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歩兵操典
第一篇 各個教練
第四章 戦闘間兵一般の心得
第76
兵は軍人の本分を自覚して、身命を君国に献げ、戦勝獲得の一途に邁進すべし
第77
戦闘は行軍及び劇動の後開始せられ、且つ数昼夜に亙るを常とす。故に兵は黙々として困苦欠乏に堪え、烈々たる熱意を以って、飽く迄其の責務を遂行すべし
第78
戦闘激烈にして死傷続出し、或は紛戦を惹起して命令徹底せざるか、又は指揮官を失うも、兵は戦友愛励まし、益々勇奮率先其の任務に邁進すべし。若し敵の重囲に陥り、又は弾薬を打ち尽くしたるときは、自己の銃剣に信頼し自若として事に当り、縦い最後の一人となるも尚毅然として奮戦すべし。凡て疑惧後退は敗滅に陥り、勇猛果敢なる行動は常に勝利を得べきものなるを銘肝するを要す
第79
兵は戦闘中に負傷するも自ら応急の処置を施し、百方手段を尽くして戦闘を続行すべし。縦い戦闘に堪えざるに至るも後退すべからず。然れども、若し小隊長以上の指揮官より後退を命ぜられたるときは、擲弾筒、軽機関銃、眼鏡等部隊装備の兵器、拳銃、弾薬及び資材を戦友に交付し、小銃、銃剣、防毒面等は之を携帯して、徐ろに退くものとす
第80
兵は常に自ら進んで指揮官の掌握下に入ることに勉むべし。所属部隊を離るるは、特に命ぜられた場合に限るものとす。戦闘中、命令を受けずして負傷者を介護、後送し、或は任務遂行後の復帰遅緩するが如きは軍人の本分を傷つくるものなり
兵、若し所属部隊の所在を失いたるときは、直ちに最寄の部隊に合し、速やかに将校に届出で、其の命令に従うべし
第81
兵は剛胆にして耐忍に富み勇猛にして志気旺盛ならざるべからず。戦場の惨状を誇張し、或は自己の苦痛を訴え、又は状況を悲観せるが如き言動は、厳に之を慎むべし
第82
敵の飛行機、戦車、瓦斯等の急襲に対しても、兵は命令又は規定に基き、沈着冷静事に当るべし
第83
敵は絶えず巧妙なる思想戦を以って我が軍の崩壊を企図すべし。而も、之が感知は通常困難なり。故に兵は一意上官に信頼し、只管其の任務に奮励すべし
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