歩兵操典

第四篇 歩兵砲教練
第三章 戦闘
第二節 小隊
第二款 防御
  1. 第439
    小隊長は、任務を受くるや状況の許す限り綿密に地形を偵察し、関係ある部隊と密に連繋し陣地を定む。此の際、任務の達成を容易にし、且つ無益の損害を避けんが為、数箇の砲の位置を設け、為し得れば偽工事、特に偽観測所を配す。又、遮蔽して陣地変換を為し得る如く設備す
    連、大隊砲の陣地は、勉めて同一陣地より担任する全区域を射撃し得る如く選び、且つ第一線より適宜離隔せしむ。連隊砲小隊は、付近に於いて迅速に対戦車射撃を為し得る如く陣地を選び、各分隊をして所要の設備を為さしむ
    速射砲の陣地は最前線に近く良く秘匿せる位置に選び、且つ偽装を完全にす
  2. 第440
    小隊長配備を決定せば、分隊長等に状況、自己の企図、及び中隊の基点を示し、連、大隊砲に在りては観測所、砲の位置、射撃区域、原点、火力急襲地点、射撃準備の方法、工事等を、又、速射砲に在りては砲の位置、射撃区域、火力急襲地点、工事等を示す
  3. 第441
    小隊長は時間の許す限り前地を偵察し、原点を定め、主要なる地点に至る距離、方向各、高低角を測定し、要すれば之に標識を設け、射撃図を調製し、機を失せず有効なる射撃を実施し得るの準備を為し、陣地附近に弾薬を分置し、且つ、人馬、弾薬、資材を援護すべき工事を施すこと緊要なり
    敵の瓦斯攻撃又は煙の使用を顧慮し、予め対瓦斯準備、射撃の標定設備等を行い、緊要の時機、射撃を中絶せしめざるを要す
  4. 第442
    連、大隊砲小隊は中隊長の命に依り射撃を開始す
    敵戦車に対しては、速射砲小隊は適時射撃を開始し、其の正面に在る連隊砲小隊も亦状況の許す限り之を射撃し、勉めて陣地前に撃滅すべし
  5. 第443
    敵兵我が陣地に進入し来るも、小隊は毅然として射撃を継続し逆襲に協同す。敵戦車陣地に侵入せば、速射砲及び連隊砲小隊は速やかに之を撲滅すべし