歩兵操典

第三篇 機関銃及び自動砲教練
通則
  1. 第236
    機関銃及び自動砲は常に犠牲的精神を発揮して第一線に活躍し、歩兵戦闘の機微に投じて火力を発揚し、戦闘の要求を遺憾なく充足するを要す。状況之を要すれば、自ら突撃を敢行するの概なかるべからず
  2. 第237
    機関銃の主要なる任務は、熾盛なる火力を以って第一線歩兵の近距離に於ける戦闘に協同するに在り
    自動砲の主要なる任務は近距離に於ける敵の戦車を撲滅するに在り。状況に依り近距離に於ける側防機能、特に銃眼に対する射撃等に任ず
  3. 第238
    適切なる指揮、厳粛なる射撃軍紀、精熟せる射撃動作、及び敏活なる行動は、機関銃及び自動砲の任務達成の為、重要なる素因なり
    射撃の要訣は、好機に投じ不意に射撃を開始し、至短時間に威力を発揚するに在り。之が為、陣地を秘匿し、射撃準備、特に射撃諸元の決定を適切にし、且つ射弾の観測修正を適正ならしむること緊要なり
  4. 第239
    機関銃及び自動砲は有ゆる障害を克服し、常に一般歩兵と行動を共にするを要す。之が為、困難なる地形及び夜間に於ける行動、特に臂力に依る長距離の搬送に習熟すること緊要なり
  5. 第240
    機関銃及び自動砲は、戦闘間と雖も兵器の点検、手入を励行し、常に銃、砲、観測具の精度を良好に維持すると共に、特に弾薬の節用を図り其の補充に留意し、緊要の時期、威力の発揚に遺憾なきを要す
  6. 第241
    機関銃及び自動砲は多数の損傷を生ずるも手段を尽くして戦闘し、縦い最後の一兵となるも飽く迄奮闘し、銃、砲と運命を倶にすべし
  7. 第242
    機関銃及び自動砲は自衛の為所要の警戒法を講じ、対戦車肉薄攻撃を準備し、要すれば捜索を行い、又、馬、車輌の処置を適切にし、特に砲(爆)撃等に対し混乱を予防し、損害を減少すること緊要なり
  8. 第243
    機関銃中隊長は准尉を長とする若干の人員、器材を以って指揮班を編成す
  9. 第349
    本編中、《 》は自動砲に関することを示す