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歩兵操典
第四篇 歩兵砲教練
第三章 戦闘
第三節 中隊
第一款 攻撃
第444
戦闘の為の前進間、中隊は捜索、警戒、対空、対戦車、及び対瓦斯の処置を講じ、地形及び我が砲火の効果を利用し成るべく駄載(繋駕)にて前進し、所要に応じ疎開し、速やかに敵に近接す
中隊卸下(脱駕)せば、戦砲隊の駄(輓)馬は通常給養掛下士官の指揮を以って、状況、特に地形を考慮し、勉めて戦砲隊に近く位置せしむ。状況に依り弾薬小隊の位置に到り該小隊長の指揮を受けしむることあり
第445
戦闘の為の前進間、速射砲は任務に基き所要の射撃準備を整え、勉めて繋駕にて第一線の直後又は危険なる翼側に行動す。状況、特に地形に依り、一時陣地を占領して所属部隊の掩護に任ずることあり
第446
戦闘の為の前進間、中隊長は通常指揮班の一部を伴い所属指揮官に同行し、其の企図を知るや所要の偵察を行い、要すれば意見を具申す
第447
中隊長は任務を受くるや、爾後の戦闘、友軍との関係等を考慮し所要の偵察を行い、指揮班を部署し、小隊に任務を与う
第448
中隊長、指揮班を部署するには、指揮班長に中隊長と各小隊長、要すれば所属指揮官及び関係部隊長との連絡、敵情の視察、射弾の観測等、所要の事項を命ず
連、大隊砲に在りては、通常観測掛下士官以下を各小隊に配属す
第449
連、大隊砲小隊に任務を与うるには、状況、特に他の重火器及び砲兵の任務、自己の企図、小隊の陣地及び射撃区域(目標)、基点、射撃開始の時期、使用弾薬の概数、小隊爾後の行動、連絡、弾薬補充、要すれば進路等、所要の事項を命ず。時として、小隊に某範囲の継続的任務を与えて行動せしむ。此の場合に於いては、通常協同すべき部隊及び行動の準拠を示す
射撃区域を示すに方りては、重要なる部分に適宜区域を重畳せしむ
速射砲小隊に任務を与うるには、状況、特に予想する敵戦車の行動、自己の企図、射撃を準備すべき方向若しくは射撃区域(目標)、小隊の行動、要すれば陣地、基点、連絡等、所要の事項を命ず
第450
歩兵の中距離に於ける行動を支援するには、中隊は要点に進出し、適時歩兵の前進を妨害する敵を制圧す。此の際、弾薬を浪費し、且つ爾後の行動を拘束せられざるを要す
第451
戦闘間、中隊長は各小隊の射撃及び運動を統括す。之が為、指揮に便なる所に位置し、戦況及び射撃の効果を観察し、所属指揮官及び協同すべき部隊との連絡を確保し、小隊に状況、就中他の重火器及び砲兵の射撃に関する事項を示し、適時新たなる任務を与えて火力の指導を適切にし、勉めて第一線に近く陣地を推進し、以って所属指揮官の意図の如く戦闘を遂行す
中隊長は中隊の射界に就き、成るべく速やかに所属指揮官に報告す
第452
中隊長は陣地変換に方り、緊要の時機第一線歩兵に対し協同を欠かざるを要す。之が為、通常小隊梯次に陣地を変換し、且つ他の重火器との強調を密ならしむ
陣地変換に方り連絡施設の変更を要するときは、爾後の施設、撤収の時機等に関し予め命令し、新陣地に於ける連絡に遺憾なからしめ、又、弾薬小隊に予め命令し適時弾薬を補充せしむ
第453
第一線歩兵突撃を準備するに至れば、中隊長は密に之と連絡し突撃の部署を明かにし、又、他の重火器及び砲兵の射撃を考慮して射撃目標を定め、機を失せず小隊を部署し、突撃に方り最も有効に第一線歩兵を支援するを要す。之が為、機微なる徴候をも逸することなく、不意に現出すべき敵の側防機能を極力偵知し、速やかに之を撲滅するに勉むべし。此の種任務の為、一部を専任せしむるを得ば有利なり
我が戦車協同する場合に於いては、所命の如く敵の対戦車火器を制圧し、戦車の行動を有利ならしむ。連隊砲、速射砲に於いて特に然り
第454
第一線歩兵敵陣に突入せば、中隊長は他の重火器及び砲兵の射撃を考慮し、機を失せず小隊を有利なる地点に進め、陣内の攻撃を有効に支援せしむべし。此の際、極力掌握に勉め、所属指揮官との連絡を密にす
第455
第一線歩兵の突撃頓挫したるときは、歩兵砲は損害を顧みず之に最も損害を与うる敵の重火器等に対し極力射弾を集中し、以って突撃復行の動機を与うべし。此の時機に於ける幹部以下の勇敢なる動作は、第一線歩兵の志気を振起し、遂に突撃を成功せしめ得るものなり
第456
夜暗を利用し敵に近接して攻撃準備の位置に就き、払暁より攻撃を実行する場合に於いては、歩兵砲は状況の許す限り、予め陣地の偵察、射向の決定、陣地及び進路の標示等を行う。而して攻撃準備の位置に進出するや、速やかに附近の部隊と連絡し、警戒を厳にし、工事及び偽装を行い、弾薬を整備する等、諸準備を整え、且つ黎明を利用して射撃準備を点検修正し、第一線歩兵の突撃に最も有効に協同するを要す
黎明を利用して突撃を行う場合に於いては、突入天明に及ぶことあるを顧慮し、十分なる射撃準備を整え、且つ第一線突入後、直ちに之に追及し得るを要す
撒毒地域に陣地を占領するの止むなきときは、通常夜暗を利用して所要の制毒及び工事を行い、黎明直前陣地に進入するを可とす
第457
数箇の中隊を併せ指揮する歩兵砲の隊長は、連隊長の企図に基き、砲兵の戦闘を考慮して戦闘遂行の要領を定む。之が為、主力を直接指揮し、一部に某範囲の継続的任務を与えて行動せしめ、或は全部を直接指揮する等、其の部署を状況に適応せしむ
第458
数箇の中隊を併せ指揮する歩兵砲の隊長、主力若しくは全部を直接指揮するには、中隊毎に分置し、射撃及び運動を統括し、自己の意図の如く火力を運用す。此の際、該隊長は通常重要なる方面の中隊に近く位置す
一部に某範囲の継続的任務を与えて戦闘せしむる場合に於いては、特に協同すべき部隊及び行動の準拠を示す
何れの場合に於いても中隊との連絡を確実ならしめ、要すれば協同すべき第一線大隊長等との連絡の処置を講ず
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