結局、偵察に使う以外にない。

これが日本海軍巡洋艦の航空兵装の活用法に対する唯一無二の回答というか、要するに本当に他の選択肢はなかったということですね。

 ───────────────────────────────────────  ■題名 : CFはどういうつもりだったのか?  ■名前 : 井中かえる  ■日付 : 02/3/25(月) 8:51  -------------------------------------------------------------------------
    日本のいわゆる航空巡洋艦(利根級・最上改造後)については議論が定まってきたと思うのですが、アメリカが新しい艦種記号CFまで制定してまで検討した艦上機搭載型航空巡洋艦にはどのような目論見があったのでしょうか?
 レンジャーですら空母として小さすぎると見ていたアメリカ海軍にとって、航空巡洋艦をまともな空母として使うつもりはなかった。空母の数を制限されたロンドン条約という特殊な状況下にあって、艦隊全体の航空兵力を増やす工夫ために、空母艦外に増設した格納庫であり、これもまた単艦ないしこれ数隻だけを中心とした小艦隊で使うつもりはなかったということでいいのでしょうか?
 それにしては1940年にもなってまだ検討し続けているのは納得がいかないのですが。

 ───────────────────────────────────────  ■題名 : Re:CFはどういうつもりだったのか?  ■名前 : 大塚好古  ■日付 : 02/3/26(火) 0:33  -------------------------------------------------------------------------
    アメリカのCLV/CFは補助空母としての性格が強いです。実際これらの艦は偵察/爆撃の両任務に使える爆撃機1sq分を搭載して(CLVは併せて戦闘機も)空母/巡洋艦を主力とする偵察艦隊を支援する艦として計画されたものであり、日本の利根/筑摩とは構想が全く異なる艦として捉えたほうが良いでしょう。
まあ、結局は性能が中途半端すぎるので廃案となるわけですがね(笑)。

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