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砲兵戦術講授録 原則之部

第二篇 砲兵戦闘ノ共通原則

第四章 射撃準備

射撃準備の程度如何は近代砲兵の戦闘能力を左右すべき重大なる要素にして 高級指揮官及其幕僚は 編制、装備の改定、射撃技術の進歩に伴う現代砲兵射撃準備の趨勢に関し 其理解を十分ならしめ 以って砲兵の運用と射撃準備との関係を適切に規正し得 之に依って砲兵威力の発揚を適切に戦機に応せしめ 以って戦勝を獲得する如く企画指導せざるべからず

第一節 通説

砲兵の戦闘準備とは砲兵の部署、陣地特に観測所の選定、射撃の準備、敵情の捜索、射撃指揮 及 射弾観測 並 連絡の施設、弾薬補充等 苟も砲兵の戦闘力を発揮すべき要素を総称し 砲兵の射撃準備とは砲兵の戦闘準備中射撃実施に関する直接の準備にして 一般に直に効力射を開始し得るに至るまでの準備を包括総称す 更に其内容を区分するときは測地(中隊に在りては射撃諸元の決定)と弾道的準備とに大別し得べし

砲兵の射撃準備は 往時射撃要具の進歩せざりし時代に於ける直接照準暴露陣地時代より 射撃及観測器材の発達に伴い間接照準遮蔽陣地時代を経て遂に欧州大戦に及び 同戦争間に於ける数多の変遷と戦後に於ける研鑚とに依り現時の状態に達せるものとす 元来欧州戦争に於て此種の発達を促せしは 主として陣地戦の賜にして 該戦闘の特性上 準備の為使用し得べき時間頗る多く 従って之に伴い 敵に優越を期せんが為 最善の努力を払い 他方面兵器器材進歩の影響を受け 茲に砲兵射撃準備を極度に発達せしめ 特に測地に関する準備の発達と弾道的準備の進歩とに依り 遂に無試射無観測射撃の実施に到達し 砲兵は目視し得ざる目標に対しても大規模の集中射撃、夜間射撃等を実施し得るに至りしは既述せるが如し

欧州大戦後各国陸軍兵学界は 将来大戦に於ける戦闘の特質及之に伴う砲兵射撃の要求度に関し 論難討究を積み 其結果 一般に将来戦に於ては 運動戦に於て雌雄を決するを本則とし 又縦い陣地戦の已むを得ざるに至るも 使用し得べき砲数特に其弾薬補給の関係上 無試射無観測射撃を本則とするを許さざる確認するに至れり

即ち戦闘一般の場合に於て 状況上 砲兵の戦闘準備に使用し得べき時間は自ら限度ありて 射撃準備は精粗必ずしも一ならず 又補給の関係上 成るべく観測射撃 特に地上観測射撃を主旨とすべきことを一般に認めありて 我国軍に於ても 相当長年月に亙る研鑚によりて国軍の実状に合致すべき方策を検討し 砲兵指揮官は高級指揮官の企図に基き 状況 特に地形 及 戦闘準備の為 使用し得べき時間の長短等を考慮して射撃準備の要領を決定すべきものとし 又高級指揮官は 砲兵をして適時其威力を有効に発揮せしむる為 為し得る限り 準備に必要なる時間を与えるを旨とすべきを本則とせらる 即ち砲兵に期待すべき戦闘威力は 砲兵戦闘準備の為に与ふべき時間の大小に比例するものとす

而して皇軍陣地戦の攻撃に於てのみ 戦闘綱要第二百五十九特に効力射撃準備射撃を行うは成るべく之を避けざるべからず と明示せるは計算法を推奨するものとして着目の要あり

以上は 砲兵の射撃準備に関する概念なるも 尚左に若干を敷衍して 其本旨を明ならしめんとす

  1. 一、

    砲兵の射撃準備は 使用し得べき時間の長短に適応して完成し 其成果は 使用せし時間の長短に比例す

    往々にして「現時砲兵の射撃に要する時間如何」の如き質問を為すものあるも 斯の如きは全く近世砲兵の何者なるやを窺知せざるに依るものにして 往時に於ける直接照準時代の砲兵中隊の陣地侵入に伴う放列布置及第一発の発射を夢想し 或は間接照準時代に於ける一般解法的準備に関する設想を画空せるものなるべく 現時に於ける射撃準備法は状況に応じ千差万別にして 基礎条件なくして之が準備時間を論断し難きを想察せざるに依る

