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砲兵戦術講授録 原則之部

第二篇 砲兵戦闘ノ特別原則

第六章 特種地形の戦闘に於ける砲兵

第一節 山地戦に於ける砲兵

第一款 一般の要則
  1. 一、 指揮 及 特性利用

    山地戦に在りても為し得る限り砲兵を統一使用するを本旨とすべしと雖も 統一指揮困難にして相当の配属兵力を要すること多く 統一指揮の為には 特に各種通信連絡の完璧を期するを要すると共に 各級砲兵指揮官の独断を要するもの大なりとす

    山砲は其運動性軽易にして弾道湾曲せるを以って 敵砲兵を瞰制し 若は 敵歩兵を側斜射せしむるが如く使用するに利便にして 榴弾砲も亦 其威力と弾道性の関係上 死角を減少して容易に陣地選定の自由を有し 特に軽榴弾砲は其運動性により之を善用するの余地多く 野砲は運動性 及 弾道の関係上 山地戦に於て支障を呈することあるも 野砲師団として之が活用には十分に考慮を払うを要し 谷地 及 峠等に於て 勉めて遮蔽角 及 死角を減少する如く適切なる配置を求め 少なくも谷地方面の敵 及 少々遠距離の敵を掃射せしむべきものとす

    茲に考慮すべきは 山地に於ても 作業力と時日とを有するときは 最威力重砲と雖も 容易に之を活用し得るの事実にして 欧州戦に於ける伊墺戦場の史実は之を明証して余りあると云うべく 又状況に応じては 砲兵の一部 止むを得ざれば一門と雖も 之を要点に進入せしめて 最も有効なる戦闘を遂行せしむるの着意と努力とを失せざること極めて肝要なり

  2. 二、 砲兵の配置

    戦闘の特質 及 地形等により差あるも 準拠すべき要項 左の如し

    1. (一) 放列陣地
      1. (イ)
        成るべく長く同一陣地より戦闘を継続し得むる如くするを要す 是れ 陣地変換の実施は困難にして 且 多大の時間を要するを常とすればなり
      2. (ロ)
        成るべく分散配置を行うを可とす 蓋し之によりて 死角を減少し 側射を利用して稜線後の敵を制圧し 或は 側防機能を火制することを得べく 又 多数砲兵を狭小地域に集団配置するときは 戦況の変化に適応せしむること困難なるのみならず 敵の危害 特に瓦斯攻撃を受くること多く 加之 地形の利用容易なればなり
      3. (ハ)
        縦深配置を行い 要すれば重畳配置を取るを可とす 何となれば之に依りて 重要なる谷地 及 道路を十分に火制し 且 其両側地区 及 稜線 並びに 鞍部を有利に制圧せしむることを得るを以ってなり
      4. (ニ)
        為しえれば敵を瞰制し得るを可とするも 同時に敵砲兵よりの被害の度 及 弾薬補充の難易をも較量するを要し 従って 所望の効果を期待し得る範囲に於いては 成るべく低位置を可とし 且 進入の難易を考慮して 道路より離隔の度を定むるを要す
    2. (二) 観測所
      1. (イ)
        観測 及 捜索 並びに 標定の為には 最高所を可とす 然れども 高所は敵弾を招き易く 且 雲霧の為に展望を妨害し 又 放列陣地と離隔すること多く 指揮上の不利不便を伴うこと大なり 従って 比較的低所に観測所を設け 最高所 及 死角を補うに足る地点に 補助観測所を設くるを可とする場合多し
      2. (ロ)
        地形に応じ広く分散配置を取り 以って総合視界を大ならしむると共に 敵弾の蝟集を避け任務遂行に支障なからしむること肝要なり
  3. 三、 歩砲協同 及 砲兵任務の航空部隊
    1. (一) 歩砲の協同の為の連絡

      山地に於ては連絡一般に困難なるのみならず 戦闘広正面に亙り 各方面毎に遂行せらるること多きを以って 歩砲協同の確実を期する為 特に連絡上の配慮を必要とす

    2. (二) 砲兵任務の航空部隊

      山地に於ける地上観測設備は 地形 及 天候、気象上 視界の制限を受くること多きを以って 砲兵には適宜航空部隊を配属 若は 協力せしむるの着意を忘れざるを要し 山地戦の故を以って 地上観測所を得ること容易にして 航空部隊の協力少なし高唱せるものなきに非るが如きも 斯くの如きは根本的の謬見とす

