また恵式二十粍固定機銃三型(エリコンのFFS型)は、初速が870m/sと速く当然の事ながら発射反動が大きく、エンジンのプロペラ駆動軸を中空としてこの中に装備する事を前提として設計された機銃であった。(剛性の大きいエンジンで反動を受ける。)当時このモーターカノンの考え方はフランスやドイツ、イギリスなどでもてはやされ、ドイツの主力戦闘機Me109には実際に搭載された。 しかし日本ではこのようなエンジンの開発が間に合わず、また固定機銃三型の改造も進んで三型と遜色の無いレベルに達したので、机上検討が行われただけで、この型の搭載試験等は行われず、名称は付与されたものの実際には搭載されずに終わった。
弾薬包は13年7月の時点で一型、二型、三型の各型について6種類づつ制式化されたが、13年9月には各8種類に増加し、内容にも若干変更があった。
「エリコン」二十粍機銃及同弾薬包の名称区分 *以下文章は一部現代風に表示
昭和13年7月22日(内兵令36)
「エリコン」二十粍機銃及同弾薬包の名称区分以下の通り定める。
1.機銃名称
名 称 原名称 記 事
恵式二十粍固定機銃 一型 FF ボーデン索発射のもの
恵式二十粍固定機銃 一型改一 FF 空気発射のもの
恵式二十粍旋回機銃 一型 AF
恵式二十粍固定機銃 特一型 FFを旋回に改造
恵式二十粍固定機銃 二型 FFL
恵式二十粍旋回機銃 二型 AL
恵式二十粍固定機銃 三型 FFS モーターカノン
恵式二十粍旋回機銃 三型 AS
備考
一型 公称初速 600メートル/秒 のもの
二型 公称初速 750メートル/秒 のもの
三型 公称初速 870メートル/秒 のもの
2.弾薬包名称
名 称 原名称 記 事
恵式二十粍機銃一号(二,三号)演習弾薬包 UG
同 曳跟弾薬包 UL
同 通常弾薬包 HD 着発しない時は自爆する
同 曳跟通常弾薬包 HZ 同上
同 焼夷弾薬包 SB
同 空砲 PP
一号、二号、三号は各々機銃の一型、二型、三型用を示す。
昭和13年9月8日(内令兵41号)
昭和13年内令兵第36号中以下の通り改正する。
名 称 原名称 記 事
恵式二十粍機銃一号(二,三号)演習弾薬包 UG
同 曳跟弾薬包 UL
同 通常弾薬包 HB
同 曳跟通常弾薬包 HZ 着発しない時は自爆する
同 焼夷弾薬包 SB
同 焼夷徹甲弾薬包 PB
同 空砲 PP
同 教練弾薬包 MP
一号、二号、三号は各々機銃の一型、二型、三型用を示す。