  2. 二、

    高級指揮官及其幕僚は 砲兵射撃準備の特質に関し明確なる理解を有し 以って砲兵の運用上 準備に基く威力の発揚に遺憾なからしむるを期すると共に 当時の状況に基き 成るべく多くの時間を与える如く砲兵の運用を律すること肝要なり

    射撃準備に使用する時間と該砲兵威力の大小との関係は前述の如く 従って高級指揮官及其幕僚は 能く射撃準備の本質を明確にし 以って戦闘指導の方針を確立するに方り砲兵威力の要求を適切ならしむるを要し 又一の状況範囲内に於て砲兵威力の最大を期せんには 成るべく準備置換を長延ならしむる如く部署するの要あり 即ち砲兵は苟も戦機を逸せざるを一大眼目とし 常に状況に応じて所命の時間内に準備を完了すと雖 其準備の成果如何は 全く使用せし時間の長短により左右せらるること既述の如く 与えられたる時間の長大なるに従い多々益々其準備を向上し 砲兵威力を増大し得るものなればなり

第二節 測地

第一款 測地発生の起因

世界大戦に於ける陣地戦に於て 敵砲兵を完全に破壊し戦勝の因を拓くべき攻撃準備射撃は 目視の修正の必要と射撃すべき敵砲兵数の増加の為長時間を要し 一九一五年シャンパーニュ戦に於ては三日を費し 爾後 年と共に時間を延長し 一九一七年フランドル戦に於ては二週間に達せり 従って成功の根本条件たる急襲に出づるを得ず 而かもフランドル地方の如き平野に於ては地上観測所の数の不足を生じ 遠距離射撃を為し得る瞰制観測所の保有には多大の犠牲を忍ばざるべからず 翻って空中観測は機数の不足 並 制限 及 天候気象の関係等の為 意の如くならず

是に於て 直接観測に依り全射撃を修正する伝統的方法より脱却するの必要を痛感せられ 一九一七年末に至り仏軍は目標の距離及位置を図上に決定して 火砲に射界及方向を与うべき測地的準備、火砲の衰損 火薬の変化より生ずる初速の変差を修正すべき弾道的準備 並 気象関係より生ずる変差を修正すべき気象的準備を実行して実用に供せり 斯くて夜間射撃に於ても革命的効果を挙ぐるを得たり

爾後幾多の実験研究を重ね 一九一八年には目標を見ゆると否とに拘らず 図上の座標に依り瞬時に射撃を開始し得べく 又火力集中威力を発揮し 以って長時間の試射を省略し 急襲的戦法の実施に便ならしむるに至れり

斯くの如く 測地に関する事項は 欧州大戦に依る陣地戦より出発発達せるものにして 研究の当初に於ては放列陣地を座標的に決定(陣地の測地)するは勿論 目標の位置をも比較的完全正確に決定(前地の測地)し 且 目標の標定をも実施し 無試射無観測射撃を実施することを考えたるものなり

従って 大戦後測地事項の我国軍砲兵に輸入せらるるや 陣地戦の所産たる所謂測地に関しては甲乙論駁紛々たる議論を生じたるは諸官の知る所なり 然れども今や典範は発布せられ 雲霧一過の観あるは喜ぶべし

今や我が砲兵に於ける射撃の準備は隔世的に進歩し 射撃の準備の到達点は無試射々撃を実施し得るに在ることに理想を把持しあり

然れども 状況に依り 目標位置を決定し得ざることあるを以って 運動戦主義の軍に於て 陣地に於ける測地を実施して果たして其価値ありや否やに関しては 疑問を懐くものなきにあらず 固より陣地の測地の利用法完全ならざる時は測地の価値の大半を失うべく 斯くの如き場合に於ても 陣地の測地の価値を十分発揮せしめ 砲兵火力の機動性を増大し 国軍の現状に適合せしむる為には更に考案を要す 茲に於て我国郡砲兵に於ても 射弾に依る目標位置の決定法(射弾標定)を研究するに至れり

往時 旧野戦砲兵操典 及 旧野戦重砲兵操典時代に於ては 火力を一目標に集中する為には各中隊各個の試射を為すを要し 他中隊諸元の利用に関しては中隊教練射撃指揮の部
試射を終わる毎に装薬号、高低射界、射距離及規正量を 大隊長に報告し 又 曳火射撃に在りては 略々破裂高の修正を終りたる後 信管修正分画を報告すべき法則あり
て試射の為の参考 又は一部省略の為に使用するに過ぎざりき 従って方向に関しては何等の報告事項なく 射撃結果を利用するに方り之を顧慮外とし 各中隊は必ず目標を覘視し 之に対して直接射向を決定すべきものと為せり