第二款 攻撃及防御
  1. 一、 攻撃
    1. (一) 一般の要領

      山地攻撃に於ける砲兵は 巧みに地形を利用して陣地を占領せしめ 歩兵攻撃の最大支障たるべき敵陣地 就中 其要点 及 側防機能等を求めて之を猛射せしめ 以って攻撃歩兵に密接なる支援を与えること必要なり

      抑々山地の攻撃に於ける砲兵の支援は 其射撃準備の程度により差あるも 一般に敵は良好なる遮蔽を有し 我射弾観測は困難なること多く 加之 弾薬補充困難なるを以って 敵陣地の破壊よりも 寧ろ制圧によりて 其目的を達成せんことを勉め 状況之を許せば 敵の第一線 及 観測要点に対し目潰射撃を加えるを利ありとす 此際 弾道の関係上 山砲 及 榴弾砲を利用するの機会多く 一般に死角を減少する為 適宜分散配置を取るを可とす

    2. (二) 迂回部隊と砲兵

      迂回部隊には 為し得る限り砲兵を配属し 敵の予期せざる場所と時期に於て 偉大なる成果を収めしむるを利ありとし 之が為 運動軽易なる砲兵 特に山砲を以ってするを可とす

    3. (三) 突撃と砲兵

      此種の地形に於ける突撃は 歩砲兵の協同火力により 十分之を準備したる後決行するを要すること多く 少なくも 適所に配置せる砲兵を以って適時歩兵の突撃を支援せしむる如く準備すること極めて肝要にして 特に突撃部隊 斜面を攀登前進するに際しては 敵は往々逆襲を試むることあるを以って 砲兵を以ってする之が支援射撃の最も適切に行わるべきこと 突撃成功の要因なりとす (註 野砲三、四千米にて土地傾斜1/2、乃至1/3のとき 友軍の近接距離五十米にて砲弾に安全なり)

    4. (四) 追撃

      敵を山頂より駆逐したる時機は 砲兵は歩兵と共に猛烈なる追撃射撃を行い 敵に至大の損害を与え得べき好機なるを以って 観測機関を適時前方に推進して射撃の指導に任ぜしむるは勿論 砲兵 就中 山砲は 縦い一部と雖も 万難を排して前方地点に進出し 以って有効適切なる追撃射撃の実施を企図せざるべからず

      追撃縦隊には砲兵を有するの要あること勿論にして 之が為 当初の時期に於ては 特に山砲 若は 軽榴弾砲を活用すべきもの多し

  2. 二、 防御
    1. (一) 砲兵配置

      放列陣地は適宜之を 分散配置し 且 至当なる縦深配置を行い 以って敵の近接すべき谷地 及 斜面 並びに 道路を瞰射し 且 敵の近接に及び 我陣地前の死角を有効に側射し得る如くすべし

      観測所は戦闘の特質上 特に分散配置を行いて 敵火 及 天候気象の影響を局限し 且 状況の変化に応じ得せしむるを要し 之と共に 各観測所の通信連絡を完備して 其総合成果の活用に遺憾なからしむべきものとす

    2. (二) 火力配置

      敵の前進すべき谷地、主要なる道路、敵の攻撃攀登すべき斜面等に 主なる火力を配置し 又 陣地前の死角を側防し得る如く一部の火力を配置すること必要なり

第二節 河川戦に於ける砲兵

第一款 攻撃
  1. 一、 企図秘匿 及 陽動

    河川攻撃に在りては 敵の意表に出づるを以って最も緊要なりとし 此際 砲兵の行動は 敵をして我企図を察知せしむるの端緒となること多きを以って 其行動は全然夜間に於いて之を行わしめ 其集結地域 及 陣地等は 森林等を利用して 上空 及 地上よりする敵の捜索に対し 絶対に秘匿せしむを肝要なりとし 加之 日中行うべき戦闘準備等は 其行動を極めて慎重ならしむるを要し 又 此際 適切なる高射砲の配置 及 運用は 企図秘匿の為 頗る緊要なり 敵を欺瞞する目的を以って陽動を行うに方り砲兵を利用するは 其価値大にして 之が為 昼間砲兵を河畔に適宜暴露配置し 或は 陽渡河方面の後岸に移動せしめ 夜暗と共に其運動性を活用して之を新渡河方面に転用するが如きは 其実施適切なるときは大なる効果を収むることを得るものとす

  2. 二、 戦闘準備

    河川攻撃の為 砲兵に必要なる敵情 特に敵砲兵 及 敵後方の状況を捜索し 且 所要の地形偵察を行うは困難にして 之が為 砲兵情報機関の配置 及 運用適切ならしむるを肝要とし 特に砲兵情報班の活用を要すべきもの大なりとす

