歩兵操典

第三篇 機関銃及び自動砲教練
第三章 戦闘
第三節 中隊
第二款 防御
  1. 第322
    中隊長は、任務を受くるや状況の許す限り綿密に地形を偵察し、第一線中隊の配備及び火力配置、他の重火器及び砲兵の射撃等を考慮して配備を定め、所要に応じ、自ら火力急襲に関し計画す
    機関銃は通常小隊毎に分置す。状況に依り分隊毎に分割使用することあり
  2. 第323
    中隊を配備するには、中隊長は小隊長を集め、現地に就き、大隊長の企図、大隊火網構成の要領、第一線中隊の配備、関係ある歩兵砲及び砲兵の火力配置の概要、自己の企図等を示し、小隊の陣地及び其の射撃区域、火力急襲地点、射撃開始の時機、基点、工事の程度及び完成時期、弾薬小隊の位置、弾薬の整備及び補充の要領、連絡、対空、対戦車、及び対瓦斯の処置、戦況の推移に応じて取るべき処置等、所要の事項を命ず
  3. 第324
    戦闘の初期、一時抵抗地帯の前方に位置する機関銃は、特に偽装及び遮蔽に注意すると共に、撤退の時機及び行動を適切ならしむるを要す
    側防に任ずる機関銃、就中陣地前の要点に位置するものは、地形地物を利用し、偽装を施し、極力其の位置を秘匿すると共に、堅固に工事を行い、且つ掩護の処置を講じ、以って最後まで其の任務を遂行し得るを要す
  4. 第325
    工事は其の進捗を状況に適合せしむるを要す。之が為、弾薬小隊の銃手を一時小隊に配属することあり。又、戦闘間と雖も、状況の許す限り工事を補備増強す
  5. 第326
    敵兵我が火網に近接するや、機関銃は任務に基き、火網外に在りても特に有利なる目標に対し、適時火力を集中す。之が為、通常戦闘の当初中隊を集結使用す。敵兵漸次近接するや、機関銃は火網構成の為所定の配置に就き、益々火力を発揚し、適時火力急襲を行い、敵を撃滅すべし
  6. 第327
    第一線歩兵、陣地前に逆襲を行うか、或は敵兵陣地に侵入せば、中隊長は直ちに火力を集中し、要すれば其の背後を遮断し、以って大隊の逆襲を有利ならしむ