砲兵射撃教範


  1. 第二篇 野戦砲兵及攻城重砲兵射撃

    第一章 射撃の結果に依り効力射を準備して行う射撃

    第一節 射弾の遠近方位を観測して行う射撃

    放列観測射撃
    要旨
    第九十一
    放列観測射撃は 射撃の準備最も迅速簡易なるのみならず 射撃指揮亦容易なるものとす
  2. 射撃開始諸元の決定
    第九十二
    射撃開始諸元決定のの要領は 之に使用し得る時間に依り異なるも 状況に適合するを主眼とせざるべからず 射撃開始急を要する場合に於ては簡易なる方法に依り略近似的に射撃開始諸元を決定し 時間の余裕あるに従い精密なる方法を用い 終に本編第二章を準用し以って試射の時間を短縮するを要す 而して何れの場合に於ても過去の射撃の結果を利用すること緊要なり
  3. 第九十三
    方向角は砲目方向に偏流 要すれば横風の修正を施して定むるものとす
    偏流を修正するに方り三八式野砲並びに騎、山砲に在りては射表に示す偏流と表尺棹の傾斜に依り自然に修正せられたる量との差(偏流の修正残量)を所要に応じ修正するものとす 又象限儀を以って射角を付与する場合に於ては射距離に応ずる偏流を顧慮し予め所要の修正を行うを要す
  4. 第九十四
    信管距離を決定するに方りては 特に射撃の結果得たる信管修正量を修正すること緊要なり
  5. 第九十五
    高低角は 低射界射撃に在りては砲目高低角を用いるも 其量小にして射撃開始急を要する場合に於ては之を省略することを得
    高射界射撃に在りては砲目高低角大なる場合に於てのみ之に基く射距離の偏差を修正するを通常とす 而して射距離を以って号令する場合に於ては 砲目標高差の半量を射距離に増減するも 精密に射撃開始諸元を決定する場合 並びに角度を以って号令する場合に於ては 射角十六分の一度に応ずる高低の偏差を以って砲目標高差を除したる量を高低角と為すものとす
  6. 第九十六
    射距離は砲目距離に要すれば縦風の修正を施し且目標付近の地形を顧慮し初発射弾の観測を容易ならしむる如く決定するものとす 又友軍に危害を与えるの虞あるときは遠弾を得る如く 選定せる砲目距離より大なる射距離を以って試射を開始するを要す
    射距離は距離を以って号令する場合に於ては百米整数に、角度を以って号令する場合に於ては採用せる射距離に応ずる射角に近き度若は半度に省略するを通常とす
  7. 射弾観測
    要旨
    第九十七
    射弾の目標に関する方向、破裂高、遠近を正確に観測するは射撃を有効ならしむる基礎なり 故に観測確実ならざる射弾は修正の資に供すべからず
  8. 第九十八
    射弾の観測は 通常一発毎に之を行うものとす 然れども数弾の平均点を観測することあり
  9. 第九十九
    射弾観測の準備となるべき弾着点及破裂の景況左の如し
    1. 射弾降下中に破裂せる場合に於ては其爆煙も亦一時降下し 跳飛後上昇中に破裂せる場合に於ては其爆煙も亦一時昇騰するものとす 此景況は観測者側方に在るに従い明瞭に観測することを得
    2. 地面に近く曳火せる榴霰弾は着発との区別困難なるも 爆煙の色及形状に依り屡ゝ之を判別することを得 即ち曳火せるものは概ね爆煙の色白くして形円く且時として火光を認識し得 着発せるものは概ね其色濁りを帯び形不整にして且火光を認識し難きものとす 但岩石地に在りては着発榴霰弾も曳火榴霰弾と同様の徴候を呈することあり
    3. 榴弾及破甲榴弾の爆煙は黒色に近き鼠色を呈す 然れども爆煙中に土砂を混するときは黄色を帯びることあり 又コンクリートに命中するときは殆ど白色を呈す
    4. 瞬発信管附弾丸の爆煙は明瞭にして堅硬物体に弾着するときは破裂の瞬時に火焔を認識し得ること多し
    5. 短延期信管附弾丸跳飛するときは通常弾着点に若干の土塊若は砂塵の掲るを認め得るも 落角大なるに従い認識困難なり 又地中に侵入後破裂するものは爆煙薄く且少量にして 観測は通常困難なり
  10. 第百
    射弾を観測するには 爆煙の起これる瞬時に於てするを要す 風斜面と平行に吹く場合に於て特に然り
    天候、地形等に依り又は延期信管を使用せる場合に於ては 爆煙と目標との関係を知る為稍ゝ長く観測するを利とすることあり
  11. 第百一
    精良にして特に固定せる眼鏡は著しく観測を容易ならしむ 然れども初発射撃の方向又は破裂高の偏差大なる虞あるか 若は著しく斜面より離隔し又は近接して観測するときは 射撃の当初 肉眼を以って観測するを利とす
    最初より眼鏡を用いて観測する場合に於ては 補助者をして肉眼に依り監視せしむるを利とす
    観測困難なる目標を射撃するときは 先ず適当なる地物を補助とし 眼鏡の標定に便ならしむるを可とす
  12. 第百二
    弾着の時機を知るは射弾観測上利益多し 多数中隊同一目標を射撃する場合 又は経過時間長き射撃等に於て特に然り
  13. 方向
    第百三
    方向の観測は 観測の基準より弾着点又は破裂点に至る偏差を密位を以って観測するものとす
    方向観測の標準を得る為 予め観測の基準より其左右著名なる点に至る間隔を測定し置くを可とす
  14. 第百四
    跳飛後に於ける破裂点は大なる偏差を生ずる事あるを以って 精密なる方向の修正は 其弾着点を観測するにあらざれば行うべからず
  15. 第百五
    爆煙の頂上のみを認識し得るとき 風 側方より吹く場合に於ては 観測したる方向偏差に大なる誤差を伴うことあるに注意するを要す
  16. 破裂高
    第百六
    破裂高の観測は基脚(目標隠蔽せるときは遮蔽頂)若は基高の線より破裂点に至る高低の量を 密位又は基高を単位として観測するものとす
    破裂高観測の標準を得る為 予め目標付近の地物等に対し破裂高観測の基準を求め置くを可とす
  17. 第百七
  18. 第百八
  19. 遠近
    第百九
  20. 第百十
  21. 第百十一
  22. 第百十二
  23. 第百十三
  24. 第百十四
  25. 第百十五
  26. 第百十六
  27. 第百十七
  28. 第百十八
  29. 第百十九
  30. 第百二十
  31. 第百二十一
  32. 試射
    要旨
    第百二十二
  33. 第百二十三
  34. 第百二十四
  35. 第百二十五
  36. 第百二十六
  37. 第百二十七
  38. 第百二十八
  39. 方向
    第百二十九
  40. 第百三十
  41. 破裂高
    第百三十一
  42. 第百三十二
  43. 第百三十三
  44. 第百三十四
  45. 第百三十五
  46. 射距離
    第百三十七
  47. 第百三十八
  48. 第百三十九
  49. 第百四十
  50. 第百四十一
  51. 第百四十二
  52. 第百四十三
  53. 第百四十四
  54. 効力射
    要旨
    第百四十五
  55. 第百四十六
  56. 第百四十七
  57. 数距離上に行う試射
    第百四十八
  58. 第百四十九
  59. 第百五十
  60. 第百五十一
  61. 第百五十二
  62. 第百五十三
  63. 第百五十四
  64. 第百五十五
  65. 一距離上に行う効力射
    第百五十六
  66. 第百五十七
  67. 第百五十八
  68. 第百五十九
  69. 第百六十