Page 153 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 通常モードに戻る ┃ INDEX ┃ ≪前へ │ 次へ≫ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ▼WWII戦闘機、機銃の混載によるパイロット養成の弊害について ねんど 03/4/13(日) 17:24 ┣頭の中で考えた「問題」 BUN 03/4/13(日) 19:16 ┃ ┗Re:頭の中で考えた「問題」 ねんど 03/4/13(日) 23:02 ┃ ┣Re:頭の中で考えた「問題」 BUN 03/4/14(月) 0:47 ┃ ┗まずは見越し射撃 BUN 03/4/14(月) 16:02 ┣Re:WWII戦闘機、機銃の混載によるパイロット養成... sinn 03/4/13(日) 23:35 ┣BUN様、sinn様有難う御座いました。 ねんど 03/4/15(火) 17:37 ┗機銃の問題 ささき 03/4/18(金) 11:00 ─────────────────────────────────────── ■題名 : WWII戦闘機、機銃の混載によるパイロット養成の弊害について ■名前 : ねんど ■日付 : 03/4/13(日) 17:24 -------------------------------------------------------------------------
Q&Aに書き込もうと思いましたが、あまりはっきりした解答が存在しないかもしれませんので、こちらに書きます。以下の事について幅広いご意見を頂きたく存じます。 工学、社会学、経済学等を修めたある著名な学者がWWII当時の戦闘機に関して、弾道特性の違う複数種類の機銃を混載する事による、パイロット養成の非効率さを指摘しています。しかしその他の所ではあまり同様の問題を読んだ事がありませんが、別の種類の機銃を使っての空戦技術をそれぞれ習得する事は困難な事なのでしょうか? 既に議論され尽くしているかと思いますが、過去ログ上手く検索できないので質問します。もし近い議論の過去ログがありましたらURLをお教え頂ければ幸いです。 |
>別の種類の機銃を使っての空戦技術をそれぞれ習得する事は困難な事なのでしょうか? 20ミリ機銃装備の機体での射撃訓練が原則的に20ミリ機銃では行われていないのですから、本質的な問題ではなかったと考えて良いと思います。整備、補給上の問題があったことは事実ですけれども機銃混載による搭乗員養成上の非効率というのは後から機体の要目を眺めて思いついた想像の産物なのでしょう。 |
BUN様 ご回答有難う御座います。 しかし私の書き方が悪く、その学者の主張を微妙に伝え切れていないようなので補足させてください。 文脈を確認してみると、先に書いた「養成」と言うのは、どうも単に「“免許皆伝”の為に所定のカリキュラムを消化させる事」のみではなく、「エース級のパイロットが輩出する確率」の事も含めて問題にしているようであります。 つまり著者は計画的な訓練のみならず、実戦に於ける成長分も問題にしているようです。 もっともこの違いによっても回答の内容は変わらないかもしれませんが… 今一度確認したいのですが、20ミリの射撃訓練を行わないとすると、そもそも混載された機銃の弾道はパイロットの感覚に違和感を覚えさせる程に違うのか?という事がまず重要で、それ程違わない(パイロットが本能的に対処し得る範囲)のならご回答の通り「本質的な問題ではなかった」と結論付けられると思いますが、本当は機銃によって空戦技術もかなり違っていて、「訓練は個別にすべきだったが実際には行われなかった」という可能性はないでしょうか? もちろんこの際対爆撃機用の極端に口径の大きい物は除外して良いと思います。 |
このような問題は頭の中で考えるより実際に当時の史料にあたって「そのような問題が存在した」ことを調査すれば良いのですけれども、私がごく浅く知っている範囲では「そのような問題は見当たらない」という結論になります。 実機での例としては零戦が手頃ですし、多分零戦のことを述べているのではないかと思いますが、零戦の機銃はあくまでも20ミリが主体で、7.7mmは20ミリを撃ち尽くした後で使用する補助武装ですからあえて7.7ミリと20ミリ両方の細かい特性に対して習熟する必要は無かったことでしょうし、昭和17年後期から導入され始めた二号銃では初速、弾道共に7.7ミリと見るべき違いがありません。その方が果たして各機銃の要目を検討した上で史料を調査した結果、仮説を立てられているのでしたら興味深いことですけれども、どうなのでしょう。もし本当に何かの問題が起きていれば射撃兵器関連の史料のどこかにそうした記録が残されていることでしょう。 |
何かそれに重なるような事例が無かったかと考えてみましたが、やはり個々の機銃についてその弾道特性に習熟する、というマニアックな技量の熟達よりも、まず見越し射撃を習得することの方が重要視されていたのではいでしょうか。射撃時の見越し角を勘と経験で習得すること自体がそもそも難しく、それを解決する為に見越し角の自動表示を行う角速度式照準器の開発が日本でも急がれています。空技廠射撃部はこの照準器の開発目的を明確に若年搭乗員対策だとしています。補助武装として装備された初速と弾道特性の異なる機銃についてその用法を習熟するという細かな技能よりも主武装である20ミリ機銃で適切な見越し角を判定する能力のほうがはるかに重要なものだったのではないかと思います。 |
パイロット養成の視点で述べれば、 射撃は最後のステップであり、もちろん重要であるが・・・ 射撃位置まで、機を操る事こそ!が空戦技術であるわけで・・・ ・・・この指摘は普遍的ではないと思います。 又、エースの要件を思えば・・・ 空戦技術、射撃術に秀でたパイロットとて、その技量はスコアと比例しないのは確かです。 |
(うぁ、間違って消してしまったので書き直し(汗 決定的に重要な問題ではない」という結論のようですね。 有難う御座いました。 一応問題の本を明記しておきます。本の名前は、「日本の敗因〜歴史は勝つ為に学ぶ」(講談社)で、著者は小室直樹氏です。 BUN様 >その方が果たして各機銃の要目を検討した上で史料を調査した結果、仮説を立てられて >いるのでしたら興味深いことですけれども、どうなのでしょう。 機銃の要目を詳しく検討した記述がある訳ではありません。ただ断定的に7.7ミリ、12.7ミリ、20ミリでは弾道は「相当に違う」とありました。著者がどの程度の調査をしたかは全く不明です。この本の趣旨は戦争全体(ひいては当時の日本)の検証なので、この件に関してそこまで詳しくは書いていませんが、最初にBUN様が指摘された通り、ただ「思いついただけ」かもしれませんね。 この本には他にもかなり独創的な理論を展開しておりますので、興味がおありでしたら是非読んでみて下さい。 最近このサイトを知ったのですが、過去ログをひも解く毎にBUN様の定説に囚われない分析力と確かな調査力にいつも感心させられております。 では失礼致します。 |
英空軍はバトルオブブリテン当時 7.7mm 統一口径多連装を採用していましたが、Gをかけながらの射撃では軽い曳光弾と重い徹甲弾の弾道が分離してしまい、有効な弾幕集中を得られないと報告されています。つまり見越し射撃は口径が統一されていも難しいものだったのです。 これに対応して改良型の曳光弾が開発されていますが、最終的にはジャイロ算定式照準器によって解決を見ました。 また英軍は 7.7mm のパンチ力不足を痛感しイスパノ 20mm 機関砲への乗り換えをはじめていますが、スピットファイヤのC翼は 20mm と 7.7mm 混載の設計になっていました。命中させることは大切ですが、命中しても効かない機銃は意味がないのです。 そして大型機を屠るために適切な大口径低初速の機関砲は小型機に対して不適です。混載の欠点を取り上げてナンセンスと批判することより、何故そういう武装形態が選択されたのかを考える方が面白いと思いますね。 |