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1936年発布
赤軍臨時野外教令
第十二章 軍隊の移動
其の二 行軍間の警戒
第340
行軍間、軍隊は地上及び空中の敵の奇襲、ならびに不意の化学攻撃に対し警戒す
第341
各種警戒機関は常にあらゆる敵の奇襲を予知し、且つ之を撃退するの準備に在ると共に、敵と遭遇するに当りては、縦隊主力をして適時有利なる態勢に展開し、敵と戦闘を開始し得しめざるべからず
第342
前進行に於ける軍隊の警戒は左記部署に依る
イ
正面に対しては前衛
ロ
側方に対しては側方支隊又は側兵
ハ
後方に対しては後兵支隊又は後衛尖兵
ニ
直接警戒として各方向に警戒哨及び斥候を派遣す
第二梯団及び其の他続行部隊は、直接警戒の外、開放翼に側方支隊又は側兵を派遣し、側方より脅威を受くる場合には側方掩護部隊を派遣す
第343
前衛の兵力編組は、任務、縦隊の大小(展開所要時間)、及び地形の状態を考慮して決定す
前衛は歩兵の約3分の1、戦車及び装甲部隊の一部、縦隊砲兵の約半部(重榴弾砲及び長射程方を含む)、工兵及び化学小部隊を以って編成す。又、前衛に騎兵を配することあり
前衛と主力との距離は、状況に依り差異あるも通常3乃至5粁とす
第344
前衛は自己の警戒の為、
イ
狙撃連隊なるときは1大隊を基幹とする前兵支隊を2乃至3粁の距離に、又1小隊乃至1中隊(又は騎兵中隊)より成る側兵を開放翼に派遣す
ロ
狙撃1連隊以下の兵力(1大隊を基幹とする場合等)なるときは、狙撃中隊又は小隊を基幹とする尖兵及び側兵を派遣す
ハ
其の他直接警戒を部署す
前兵支隊も亦自ら前兵及び側兵を派遣するものとす。縦隊の大休止に当りては、前衛及び側兵は防禦に有利なる地線の近傍に停止し、小哨(歩哨)を以って該線を占領す
第345
狙撃1中隊を基幹とし、若しくは対戦車砲を擁する1大隊より成る側方支隊は、前進行に在りては縦隊より平均2乃至3粁を離隔して行動す
側方支隊は状況に依り固定側方警戒部隊を配置することあり。之の場合に在りては、最も敵の近接し易き方向に側兵を派遣し、側兵は防禦に便なる地点を占領して縦隊主力の前進を掩護するものとす
第346
縦隊間の間隔は歩兵及び騎兵斥候をして警戒せしめ、互いに目視を以って連絡を保持せしむ
第347
後衛尖兵は縦隊の背面を掩護し、縦隊の後方に於ける秩序を維持す
後衛尖兵は通常縦隊の後尾より1粁に在りて行進し、側方及び後方に斥候を派遣す
第348
退却行に於ける軍隊の警戒部署左の如し
イ
敵方に対しては後衛
ロ
開放翼に対しては側方支隊又は側兵
ハ
前方(隊路上)に対しては前兵支隊又は尖兵
ニ
其の他直接警戒
数縦隊を以ってする兵団の退却に当りては、各縦隊は各々独立の警戒隊を設け、高級指揮官(軍団及び師団長)は後衛の停止すべき線、ならびに之を保持すべき期限を示して警戒隊の行動を規整す。若し敵の併行追撃の虞あるときは、高級指揮官の命令に依り側方掩護部隊を配置す
後衛の編組は、歩兵、騎兵、部隊砲兵、装甲自動車の外、長射程砲、対戦車防禦資材、化学及び技術部隊を含む。後衛と縦隊主力の後尾との距離は一定せず。蓋し、敵を阻止すべき各種の状況に於いて増加するを通常とすればなり。但し、如何なる場合に在りても4粁以下に短縮することあるべからず
第349
後衛は自己の警戒の為左の如く部署す
イ
狙撃連隊より成るときは1大隊を基幹とする後兵支隊、及び開放翼に側兵を派遣す
ロ
狙撃連隊以下(1大隊を基幹とする場合等)のものは後衛尖兵及び側兵を派遣す
ハ
其の他直接警戒を部署す
後兵支隊は自ら更に後衛尖兵を派遣す
側方警戒隊は退却行に在りても前進行の場合と略同様なり。但し、退路に併行する道路は敵の併行追撃を妨害する為、特に敵の機械化ならびに自動車化部隊に対し十分に掩護せられざるべからず
第350
退却行に於ける前兵支隊及び尖兵は行進路上の障碍を排除し、敵の迂回隊を撃退するものとす
第351
側敵行に於ける軍隊の警戒部署左の如し
イ
脅威を受くる方側に対し、側衛(併行路あるとき)又は側方支隊を派遣し、或は一定の地点及び方向に側方支隊又は側兵を派遣す(併行路なきとき)
ロ
縦隊行進路の延長方向上の敵に対し、前進行に在りては前衛、退却行に在りては後衛を配置す
ハ
敵に反する方向には警戒兵を派遣す
ニ
其の他直接警戒を部署す
側衛は絶えず行進を継続し(必要の休止は別とす)、或は某時間主力の進路方向に通ずる道路上の要点を逐次に占領しつつ躍進的に行動す
前衛(後衛)は自らも亦敵の方側に、移動又は固定側方警戒隊(側方支隊又は側兵)を派遣す
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