又各中隊の放列陣地は座標内に関連せしめあらざるを以って 射距離の利用に於ても其価値不十分不精確なりき

然るに 現今 測地の採用以来 測地成果を使用する準備に於ては 各中隊の放列陣地は 座標的に相関連し 射向は方向基線に基き統制せられあるを以って 従来利用不十分なりし射距離を正確に利用し得るのみならず 射向に於ても従来利用不可能なりしものを利用し得るに至らしめたり

又測地作業に於て 前地の測地及目標を標定するには 相当多くの時間を要するに反し 陣地内のみの測地 殊に大隊の如きは 大隊放列陣地々域の関係上甚だ容易 且 時間少なきものとす 野戦砲兵学校に於ける従来の実験に依るに約一時間半にて可なり

本方法に於ては 目標を直接覘視することなく 単に座標値に依り諸元を決定するものなるを以って 理論上中隊の準備作業正確にして 尚各中隊相互に於ける関係弾道癖修正せられ然も気象上の修正実施せられたる時は 各中隊の射弾は 必ず命中せられたる某座標値の一点に集中すべきものなり 従って大隊長は急襲的に火力を集中し得るに至るものとす 測地成果を使用せざる場合に於ては 前述せる如く各中隊直接目標を覘視し得 且 正確に距離を測定し得る場合の外 集中射撃は到底望み得べからざるものなり 斯くて某中隊若は某観測所のみ発見し得る目標に在りても 一方向の標定若は射撃結果に依り目標の座標を求むる時は 直に火力を集中することを得 又各中隊各々異なりたる目標に対し一目標宛試射を終りたる時は 大隊は三目標に対し火力を集中し得るものなり

但し 大隊の火力某一点に集中するも其位置は必ずしも目標と一致すべきものにあらずと雖 攻撃戦闘直接支援射撃の場合を想定せんに 大隊の集中せる火力目標と異なりたる位置に弾着せる場合にも 歩砲連絡者等の報告に依り 大隊長は恰も一中隊の射撃を修正する如く大隊の火力を修正し得べく 又防御に於ける阻止射撃に於ては 歩兵は線目標にあらずして相当大なる正面と縦深と有する地域目標なる以って 射弾の位置一、二百米離隔することあるも其害少く 又之を観測結果に依り修正し得る場合に於ては 的確なる効果を奏すべし 然も防御に於ける阻止の射撃地域は 敵が歩兵線に近接するに従い 重測遠距機等を以ってする簡単なる一方向の標定に依るも 良好なる結果を以って座標を決定することを得べく 且 射弾の観測も容易となり 修正し得る見込み大なり

測地成果を使用し 射撃を準備せる時 座標既知なる某目標に対し射撃を実施するに方り 装薬の特性、弾量の差異、弾道癖等火砲及弾薬に関する修正、気象諸元に関する修正 並 射撃結果に依る剰余修正量等を完全に修正したる場合には 其平均弾道は目標に通すべし

第二款 測地の概念
  1. 其一 要旨

    測地とは砲兵の戦闘を準備(射撃諸元の決定、敵情捜索、並射弾観測の基礎を成形するを主目的とす)する為 大隊以上の部隊に於て行う基礎測地 陣地の測地 及 前地の測地を総称し 従来唱えたる測地的準備の名称を廃止せり 従って中隊の準備は測地成果を使用するもの 及 之を使用せざるものとの二に区分し 共に之を射撃諸元の決定と総称す

    測地は 基礎測地 陣地及前地の測地に区分す

    基礎測地とは 陣地及前地測地の基礎となるべき所要の基準点地点測定の基準と為す為座標、標高を測定したる点)を設定するを謂い 基線三角網又は三角鎖拡張の基礎たるしむる為実測せる地線にして 測地地域の何れの部分にも価値を生ぜざる如く其一端に座標、標高を 又其辺に方向を与ふ)及方位の原線測地の為 方位の基準と為すべき地線にして 通常基線を用い 状況に依り他の地線を用ふ)を基礎とし 所要の地域に基準点を拡張するを通常とす