    砲兵は 渡河攻撃の当初に在りては 一時 河川を隔てて我第一線部隊と連絡するを要するを以って 予め之に処すべき周到なる準備を行いて 歩砲の協同を緊密ならしむるを要し 其射撃準備 及 射撃観測の為には 綿密なる準備を施し置くこと肝要にして 航空機を利用して射撃観測を補助せしむるの着意は特に必要なり

  3. 三、 渡河点と砲兵陣地

    後岸に有効なる砲兵陣地を有せしむべきは 渡河点選定上の一着眼にして 主力砲兵は後岸に在りて 渡河点に対し各方面より火力を集中して我渡河を掩護せしむると共に 遠く前岸に於ける敵 就中 敵砲兵の活動 及 敵後方よりする増援を阻止し得る如く陣地を配置し 其一部は河岸近くに之を配置して 渡河の当初に於ける敵の河岸抵抗を破砕し得る如くするを必要とす

  4. 四、 最初渡河部隊たるべき砲兵

    最初の渡河部隊と共に爾後の戦闘を顧慮して 一部の砲兵を速やかに渡河せしむるを要することあり 蓋し砲兵は其観測所にして適切ならんが 後岸よりする支援協力を以って当初の目的に応じ得べきも 最初の渡河部隊をして前地の確保を容易ならしむる為 或は 後岸に於ける砲兵観測所の良好ならざるか 前岸の地形上 後岸よりする砲兵の協力十分なるを得難き場合 若は 河幅至大にして 最初の渡河部隊に対し 一部砲兵を前岸に進出せしめて協力せしむるを要する場合等の如き際は 一部砲兵を速やかに前岸に移すこと肝要なり 最初より前岸に進出せしむべき一部の砲兵(山砲を可とす)は 其性質上 之を歩兵配属砲兵となすを一般とし 其使用は後岸に於ける主力砲兵と十分なる協調を保ち 単に前岸部隊の戦闘に直接協力するのみならず 後岸砲兵の射撃し能わざる地域を掃射せしむる如く火力運用の重点を定めざる可からずも 同時に又該砲兵は其携行弾薬の僅少なるに鑑み 最も重要なる方面 及 時期に対し 火力の重点を定むる如くせざる可からず

    状況に依り 先ず観測所を前岸に変換することあり 又 砲兵の連絡班は速やかに渡河部隊と共に進出するを可とす 此際 電話線は水中に沈置し連絡を確保するを要す

  5. 五、 優勢砲兵を以って前岸抵抗の制圧

    敵兵堅固に河岸を占領せる場合に在りては 優勢なる砲兵を後岸に配置して適時敵の抵抗を制圧するを要し 之が為 渡河決行の時機と砲兵射撃開始の時期とに関しては 大に検討を要するものあり

    1. (一) 渡河開始 及 砲火制圧は 共に夜間に於てする場合

      砲兵 夜間射撃の準備を周到に行われ 且 十分に之を敵に秘匿し得る条件に於いて行い得るものにして 更に次の二場合を生ずべし

      1. (イ)
        先ず砲兵火力を以って前岸の敵を制圧したる後 第一線歩兵の渡河を開始する場合

        我砲兵力大にして 先ず前岸の敵を制圧し 之に依って 爾後歩兵の渡河に際し 敵は十分なる抵抗を行い難きに至らしめ得るとき 若は 状況上 奇襲的渡河を以ってするも到底成功の見込みなきときの如し

      2. (ロ)
        第一線歩兵の渡河は之を奇襲的に行うを本旨とし 砲兵は単に状況に応じ制圧射撃を開始し得る如く準備し置かしめ 其砲火開始は 歩兵の渡河開始後 適時 状況之を要するに至り 始めて実施せしむべき場合

        奇襲的攻撃 奏効の見込みある場合に於ては 常に此方法を採用するを利ありとす

    2. (二) 第一回の渡河部隊は 払暁直前に於いて渡河を実行するか 若は 払暁までに後岸に於て発進を準備し置かしめ 払暁と共に砲兵の制圧射撃を開始する場合

      第一回の渡河は払暁直前に於いて夜暗を利用して奇襲的に之を実施し 爾後の渡河は払暁以後 砲火の掩護の下に之を継続せんとするか 若は 夜暗を利用して奇襲的渡河を実施し得ざる為 第一回渡河部隊は 夜暗を利用し単に後岸に於て発進準備のみを整え 払暁と共に砲火を以って前岸の敵を火制し 敵の抵抗を減少したる後渡河を開始せんとするものにして 以上両者に就いては 状況之を許せば前者を採用するを以って勝れりとす

