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ベル P-59A エアラコメット(Airacomet:空の彗星) 米国初のジェット機

 P-59A は番号こそ XP-59 を襲名していますが、全く似ても似つかないジェット戦闘機です。本機の開発は 1941 年 10 月に開始されており、1942 年 10 月には初飛行を行いました。極秘プロジェクトということでプロペラ機を偽った開発番号を付加したばかりか、初号機には飛行直前までダミーのプロペラが付いていた逸話は有名です。
 P-59 はイギリス製ホイットル(Whittle) W2B エンジンをライセンス生産したジェネラル・エレクトリック J31 二基を主翼付け根に埋め込み、エンジンの推力不足と信頼性不足に備えた設計になっていました(Me262 などの主翼懸下にくらべ片エンジン停止時にも推力軸の偏移が少ない)。ジェット後流の影響を避けるため後部胴体は心持ち反りあがっており、高い位置に尾翼をつけた姿はのちのノースロップ F-89 スコーピオンに少し似ています。主翼は矩形に近い直線テーパー翼ですが、水平尾翼の先端を丸めているのはあまりジェット機らしからぬ処理です。どちらかと言うと双胴後退翼の XP-52 や XP-59 のほうがエキゾチックで高性能そうに見え、むしろこの形態のままジェット化すべきだったと思うのは私だけでしょうか。

 P-59 の最高速度は 413mph(664Km/h) という情けないもので、運動性や安定性にも問題があり戦闘機としては失格でした。しかし生産された P-59A および P-59B はジェット機の研究や訓練用としてそれなりに有益に使われました。
(文・ささき)


緒元(P-59B)
製作1942年
生産数66(全タイプ合計)
乗員1
全幅45ft 6in(12.19m)
全長38ft 10in(11.36m)
全高12ft(3.66m)
主翼面積386ft2(26.6m2)
乾燥重量8165LBs(3611Kg)
全備重量11040LBs(4746Kg)
武装12.7mm 機銃×3+37mm 機関砲×1(機首)
発動機ジェネラル・エレクトリック J31-GE-5 推力 2000lbs(907Kg)×2
最高速度413mph(664Km/h) 高度 30000ft(9144m)
実用上昇限度46200ft(14082m)
航続距離400ml(644Km)

P-59 サブタイプ一覧(かなりどーでもいい気がする)
サブタイプ生産数特徴
XP-59A3試作型
GE-I-A エンジン推力 635Kg 
YP-59A13量産先行試作型
GE-I-16 エンジン推力 750Kg
P-59A20量産型
J31-GE-5 エンジン推力 907Kg
P-59B30P-59A に燃料タンク増設
XP-59B0単発の発展型、P-80 の原形(計画のみ)

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