    時として原点及方位の原線を基礎として 道線法に依り 基準点を設定することあり

    陣地の測地とは 通常基礎測地に基き 陣地基準点観測所 補助観測所 及 砲車位置測定の為 特設したる基準点方向基線照準点方位角、測角基準線の方位角等を測定する為の地線)要すれば此等の決定に必要なる基準点を設定し 且 之よりして観測所 及 補助観測所の位置を測定(座標は通常道線法、標高は直接測定法 若は間接測定法に依る)するを謂う( 直接測定法及間接測定法に関しては 砲兵観測通信教範草案第二百二十六 乃至 第二百三十二参照

    前地の測地とは 基礎測地 及 陣地の測地に基き 前地に所要の基準点を設定し 且 所望の地点を測定するを謂う

    基準点決定の為には 之等を三角形に連接せる三角網を以ってするか 鎖状に連接せる三角鎖を以って 所望の地域を掩ふか 又は座標の原点 及 方位の原線を基礎とし 道線法を用いるものとす

    座標系異なる測地を統一するを要するとき 座標は予め方位を統制(基準と為すべき地線 及 其方位角を示すか 又は 基準部隊の求めたる測地成果に依る)しある場合には基準の座標系に対する座標差の修正に依り 否らざる場合には新に之を決定し 標高は両基準の座標系に対する標高差を求め之を修正決定するものとす

    座標系異なる測地成果を利用する場合には各座標系を以て陣地の測地の成果を決定するを通常とし 時として所要地点(目標又は地域)の座標変換を行うことあり

    例えば 軍砲兵隊が隣接両師団砲兵隊に協力するが如き状況に於て斯かる場合を生ずべし

    基準点の成果は之を基準点成果表(基準点の標高座標 及 対向基準点に対する方位角 並 辺長対数を掲記したる表にして 附表第一の如し)に掲げ 所要に応じ基準点一覧表(基準点の相互関係を明にし 要すれば其精度を記入し 又 現地に於ける発見を容易ならしむる為 基準点位置の細部を指示する要図を附し 且 主要諸元を記せる一覧図にして 附表第二の如し) 若は座標図を調製するものとす

    方向基線の成果表には其位置及方位角を掲くるものとす

    測地の為には 為し得る限り空中写真 及 地図を利用すること緊要なり

    友軍歩兵の前線附近より其前方 敵の占領地域の測地の際の如き 此の必要を生ずること大なり

    之が為 砲兵指揮官は砲兵任務の航空部隊を使用する外 適時高級指揮官に請求して 速やかに所要の空中写真を収集するを可とす

  2. 其二 基礎測地

    最初より同一座標系に依り統一して基礎測地を行うには 全測地地域を区分することなく行うか 或は各部隊に作業地域を配当して各作業地域毎に実施せしむるものとす

    各部隊毎に実施せる基礎測地を所要に応じ統一するには 連結用の基準点(座標系の異なると同一なるを問わず)又は新たに接地したる基線(異なる座標系のときに限る)に依るものとす

    連結用の基準点とは 各地区の測地成果を統一する為使用したる基準点を云い 通常地区の境界附近に之を設くるものとす

    基礎測地の成果は計算法砲兵観測通信教範草案 第二百五 乃至 第二百九参照)に依り求むるを本則とするも 状況に依り大梯尺の図解法砲兵観測通信教範草案 第百九十九 乃至 第二百三参照)に依ることあり

    基線の位置は 単に技術上より論ずれば 測地地域の中央ににして各方面の基準点の精度を良好ならしむるを可とするも 状況 特に地形に依り異なるものにして 要は 基準点の拡張に便に 次数を増加するも其制度を保持し 且 距離測量容易なるを要す

    之が為 攻撃に在りては 勉めて敵陣地に近接して之を行い 各部隊をして直に其成果を利用し得しむるを可とするも 状況 特に地形に依り敵陣地より離隔せる位置に於て速やかに作業を開始するを可とすることあり 又 防御に在りては 先ず速やかに前地 特に砲兵火力を配置すべき地域に於て測地を実施するを有利とすることあり 又 努めて主力砲兵陣地に近く利用するに便せしむるを可とす

    敵砲火を顧慮するときは 其射程外にして一万五千米以上を離隔すべきも 斯くては所要の地域に於ける精度を低下するの虞あり

    基線長は 状況 特に地形 及 測地地域の広狭により異なるも 容易に三角網(三角鎖)の一辺長を得る如く定むるを要す

    基線長短小なるときは之を拡張して前項の辺長に略等しからしむるを可とす 此際 勉めて辺長の精度を低下せざることに注意するを要す

    基線長は通常五百米以下とす

    方位の原線の方位角は 野戦砲兵にては磁針に依る法に依り測定するか 若は 適宜の値を与うるを通常とす、然れども広範囲に於ける方位の統制を容易ならしむる為には 天体観測に依り測定することあり 又 攻城砲兵に在りては 通常 既知座標系の方位の原線に依るか 若は 天体観測に依る法に依るものとす

