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お世話になります。 潜水艦の後舵(でいいのでしょうか)で十字形、X字形の場合がありますが なぜ、X字形にしなければならないのでしょうか。考えてみると、十字形の方が効きやすいと思うのですが。 碇をあげて |
- 主として2つの理由があります。抗堪性の向上と、運動性の向上ですね。
まず前者ですが、十字の舵は、垂直の舵と水平の舵で、それぞれ1方向
への方向転換しかできません。これにくらべ、X型の舵は、舵1枚で、上
下左右二つの方向へ作用します。このため、戦闘損傷や故障などで、舵の
一部を失ってもなお、艦を制御できる可能性が高くできるんですね。
そして後者ですが、潜水艦も船である以上、港に帰らなければなりませ
ん。港に停泊することを考えると、左右の舵の幅は、艦の最大幅より狭く
しないと、岸壁にぶつけてしまいます。また、戦闘行動中に身を隠すため
に、艦を海底につける、ボトミングを考えると、下向きの舵も、艦の最大
深さより下に出せません。十字型だと、舵が小さくなってしまうのです。
舵をぶつけて壊してしまうと、潜水艦は操縦不能ですからね。
X舵の場合、舵が斜め方向に伸びますから、十字型よりも舵の面積を大
きくでき、より操縦性・運動性が向上するというわけです。
また、舵が斜め方向にのびるので、ステルス性が向上するという意見もあ
りますが、ソナー波なんてどちらから来るか決まっているわけではありませ
んから、こちらは副次的なものでしょう。
もっとも、十字型に比べ、X型は制御が難しいのが難点です。ですから、
メリットがあるのは承知されていたものの、これまであまり使われてきませ
んでした。近年、航空機のFBWに相当する、デジタル操縦室システムが完
成されたため、このX型の舵がつかえるようになったというわけです。
デメリットはこの点です。当然の話ですけれど、複雑な操縦システムの存
在が前提となり、艦の単価が高くなってしまいます。
DMZ
- X字型の方が十字型にくらべ縦横方向に対して舵の有効表面積が稼ぎやすく、結果的に舵の効きがよくなるからではないでしょうか?
おうる
- >2.
ええ、まさにその通りなのですが、>1.でDMZさんが述べられているように、
効きをよくするための制御が難しいのです。
勝井
- 少し前まで技術研究本部のホームページにあったんだけど、見あたりませんね。DMZさんの回答とほとんど重複するのですが、朝雲新聞の記事です。
http://www.asagumo-news.com/news/HP0311/nt0311.htm#a0311061
富士見町
- >3.
すみません
私が>2.を書き込んでいたとき、まだ>1.は書き込まれてなかったのです
おうる
- 参考ですが,
たいていのミサイルもX字型で制御を行ってます。
理由はすでに述べられているとおりです。
taka
- 早速、朝雲新聞の記事を拝見いたしましたが、なぜ、オランダ、スウェーデン(技術があるのか、完成数が少ないが)が採用して、技術力や経験のある合衆国や、輸出席数が多いドイツが、採用しないのでしょうか?やはり小国海軍にてはチャレンジ精神があるのでしょうか?
碇をあげて
- すいません。輸出席数→輸出隻数 でした。
碇をあげて
- その手の制御系は制御安定条件を保てるスイートスポットが思った以上に狭いんです。
既存のAZ/EL系ではダメージを受けた場合、その成分を制御に対する抵抗因子もしくは非制御エラー成分として処理(追・減補正及び切り離しての制御)すれば良いだけですが、X型では全ての翼がAZ成分とEL成分を持っているため、単成分制御に対するクロストークが大きすぎてしまうため、他の翼にて常に補正を掛けながら制御を行うという複雑な制御を経て行われるため、ちょっとでもスイートスポットを外すと一気に制御量の自律振動が発生します。
sorya
- >7
ドイツは採用していますよ。まだ就役はしていませんが。
今月号(2005年2月号)の世界の艦船に載ってますから、読んでみては。
また、海自も次の型はX字の舵になるとのこと。
桜華