    3. (三) 渡河開始 及 砲火開始を 共に昼間に於て行う場合

      斯くの如きは 状況上 渡河決行の為 夜暗を利用すること能わず 加之 払暁迄に渡河発進の準備をも完了すること能わざりし場合に於て生起するものにして 素より好んで之を採択すべきにあらざるや論なきところにして 此際に在りては 一般に歩兵の渡河開始に先だち砲火開始を行わしむるを以って肝要なりとす

  6. 六、 架橋掩護隊と砲兵

    架橋掩護隊には 要すれば若干の砲兵を加えることあり 蓋し昼間に於て架橋し之を利用して渡河するを要するが如き状況に在りては 遠く敵を阻止し 且 敵の攻撃に際しては成るべく持久の任務を達せしむる為 其必要を認むることあればなり

第二款 防御
  1. 一、 決戦防御に於ける主力砲兵

    砲兵は 高級指揮官の防御方針に基き 予想し得べき敵の渡河点に対し 各種の場合に応じ得る如く砲兵配置を決定し 且 展開 及 射撃の諸準備を整え 状況に応じ 直ちに所要の陣地を占め 強大なる集中火力を敵の渡河点に対し発揮し得る如くするを可とす

    予想すべき敵の渡河点に対しては 渡河点の両側地域 及 其直後の地域に 主なる火力を配置すること肝要にして 一部の砲兵は河川に沿い之を側射し得る如くするを利ありとし 又 敵砲兵 及 渡河点附近の敵の交通路に対しても 所要の火力を準備せしむること必要なり

  2. 二、 警戒部隊の砲兵

    警戒部隊には 状況により一部の砲兵を配属することあり 是 敵の渡河点として最も重要視すべき要点 若は 全般的重要地にして 広く敵の渡河行動を側射し得るが如き地域等に於ける警戒部隊には 一部砲兵の配属必要とすればなり

    右砲兵は 其予想する渡河点に対し最大威力を発揮し得る如く火力を配置し 且 優勢なる敵に対し靭強なる抵抗を為し得る如く諸準備を整えるを肝要とす

第三節 森林及住民地戦に於ける砲兵

戦場に在る森林 及 住民地の利用法は 防御に於ては堅固なる支援点 攻撃に於ては拠点となし 又 一般に障害 及 遮蔽に利用し得るも 瓦斯 及 空中攻撃の目標となり 且 指揮困難なる不利あるを以って 直接之が攻防に任ずる兵力を小ならしめ 第一線部隊に独立性を与えるものとす

森林住民地攻撃のの要は 必要の兵力を直接森林住民地に指向し 主力を以って決戦を 森林住民地外に求むるに在り

従って 主力砲兵決戦方面の歩砲協同に任じ 一部砲兵森林住民地直接の攻撃を支援するか 又は 配属せらるるを通常とす

赤軍に於て森林攻撃は 歩兵小部隊の勇敢なる独断的行動 及 砲兵中隊 並びに 各独立砲兵との密接なる協同動作は最も重要なる意義ありとし 且 砲兵は分散指揮法に依ると云へるは 味うべき原則なり

林縁に対する砲兵の射撃榴弾又は発煙弾を以って 敵を制圧又は目潰の射撃を実施すべきも 林縁の広狭と我が砲兵力とに鑑み 林縁の全部又は一部分 特に林縁内の敵の側防機能 及 森林突角部 特に我が攻撃を妨害すべき諸要点を火制し 友軍歩兵を支援するを可とす 然れども 一度森林中の敵陣地内に入れる歩兵の行動は甚だ困難なるを以って 此際に於ける砲兵の直接支援射撃には一層の注意を要す

森林内の敵に対しては 森林の状態を考慮して 砲種 及 弾種を考慮するを要す

而して 高き森林に対しては 精神的 及 物質的効果を大ならしむる為 口径大なる榴弾を使用し 大なる落角を以って射撃するを可とす

樹間の中径約三十糎 樹幹間隔約二米 樹高約十米の大森林内の歩兵目標に対する実験を述べれば 次の如し

野砲 短延期信管附榴弾を以って 射距離五千米にて射撃せんに 敵歩兵に対する物質的効力69%にして 第一弾道中の曳火多く 瞬発信管に比し効果偉大なるのみならず 樹枝の倒壊、爆風 及 反響の惨烈なる等の為 精神的効果亦大なりと認めらる