    方位統制の為の地線は 各地区を貫通せしめ 其 利用に便ならしむるを可とす

    方位統制の為の地線に基き 某地線の方位角を測定するには 角道線法(砲兵観測通信教範草案第二百十三乃至第二百十五参照)を用いるを通常とす 然れども 地形隠蔽せるか 又は 夜間等には 天体同時覘視に依ることあり

    基準部隊の求めたる地線に基き 所望の地線の方位角を測定するには 精度を良好ならしむる為 特に基準部隊の方位の原線に近き地線を利用することに着意するを要す

    基礎測地に於ける基準点の配置は 状況 特に 地形 部隊の配置 及 天候に依り異なるものとす

    交会法に依り三角網(三角鎖)を拡張する場合には 為し得る限り正三角形に近く基準点を配置し 又 勉めて其内角を三十度(五三三密位)以下ならしめざるを可とす

    道線法に依り基準点を設定する場合の基準点の配置には 道線の辺数を減じ 且 他の基準点に閉塞し得る如くするを要す

    連結用基準点の数は 状況に依り異なるも 方位を統制しある場合には少なくも一箇 否らざる場合には二箇以上とす

    交会法に依り基準点を測量するには 三内角を測定するを通常とするも 状況に依り 例えば前地の測地に於て基準点敵陣地内に在るか 又は 重要の度 少なき場合等には 二内角を測定し 或は 後方交会法に依ることあり

    特に重要なるか 或は 二内角を測定したる基準点は 勉めて二箇以上の三角形を解き 精度の向上を図ること緊要なり

    予め方位を統制し異なる座標系に依り各地区毎に基礎測地を行はしめ 爾後 連結用の基準点に依り測地成果を統一する際 連結用の基準点二箇以上にして 其 座標 及 標高の差 一致せざるときは 其平均値 若は 最も良好なりと判定せるものを以って修正値と為す

    予め方位を統制することなく異なる座標系に依り各地区毎に基礎測地を行はしめ 爾後 連結用の基準点に依り之を統一する場合には 連結用の基準点を連する線を基線と見做し 新たに 所要の計算 若は 図解を行うものとす

  3. 其三 陣地の測地

    陣地の測地に於ては 通常基礎測地の基準点(之を直に陣地基準点と為し得れば有利なり)を基礎として直接に陣地基準点を設置するか 或は更に必要なる基準点を増設して陣地基準点を設定するものとす 然れども 陣地基準点の決定に先だち方向基線を設定することあり

    陣地の測地の成果を求むるには 野戦砲兵に在りては直線法図解法に依るを通常とし 時として時間の余裕を有する如き場合には計算法攻城重砲兵は之に依るを通常とす)に依ることあり

    陣地基準点の配置は観測所、補助観測所 及 砲車の位置を 直接に測定し得る如く其位置を選定するを可とす

    陣地基準点測定の要領は 交会法を用いる場合には 基礎測地に準ず

    観測所 及 補助観測所の座標は 陣地基準点より通常道線法に依り 又 其座標高は座標の測定と同時に 直接測定法 若は 間接測定法に依り 之を求む

    方向基線は特設するか 又は 既知地線を用いるものとす

    特設する方向基線の方位角は 対抗基準点に対する方位角 既知なる基準点より角道線法 時として天体同時覘視等に依り測定するものとす

    数個の方向基線を設ける場合には 其方位角を直接関連せしむること緊要なり

    方向基線は其方位角の測定確実迅速にして 成るべく各観測所、補助観測所 及 砲車の位置より通視し得ること肝要なり 之が為 選定上注意すべき事項 左の如し

    1. 成るべく同一線を利用し得ること
    2. 成るべく長大なること
    3. 線上の所要点より一端にある明瞭なる覘視点を通視し得ること
    4. 成るべく陣地基準点若は他の基準点を通過しあること
  4. 其四 前地の測地

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    附表第一、基準点成果表の一例

    附表第二、基準点一覧図の例

  5. 其五 測地一部の図解説明
    1. 測地の様式に就いて

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      1. 一、三角網にて掩ふもの

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      2. 二、三角鎖に依るもの

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      3. 三、道線法に依るもの

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    2. 基線の拡張及基線

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      1. (1)

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      2. (2)

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      1. (甲)師団砲兵毎に 最初より各部隊の測地を統一せる場合の基礎測地、陣地の測地 及 前地の測地の関係図例(操典九四一
        1. 1
        2. 2
        3. 3
        4. 4
        5. 5
          1. 一、

            Prease wait...

