1.概 要
昭和14年4月、13ミリ級機銃の必要性が提唱されて、支那事変初期に捕獲した「ブローニング・コルト12.7ミリ機銃」に93式13ミリ機銃の銃身及び弾薬包を使用する機銃を試作する。併行してエリコン式の十四試十四粍機銃、ブレダ12.7ミリ固定機銃、イソダ12.7ミリ旋回機銃を試験した。 三式十三粍固定機銃は、艦載機銃と銃身や弾薬が共通化される予定であり、十四試十四粍機銃はこれと言った特徴が無く、弾薬の共通化が計れる三式十三粍機銃に軍配が上がった。ブレダは重量過大で、またイソダは故障が排除出来ず不採用となり最終的にブローニング式で口径13.2ミリの三式十三粍機銃が採用された。このため同じブローニング式でも口径が12.7ミリの陸軍の一式12.7粍機関銃とは弾薬の互換性はない。 また、固定機銃は三式十三粍機銃の採用が有力になったが、この機銃は九九式一号旋回機銃の23キロより重い28キロであったから、旋回機銃については不適と考えられ、軽量のラインメタルMG131から2式13粍機銃が開発された。
最初試作したものは入手した機銃通りに製作したが、給弾力不足のため退却部給弾のものを試作したが芳しくなかった。給弾力補助バネの増設と前進抵抗の軽減を図り30発15kgの給弾力を得るに至った。零戦の胴体と翼内に装備し、5Gの加速度中に発射可能となり制式兵器に採用となった。
2.経 過
1)昭和14年10月 エリコン式の一四試一四粍旋回・固定機銃計画案完成
2)昭和14年11月 ブレダ12.7ミリ固定機銃、地上・空中実験終了 性能・機能優秀であったが、重量
過大で不採用
イソダ12.7ミリ旋回機銃地上試験終了 故障が多く機能不良
3)昭和15年 3月 イソダ12.7ミリ旋回機銃、改良を試みるが故障が排除出来ず不採用
4)昭和15年 7月 三式13粍機銃地上試験終了、成績概ね良好、空中実験開始
5)昭和16年 3月 十四試十四粍機銃の試作品完成、実験の結果機能、性能は良好で有ったが、帯に
短し襷に長しで特徴が無く、この機銃を採用すると弾種が新たに増えて生産が混乱
するとの小意見により不採用となる。
6)昭和17年 8月 戦局の推移から13ミリ級の機銃の必要性大となり、給弾力の改を図る。
7)昭和17年12月 試作完了、地上及び空中実験開始
8)昭和18年 3月 実験終了
9)昭和18年 4月 制式兵器に採用することに決定
10)昭和18年 9月 9月11日 内兵令72号にて、兵器に採用
兵器名称 記事
三式十三粍固定機銃1型 試製航空機用十三粍固定機銃と仮称せるもの
三式十三粍旋回機銃1型 同上を旋回機銃に改造せるもの
- 3.採用後の状況
- 採用後給弾力不足の問題は起きなかったが、部品の折損と不発は課題として残っていた。部品問題は一部材料の変更及び硬度の低下により解決を図った。不発は雷管の感度の向上打針バネに撚線バネを採用、力量の増大によってほぼ解決された。
- 弾 薬
種類 色別 炸薬又は料薬 同左薬量(g)
1.普通弾薬包 黒色環状塗粧 なし −
2.曳跟弾薬包 赤色環状塗粧 曳跟薬 2.0 曳跟色黄色
3.徹甲弾薬包 白色環状塗粧 なし −
4.焼夷弾薬包二型 紫色環状塗粧 第一焼夷剤 1.0
ヘキソーゲン
ペントリット
5.焼夷弾薬包二型 紫色環状塗粧 第二焼夷剤 1.3
ヘキソーゲン
ペントリット
- 4.その他
- この銃は砲外弾道が良好で20ミリ機銃とともに戦闘機の主兵器となった。また各種動力銃架に使用されつつあった。
5.参考文献
-