さて、今日もエンジンのお話を一つ。 辻さんの言われている排気の脈動効果の件ですが、星形エンジン、しかも14気筒 では、実はあまり効果が期待できません。次の理由によります。 @束ねる本数は3〜5本ぐらいでないとかなり効果が薄い。 A束ねる排気管は等間隔に爆発する気筒のものでないと(18気筒を3本に束 ねるなら1番目,7番目,13番目のように)これまた効果が薄くなるうえ に、第二次大戦当時の技術ではかなり振動が発生する。 B脈動効果は排気管の長さを同じにしないと(いわゆるタコ足)期待できない。 星形エンジンを装備した航空機の場合、そんなレイアウトはほぼ無理。 つまり、星形エンジンでは、その機構上、爆発が時計回り、または反時計回りに 発生していきますので、3本を束ねる場合3つの隅にある排気管を持ってこなくてはいけません。それをタコ足にしてエンジンの端にあたる位置から排出(真ん中には胴体がある)するのは絶望的です。 それと14気筒の場合3以上の数字では7以外では割り切れませんので束ねること 自体ができません。 えらそうなことを書いて申し訳ありませんが、実は私もちょっと前までこれはイケる と思っていました。んで、私のもうひとつ好きなF−1(こちらはマニア暦20年) のことから色々考えているうちに、だめなことに気づいてしまいました。 そこで、わたしのオススメをひとつ。スワールとタンブルです。 これは、どちらも気筒内に渦流を発生させて燃焼効率を上げると言う、今の自動車 エンジンでは当たり前に使われている技術です。スワールが水平の渦流で半球形燃焼 室に、タンブルが垂直の渦流でペントルーフ型燃焼室に適しています。これらは、 吸気管と弁と燃焼室の形状を見直すだけでもできるので第二次大戦の技術でもOK ですね。 長々と失礼いたしました。本日はこのへんで。 最後に、私からの疑問をまたひとつ。 星型エンジンは、親玉コンロッドがいてそれに他のコンロッドがすべてぶら下がって いるという設計ですが、回転バランスがメチャメチャ悪かったりしないのでしょうか? 振動とか発生しないのでしょうか? どなたか、知ってらっしゃる方がいらっしゃったら教えてください。 では、また・・・。