          2. 二、

            Prease wait...

        6. 6
      2. (乙)各部隊毎に測地を行わしめ 爾後適宜之を統一する場合(操典九四〇
        1. (1)某部隊を基準として成果を統一する場合の作業要領図例

          1. 一、
            Prease wait...
          2. 二、
            Prease wait...
          3. 三、
            Prease wait...
          4. 四、
            Prease wait...
        2. (2)直轄測地機関をして更に基線を設けて各部隊の作業を連結せる作業要領例

          本場合には通常計算を復行す

        方位統制の要領は左の如し

        1. 其一、方位統制の為地線を設定せる図例

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        2. 其二、方位統制の為基準部隊を示せる図例

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      3. (丙)各地区毎に基線を設けて測地作業を行いたる場合 連結法に依り座標を統一する方法

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        1. (1)連結用基準点一点の場合(止むを得ざる場合とす
          1. 一、方位を統制しある場合

            Prease wait...

          2. 二、方位を統制しあらざる場合は通常行わず
            Prease wait...
        2. (2)連結用基準点二点にして通視不能の場合
          1. 一、方位を統制しある場合

            Prease wait...

          2. 二、方位を統制しあらざる場合は通常行わず
            Prease wait...
        3. (3)連結用基準点二個にして通視可能の場合
          1. 一、方位を統制しある場合

            Prease wait...

          2. 二、方位を統制しあらざる場合

            Prease wait...

      4. (丁)座標系異なる隣接部隊の測地成果を互いに利用する場合の図例

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  6. 其六 測地の為の所要時間

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    1. 一、 測地運用上の基礎たる作業時間の標準に就て
      1. (イ) 測角
        • 一水平角
          平均十二分
        • 一俯仰角
          平均八分

        • 一対回
          零度右看視、同左看視(望遠鏡百八十度旋回)を行うものとす
        • 二対回
          一対回測量後 九十度に装し 右看視 及 左看視を行うもの
        • 三対回
          二対回測量後 六十度、百二十度に装じ 右看視 及 左看視を行うもの

        (二対回)

      2. (ロ) 測点到着より測角開始迄に要する時間(器材の出納整理)
        十分 乃至 十五分
      3. (ハ) 造標
        十分 乃至 二十分
      4. (ニ) 看視目標指示に要する時間
        若干
      5. (ホ) 直接水準測量 (一地区二十米)
        約十分
      6. (ヘ) 精密距離測量 (基線測量)
        一班にて百米約一時間 二班を以てする時は其三分の二の割合となる
      7. (ト) 交会法座標計算 (準備時間含む)
        一点 約三十分 乃至 一時間
      8. (チ) 図解に依る座標決定
        一点 五分以内
      9. (リ) 同右間接水準測量計算
        一点 二十分

      一測角班を下士一、卒三とする時 其能率は測点間隔 殊に其移動経路上の地形に関すること大なるも 其標準左の如し

      1. (1) 一辺二粁内外の三角網にして一測点に於ける測角平均三乃至四角なるとき

        一日の作業 四乃至五点

      2. (2) 一辺四粁以上なるとき

        一日の作業 二乃至三点

    2. 二、 上級測地機関ある場合に於ける大(中)隊の作業時間
    3. 三、 所要時間より見たる測地
    4. 四、 本統一準備時間に応ずる応用
第三款 測地の運用

測地は砲兵戦闘を準備するものなるが故に 之をして価値あらしめんには戦術的運用に俟つこと大なり 測地の運用は高級指揮官の企図に基き火力運用の方策に依るべきものにして 状況 特に地形 及 戦闘準備の為に使用し得べき時間の長短等を考慮し 測地の要領を定むるものとす

