歩兵操典

第五篇 大隊教練
第二章 戦闘
要則
  1. 第480
    大隊戦闘の本旨は、諸般の戦況に応じ、大隊長の的確且つ軽快なる指揮と各隊の適切なる協同とに依り、大隊の戦闘力を遺憾なく統合発揮するに在り
  2. 第481
    大隊長は情報の収集、連絡、対空監視、直接警戒、補給、衛生等の為、大隊本部諸機関に対し適時行動の準拠を与え、又、連隊長及び協同する部隊より出されある連絡機関等に対し所要の指示、援助を与う
  3. 第482
    大隊本部諸機関は大隊長の意図に基き積極的に任務を遂行す。連絡班は大隊長と部下指揮官、要すれば連隊長、協同する部隊等との連絡に任ず。此の際、重要なる部隊との間には各種の連絡手段を併用す。又、情報勤務に任ずる者は敵情及び地形の観察、情報の収集整理等に任じ、要すれば気象の測定及び簡易なる測図を行う
  4. 第483
    大隊長は常に対空、対戦車、対瓦斯等に関し事前の準備を周到にし対応の処置に遺憾なきを要す
    敵飛行際が有効射界に進入せば、勉めて之を撃墜すべし。然れども、企図を暴露し不利を招くがごときことなきを要す。之が為、大隊長は任務、敵機の数等を考慮し、射撃せざる場合に於いては予め之を規定す
    大隊は停止間と運動間とを問わず、敵飛行機に対し地形、陰影等を利用し隊形を適切にし、或は故らに不規なる配置を取り、又は偽装を施す等、各種の処置を講じ、行動の秘匿及び損害の現象に勉む
  5. 第484
    大隊長は敵の砲(爆)撃に対し、馬の防護の為所要の処置を講ず。之が為、位置の選定及び偽装に留意し適宜疎開し、要すれば掩壕を構築せしむ