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 ▼陸軍と文民統制  ウグイス 02/2/17(日) 20:11
   ┣Re:文民統制(シビリアンコントロール)と統帥権  TAKA 02/2/17(日) 22:03
   ┣Re:陸軍と文民統制  まなかじ 02/2/17(日) 23:16
   ┗Re:陸軍と文民統制  アリエフ 02/2/17(日) 23:50

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 ■題名 : 陸軍と文民統制
 ■名前 : ウグイス
 ■日付 : 02/2/17(日) 20:11
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    石原莞爾の議論を読んでいて思ったのですが、1930年代の陸軍省と参謀本部から「軍人は政治に関わるべからず」という考えを持っていない人を全員つまみ出した場合、何人ぐらい残ることができるんでしょうか?
 全滅ということはないかと思うんですけど・・・やっぱり全滅しますかね?

 ───────────────────────────────────────  ■題名 : Re:文民統制(シビリアンコントロール)と統帥権  ■名前 : TAKA  ■日付 : 02/2/17(日) 22:03  -------------------------------------------------------------------------
   帝国陸海軍内において、「政治に関わるべからず」と思っていた人は
良識派としてかなり多数いたでしょう。(特に海軍には)
只陸軍主流派の考えは「統帥権は行政権より優越する」「統帥権は形式的には天皇に
有るが、実体は軍人が握る物」という考えでしたから、特に陸軍では陰に
隠れていたでしょうね。
只文民統制(シビリアンコントロール)という考え方は、帝国陸海軍軍人の誰も
持っていなかったでしょう。
何故なら大日本帝国憲法では「天皇ハ陸海軍ヲ統帥ス」と明記されていますし
内閣は天皇を補弼する物と言う概念で作られていますから、
統帥権と行政権の優劣は明記されていませんし、どちらも天皇一人に帰属すべき
物であると規定されています。
ですから文民統制(シビリアンコントロール)なんて言う考え方は誰も考えなかったでしょう。
確かに日本近代史の中で「ロンドン条約調印問題」では、海軍で「軍の編成権は
統帥権に属し内閣が条約調印を決定するのは統帥権干犯である」という主張をして
それが通り浜口内閣は倒閣されています。(条約は発効していますが)
そのほかにも統帥権問題が日本近代史にて重大な影響をもたらしたと言う事は
「陸軍二師団増設問題」による西園寺内閣倒閣以来、「ロンドン条約調印問題」
等多数出ています。その問題が加速していき「満州事変」での関東軍の暴走
等加速していきます。
この問題は帝国憲法から紐解いていかないと見えてこないのではないでしょうか?

 ───────────────────────────────────────  ■題名 : Re:陸軍と文民統制  ■名前 : まなかじ  ■日付 : 02/2/17(日) 23:16  -------------------------------------------------------------------------
   少なくとも大日本帝国においては、軍事力を文民統制下に置くには軍の首脳部が自発的にそうする、と決心する以外にないと思います。
内閣と軍とは『天皇を輔弼する』という立場において対等の関係で独立して並立しているので、そっぽを向く気になればいくらでもそっぽを向いていられるのです。
統帥権の独立自体は制度上の欠陥とは言い切れない面もあります。
普墺戦争や普仏戦争、あるいは日清・日露戦争など、統帥権独立を制度として持っている国が戦争に勝つことは可能です。
ビスマルクとモルトケ、伊藤博文と山縣有朋、大山巌、西郷従道、山本権兵衛など首脳部に人を得れば、これほど戦争に強い制度もないでしょう。
軍人が政治に関与すべきではありませんが、政治にそっぽを向いているというのも困ります。
『戦争とは、異なる手段を以ってする政治の継続』なのですから
軍人は政治を知り、政治家は軍事を知り、それでいて互いの専門分野には口を出さないというのが個人的には理想じゃないかと思いますが。
昭和陸軍(の一部将校)が政治に関与せねばならぬと決心したのは、大正から昭和初期までの政党政治家が党利党略に偏しすぎて軍事をないがしろにし、またそもそも軍事的センスに欠ける、と彼らの目に映ったからなのでしょう。

 ───────────────────────────────────────  ■題名 : Re:陸軍と文民統制  ■名前 : アリエフ <ZVK11677@nifty.ne.jp>  ■日付 : 02/2/17(日) 23:50  -------------------------------------------------------------------------
   最大の問題は、軍政についてもこれを軍の専管事項とし、軍以外の政府組織が口出ししにくい不文律を作ってしまったということなんだろう。
軍政を扱う陸軍省、海軍省は内閣組織の中にあるわけで、内閣総理大臣初め外務省等の他の政府機関と連携協議しながら、政策を展開していかなくてはならない。天皇が率いることになっている「統帥権」は軍令、すなわち作戦指導面に限られるべきだったわけだが、それが軍政面についても拡大解釈されるようになり、陸海軍大臣の現役武官制と相俟って軍の発言力が強くなりすぎたことが問題でしょう。
また、明治憲法で内閣総理大臣は陸海軍大臣等、他の国務大臣と合同して天皇を輔弼する立場にあり、現行憲法と違い内閣総理大臣と国務大臣は基本的に対等の立場にある。そして内閣総理大臣は軍を指揮する権限が無い(なお、現在の自衛隊の最高指揮官は内閣総理大臣である)。このことも、陸海軍大臣及び軍組織を十分押さえきれなかった原因の一つだろう。
だから、この問題、誰かを除けば解決するというような簡単なものじゃなく、組織的体質が絡んだものであるわけで、前線部隊の指揮官か誰かがやれば自分も同じようなことをする、「赤信号みんなで渡れば怖くない」と言ったような組織心理を発生させる条件を無くす必要があったと思うわけ。

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