砲兵の戦闘準備は極大より極小の間を上下し 測地も亦其目的に応ずる如く簡易なるものより最も精密なるものに至る迄各種様式の選択を許すを以って 時間の長短に依り測地の運用には各種の自在性を有するものなることを知らざるべからず 従って測地の要領を定むるには 使用時間に依り到達すべき結果を判断し 次いで其判決を求むべきものなるを以って 測地的眼識を以ってする地形判断と測地機関の能力とを正当に認識するを要す 徒らに測地なる名称に眩惑せられ總て鈍重なるものの如く誤信し 或は 敏活なる原始的火力機動なる美辞にとらわれて 測地を以って火力運用の敏活性を失わしむと云うが如き謬想に陥らざるを要す 抑々現代に於ける砲兵運用の根本思想は火力個々の用法を避けて状況に適応する機敏なる火力機動及鉄鎚的なる集中火力の威力を求めんとするに在り 此要求に適合せんには測地成果の使用に俟たざるべからず 故に砲兵各級指揮官は勿論高級指揮官及幕僚たらん者は須らく測地に関する充分なる理解と戦術的判断の総合的智能を豊富ならしめざるべからず

測地統一の範囲は 戦闘の主要なる各時期を通し協同連繋を要する各部隊の火力運用の自由を確保する地域全般に亙るものにして 状況の許す限り統一するを本則とす

而して 最初より各部隊の測地を統一すべきや 或は 先ず各部隊毎に測地を実施せしめ爾後時間の余裕を得るに従い適宜之を統一すべきやは 状況に依りて決定す

然れども 戦闘準備の為時間の余裕を有するときは 砲兵上級指揮官又は軍司令官は 最初より為し得る限り広範囲に亙り測地を統一するものとす(砲操九三八)

抑々測地の統一は 努めて完全なる射撃準備を行い 小數砲兵の能力を最大限に発揮せんとするに在り 従って 小は射撃の転移射より 大は計算法に依り効力射を準備して行う射撃に至る迄 火力の機動を如何なる場合に於ても自由ならしめんとするものとす

殊に地図なき地方 若は地図の不良なる地方に於ける作戦に於いて 砲兵の火力準備を優良ならしむるには 最も必要なるは言を俟たず 測地を運用する上に於て地図の有無は射撃準備に関係する所甚だ多く 地図を有するも射撃に使用し得る精度を有するや否や 並びに 射撃に使用し得る精度を有するも所要の地点が座標地を有するや否やは 測地作業上顧慮すべき事項に属す 軍には軍測量班を有することあり有せざることあり 又砲兵情報班を有することあり有せざることあり 従って 砲兵部隊として 軍測量班 及 砲兵情報班の 軍内に在ると否とは 部隊の測地に影響あり 斯くの如き上級測地の機関の有無は 上述せる測地の範囲に至大の関係あり 従って 測地統一範囲は状況に依ると雖 最低限度に於いて大隊毎に実施し 勉めて連隊又は師団砲兵毎に 或は 師団砲兵内主力方面と否らざる方面毎に及ぼし 火力運用の必要あらば軍全砲兵若は軍の必要なる正面の砲兵毎に実施すべきも 一般の状況に於て火力運用の見地より師団毎に統一するを通常とすべし

而して 大隊毎に実施したる場合に於ても 状況に応じ 逐次 連隊(師団砲兵)を統一することに勉むるものとす

砲兵指揮官は測地の要領を決定せば 部下諸隊に測地統一の範囲、測地地域 要すれば特に重要なる方面 作業開始 及 完成の時期、測地機関の使用、作業の順序等に関し所要の命令を与え作業を実施せしむるものとす

師団砲兵毎に最初より測地を統一して行う場合に在りては 師団砲兵指揮官は所要の部下諸隊観測機関を使用し 砲兵測地隊を配属せられたるときは之を併せ用い 先ず所要の基礎測地を実施するを本則とするも 状況に依り基礎測地と同時に前地の測地を実施し並びに隷下部隊の作業を援助することあり

前者は概略陣地となるべき地帯を予想し得るも 未だ陣地決定に至らざる状況等に於て 速やかに測地を開始せんとする場合にして 予想陣地帯内 陣地となるべき位置を顧慮し 何れに陣地を占領するも支障なき如く 所要の基準点を設定す 而して作業の進捗に応じ 適時大隊観測班を原所属に復帰せしめ 陣地 及 前地の測地に任せしむるものとす 後者は陣地を予定し得るか 又は 既に決定したるとき測地を開始する場合にして 各大隊は連結の基準点に基き 陣地 及 前地の測地を開始するものとす 此際 砲兵測地隊を附属せられあるときは 砲兵測地隊は基礎測地を実施し 否らざるときは連隊観測班は基礎測地に任じ 以って各大隊の陣地測地に連結するものとす 又要すれば大隊観測班の一部をして 連隊観測班の作業を援助せしむることあり

