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1936年発布
赤軍臨時野外教令
第十一章 特殊の状況に於ける行動
其の二 森林に於ける行動
第293
森林戦を行う場合に在りては、森林の広さ、樹高(樹齢)、通過の難易、地面の状態、及び沼地の有無を考慮するを要す。個々の小森林は戦闘に当り、或は対戦車地区とし、或は抵抗拠点とし、或は又予備隊の位置として利用せらる。然れども、斯くの如き森林を利用する軍隊は、敵飛行機の襲撃、化学攻撃、火災、又は封鎖の危険に曝され易し
第294
森林内に於ける行軍を安全ならしむる為には、森林の前方、森縁、及び各出口に有力なる戦闘斥候(技術兵、化学兵を属す)を派遣し、道路偵察を行い、
四周に対し
有力なる警戒を部署し、的確に部隊の行動を規正する等の処置を講ずるを要す。此の際、側方に通ずる諸道路は悉く十分に捜索せらるるものとす。行軍部隊を横方面に疎開し、且つ遮蔽を良好ならしむる為、縦隊内の各部隊をして、本道上を行進する部隊と目視連絡を維持し得る範囲に於いて両側の森林内を行進せしむるを可とす。展開を迅速ならしむる為、縦隊内各部隊(歩兵大隊及び中隊)には、夫々砲兵中隊、化学及び工兵小隊、通信器材及び戦闘行李の一部等を配属す。警戒部隊は独力を以って障碍を通過し、且つ強力なる伏兵を掃蕩し得るの能力を備えざるべからず
前衛は捜索部隊又は先遣支隊の森林の出口占領後森林に進入し、縦隊主力は前衛の前方森端に進出と共に森林に進入す。大森林地帯に於いては予め機動部隊を以って森林の前端を占領するものとす
森林内の行軍は梯団距離を短縮するものとし、又、対空監視の困難に鑑み監視哨を増加す
第295
大森林の奪取を目的とする攻撃に在りては、林縁の敵に対し砲兵火力を集中し、歩兵、時として支援戦車を伴う歩兵を以って組織的攻撃を行うを要す。此の際、森林の突出部は先ず以って攻者に依り奪取せらるべきものとす
敵の堅固に守備する森林は、状況に依り之を焼却するを有利とすることあり
森林内の戦闘は所要の兵器を増加し、技術資材ならびに化学防禦資材を配属せる独立大隊(中隊)を以って之を行う。勇敢と独断と銃剣及び手榴弾を以ってする歩兵小部隊の突撃とは森林戦に於いて重要なる価値を有す。軍隊は、道路、十字路、林空等に密集することを避け、羅針盤に依りて方向を維持しつつ行動し得ざるべからず
森林より進出するに当りては、主力は正規の戦闘部署を採り、砲兵及び戦車と爾後の行動に関し協同を律し得るため、必要なる時間の余裕を設くること肝要なり
第296
森林防禦は、火器の使用を許す部分(時として予め清掃せらる)による頑強なる全周防禦と、広正面に亙る障碍組織と、森林内に進入し我が火力に依りて混乱せる敵に対する決定的逆襲とに依りて成立す
陣地帯の前縁を林縁に沿いて設定するは不利なり。或は之を前方に推進し、或は之を森林内に後退せしむるを要す
砲兵の指揮は分属主義を採るものとす
第297
対空視界の制限せらるると、横方向の疎開困難なると、車輌輜重の道路を閉塞し易きとに鑑み、森林内に在りては特に対空及び対化学防禦に注意するを要す。即ち、
イ
行進路の最も狭窄し、且つ危険なる部分には、予め高射砲、高射機関銃を配置す
ロ
駆逐飛行隊を以って此れ等の地区を掩護す
ハ
速かに道路上の毒化地域を排除する為、各縦隊に対化学資材を増加配属す
第298
森林内に於ける通信連絡は、有線、無線、徒歩伝令、及び犬を以ってし、人造林に於いては、自転車、自動車化通信器材、及び伝騎を使用することを得
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