十五榴 短延期信管附榴弾を以って 射距離五千四百米 装薬二號に於ての射撃に依れば 敵歩兵に対する物質的効力84%にして 樹間の折損顛倒せるもの36% 樹枝の切断落下其数を知らず 目標は飛散せる土壌樹幹樹枝の為 埋没し 森林の内通行亦困難なり 一ヘクタール約百発を以ってせば 敵を殲滅し得べし 精神的効果に於ては 野砲に比し 益々偉大なり

森林内の攻撃前進に於て 森林の広袤 或は 状況に依り 逐次某地域を割して攻略しつつ前進を図る場合には 歩砲兵間の連絡協定を確実にし 砲兵は斥候 又は 連絡班を第一線に派遣して 敵の第一線を射撃し 又は 地区を分断する射撃を行い 敵第一線を予備隊より孤立せしむるを可とす 此際 樹木大なる場合には移動弾幕射撃は実施し得ざるものとす

森林内に於ける砲兵の行動は困難にして 林空、林縁等を求めて陣地を占領すべし 斯かる場合には榴弾砲を便利とす

前進路の偵察標示は更に必要なり 赤軍野外要務令第三百二十二には 防御陣地に対する接近路 隘路等には 猛烈なる毒瓦斯を散布するを便とすと云えり

高級指揮官は 森林内の前進に於ける砲兵掩護に就いては深甚の考慮を要す 林縁進出時に於ける友軍歩兵に対する敵の逆襲 特に歩、砲兵火の急襲に応ずる為には 砲兵は機を失せず歩兵を支援し得る如く予め協定を実施し 要すれば陣地 又は 観測所を前方に進出し 或は 空中観測に依り射撃する等 準備を周到ならしむること肝要なり

森林防御に於て 森林を抵抗地帯と為す場合には 射撃を妨害せざるを度とし 歩兵は林縁の後方に其抵抗地帯の前縁を選ぶを可とするも 密林に於ては 通常之を森林の前方に設け 時として森林の内部に抵抗地帯を選ぶを可とすることあり

斯かる防御に於ける砲兵の配置は 適宜後方の林空の後縁 林外 又は 林縁の前端に近き林内に配置し 第一線観測に依るの已むなきに至ると雖も 歩兵との直接協同を害せざる限り 側方に配置し 斜射 縦射するを可とす 之れ火砲の弾道の関係は 友軍歩兵の抵抗地帯より砲弾を離隔せしめ 否らざれば樹木に衝突する炸裂の為 射弾の密度を減じ 或は 友軍に危害を及ぼすの虞あればなり

森林下の陣地は伐樹せざる限り 野砲の陣地としては射撃上適当ならず 又 敵弾の為顛倒せる樹木に妨げられ 弾薬補充 及 陣地変換も亦困難なり

赤軍に於ては 砲兵は分散配置を採るものとし 特に各門を歩兵に配属すること多しと云へり

住民地攻防の要領は森林戦に準ずるも 大なる歩兵兵力も速やかに消耗すべき住民地の攻撃に在りては 住民地の特性上 砲兵用法としては野山砲兵 特に野戦重砲兵を以って 勉めて所要の破壊を行い以って歩兵の通路を作り 又は 火災を起さしめて敵の守備を不可能ならしめ 又は 適時住民地側縁の 敵の側防機能等を制圧して 友軍歩兵の突撃を支援せしむるを要す

円壁を有する村落に対する歩兵の突撃を直接支援する為の射程延伸は 小刻みにすべきや 大鉈的にすべきやは研究の価値あり 防者は円壁毎に逐次占領し得べきを考えれば 曲射砲を以ってする場合は小刻みなるを可とすべく 野山砲(軽榴を除く)を以ってせば大鉈的なるを可とせん 何れにせよ射程延伸量は 村落の性質、火砲の性能 特に弾薬の種類 及 射程公算躱避等に依り異なるものとす

市街戦に在りては 各街道に向かうべき部隊に 少なくも砲兵一小隊 乃至 一中隊を配属するを可とす

住民地の防御に在りては 砲兵は 区分せられたる各地区に独立性を附与する為配属するものと 全般的用途に備える為統一せられあるものとの 二に別つを得べく 其配置は地区相互に側射斜射し得る如く定むべきものとす 市街戦にありては各門毎に分割使用することあり

砲兵陣地を住民地内に選定するは 敵火の顧慮上 住民地相当広き場合砲兵を多数集団せしめざるとき 砲兵の一部に限り採用し得べし

住民地戦に於ける砲兵は 特に敵の瓦斯使用に留意し 瓦斯防護の準備あるを要す