  • 測量班の任務
  • 基準点の標示法及其順序
  • 覘視すべき点及覘視の順序
  • 角測量の要領
  • 基線の位置及之が実施の方法
  • 道線法の方法
  • 移動順序
  • 方向基線設定の方法
  • 関係部隊との連繋上必要なる事項
  • 測地成果提出の方法及場所
  • 連絡の手段
  • 作業完成の時刻
  • 作業終了後の処置特に覘標の撤収
  1. イ、
  2. ロ、
  3. ハ、
第四款 標定

第三節 測地と航空写真との関係

  1. イ、
    てすと
  2. ロ、
    てすと
  3. ハ、
    てすと
  4. ニ、
    てすと
  1. (甲)
    てすと
    1. 第一法

      テスト

    2. 第二法

      テスト

  2. (乙)
    てすと
    1. 第一法

      テスト

    2. 第二法

      テスト

  1. 一、
    束線法に就て

    テスト

  2. 二、
    束線法の精度及既知点の配置に於て

    テスト

  3. 三、
    束線法の用途

    テスト

  4. 四、
    比例法に就て

    テスト

  5. 五、
    比例法実施の為の既知点の配置に就て

    テスト

第四節 弾道的準備

前節所述の測地を使用する射撃準備のみにては 尚 射弾をして目標に的中せしむるに不十分にして 其他 当該火砲及弾薬の特質 並 当時の気象状態より生ずる弾道上の修正を加味すること肝要なりとす 而して 火砲及弾薬に関する修正量は予め之を行い得べきも 気象状態より生ずる修正量は射撃実施に方り之を求むるを要するものとす

第一款 修正すべき要項

火砲及弾薬に関し修正を要すべき事項は 独り火砲及弾薬の個癖のみならず 当時の気象状態と関連して其射距離及方向の偏差を生ずるものにして 今之を一括して修正すべき主要なる原因を述ふれば左の如し

  1. 一、射距離上に修正を促すべき原因
    • 弾道癖(火砲固有の偏差)
    • 装薬の口(装薬の製造所、製造年月日、火薬番号等に依る区分)
    • 装薬の温度
    • 弾量
    • 空気比重
    • 弾道風に応ずる射距離の修正量
    • 気温
    • 表尺目盛の偏差
    • 砲車安定の良否
  2. 二、方向上に修正を促すべき原因
    • 偏流
    • 弾道風に応ずる方向の修正量
    • 砲耳軸の傾斜
    • 方向照準具の偏差
    • 砲車安定の良否
  3. 三、其他 信管距離 及 高低角上に 修正すべき事項あり
第二款 気象観測

射撃当時に於ける気圧、気温、湿度、風向、風速を測定して其影響を加味修正せんとするものにして 事実に於て此等の諸元は時々刻々変化し 又 各空域に於て差異を呈するも 戦場附近に於ける某地域に亙る気象は某時間内に於ては変化なきものと仮想し 且 弾道風(各空域の所と時とを異にするに従い千差万別なる風向風速を平均して弾道に及ぼす効果を同一ならしむる如き設想風)を考定して 射撃修正の資に供するものとし 其測定 及 通報間隔は地形、季節、戦況等に依り二乃至六時間毎に行うものとす

  1. 一、気象観測機関

    砲兵情報班の本部に気象観測機関を有し 又各砲兵中隊の観測小隊は所要の気象観測を行うものにして 其他軍に於ては所要に応じ気象観測機関を臨時編制せらるるものとす

  2. 二、気象観測機関の任務及連繋
    1. (イ)
      砲兵情報班本部所属の気象機関

      通常臨機に設けらるべき軍気象観測機関の観測と相俟ちて 砲兵所要の気象諸元を決定し 或は状況に依り独立して之を観測するものにして 要は局所に於ける弾道風を決定し 無線電信等により之を砲兵各部隊に通報するものにして 之を気象通報を称し 予め日々一定の通報時刻及其通報の方法(連隊観測班以下に在りては電話又は伝令に依り為し得れば筆記送達するを可とす)を既定し置くものとす

    2. (ロ)
      砲兵中隊観測小隊

      砲兵情報班より受けたる気象通報及自ら測定せる気圧、気温 及 湿度 要すれば地上風(風向及風速)に基き 直接に射撃上必要なる気象諸元を決定するものとす